ソニー、第3四半期業績を発表 − BRAVIA好調で過去最高の売り上げを記録
ソニー(株)は、2006年度第3四半期(3Q)連結業績の説明会を都内で開催した。2006年度3Qの売上高は、エレクトロニクス、映画、ゲーム分野の好調により、前年同期比9.8%増の2兆6,077億円で過去最高となった。また連結営業利益は、PS3導入に伴う損失計上などが原因となり前年同期比14.9%マイナスの1,789億円となった。
説明会に出席したのは、執行役 エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CFOの大根田伸行氏とコーポレート・エグゼクティブSVPの湯原隆男氏。
大根田氏は冒頭、液晶テレビ“ブラビア”の売り上げが好調に推移し営業黒字となったほか、2006年11月に発売したPS3が約2ヶ月で生産出荷累計200万台を達成できたことを強調。PS3においては、「これまで導入してきたプラットフォームの中で最速の立ち上げを実現した」という。また映画部門では「ダ・ヴィンチ・コード」のDVDソフトや、「007/カジノ・ロワイヤル」の劇場興行が好調。昨年末5周年を迎えたソニー・エリクソンは、“サイバーショット携帯”や“ウォークマン携帯”の好調により過去最高業績を更新し、「3Qの売り上げ高では携帯電話業界第3位のポジションを獲得した」という。
■エレクトロニクス分野
売上高は前年同期比+16.9%の1兆8,727億円。営業利益においては、+102.8%の1,774億円を計上した。全地域で増収を達成したテレビ事業は、前年同期比+15%の4,250億円の売り上げを達成したという。
ブラビアが米国を含む全地域で大幅増収したほか、デジカメにおいても市場のニーズを捉えた製品展開で増収となった。海外ではVAIOも売り上げに貢献した。逆に減収となったのは液晶プロジェクションテレビで、米国でのテレビ市場の競争の激化により販売数量を落とした。
■ゲーム分野
売上高は前年同期比+5.6%の4,428億円となったが、営業損失が542億円となった。PS3の発売により増収したが、その戦略的な価格設定やプラットフォームの立ち上げ費用などにより大きな損失を生んだ。前年同期に622万台の生産出荷台数だったPSPが176万台に落ち込んだことや、PS2のソフトの出荷本数が落ち込んだことも損失の要因の一つとなった。
以下に説明会で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。
Q.2007年度末の利益率の目標が5%だというが、どのように達成していくのか?
A.2007年度の初めにトータルの計画を発表する予定だ。エレクトロニクス分野では4%を目指しているが、これを達成する態勢は今期中に整った。
Q.PS3は来期には黒字化するのか?
A.来年度中にブレークイーブンに持っていきたい。単なるゲーム機ということではなく、ネットコンテンツなどを含めたプラットフォームとして提案していきたい。PS3でネット接続を楽しんでいるユーザーは50万人を超えた。ゲームソフト『グランツーリスモ』は30万件近くダウンロードされている。
Q.“ブラビア”のクリスマス商戦が好調だった理由は?
A.米国では液晶が頑張った。予想に反して伸びなかったのがリアプロで、プラズマの価格下落などもあり苦戦した。またブラウン管も予定よりダウンした。欧州では32V型が予想していたより多く売れた。国内では予定を下回る結果となった。
Q.今後の薄型テレビの動向をどう見ているか?
A.価格の下落に関しては予想していた最終的な範囲を外れていないが、下落が始まる時期が予想より早かった。想定以上に下落が進んだのが40インチクラスで、35%くらい落ちたのではないか。またリアプロは予想していたより5%くらい落ちた。リアプロは苦戦したが、SXRDモデルは大型製品市場で優位性を保つことができると考えている。高画質化、薄型化、ハイデフ化などを図り、戦っていきたい。来期の市場は1.5倍くらいになると予想している。
Q.海外においてプラズマへの再参入の可能性はあるか?
A.自社開発をするということはない。OEMでやるという予定も今のところない。
Q.年末商戦において、一眼レフカメラの業績はどうだったか? 来期以降の予定は?
