<会田 肇のCES2004レポート 1>アメリカじゃ、ラジオの「地上波デジタル」化が進む
アメリカではすでに「XM」、「Shirius」の2つの衛星デジタル放送がシェア獲得のしのぎを削っているところだが、双方とも有料放送であることに変わりがない。ところが、この“HD Radio”を聞くには一切の費用はかからない。高音質やデータ放送といったデジタル放送ならではの数多くメリットが無料で楽しめるのだ。
しかも、この放送にはデジタルとアナログのハイブリッド放送であるという今までの放送にない魅力が備わっている。デジタル放送は品質の高さが自慢であるものの、電波が弱くなると突然切れてしまう。これではアナログ放送よりも受信エリアが狭まってくるという弱点にもなってしまう。そこでHD Radioでは電波が弱くなるとレシーバー側で自動的にアナログ放送の受信に切り替えることができるものとした。つまり、電波状態が良いところでは高品質のデジタルで楽しみ、電波が弱くなるエリアではアナログで受信できるというわけである。
また、衛星放送ではエリアが広いことからデータ放送などで必要な情報を探すのに苦労してしまうが、地上波ならエリア限定といった弱点が長所ともなり得る。日本の放送局もこの方式の検討に入っており、近い将来、日本でも同じような放送が楽しめる時代がやってくるかもしれない。
■写真左:HD Radioに対応したイクリプス(富士通テン)のレシーバーユニット。カーオーディオにアドオンする形で使用する
■写真右:HD Radioを受信した画面の一例。イクリプスでは放送内容の表示を行い、ロングネームのスクロールも実現した
(会田 肇)
[ces2004]