「演奏、音質、映像クオリティが全て揃ったパッケージメディア」
ジョン・ウィリアムズの来日コンサートが生々しく蘇る!KEFギャラリーでの特別試聴会をレポート
昨年9月に、映画音楽の巨匠と呼ばれるジョン・ウィリアムズが来日し、サイトウ・キネン・オーケストラと共に、『スター・ウォーズ』をはじめ名だたる名作映画音楽をフィーチャーしたコンサートを行った。そのコンサートの模様を収めた『John Williams in Tokyo』がドイツ・グラモフォン/ユニバーサル ミュージックから今年の5月に発売された。
その発売を記念して、青山の「KEF MUSIC GALLERY TOKYO」にて麻倉怜士氏のナビゲートによる特別試聴会が開催されたので、その模様をレポートしよう。
今回の音源は、2023年9月5日にサントリーホールで行われたコンサートがもとになっている。パッケージとしては、「通常盤CD」「SACDハイブリット盤とBlu-rayによるデラックスエディション」「180g重量盤による2枚組LP」「Blu-ray」の4バージョンを発売。また各種デジタル配信も行われている。
イベントは2部構成で、前半はB1FにあるKEFのフラグシップスピーカー「MUON」を活用したSACD再生。後半は最上階にある7.2.4chのドルビーアトモス環境で、映像も交えたBlu-rayを体験するという流れで進められた。
昨年のジョン・ウィリアムズの来日コンサートはチケットも熾烈な争奪戦で、筆者も涙を呑んだひとりである。そのかわりに、ドイツ・グラモフォンが運営する配信サービス「ステージプラス」にて自宅で視聴したが、その時も90歳を超えているとは思えないほどエネルギッシュなら演奏を繰り広げるジョン・ウィリアムズ、そして演奏が楽しくて仕方がないとばかりの奏者たちの笑顔が非常に印象的なステージであった。その感動が改めて楽しめるのは、この上もない贅沢だ。
SACDによるステレオ再生では、映画『E.T』から「フライング・テーマ」、『スーパーマン』から「スーパーマン・マーチ」を再生。録音は名手・深田晃氏が担当。これでもかと迫ってくるエネルギーの奔流が素晴らしく、音の密度感、特に低域の分厚さを全身で浴びる心地よさ。MUONの力強さと繊細さを併せ持つサウンドクオリティは、まさにスーパーマンの佇まいとも近く、音だけのステレオ再生でも映画のイメージがありありと浮かび上がってくる。
続いてドルビーアトモスでは、「雅の鐘」「ヘドウィグのテーマ」(『ハリー・ポッターと賢者の石』)「レイダース・マーチ」(『レイダース/失われたアーク』)、アンコールの「帝国のマーチ」(『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』)を再生。こちらもエンジニアリングは深田氏が担当、天井やリア方向に無理やり音を配置するのではなく、自然なアンビエンス感でまさにホールにいるかのような臨場感を引き出す。それでも割れんばかりの拍手の音は聴き手を包み込むかのように広がって、観客と一緒にコンサートを楽しんだかのような満足感をもたらしてくれる。
ジョン.ウィリアムズの映画音楽コンサートのパッケージは、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルとの共演に続く3作品目になる。これら3作品すべてを鑑賞した麻倉氏は、「なによりもこのサイトウ・キネン・オーケストラの演奏が大変素晴らしいです。演奏を比較すると、ウィーン・フィルにはやわらかさや馥郁さがある一方、ベルリン・フィルは機能的で規律的といった印象。それに対してサイトウ・キネンは、アンサンブルが緻密で精密、それでいながらマッシブな迫力も持っていますね」と大絶賛。
さらに、この配信全盛の時代に「あえてパッケージもリリースした」ユニバーサル ミュージックの英断にも触れ、「ここまで演奏、音質、映像クオリティが全て揃ったパッケージメディアはそうあるものではありません。まさに家宝として、ずっと持っておきたいと思えるものです」と賛辞を送る。デラックスエディションには、ジョン・ウィリアムズと指揮者のステファン・ドヌーヴによる「映画音楽を語る」特別インタビューも収録されており、こちらも見逃せない。
ちなみに、ステージプラスでの配信時点からさらに音声、映像ともに編集・マスタリングを加え進化しているとのこと。もちろん内容についてはジョン・ウィリアムズ本人も確認し、音質・画質ともにGoサインを出したものが収録されている。