A.キヤノン、ニコンから対抗機種が発売され大変苦戦した。第2弾、第3弾を考えているが、時期は公表できない。撤退の予定などはない。
Q.PS3のコストダウンの方策としてチップのシュリンクを挙げているが、詳しく教えて欲しい。
A.最初は90ナノメートルプロセスのチップだったが、現在65ナノの生産を始めている。これによりチップ面積を40%に下げることができ、その分コストダウンを図ることができる。
Q.そのチップはセルか? また65ナノのチップは試験生産、量産のどちらか?
A.セルだ。量産を始めていると考えてもらっていい。
Q.S-LCD社に損失が出ているが、これについてどう考えているか?
A.セット(テレビの完成品)で儲ければいい、とは考えていない。マイナスとなったのは、採算性の悪い32インチ以下のモデルが多く売れたためだ。ある時期より黒字化すると考えている。
Q.国内でVAIOが減収しているが、Vista登場までの買い控えが原因か?
A.その通りだ。Vista発売前ということで出荷数を若干絞った。通期では数量に変化はないと考えている。
Q.デジカメ、ビデオカメラが強いが、その要因を詳しく教えて欲しい。
A.デジカメは各地域ごとにヒットモデルが出ている。それらを中国で生産するなど、コストダウンを積極的に行っている。また円安の影響もある。ビデオカメラは、数量は減っている。従来のDV/DVDモデルは価格が落ちてきているが、HDモデルが多く出たので前年の好調を維持することができた。
Q.米国の液晶テレビ市場ではサムスンと競っているが、パネル供給に関する問題は起こらないのか?
A.ラインとしては50%/50%を原則としてやっている。しかしパネルは全く同じものを使っているというわけではない。今後は独自性を持たせたパネルを生産する方向に進んでいく。台湾からのOEM供給に関しては、コストと性能を見て選んでいきたい。
Q.競合に勝つためにPS3の価格を下げるといった予定はないのか?
A.価格を下げる予定は当面はない。2〜3年後となるとわからない。ゲーム以外のアプリケーションの部分の強みも訴求していくことで、Wiiにも渡り合っていけると思う。
Q.PSPの生産出荷台数が急落しているが、どのようにして好転にもっていくつもりか?
A.まず、PSPをやめるといったことはない。しかし予定より台数が落ちてしまった。具体的には言えないが、好転のための方策をいくつか準備している。
(Phile-web編集部)
説明会に出席したのは、執行役 エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CFOの大根田伸行氏とコーポレート・エグゼクティブSVPの湯原隆男氏。
大根田氏は冒頭、液晶テレビ“ブラビア”の売り上げが好調に推移し営業黒字となったほか、2006年11月に発売したPS3が約2ヶ月で生産出荷累計200万台を達成できたことを強調。PS3においては、「これまで導入してきたプラットフォームの中で最速の立ち上げを実現した」という。また映画部門では「ダ・ヴィンチ・コード」のDVDソフトや、「007/カジノ・ロワイヤル」の劇場興行が好調。昨年末5周年を迎えたソニー・エリクソンは、“サイバーショット携帯”や“ウォークマン携帯”の好調により過去最高業績を更新し、「3Qの売り上げ高では携帯電話業界第3位のポジションを獲得した」という。
■エレクトロニクス分野
売上高は前年同期比+16.9%の1兆8,727億円。営業利益においては、+102.8%の1,774億円を計上した。全地域で増収を達成したテレビ事業は、前年同期比+15%の4,250億円の売り上げを達成したという。
ブラビアが米国を含む全地域で大幅増収したほか、デジカメにおいても市場のニーズを捉えた製品展開で増収となった。海外ではVAIOも売り上げに貢献した。逆に減収となったのは液晶プロジェクションテレビで、米国でのテレビ市場の競争の激化により販売数量を落とした。
■ゲーム分野
売上高は前年同期比+5.6%の4,428億円となったが、営業損失が542億円となった。PS3の発売により増収したが、その戦略的な価格設定やプラットフォームの立ち上げ費用などにより大きな損失を生んだ。前年同期に622万台の生産出荷台数だったPSPが176万台に落ち込んだことや、PS2のソフトの出荷本数が落ち込んだことも損失の要因の一つとなった。
以下に説明会で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。
Q.2007年度末の利益率の目標が5%だというが、どのように達成していくのか?
