廃番の危機を乗り越え開発
デノン、新ミドル帯SACDプレーヤー「DCD-1700NE」。ハイエンド機のカスタムパーツを多数採用
デノンは、SACDプレーヤーのミドルクラス新モデル「DCD-1700NE」を1月27日より発売する。価格は198,000円(税込)。
SACDプレーヤー「DCD-1600NE」の後継に位置づけられるモデル。サブスクリプションサービスの台頭といった時代背景から、当初は後継機を作らないことも検討されていたが、これまでのCD資産を持っている方が多いこと、特に日本ではジャケットなども含めてCDを楽しむ土壌があることなどを鑑みて開発が決定。同クラスのプリメイン「PMA-1700NE」よりも遅れての発売になったとのこと。
このような背景から、「当時の新世代プレーヤーとしては思い切った開発を行った」という従来モデルDCD-1600NEをベースに、パーツ変更などでブラッシュアップしていく開発手法を採用。パーツの試聴・検討にじっくりと時間を注ぐことができたという意味では「『DCD-SX1』から『DCD-SX1 LIMITED』を作った時と同じ開発方法」だと同社は説明しており、サウンドマスターの山内慎一氏をはじめ、デノンのエンジニア陣のノウハウや経験を活かし、スペックなどの数値の違いを超えた要素を突き詰めることができたという。
オペアンプは「1600NEより大幅にグレードとコストが高い」TI製のもの、コンデンサーはSX1 LIMITEDのために開発した「PPSC-X」や「S.Y.コンデンサー」など、ハイエンド機で使われたカスタムパーツを多数採用。音質に関わるパーツの変更数は80以上にのぼるという。
コンデンサーやオペアンプの高品質化を進めることで、逆に不必要なパーツの存在が浮き彫りとなったため、それらを取り除き、デノンの基本設計思想である「シンプル&ストレート」により近づいて行ったとのこと。
ドライブメカは同社オリジナルの「Advanced S.V.H. Mechanism」だが、不必要なパーツを取り外すことで1700NE専用モデルとしてリニューアル。クロックの信号がFPGAやデジタル出力といったデジタル基板へ入り込まないように変更がなされている。
独自のアップサンプリング&ビット拡張技術「Advanced AL32 Processing Plus」や、32bit対応の高性能DACをマスターとしてクロック供給を行い、デジタル回路を正確に同期させる「DACマスター・クロック・デザイン」などは引き続き搭載。クロックも超低位相雑音クロック発振器を44.1kHz/48kHzの2系統搭載し、音源のサンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターの極小化を行っている。
オーディオ基板と電源基板も一新。1600NEの基板は上位機「DCD-2500NE」と共通化されていたため、そこから余分なパターンを省いて書き直したほか、オーディオ基板はデジタル回路に4層、アナログ回路に2層の基板を採用して信号経路を最短化。回路間や左右チャンネル間の干渉や外部からの音声信号の悪影響が最小化され、クリーンかつ透明感の高いサウンドを実現したという。
加えてオーディオ用電源回路には、山内氏がチューニングを施した専用の大容量(3,300μF)カスタムブロックコンデンサーを搭載。クリーンかつ安定した電源供給により、重厚さと繊細なディティールが調和したサウンドを実現したとしている。
他にもデジタルオーディオ回路に25個ものノイズ対策部品の追加、フレキシブル・フラットケーブルの長さやその他ワイヤーの引き回しの最適化、電源トランス固定ネジを銅メッキ仕様のものに変更するなど、徹底したノイズ対策を実施。
筐体は奥行きが伸びて大型化したほか、トップカバーをビス4本で取り付けていたところ、「DCD-A110」などと同じ左右2本のみで止める方式に変更。より空間性や開放感が増した音になっているとのこと。
SACD再生時のオーディオ特性は、再生周波数特性が2Hz - 50kHz(-3dB)でS/Nが119dB(可聴帯域)、ダイナミックレンジが112dB(可聴帯域)、高調波歪率が0.0010%(1kHz、可聴帯域)、ワウフラッターは測定限界以下、出力レベルは2.0V(10kΩ)。CD再生時は再生周波数特性が2Hz-20kHz(±0.5dB)でS/Nが117dB、ダイナミックレンジが101dB、高調波歪率が0.0016%(1kHz)、ワウフラッターは測定限界以下、出力レベルは2.0V(10kΩ)となる。
出力端子はアナログがRCAを1系統、デジタルが同軸/光デジタルを1系統ずつ装備。外形寸法は434W×135H×384Dmmで、質量は9.0kg。製品にはアンプ操作も可能なリモコンや着脱式電源ケーブルなどが付属する。
■編集部インプレッション
今回、事前に試聴をする機会があったため、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
試聴は前モデルのDCD-1600NEと比較するかたちで実施。一聴して、音場が大幅に拡がっていることがわかる。特に上方向の広がりが目覚ましく、さながら天井が取り払われたかのような開放感が味わえる。
一つひとつの音も澄み渡っている。Fourplayではリズム隊のキレがより鋭く、かつ色鮮やかで、ベースのスラップからは爽やかささえ感じられた。オペラではわずかな歯擦音や破裂音までクッキリと描写。音場の広さも相まって、よりホールの響きに近い印象だ。
電子音楽を聴くと、空間表現力と解像感の高さから「どこにどんな音が配置されているか」がしっかりわかるのだが、決して分解的にはならず、音楽として楽しく聴かせてくれる。山下達郎の「Softly」などは、今まで散々聴いてきたはずなのに、ボーカルを中心に大きく据えつつも、後方の楽器隊まで全て聴き分けられる絶妙なサウンドバランスになっていることをこの日初めて知った。
