ハリウッドのメジャースタジオ4社がHD DVD規格のサポートを公式表明
●(株)東芝は、次世代の大容量光記録メディアとして注目が集まるHD DVDについて、本規格をハリウッドの大手企業4社から支持を獲得したことを明らかにし、メモリーテック(株)、日本電気(株)、三洋電機(株)とともに記者発表会を開催した。
今回HD DVD規格の支持を表明したのは、パラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズ、ワーナーブラザース、ニューラインシネマの4社。ニューラインシネマはワーナー傘下のグループ企業である。4社も同日、公式の文章をもってHD DVDの支持を明らかにしている。米国市場におけるスタジオ別DVD販売シェアにおいて、4計で半数以上にのぼるメジャー企業のサポート表明は、来年以降のHD DVDの飛躍に大きな勢いをつけるだろう。既に日本のハード、メディアメーカー各社は2005年の第四四半期を目処に、プレーヤーやレコーダー、記録メディアの商品化を実現すべく進めているが、パラマウントは「2006年の初頭」、ユニバーサルは「2005年末」を目標にパッケージソフトを発売する考えをそれぞれ29日付で発表した。
本日の記者会見では、はじめに(株)東芝 上席常務 デジタルメディアネットワーク社社長の藤井美英氏が登壇した。藤井氏は「コンシューマーが今何を求めているかという問題を、ハリウッドの各社も大変気にかけている中で、今回4つのメジャー企業にHD DVD規格への支持をいただけたことは、フォーマットの躍進に大きな意義を持つだろう」と大きな期待感をあらわにした。現行DVDのメディアとしての特徴、優れた再生互換性、ならびに開発ソースを活かしながらHD記録が可能なメディアを実現できる点などをHD DVDの特長として指摘しながら、藤井氏は「来年以降、HD DVDが大きな飛躍を実現できる確信できた」とコメントした。
藤井氏は東芝のHD DVD製品について、その商品化に向けたロードマップも示した。2005年には本事業にさらに力を傾けるとともに、「2005年末にはプレーヤー、HDD付レコーダーをリリースする準備が着々と進んでいる」ことを再度強調した。第四四半期中にはドライブ、レコーダー、プレーヤーをリリースするとともに、AVノートPCにも搭載を実現する考えを明らかにした。またHD DVD市場全体の予測として、藤井氏は「2010年にはHD DVDレコーダーで8000万台、HD DVDプレーヤーで3億台をめざすとともに、売上ベースでは同年に3000億円の事業規模へ拡大したい」と意気込みを語り、コンテンツホルダー/プロバイダーとの共生にも言及しつつ、東芝がHD DVD規格普及のための中心的役割を果たしていく考えを示した。
メモリーテック(株)、日本電気(株)、三洋電機(株)各社の代表も登壇し、挨拶を行った。メモリーテック(株)代表取締役社長の山崎代治氏は「消費者がより高品質な映像を身近に楽しめ、市場が健全に発展していくことを期待している」コメント。既に東芝と提携してHD DVDのROM生産工場を稼動させている同社は、「現在年間5000万枚を実現できる体勢にあり、オーサリング設備の整備とともに、米国の主要ソフト業者からのニーズに応えられる状況だ」と語った。
日本電気(株) 執行役員常務コンピュータプラットフォームBU担当の近藤忠雄氏は「高精細でDVDとの親和性が高く、ユーザーの視点に立った規格であることが高く評価された結果だ。今回は規格普及の大いなる一歩であり、今後NECもグループ全体で尽力していきたい」と語るとともに、再生専用のROMトライブを来年の9月に、リライタブルドライブは来年12月の商品化を目標に開発を進めていることを明らかにした
三洋電機(株)は執行役員AVソリューションズカンパニー社長の岩佐義郎氏が登壇。岩佐氏は「ディスプレイのデジタル化、フラット化・大画面化の潮流の中、今こそHD DVDを高画質エンターテンメントの中核に押し上げていく機会」と語り、コンテンツ業界と協力していきながら、業界の発展に寄与していく考えを明らかにした。
以下に本日の発表会で行われた質疑応答の模様を掲載する。
Q:今回ハリウッドのメジャー企業が表明した「支持=サポート」の具体的な内容は
A:基本的にはHD DVDの企画に基づいたタイトルを今後リリースするという意味であろう。他のフォーマットでHDのソフトをリリースしないという、排他的なものなのかについては、私どもからは何とも言い難い。が、一方でハリウッドが「HD DVDによるシングルフォーマットが望ましい」と理解してくれたものと認識している
Q:今回支持をとれた最大の要因は何か
A:ひとつはタイミング。実用化・量産化において一日の長があると自負している。私たちの戦略にはリアリティがある。ハリウッドもグローバルに新しい事業規格を検討してきたのだろう。2つ目はコスト面においての優位性だろう。今のDVDの生産ラインを活かして安く、大量に高画質ソフトが作れる点大きい。セキュリティ技術の完成度が高いから。そのぶん素早く製品化ができる
