<大橋伸太郎レポート>“ヒューマンビエラ”に見るパナソニックの自信と気概
家電とオーディオビジュアルの春秋の恒例行事となった感さえあるパナソニックのビエラ新機種発表会が4月10日に東京国際フォーラム・ホールBで開催された。
今回発表された機種は、フルハイビジョンの
・50V型 「TH-50PZ700SK」 ¥OPEN(予想実売価格55万円前後)
・42V型 「TH-42PZ700SK」 ¥OPEN(予想実売価格43万円前後)
・50V型 「TH-50PZ700」 ¥OPEN(予想実売価格53万円前後)
・42V型 「TH-42PZ700」 ¥OPEN(予想実売価格41万円前後)
以上PZ700シリーズと、ハイビジョンパネルの
・42V型 「TH-42PX70SK」 ¥OPEN(予想実売価格32万円前後)
・37V型 「TH-37PX70SK」 ¥OPEN(予想実売価格27万円前後)
・37V型 「TH-37PX70S」 ¥OPEN(予想実売価格27万円前後)
・50V型 「TH-50PX70」 ¥OPEN(予想実売価格40万円前後)
・42V型 「TH-42PX70」 ¥OPEN(予想実売価格30万円前後)
・37V型 「TH-37PX70」 ¥OPEN(予想実売価格25万円前後)
PX70シリーズの2系列合計10機種である。
両シリーズの特徴については、編集部がすでにレポート(関連記事)しているのでそちらを読んでいただきたい。
筆者はさる3月に松下電器のプラズマテレビの生産を担う尼崎工場を見学した。2001年ごろだったか、松下のPDP生産が本格化した時期、第一の生産拠点だった茨木工場に招いてもらったことがある。生産設備の進歩の度合いは単純に言えば無人化の進展度で推測できるが、茨木工場は同時期に招待された他社の薄型テレビの工場に比較して目視できる作業員の人数で大きな差をつけていた。
尼崎工場の内部はさらに様相が一変していた。作業員の影も形もなく、設備の中を巨大な直方体のコンテナロボットが粛々と往来しているだけである。生産ラインと呼ぶようなものもない。もはや異次元の状景である。デビッド・クローネンバーグの哲学的SF映画を見ているようだった。21世紀の工業世界への橋を渡ったのだな、プラズマテレビはその橋懸りだったのだな、という思いがあった。
今回発表された中で最大の注目は、世界で初めての42型フルハイビジョンプラズマテレビである「TH-42PZ700SK」で、当面はこの尼崎工場で生産されて送り出されていく。「産褥」をわが目で確かめた筆者は、一種感慨深いものがあった(ビエラシリーズは茨木工場とパネルの生産設備は共通で、サイズと画面解像度による分担はない。TH-42PZ700(SK)の導入初期の生産は尼崎工場が担うということである)。
その画質は、開口率アップの効果で50V型フルハイビジョンより鮮鋭な画質である。大画面薄型テレビの外光の映りこみは最重要課題だが、今回、低反射クリアパネルを採用した。会場で近寄ってみた範囲でも効果は十分上がっている。
牛丸俊三氏を引継ぎパナソニックマーケティング本部長に就任された西口史郎氏は、同社の液晶テレビの指揮を執っていた方である。氏に、最近攻勢の度合いを強めている大画面液晶陣営との競争について訊ねてみると、「プラズマの方が生産原価で有利なので自信がある」という答えだった。
ちなみに、今回、両シリーズを通じて型番末尾にSKとつく機種は、サイドスピーカー・ブラックの略である。これまでの一貫してシルバーを基調としたビエラから豊かな時代を象徴する色である「黒」への変身に、視聴覚を媒体に大衆に豊かな生活をもたらすのだ、というパナソニックの自信と気概を見る。
(大橋伸太郎)
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数2006年に評論家に転身。趣味はウィーン、ミラノなど海外都市訪問をふくむコンサート鑑賞、アスレチックジム、ボルドーワイン。
今回発表された機種は、フルハイビジョンの
・50V型 「TH-50PZ700SK」 ¥OPEN(予想実売価格55万円前後)
・42V型 「TH-42PZ700SK」 ¥OPEN(予想実売価格43万円前後)
・50V型 「TH-50PZ700」 ¥OPEN(予想実売価格53万円前後)
・42V型 「TH-42PZ700」 ¥OPEN(予想実売価格41万円前後)
以上PZ700シリーズと、ハイビジョンパネルの
・42V型 「TH-42PX70SK」 ¥OPEN(予想実売価格32万円前後)
・37V型 「TH-37PX70SK」 ¥OPEN(予想実売価格27万円前後)
・37V型 「TH-37PX70S」 ¥OPEN(予想実売価格27万円前後)
・50V型 「TH-50PX70」 ¥OPEN(予想実売価格40万円前後)
・42V型 「TH-42PX70」 ¥OPEN(予想実売価格30万円前後)
・37V型 「TH-37PX70」 ¥OPEN(予想実売価格25万円前後)
PX70シリーズの2系列合計10機種である。
両シリーズの特徴については、編集部がすでにレポート(関連記事)しているのでそちらを読んでいただきたい。
筆者はさる3月に松下電器のプラズマテレビの生産を担う尼崎工場を見学した。2001年ごろだったか、松下のPDP生産が本格化した時期、第一の生産拠点だった茨木工場に招いてもらったことがある。生産設備の進歩の度合いは単純に言えば無人化の進展度で推測できるが、茨木工場は同時期に招待された他社の薄型テレビの工場に比較して目視できる作業員の人数で大きな差をつけていた。
尼崎工場の内部はさらに様相が一変していた。作業員の影も形もなく、設備の中を巨大な直方体のコンテナロボットが粛々と往来しているだけである。生産ラインと呼ぶようなものもない。もはや異次元の状景である。デビッド・クローネンバーグの哲学的SF映画を見ているようだった。21世紀の工業世界への橋を渡ったのだな、プラズマテレビはその橋懸りだったのだな、という思いがあった。
今回発表された中で最大の注目は、世界で初めての42型フルハイビジョンプラズマテレビである「TH-42PZ700SK」で、当面はこの尼崎工場で生産されて送り出されていく。「産褥」をわが目で確かめた筆者は、一種感慨深いものがあった(ビエラシリーズは茨木工場とパネルの生産設備は共通で、サイズと画面解像度による分担はない。TH-42PZ700(SK)の導入初期の生産は尼崎工場が担うということである)。
その画質は、開口率アップの効果で50V型フルハイビジョンより鮮鋭な画質である。大画面薄型テレビの外光の映りこみは最重要課題だが、今回、低反射クリアパネルを採用した。会場で近寄ってみた範囲でも効果は十分上がっている。
牛丸俊三氏を引継ぎパナソニックマーケティング本部長に就任された西口史郎氏は、同社の液晶テレビの指揮を執っていた方である。氏に、最近攻勢の度合いを強めている大画面液晶陣営との競争について訊ねてみると、「プラズマの方が生産原価で有利なので自信がある」という答えだった。
ちなみに、今回、両シリーズを通じて型番末尾にSKとつく機種は、サイドスピーカー・ブラックの略である。これまでの一貫してシルバーを基調としたビエラから豊かな時代を象徴する色である「黒」への変身に、視聴覚を媒体に大衆に豊かな生活をもたらすのだ、というパナソニックの自信と気概を見る。
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数2006年に評論家に転身。趣味はウィーン、ミラノなど海外都市訪問をふくむコンサート鑑賞、アスレチックジム、ボルドーワイン。