ソニー、2006年度決算を発表 − エレキ増収増益もPS3がブレーキに
ソニー(株)は、2006年度の連結決算を発表した。本日都内で決算発表会が行われ、同社執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏、コーポレート・エグゼクティブSVPの湯原隆男氏が出席した。
2006年度の連結売上高は、エレクトロニクス、映画およびゲーム分野が増収したことにより、前年度比10%増の8兆2,957億円と過去最高を記録した。
一方、連結営業利益は、エレキと映画分野が増益となったものの、PS3の導入に伴う大規模な損失計上があったため、前年度比68.3%減の718億円にとどまった。純利益は1,263億円と、前年度とほぼ同水準だった。
●マインド・リセットで増収増益を記録したエレキ分野
エレキ分野の売上高は16.9%増の6兆505億円。BRAVIAが世界で630万台を出荷し、全地域で大幅な増収を果たしたほか、VAIO、サイバーショット、ビデオカメラなどが増収となった。営業利益も前年度の69億円から1,567億円とジャンプアップした。大根田CFOは、この増収増益について、「中鉢体制になって、『これまで独りよがりに商品開発を行っていたのではないか』と反省し、ユーザーの視点に立った商品作りにマインド・リセットを行った。これが販売好調につながっていると思う。また、BRAVIAを急速に立ち上げることができたことも大きい」と説明した。
またウォークマンなどポータブルオーディオについて大根田CFOは、「アメリカではまだまだで、戦いになっていないが、前にも申し上げたとおり、映像機能を盛り込んだ製品を投入してキャッチアップしたい」と説明。
Blu-ray Disc関連の売り上げでは、「PS3を除いた、エレクトロニクス分野でのハード売り上げは正直に言ってまだ小さい。ソフトは既に200タイトル以上が発売しており、『007/カジノ・ロワイヤル』など大作ソフトが売り上げを牽引している」とした。
そのほか、映画分野でも、売上高が7,459億円から9,663億円と29.5%の増収を記録。営業利益も427億円と55.7%増えた。「ダ・ヴィンチ・コード」、「007/カジノ・ロワイヤル」、「もしも昨日が選べたら」などヒット作が続いたことが貢献した。
●ゲーム分野の黒字転換は2008年度以降に持ち越し
ゲーム分野では、PS3の価格設定で、販売価格が製造コストを下回る逆ざやが発生。このことが大きな原因となり、2,323億円という巨額の営業損失を計上した。売り上げはPS3発売が寄与して1兆168億円と、6.1%の増収だった。
なお同社は当初、2006年度のPS3全世界出荷600万台を目標としていたが、生産の遅れにより550万台に目標設定を変更していた。この計画通り2006年度の生産出荷台数は550万台をクリアしたが、店頭への出荷台数(Sell-inデータ)は360万台にとどまったという。差し引き190万台を中間在庫として抱えていることになる。
2007年度のPS3の出荷は1,100万台を見込み、生産台数の増加などによりコストダウンを行っていくが、コストが販売価格を上回る逆ざやの解消は2008年度以降に持ち越される。このことにより、2007年度もゲーム事業は赤字になり、2008年度の黒字転換を見込む。
PS3については、販売テコ入れのために、さらなる値下げを行うのではないかという観測がある。記者から値下げの可能性について聞かれた大根田CFOは、「価格については重要な戦略なのでコメントを差し控えたい」と回答を避けた。
●今期の営業利益は5%に回復の見込み
2007年度の業績見通しでは、売上高が6%増の8兆7,800億円、営業利益が513%増の4,400億円と増収増益となる見込み。エレキ分野では液晶テレビや半導体の増収を予想するほか、2006年度に計上したノートPC用電池パックの回収費用として512億円の引き当てを行っていたことから、増収増益となる見込み。ゲーム分野も黒字にはならないものの、PS3のコスト削減やソフトの販売増により、営業損失は大幅に縮小すると予想している。
(Phile-web編集部)
2006年度の連結売上高は、エレクトロニクス、映画およびゲーム分野が増収したことにより、前年度比10%増の8兆2,957億円と過去最高を記録した。
一方、連結営業利益は、エレキと映画分野が増益となったものの、PS3の導入に伴う大規模な損失計上があったため、前年度比68.3%減の718億円にとどまった。純利益は1,263億円と、前年度とほぼ同水準だった。
●マインド・リセットで増収増益を記録したエレキ分野
エレキ分野の売上高は16.9%増の6兆505億円。BRAVIAが世界で630万台を出荷し、全地域で大幅な増収を果たしたほか、VAIO、サイバーショット、ビデオカメラなどが増収となった。営業利益も前年度の69億円から1,567億円とジャンプアップした。大根田CFOは、この増収増益について、「中鉢体制になって、『これまで独りよがりに商品開発を行っていたのではないか』と反省し、ユーザーの視点に立った商品作りにマインド・リセットを行った。これが販売好調につながっていると思う。また、BRAVIAを急速に立ち上げることができたことも大きい」と説明した。
またウォークマンなどポータブルオーディオについて大根田CFOは、「アメリカではまだまだで、戦いになっていないが、前にも申し上げたとおり、映像機能を盛り込んだ製品を投入してキャッチアップしたい」と説明。
Blu-ray Disc関連の売り上げでは、「PS3を除いた、エレクトロニクス分野でのハード売り上げは正直に言ってまだ小さい。ソフトは既に200タイトル以上が発売しており、『007/カジノ・ロワイヤル』など大作ソフトが売り上げを牽引している」とした。
そのほか、映画分野でも、売上高が7,459億円から9,663億円と29.5%の増収を記録。営業利益も427億円と55.7%増えた。「ダ・ヴィンチ・コード」、「007/カジノ・ロワイヤル」、「もしも昨日が選べたら」などヒット作が続いたことが貢献した。
●ゲーム分野の黒字転換は2008年度以降に持ち越し
ゲーム分野では、PS3の価格設定で、販売価格が製造コストを下回る逆ざやが発生。このことが大きな原因となり、2,323億円という巨額の営業損失を計上した。売り上げはPS3発売が寄与して1兆168億円と、6.1%の増収だった。
なお同社は当初、2006年度のPS3全世界出荷600万台を目標としていたが、生産の遅れにより550万台に目標設定を変更していた。この計画通り2006年度の生産出荷台数は550万台をクリアしたが、店頭への出荷台数(Sell-inデータ)は360万台にとどまったという。差し引き190万台を中間在庫として抱えていることになる。
2007年度のPS3の出荷は1,100万台を見込み、生産台数の増加などによりコストダウンを行っていくが、コストが販売価格を上回る逆ざやの解消は2008年度以降に持ち越される。このことにより、2007年度もゲーム事業は赤字になり、2008年度の黒字転換を見込む。
PS3については、販売テコ入れのために、さらなる値下げを行うのではないかという観測がある。記者から値下げの可能性について聞かれた大根田CFOは、「価格については重要な戦略なのでコメントを差し控えたい」と回答を避けた。
●今期の営業利益は5%に回復の見込み
2007年度の業績見通しでは、売上高が6%増の8兆7,800億円、営業利益が513%増の4,400億円と増収増益となる見込み。エレキ分野では液晶テレビや半導体の増収を予想するほか、2006年度に計上したノートPC用電池パックの回収費用として512億円の引き当てを行っていたことから、増収増益となる見込み。ゲーム分野も黒字にはならないものの、PS3のコスト削減やソフトの販売増により、営業損失は大幅に縮小すると予想している。
(Phile-web編集部)