「ビンビン感じる東芝の“本気度”」 − 林正儀のHD-XA2 / XF2ファーストインプレッション
林正儀氏は、3月31日に「HD-XA1」が発表され、即日発売を開始した際、真っ先に現物を購入した人物。それ以来、自宅のシアターシステムでHD-XA1はレファレンス機器として大活躍しており、同機には熱い思い入れを持っている。
−−− 発表会を見てどう感じましたか?
林:いよいよHD DVDの第2ステージが始まったな、という印象だ。2モデルを同時に出してきたことに加え、5万円を切るエントリーモデルを設定したのは非常に意義のあること。ある意味でHD-XA1のとき以上の「本気度」を感じた。
発表内容にも自信が漲っている。3月31日にHD-XA1を出し、7月にRD-A1を出した東芝だが、最近はBDレコーダーが登場して、そちらに流れが傾きそうだったところに、この2機種の発表。タイミングもバッチリ考えられている。今年末までにタイトル数が300を超えるというアナウンスもあり、現時点ではHD DVDにとってかなり良い展開になってきたのではないか。
藤井常務の、初めは大風呂敷と聞こえた発言も、ここまでの展開を見ると、実際の目算があってのことだったと感じられる。
−−− 上位機の「HD-XA2」についてはどうですか?
林:XA1の後継にあたるモデルで、開発者は「RD-A1のプレーヤー部分を抜き出した」と形容している。RD-A1までは買えないが、ハイクオリティなHD DVDプレーヤーが欲しい、というユーザーには魅力的だろう。私も欲しくなってきた。
映像DACは12ビット/297MHzで、アナログ部に注力しているのはRD-A1と同じ。RD-A1は14ビットだから、少しコストダウンしているが、それでも魅力的に感じるユーザーは多いはず。RD-A1と同じフル・アーマー・シャーシ構造も魅力的だ。HDMI 1.3のDeep Colorは、対応ソフトが出てきてからでないと、何とも判断できない。
ドライブは、Xbox 360用HD DVDプレーヤーと同じドライブを使っているという。また、中の基板を見ても、1号機に比べると大変小さくなっており、より技術の洗練度が増したことを伺わせる。
個人的には、HD-XA1の動作スピードの遅さにはイライラしていたが、これが改善されているというのも嬉しい。特にディスク読み込みのスピードはプレーヤーにとって生命線で、これが向上しただけでも商品性が格段に上がったと言うことが言えるだろう。
細かいところだと、リモコンも新しくなっている。ボディもスクラッチの入ったアルミ製で、より高級感が高まった。機能面で、解像度切り替えボタンがあったが、新バージョンでは、本体前面に切り替えスイッチがあり、ここで2モードを切り替えるようになった。これまでは、HDMIの認識不具合などが起きることがあったが、これらが軽減される可能性がある。
−−− エントリー機の「HD-XF2」はどう感じましたか?
林:49,800円程度なら、量販店では実質3万円で購入できることになるだろう。アメリカで既に発売していたエントリー機の後継機であることから、様々な要望をフィードバックして、完成度を高めていると考えられる。DVDプレーヤーとして活用することができることも考え合わせれば、文句なしにお買い得だ。
考えてみれば、PS3はあるにせよ、国内ではBlu-ray Discの単体プレーヤーがまだ存在しない。レコーダーはようやく出たが、もっと安い単体プレーヤーが欲しい、というユーザーも多いだろう。これらのニーズを本機がすくい上げることになるのではないか。
XA2とXF2の画質だが、42型程度の画面で観る限り大きな差はない。ノイズ感が少なく、くっきり鮮やかな映像だ。しかし筐体の仕上がりやパーツなどから考えて、画質差があるだろうことは明らか。100インチ以上の大画面でみれば差が現れるだろう。それでも、この価格にはそれを補ってあまりあるほどの価値があると考える。
(構成:Phile-web編集部)