A.2007年度の初めにトータルの計画を発表する予定だ。エレクトロニクス分野では4%を目指しているが、これを達成する態勢は今期中に整った。
Q.PS3は来期には黒字化するのか?
A.来年度中にブレークイーブンに持っていきたい。単なるゲーム機ということではなく、ネットコンテンツなどを含めたプラットフォームとして提案していきたい。PS3でネット接続を楽しんでいるユーザーは50万人を超えた。ゲームソフト『グランツーリスモ』は30万件近くダウンロードされている。
Q.“ブラビア”のクリスマス商戦が好調だった理由は?
A.米国では液晶が頑張った。予想に反して伸びなかったのがリアプロで、プラズマの価格下落などもあり苦戦した。またブラウン管も予定よりダウンした。欧州では32V型が予想していたより多く売れた。国内では予定を下回る結果となった。
Q.今後の薄型テレビの動向をどう見ているか?
A.価格の下落に関しては予想していた最終的な範囲を外れていないが、下落が始まる時期が予想より早かった。想定以上に下落が進んだのが40インチクラスで、35%くらい落ちたのではないか。またリアプロは予想していたより5%くらい落ちた。リアプロは苦戦したが、SXRDモデルは大型製品市場で優位性を保つことができると考えている。高画質化、薄型化、ハイデフ化などを図り、戦っていきたい。来期の市場は1.5倍くらいになると予想している。
Q.海外においてプラズマへの再参入の可能性はあるか?
A.自社開発をするということはない。OEMでやるという予定も今のところない。
Q.年末商戦において、一眼レフカメラの業績はどうだったか? 来期以降の予定は?
A.キヤノン、ニコンから対抗機種が発売され大変苦戦した。第2弾、第3弾を考えているが、時期は公表できない。撤退の予定などはない。
Q.PS3のコストダウンの方策としてチップのシュリンクを挙げているが、詳しく教えて欲しい。
A.最初は90ナノメートルプロセスのチップだったが、現在65ナノの生産を始めている。これによりチップ面積を40%に下げることができ、その分コストダウンを図ることができる。
Q.そのチップはセルか? また65ナノのチップは試験生産、量産のどちらか?
A.セルだ。量産を始めていると考えてもらっていい。
Q.S-LCD社に損失が出ているが、これについてどう考えているか?
A.セット(テレビの完成品)で儲ければいい、とは考えていない。マイナスとなったのは、採算性の悪い32インチ以下のモデルが多く売れたためだ。ある時期より黒字化すると考えている。
Q.国内でVAIOが減収しているが、Vista登場までの買い控えが原因か?
A.その通りだ。Vista発売前ということで出荷数を若干絞った。通期では数量に変化はないと考えている。
Q.デジカメ、ビデオカメラが強いが、その要因を詳しく教えて欲しい。
A.デジカメは各地域ごとにヒットモデルが出ている。それらを中国で生産するなど、コストダウンを積極的に行っている。また円安の影響もある。ビデオカメラは、数量は減っている。従来のDV/DVDモデルは価格が落ちてきているが、HDモデルが多く出たので前年の好調を維持することができた。
Q.米国の液晶テレビ市場ではサムスンと競っているが、パネル供給に関する問題は起こらないのか?
A.ラインとしては50%/50%を原則としてやっている。しかしパネルは全く同じものを使っているというわけではない。今後は独自性を持たせたパネルを生産する方向に進んでいく。台湾からのOEM供給に関しては、コストと性能を見て選んでいきたい。
Q.競合に勝つためにPS3の価格を下げるといった予定はないのか?
A.価格を下げる予定は当面はない。2〜3年後となるとわからない。ゲーム以外のアプリケーションの部分の強みも訴求していくことで、Wiiにも渡り合っていけると思う。
Q.PSPの生産出荷台数が急落しているが、どのようにして好転にもっていくつもりか?
A.まず、PSPをやめるといったことはない。しかし予定より台数が落ちてしまった。具体的には言えないが、好転のための方策をいくつか準備している。
(Phile-web編集部)