Q:今回のサポートが規格争いにどれほどメリットがあると考えているか
A:実のところ私どもは規格争いにはそれほど興味はない。コンシューマーへの最大のメリットを考えた場合、どれだけ高品位で使いやすいフォーマットを提案できるかが重要な課題であると思っている。その場合、本当に消費者の観点に立った場合のメディアはHD DVDと思っているし、ハリウッドの各社もそれを認めてくれたのだと思う
Q:ブルーレイ陣営との規格の統一に向けた可能性は今後考えられないのか
A:やはりスペック上の相違などを考えた場合難しいと思う。ユーザーの用途を考えてみても、HD DVDの持つ特長・商品コンセプトがHD時代にふさわしいと考えている。私どもとしては、今後も統一のために声をかけていくつもりであるが、自ずと規格のシングルフォーマットが進むだろうとも考えている
Q:HDD搭載型が発売され、価格が10万円以下になるのはいつごろか
A:2006年中には10万円以下の製品をリリースしたい。HDDの容量などはその時の価格の検討材料になるだろう
Q:「支持」の内容をもう少し詳しく聞きたい。合意の文章などがあるのか。他のフォーマットではHDのソフトを作らないなど、具体的な記述があるのか
A:交渉の具体的な内容については開示しない取り決めになっている。詳細についてはご容赦いただきたい。ハリウッドの各企業からはサポートの公式発表が本日あった。各社ごとに発表内容は少しずつ違っているが、少なくとも規格に基づいたHD DVD ROMのタイトルをリリースしてくれるものであると認識している。それが排他的なものかについては私どもは答えられない
Q:2005年末には何タイトルがリリースされる
A:基本的には各スタジオに聞いて欲しい。なるべく多く出して欲しいとお願いしている
Q:ハードの製品リリースについて地域の時差は
A:基本的には全世界同時発売をめざしている(東芝)ワールドワイドに同時期の発表を計画している(NEC)
Q:三洋はいつごろ製品をだすのか
A:来年の第四四半期を目指して商品化を進めている
Q:HD DVDの次のステップとなる戦略は
A:2005年に製品化を急ぎ実現することが次の大事なステップ
Q:ハリウッドの4社がサポートを表明したことによるインパクトはいったいどんなものなのか
A:大変大きなインパクトがあると思う。ハリウッドがHDのソフトについて、シングルフォーマットを希望していることが見て取れるし、そのように動き出したものと理解している
【問い合わせ先】
(株)東芝 広報室
TEL/03-3457-2100
(Phile-web編集部)
今回HD DVD規格の支持を表明したのは、パラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズ、ワーナーブラザース、ニューラインシネマの4社。ニューラインシネマはワーナー傘下のグループ企業である。4社も同日、公式の文章をもってHD DVDの支持を明らかにしている。米国市場におけるスタジオ別DVD販売シェアにおいて、4計で半数以上にのぼるメジャー企業のサポート表明は、来年以降のHD DVDの飛躍に大きな勢いをつけるだろう。既に日本のハード、メディアメーカー各社は2005年の第四四半期を目処に、プレーヤーやレコーダー、記録メディアの商品化を実現すべく進めているが、パラマウントは「2006年の初頭」、ユニバーサルは「2005年末」を目標にパッケージソフトを発売する考えをそれぞれ29日付で発表した。
本日の記者会見では、はじめに(株)東芝 上席常務 デジタルメディアネットワーク社社長の藤井美英氏が登壇した。藤井氏は「コンシューマーが今何を求めているかという問題を、ハリウッドの各社も大変気にかけている中で、今回4つのメジャー企業にHD DVD規格への支持をいただけたことは、フォーマットの躍進に大きな意義を持つだろう」と大きな期待感をあらわにした。現行DVDのメディアとしての特徴、優れた再生互換性、ならびに開発ソースを活かしながらHD記録が可能なメディアを実現できる点などをHD DVDの特長として指摘しながら、藤井氏は「来年以降、HD DVDが大きな飛躍を実現できる確信できた」とコメントした。
藤井氏は東芝のHD DVD製品について、その商品化に向けたロードマップも示した。2005年には本事業にさらに力を傾けるとともに、「2005年末にはプレーヤー、HDD付レコーダーをリリースする準備が着々と進んでいる」ことを再度強調した。第四四半期中にはドライブ、レコーダー、プレーヤーをリリースするとともに、AVノートPCにも搭載を実現する考えを明らかにした。またHD DVD市場全体の予測として、藤井氏は「2010年にはHD DVDレコーダーで8000万台、HD DVDプレーヤーで3億台をめざすとともに、売上ベースでは同年に3000億円の事業規模へ拡大したい」と意気込みを語り、コンテンツホルダー/プロバイダーとの共生にも言及しつつ、東芝がHD DVD規格普及のための中心的役割を果たしていく考えを示した。