SACDも澄み渡ったサウンドで、総じて山内氏の掲げる「Vivid&Spacious」を一層突き詰めたモデルとなっていた印象。気になる方は店頭などで是非チェックしてみてほしい。
SACDプレーヤー「DCD-1600NE」の後継に位置づけられるモデル。サブスクリプションサービスの台頭といった時代背景から、当初は後継機を作らないことも検討されていたが、これまでのCD資産を持っている方が多いこと、特に日本ではジャケットなども含めてCDを楽しむ土壌があることなどを鑑みて開発が決定。同クラスのプリメイン「PMA-1700NE」よりも遅れての発売になったとのこと。
このような背景から、「当時の新世代プレーヤーとしては思い切った開発を行った」という従来モデルDCD-1600NEをベースに、パーツ変更などでブラッシュアップしていく開発手法を採用。パーツの試聴・検討にじっくりと時間を注ぐことができたという意味では「『DCD-SX1』から『DCD-SX1 LIMITED』を作った時と同じ開発方法」だと同社は説明しており、サウンドマスターの山内慎一氏をはじめ、デノンのエンジニア陣のノウハウや経験を活かし、スペックなどの数値の違いを超えた要素を突き詰めることができたという。
オペアンプは「1600NEより大幅にグレードとコストが高い」TI製のもの、コンデンサーはSX1 LIMITEDのために開発した「PPSC-X」や「S.Y.コンデンサー」など、ハイエンド機で使われたカスタムパーツを多数採用。音質に関わるパーツの変更数は80以上にのぼるという。
コンデンサーやオペアンプの高品質化を進めることで、逆に不必要なパーツの存在が浮き彫りとなったため、それらを取り除き、デノンの基本設計思想である「シンプル&ストレート」により近づいて行ったとのこと。
ドライブメカは同社オリジナルの「Advanced S.V.H. Mechanism」だが、不必要なパーツを取り外すことで1700NE専用モデルとしてリニューアル。クロックの信号がFPGAやデジタル出力といったデジタル基板へ入り込まないように変更がなされている。
独自のアップサンプリング&ビット拡張技術「Advanced AL32 Processing Plus」や、32bit対応の高性能DACをマスターとしてクロック供給を行い、デジタル回路を正確に同期させる「DACマスター・クロック・デザイン」などは引き続き搭載。クロックも超低位相雑音クロック発振器を44.1kHz/48kHzの2系統搭載し、音源のサンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターの極小化を行っている。
オーディオ基板と電源基板も一新。1600NEの基板は上位機「DCD-2500NE」と共通化されていたため、そこから余分なパターンを省いて書き直したほか、オーディオ基板はデジタル回路に4層、アナログ回路に2層の基板を採用して信号経路を最短化。回路間や左右チャンネル間の干渉や外部からの音声信号の悪影響が最小化され、クリーンかつ透明感の高いサウンドを実現したという。
加えてオーディオ用電源回路には、山内氏がチューニングを施した専用の大容量(3,300μF)カスタムブロックコンデンサーを搭載。クリーンかつ安定した電源供給により、重厚さと繊細なディティールが調和したサウンドを実現したとしている。
他にもデジタルオーディオ回路に25個ものノイズ対策部品の追加、フレキシブル・フラットケーブルの長さやその他ワイヤーの引き回しの最適化、電源トランス固定ネジを銅メッキ仕様のものに変更するなど、徹底したノイズ対策を実施。
筐体は奥行きが伸びて大型化したほか、トップカバーをビス4本で取り付けていたところ、「DCD-A110」などと同じ左右2本のみで止める方式に変更。より空間性や開放感が増した音になっているとのこと。
SACD再生時のオーディオ特性は、再生周波数特性が2Hz - 50kHz(-3dB)でS/Nが119dB(可聴帯域)、ダイナミックレンジが112dB(可聴帯域)、高調波歪率が0.0010%(1kHz、可聴帯域)、ワウフラッターは測定限界以下、出力レベルは2.0V(10kΩ)。CD再生時は再生周波数特性が2Hz-20kHz(±0.5dB)でS/Nが117dB、ダイナミックレンジが101dB、高調波歪率が0.0016%(1kHz)、ワウフラッターは測定限界以下、出力レベルは2.0V(10kΩ)となる。
出力端子はアナログがRCAを1系統、デジタルが同軸/光デジタルを1系統ずつ装備。外形寸法は434W×135H×384Dmmで、質量は9.0kg。製品にはアンプ操作も可能なリモコンや着脱式電源ケーブルなどが付属する。
■編集部インプレッション
今回、事前に試聴をする機会があったため、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
試聴は前モデルのDCD-1600NEと比較するかたちで実施。一聴して、音場が大幅に拡がっていることがわかる。特に上方向の広がりが目覚ましく、さながら天井が取り払われたかのような開放感が味わえる。
一つひとつの音も澄み渡っている。Fourplayではリズム隊のキレがより鋭く、かつ色鮮やかで、ベースのスラップからは爽やかささえ感じられた。オペラではわずかな歯擦音や破裂音までクッキリと描写。音場の広さも相まって、よりホールの響きに近い印象だ。
電子音楽を聴くと、空間表現力と解像感の高さから「どこにどんな音が配置されているか」がしっかりわかるのだが、決して分解的にはならず、音楽として楽しく聴かせてくれる。山下達郎の「Softly」などは、今まで散々聴いてきたはずなのに、ボーカルを中心に大きく据えつつも、後方の楽器隊まで全て聴き分けられる絶妙なサウンドバランスになっていることをこの日初めて知った。
SACDも澄み渡ったサウンドで、総じて山内氏の掲げる「Vivid&Spacious」を一層突き詰めたモデルとなっていた印象。気になる方は店頭などで是非チェックしてみてほしい。
トピック