増田和夫の“Wooo”「DV-DH1000W」連続レポート(1)「録画のパラダイムを変える製品」
日立グループの総合力を結集した”Made in HITACHI”レコーダー
今回はそのプロフィールを見てみよう。本機の機能はとても明快だ。レコーダーの機能紹介というと、GUIの操作性や細かい機能などの解説に終始しがちだが、本機のキャラクターはシンプルで大胆なのである。「1TBの超大容量HDD」と「ハイビジョン同時録画」さらに「ワケ録検索」という3つの機能で語れてしまうのだ。といっても本機は決して単調なレコーダーではない。この3つの特徴はユーザーにとって画期的で魅力に溢れた機能といえるだろう。
こうした明快な製品コンセプトの背景には、確かな開発戦略がある。本機は、信頼性で定評のある日立GST社の最新鋭&超大容量3.5インチ500GB HDD「Deskstar 7K500」を二台搭載することで、1TBという他の追従を許さない民生用レコーダーで世界最大容量を実現している。このHDDに地上デジタル放送を約128時間も録画可能だ。さらに、地上アナログ1基+地上・BS・110度CSデジタルチューナーを各2基、合計7基ものチューナーを搭載することで、世界初のデジタル放送同時録画を実現している。この機能を実現するために、4チューナーを1ユニットにまとめた日立メディアエレクトロニクス社製の小型複合チューナーパックを新たに採用している。また、日立エルジーデータストレージ社製の最新型マルチDVDドライブや、ルネサステクノロジ社製のエンコーダLSIなども採用。このように、日立グループの総合力を結集した”Made in HITACHI”と呼べる国産レコーダーに仕上っている。日立の総合力を次世代のハイビジョン機能に集中させ、アナログ機をショートカットして一躍トップに躍り出る、という同社のストラテジーが功を奏している、といえるだろう。
大面積の鏡面フィニッシュなどデザインへの強いこだわりが感じられる
まず外見から見てみよう。超大容量HDDや、ユーザー別のコンテンツ管理機能というホームサーバー的な先進性を持ちながらも、外見は従来のライブラリー用DVD録画デッキを踏襲。新しさと親しみ易さを巧みに調和させている。前モデル「DV-DH400T」のカスケード調デザインもスマートだったが、本機もハイエンド機らしい質感のあるデザインに仕上っている。HDDを二台搭載し機能アップを図っているにも関わらず、ボディの高さは前モデルと同じ69mmのスリムさをキープ。奥行きは前モデル比30mm短縮されて、さらにコンパクトになり、フラットTVの下に置いても違和感がない。カラーリングはグロスブラックの艶と、蒸着メッキのモールでハイコントラストな高級感を演出。この蒸着メッキは携帯電話の外装にも使われている高級素材で、本機のような大面積の鏡面フィニッシュは難易度が高い。さらに最上位の本機だけモールにシックな赤みをつけるなど、細部へのこだわりが感じられる。通常はメタル調で表示時にLED色に光る光透過型のメタリックボタンも目新しい演出だ。コスト指向の強いレコーダーの世界で、デザインへのこだわりが感じられる数少ないモデルといえるだろう。
デジタル端子は、iLINK(TS)端子でD-VHSや「RecPot M」などと連携できるほか、HDMI端子ももちろん装備している。USB形状の拡張端子にPCPCキーボードを繋いで検索キーワードなどの文字入力が可能なほか、デジカメ静止画も閲覧できる。B-CASカード1枚で2組のデジタルチューナーを運用する。前モデルからリニューアルされたリモコンは、Gコード液晶や時計機能が削除されたが、ジョグダイアルつきで、ボタンレイアウトが大幅に見直され、DVDレコーダーにふさわしいリモコンに進化した、というように、外見やスペックには、エアチェックファンの興味をそそる部分が多い。次回は、本機のHDD録画機能などをチェックしてみたい。(増田和夫)
増田和夫 プロフィール
パソコン&ネット歴十数年のベテランPC使い。PC雑誌やデジタル映像関係のメディアで活躍中。デジカメにも精通し、写真誌にスチル作品を発表するフォトグラファーでもある。 AV歴も長く、VTRは黎明期からβ・VHS共に熱中した大の録画機ファン。自宅ロフトでプロジェクターを楽しむ映画ファンでもある。DVDなどの記録媒体の記事にも強い。取材は現場主義で、ジャーナリスティックなインタビュー記事も得意としている。