AK4497との比較デモを実施
<HIGH END>DACチップメーカーで唯一出展のAKM、新フラグシップDAC「AK4499EQ」を披露
毎年ミュンヘンで開催される世界最大規模のハイエンドオーディオ見本市「HIGH END MUNICH」が今年も5月9日から12日にわたって開催された。旭化成エレクトロニクス(AKM)はHIGH ENDに出展し、同社最新のフラグシップDAC “VERITA”「AK4499EQ」を披露。専用ブースを設けて、音質デモンストレーションも実施した。
ハイエンドに限らずオーディオ市場全体において、HIGH ENDというイベントの重要性は増すばかりで、多くのメーカーやブランドがHIGH ENDに合わせて新製品を発表しているが、意外なことに、これまで半導体メーカーの出展はほぼなかったのだという。旭化成エレクトロニクスがHIGH ENDに出展したことは異例であり、実際大きな注目を集めていた。
同社はHIGH END会場となったM.O.C.のホール4に、同社専用の試聴ルームを備えたブースを設け、AK4499EQの音質デモンストレーションを行った。HIGH END会場には世界各国のオーディオメーカーの幹部や技術陣が集まっていることもあり、試聴デモの予約や希望が開催期間を通じて途切れることがなかったという。同社の鈴木氏は「様々なメーカーの方から“あのAKMですね”と声をかけられ、我々のDACの存在が想像以上に浸透していることに驚かされました」と話す。
また、これまで同社はCESなどのイベントに出展し同社製品のアピールを行ってきたが、それらはいずれもBtoBやプレス向けのものがほとんどで、今回のようなコンシューマーも訪れるイベントへ出展するのは初めてとのこと。AKM製のDACはこれまでもLINNやエソテリックをはじめハイエンドオーディオ・ブランドのフラグシップ級モデルに多数採用されてきたが、国内に限らずその知名度は高まっているようだ。
AK4499EQの詳細については、岩井喬氏によるレポートですでお伝えしている。ここでは簡単にその概要をふり返っておきたい。
AK4499EQは、同社初の電流出力方式を採用した4ch DACチップで、S/N:140dB(Mono Mode時)、THD+N(全高調波歪率+N)が-124dBという現在最高峰のスペックを実現した。
同社DACは、ひとつ前のフラグシップ「AK4497EQ」まで電圧出力方式を採用してきたが、AK4499EQでは電流出力方式を初採用した。電圧出力方式では、DACチップの中に「D/A変換部」に加えて「電圧出力用アンプ」が用意されている。多くのオーディオ機器側が電圧出力を受ける仕様となっているため、使い勝手がよく、特性も得やすい。
一方で電流出力方式は、DACチップ内にはD/A変換部のみがあり、D/A変換部からの電流出力を電圧出力へと変換するアンプ(I/V変換アンプ)を外部に用意する必要がある。そのため、メーカー側はI/V変換アンプを自ら手がける必要があるが、設計の自由度は大幅に増す。また、I/V変換回路をDACチップの外部に備えることで、オーディオ信号の振幅を大幅に上げることが可能になり、さらに優れた特性を実現できるようになる。
試聴ルーム内では、AK4499EQの評価ボードと、AK4497EQの評価ボードを用意。それぞれを聴き比べることができた。HIGH ENDではブースによっては(特にAtriumの個室は)かなり隣の大音量が漏れてかなり騒々しいブースも少なく内のだが、ホールに組まれたAKMの試聴ルームでは、落ち着いて音を比較できる環境が整えられていた。
試聴ブースにはKEFのスピーカーとデノンのプリメインアンプ、Cambridge Audioのネットワークプレーヤーを用意。DACチップの素の音を聴かせるために、あえてシンプルなシステムを用意したように見受けられた。
まずAK4497EQの評価ボードのサウンドを確認する。同社が提唱するVELVET SOUNDの名前を想起するようない滑らかな質感の高解像度サウンドで、サウンドステージが左右に豊かに展開する。楽器の微細な音まで拾い上げて陰影豊かに描き出す。多くのハイエンド機に搭載された本チップの実力を改めて思い知らされる。
続いてAK4499EQの評価ボードを聴いたのだが、基本的な音調はAK4497EQと同じくしつつ、各楽器のエネルギー感がアップして、生々しさがさらに増す。低域の実在感が増し、サウンドステージ全体の重心がぐっと下がることも、この生々しさに寄与していると感じた。明瞭度はさらに増して、さらに細かいニュアンスまで聴き取れる。
旭化成エレクトロニクス(株)の山本竜蔵氏は、このようにAK4499EQの性能を引き出す上でI/V変換アンプの選定も重要になると語る。特に、データ切り替え時のスイッチングノイズのケアについては特に慎重に行ったという。
今回のHIGH ENDでは、Astell&KernがフラグシップDAP「A&Ultima SP2000」を発表。AK4499EQ搭載を世界初搭載したことを強くアピールしていた。従来モデルのAK4497EQを搭載した「A&Ultima SP1000」との聴き比べもできたのだが、もちろんこの場合はDACチップ以外の要素もあるとはいえ、こちらでも大きな進化を聴き取ることができた(詳細はこちら)。
