増田和夫の“Wooo”「DV-DH1000W」連続レポート(3)デジデジ2個録りなどソフトウェアをチェック
「デジデジ2コ録り」はアイデア次第でもっと楽しめる
デジタル放送の2番組を同時に録画できる「デジデジ2コ録り」は、多チャンネルのデジタル放送に最適な独自機能といえる。デジタル放送の全TVチャンネルを同時録画できるのは本機だけのアドバンテージだ。MPEGエンコーダーは1基のみ搭載なので、ダウンコンバート録画には制限があるが、デジタル放送をTS(ストリーム録画)モードで同時録画する分には気にならない制限といえる。
使ってみると、同時録画機能の高度さが実感できる。TSモードでデジデジ2コ録りしながら、追いかけ再生や「ディスクナビゲーション」画面で他のタイトルを選んで再生が可能。さらにこの状態でEPG予約もできてしまう、という高度なマルチタスク性能を実現している。これは先回で説明した高度なストリーム制御LSIなどのハードと、それらをコントロールするソフトウエアの実力といえるだろう。
2コ録り機能の活用法としては、同じ番組を二重録画して、1つはハイビジョン視聴用に、もう1つはDVDへのムーブ用にする、という活用法が考えられる。こうした同番組二重予約の設定はEPGの予約ナビゲート画面で手軽に行える。
もう一歩進んだ活用法も考えてみよう。DVDへムーブしたい番組は、本機独自のTSXモードでHDDに録画すると便利だが、この場合、DVDへのムーブはXPモード固定となる。他のモードでDVDに記録したい場合は、DVDにLPなど好みのモードで直接ダウンコンバート録画するという手もあり、ムーブの手間が省ける。この際に、同じ番組をHDDにTSモードで二重録画しておけば、ハイビジョン画質での視聴も楽しめる。こうした使いこなしはデジデジ2コ録りならでは、といえるだろう。
視認性が高く細かな改善を積み重ねたEPG機能
同時録画をサポートするのがEPGだ。EPGはデジタル専用で、地上アナログの予約は後述する「ミルカモ予約」を使う、というのが本機のスタイルになる。EPGはTV欄スタイルで、5ch×3時間という、TVの画面サイズを選ばない程よい解像度だ。
フォーカスされた番組を大きいフォントで拡大表示する認視性のよい「デカ文字EPG」を採用している。また、上記したように、同じ番組を予約しようとすると、予約を書き換えるか、それとも他のチューナーで同時録画するか、の予約ナビゲート画面が出るのも親切な設計といえる。EPG予約した番組は放送延長に自動追従して録画できる。さらに2コ録り機能を使えば、延長時に予約が重複しても問題なく同時録画が可能だ。操作性では、当初のEPG画面のスクロールは、1日単位のみだったが、放送ダウンロードによるバージョンアップで、ページスクロール可能に改善されている。こうした基本部分を着実に改良している点を評価したい。
日立機独自のミルカモ予約は、デジタルとアナログ放送の予約に対応している。録るエリアの1時間単位のマス目で予約し、見るエリアで再生する、という時間割感覚で簡単に予約が可能だ。予約番組は、2週間で自動削除されるしくみだ。機能はシンプルだが、使ってみると意外に便利で、保存しないけれど毎週見たい連続ドラマなどの予約に重宝する。一度予約した番組は、一般予約と同様に分単位の修正が可能なので、少し凝った毎週予約としても活用できるだろう。
録画前、録画後の検索機能はどちらも非常に充実している
検索に強いのも日立機の特徴である。“録る前の検索”としてEPG予約番組情報の「かんたん検索」画面が用意されている。検索条件のカスタマイズ性が高く、ジャンルやキーワード、検索範囲などを詳細に指定して高度な予約検索が可能だ。検索キーワードを番組説明からコピー&ペーストできるなど、手軽に使える工夫も凝らされている。
“録った後の検索”として使えるのが、本機独自のHDD検索機能「ワケ録」である。この機能を使えば、1TBのHDDに録り溜めた録画タイトルから、見たい番組を手軽に探し出せる。「番組名」別での管理では、同名の番組を2つ以上録ると自動的に番組名のグループが作られ、連続ドラマなどをタイトル別に管理できる。2つ以上録る、という点がミソで、一度見てつまらない番組は次は録らないので、不要なグループが増える事がない仕組みだ。つまりHDDに自分好みのライブラリを自動的に作ってくれる機能と理解すればいいだろう。
ワケ録ではさらに、ジャンル、ユーザー、チャンネル、視聴/未視聴別などの検索も可能で、ユーザー別のグループ分けはフォルダ的にも使える。
また、ワケ録でダビングを選べば、検索条件に合った番組だけがダビングリストに表示され、ディスクナビゲーションから手動で探す手間が省けて確実だ。一括削除も可能で、見てしまった連続ドラマだけを手軽かつ確実に消去できて便利だ。
こうしたワケ録の操作性には、携帯音楽プレーヤーを思わせる検索性のよさが感じられ、なかなか使える機能という印象だ。ワケ録は、ディスクナビゲーション画面に入れるべき機能かもしれないが、別GUIとして分離したことで、かえって理解しやすくなったと思う。
(増田和夫)
バックナンバー
第1回:録画のパラダイムを変える製品
第2回:ハードウェアの内部構造を見る
増田和夫 プロフィール
パソコン&ネット歴十数年のベテランPC使い。PC雑誌やデジタル映像関係のメディアで活躍中。デジカメにも精通し、写真誌にスチル作品を発表するフォトグラファーでもある。 AV歴も長く、VTRは黎明期からβ・VHS共に熱中した大の録画機ファン。自宅ロフトでプロジェクターを楽しむ映画ファンでもある。DVDなどの記録媒体の記事にも強い。取材は現場主義で、ジャーナリスティックなインタビュー記事も得意としている。