メモリーテック(株)、日本電気(株)、三洋電機(株)各社の代表も登壇し、挨拶を行った。メモリーテック(株)代表取締役社長の山崎代治氏は「消費者がより高品質な映像を身近に楽しめ、市場が健全に発展していくことを期待している」コメント。既に東芝と提携してHD DVDのROM生産工場を稼動させている同社は、「現在年間5000万枚を実現できる体勢にあり、オーサリング設備の整備とともに、米国の主要ソフト業者からのニーズに応えられる状況だ」と語った。
日本電気(株) 執行役員常務コンピュータプラットフォームBU担当の近藤忠雄氏は「高精細でDVDとの親和性が高く、ユーザーの視点に立った規格であることが高く評価された結果だ。今回は規格普及の大いなる一歩であり、今後NECもグループ全体で尽力していきたい」と語るとともに、再生専用のROMトライブを来年の9月に、リライタブルドライブは来年12月の商品化を目標に開発を進めていることを明らかにした
三洋電機(株)は執行役員AVソリューションズカンパニー社長の岩佐義郎氏が登壇。岩佐氏は「ディスプレイのデジタル化、フラット化・大画面化の潮流の中、今こそHD DVDを高画質エンターテンメントの中核に押し上げていく機会」と語り、コンテンツ業界と協力していきながら、業界の発展に寄与していく考えを明らかにした。
以下に本日の発表会で行われた質疑応答の模様を掲載する。
Q:今回ハリウッドのメジャー企業が表明した「支持=サポート」の具体的な内容は
A:基本的にはHD DVDの企画に基づいたタイトルを今後リリースするという意味であろう。他のフォーマットでHDのソフトをリリースしないという、排他的なものなのかについては、私どもからは何とも言い難い。が、一方でハリウッドが「HD DVDによるシングルフォーマットが望ましい」と理解してくれたものと認識している
Q:今回支持をとれた最大の要因は何か
A:ひとつはタイミング。実用化・量産化において一日の長があると自負している。私たちの戦略にはリアリティがある。ハリウッドもグローバルに新しい事業規格を検討してきたのだろう。2つ目はコスト面においての優位性だろう。今のDVDの生産ラインを活かして安く、大量に高画質ソフトが作れる点大きい。セキュリティ技術の完成度が高いから。そのぶん素早く製品化ができる
Q:今回のサポートが規格争いにどれほどメリットがあると考えているか
A:実のところ私どもは規格争いにはそれほど興味はない。コンシューマーへの最大のメリットを考えた場合、どれだけ高品位で使いやすいフォーマットを提案できるかが重要な課題であると思っている。その場合、本当に消費者の観点に立った場合のメディアはHD DVDと思っているし、ハリウッドの各社もそれを認めてくれたのだと思う
Q:ブルーレイ陣営との規格の統一に向けた可能性は今後考えられないのか
A:やはりスペック上の相違などを考えた場合難しいと思う。ユーザーの用途を考えてみても、HD DVDの持つ特長・商品コンセプトがHD時代にふさわしいと考えている。私どもとしては、今後も統一のために声をかけていくつもりであるが、自ずと規格のシングルフォーマットが進むだろうとも考えている
Q:HDD搭載型が発売され、価格が10万円以下になるのはいつごろか
A:2006年中には10万円以下の製品をリリースしたい。HDDの容量などはその時の価格の検討材料になるだろう
Q:「支持」の内容をもう少し詳しく聞きたい。合意の文章などがあるのか。他のフォーマットではHDのソフトを作らないなど、具体的な記述があるのか
A:交渉の具体的な内容については開示しない取り決めになっている。詳細についてはご容赦いただきたい。ハリウッドの各企業からはサポートの公式発表が本日あった。各社ごとに発表内容は少しずつ違っているが、少なくとも規格に基づいたHD DVD ROMのタイトルをリリースしてくれるものであると認識している。それが排他的なものかについては私どもは答えられない
Q:2005年末には何タイトルがリリースされる
A:基本的には各スタジオに聞いて欲しい。なるべく多く出して欲しいとお願いしている
Q:ハードの製品リリースについて地域の時差は
A:基本的には全世界同時発売をめざしている(東芝)ワールドワイドに同時期の発表を計画している(NEC)
Q:三洋はいつごろ製品をだすのか
A:来年の第四四半期を目指して商品化を進めている
Q:HD DVDの次のステップとなる戦略は
A:2005年に製品化を急ぎ実現することが次の大事なステップ
Q:ハリウッドの4社がサポートを表明したことによるインパクトはいったいどんなものなのか
A:大変大きなインパクトがあると思う。ハリウッドがHDのソフトについて、シングルフォーマットを希望していることが見て取れるし、そのように動き出したものと理解している
【問い合わせ先】
(株)東芝 広報室
TEL/03-3457-2100
(Phile-web編集部)