AK4499EQについては、この8月からサンプルが入手しやすい状況になるとのこと。A&Ultima SP2000に続く搭載機器、特に据え置きのハイエンドオーディオ製品での採用モデルの登場がいつになるかも気になるところだ。本イベントでも大きな注目を集めていただけに、今後の展開に期待したい。
ハイエンドに限らずオーディオ市場全体において、HIGH ENDというイベントの重要性は増すばかりで、多くのメーカーやブランドがHIGH ENDに合わせて新製品を発表しているが、意外なことに、これまで半導体メーカーの出展はほぼなかったのだという。旭化成エレクトロニクスがHIGH ENDに出展したことは異例であり、実際大きな注目を集めていた。
同社はHIGH END会場となったM.O.C.のホール4に、同社専用の試聴ルームを備えたブースを設け、AK4499EQの音質デモンストレーションを行った。HIGH END会場には世界各国のオーディオメーカーの幹部や技術陣が集まっていることもあり、試聴デモの予約や希望が開催期間を通じて途切れることがなかったという。同社の鈴木氏は「様々なメーカーの方から“あのAKMですね”と声をかけられ、我々のDACの存在が想像以上に浸透していることに驚かされました」と話す。
また、これまで同社はCESなどのイベントに出展し同社製品のアピールを行ってきたが、それらはいずれもBtoBやプレス向けのものがほとんどで、今回のようなコンシューマーも訪れるイベントへ出展するのは初めてとのこと。AKM製のDACはこれまでもLINNやエソテリックをはじめハイエンドオーディオ・ブランドのフラグシップ級モデルに多数採用されてきたが、国内に限らずその知名度は高まっているようだ。
AK4499EQの詳細については、岩井喬氏によるレポートですでお伝えしている。ここでは簡単にその概要をふり返っておきたい。
AK4499EQは、同社初の電流出力方式を採用した4ch DACチップで、S/N:140dB(Mono Mode時)、THD+N(全高調波歪率+N)が-124dBという現在最高峰のスペックを実現した。
同社DACは、ひとつ前のフラグシップ「AK4497EQ」まで電圧出力方式を採用してきたが、AK4499EQでは電流出力方式を初採用した。電圧出力方式では、DACチップの中に「D/A変換部」に加えて「電圧出力用アンプ」が用意されている。多くのオーディオ機器側が電圧出力を受ける仕様となっているため、使い勝手がよく、特性も得やすい。
一方で電流出力方式は、DACチップ内にはD/A変換部のみがあり、D/A変換部からの電流出力を電圧出力へと変換するアンプ(I/V変換アンプ)を外部に用意する必要がある。そのため、メーカー側はI/V変換アンプを自ら手がける必要があるが、設計の自由度は大幅に増す。また、I/V変換回路をDACチップの外部に備えることで、オーディオ信号の振幅を大幅に上げることが可能になり、さらに優れた特性を実現できるようになる。
試聴ルーム内では、AK4499EQの評価ボードと、AK4497EQの評価ボードを用意。それぞれを聴き比べることができた。HIGH ENDではブースによっては(特にAtriumの個室は)かなり隣の大音量が漏れてかなり騒々しいブースも少なく内のだが、ホールに組まれたAKMの試聴ルームでは、落ち着いて音を比較できる環境が整えられていた。
試聴ブースにはKEFのスピーカーとデノンのプリメインアンプ、Cambridge Audioのネットワークプレーヤーを用意。DACチップの素の音を聴かせるために、あえてシンプルなシステムを用意したように見受けられた。
まずAK4497EQの評価ボードのサウンドを確認する。同社が提唱するVELVET SOUNDの名前を想起するようない滑らかな質感の高解像度サウンドで、サウンドステージが左右に豊かに展開する。楽器の微細な音まで拾い上げて陰影豊かに描き出す。多くのハイエンド機に搭載された本チップの実力を改めて思い知らされる。
続いてAK4499EQの評価ボードを聴いたのだが、基本的な音調はAK4497EQと同じくしつつ、各楽器のエネルギー感がアップして、生々しさがさらに増す。低域の実在感が増し、サウンドステージ全体の重心がぐっと下がることも、この生々しさに寄与していると感じた。明瞭度はさらに増して、さらに細かいニュアンスまで聴き取れる。
旭化成エレクトロニクス(株)の山本竜蔵氏は、このようにAK4499EQの性能を引き出す上でI/V変換アンプの選定も重要になると語る。特に、データ切り替え時のスイッチングノイズのケアについては特に慎重に行ったという。
今回のHIGH ENDでは、Astell&KernがフラグシップDAP「A&Ultima SP2000」を発表。AK4499EQ搭載を世界初搭載したことを強くアピールしていた。従来モデルのAK4497EQを搭載した「A&Ultima SP1000」との聴き比べもできたのだが、もちろんこの場合はDACチップ以外の要素もあるとはいえ、こちらでも大きな進化を聴き取ることができた(詳細はこちら)。
AK4499EQについては、この8月からサンプルが入手しやすい状況になるとのこと。A&Ultima SP2000に続く搭載機器、特に据え置きのハイエンドオーディオ製品での採用モデルの登場がいつになるかも気になるところだ。本イベントでも大きな注目を集めていただけに、今後の展開に期待したい。
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