カメラの撮影は4Kで行ったそうだが、映像パッケージとしてはBlu-rayとなっている。UHD BDではないのは残念なところだが、これはプレーヤーの普及率を考えればいたしかたなし。ともあれ、映画ファン、音楽ファンの双方がしっかり楽しめる内容であることは間違いないようだ。
その発売を記念して、青山の「KEF MUSIC GALLERY TOKYO」にて麻倉怜士氏のナビゲートによる特別試聴会が開催されたので、その模様をレポートしよう。
今回の音源は、2023年9月5日にサントリーホールで行われたコンサートがもとになっている。パッケージとしては、「通常盤CD」「SACDハイブリット盤とBlu-rayによるデラックスエディション」「180g重量盤による2枚組LP」「Blu-ray」の4バージョンを発売。また各種デジタル配信も行われている。
イベントは2部構成で、前半はB1FにあるKEFのフラグシップスピーカー「MUON」を活用したSACD再生。後半は最上階にある7.2.4chのドルビーアトモス環境で、映像も交えたBlu-rayを体験するという流れで進められた。
昨年のジョン・ウィリアムズの来日コンサートはチケットも熾烈な争奪戦で、筆者も涙を呑んだひとりである。そのかわりに、ドイツ・グラモフォンが運営する配信サービス「ステージプラス」にて自宅で視聴したが、その時も90歳を超えているとは思えないほどエネルギッシュなら演奏を繰り広げるジョン・ウィリアムズ、そして演奏が楽しくて仕方がないとばかりの奏者たちの笑顔が非常に印象的なステージであった。その感動が改めて楽しめるのは、この上もない贅沢だ。
SACDによるステレオ再生では、映画『E.T』から「フライング・テーマ」、『スーパーマン』から「スーパーマン・マーチ」を再生。録音は名手・深田晃氏が担当。これでもかと迫ってくるエネルギーの奔流が素晴らしく、音の密度感、特に低域の分厚さを全身で浴びる心地よさ。MUONの力強さと繊細さを併せ持つサウンドクオリティは、まさにスーパーマンの佇まいとも近く、音だけのステレオ再生でも映画のイメージがありありと浮かび上がってくる。
続いてドルビーアトモスでは、「雅の鐘」「ヘドウィグのテーマ」(『ハリー・ポッターと賢者の石』)「レイダース・マーチ」(『レイダース/失われたアーク』)、アンコールの「帝国のマーチ」(『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』)を再生。こちらもエンジニアリングは深田氏が担当、天井やリア方向に無理やり音を配置するのではなく、自然なアンビエンス感でまさにホールにいるかのような臨場感を引き出す。それでも割れんばかりの拍手の音は聴き手を包み込むかのように広がって、観客と一緒にコンサートを楽しんだかのような満足感をもたらしてくれる。
ジョン.ウィリアムズの映画音楽コンサートのパッケージは、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルとの共演に続く3作品目になる。これら3作品すべてを鑑賞した麻倉氏は、「なによりもこのサイトウ・キネン・オーケストラの演奏が大変素晴らしいです。演奏を比較すると、ウィーン・フィルにはやわらかさや馥郁さがある一方、ベルリン・フィルは機能的で規律的といった印象。それに対してサイトウ・キネンは、アンサンブルが緻密で精密、それでいながらマッシブな迫力も持っていますね」と大絶賛。
さらに、この配信全盛の時代に「あえてパッケージもリリースした」ユニバーサル ミュージックの英断にも触れ、「ここまで演奏、音質、映像クオリティが全て揃ったパッケージメディアはそうあるものではありません。まさに家宝として、ずっと持っておきたいと思えるものです」と賛辞を送る。デラックスエディションには、ジョン・ウィリアムズと指揮者のステファン・ドヌーヴによる「映画音楽を語る」特別インタビューも収録されており、こちらも見逃せない。
ちなみに、ステージプラスでの配信時点からさらに音声、映像ともに編集・マスタリングを加え進化しているとのこと。もちろん内容についてはジョン・ウィリアムズ本人も確認し、音質・画質ともにGoサインを出したものが収録されている。
カメラの撮影は4Kで行ったそうだが、映像パッケージとしてはBlu-rayとなっている。UHD BDではないのは残念なところだが、これはプレーヤーの普及率を考えればいたしかたなし。ともあれ、映画ファン、音楽ファンの双方がしっかり楽しめる内容であることは間違いないようだ。