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<CEATEC:HD DVD>東芝DM社藤井社長「BDは説明責任を果たすべき。HD DVDに恥じるところはない」

公開日 2007/10/06 17:35
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10月5日、CEATEC 2007のHD DVDプロモーショングループのキーノートセッションとしてHD DVDの基調講演が行われた。東芝、マイクロソフト、パラマウント、ユニバーサルと賛同各社のコメントを流れを追って説明していこう。

●東芝藤井社長がHD DVD規格の現状を解説


株式会社東芝 執行役上席常務 東芝デジタルメディアネットワーク社の藤井美英社長
最初に登壇した株式会社東芝 執行役上席常務 東芝デジタルメディアネットワーク社の藤井美英社長は、HD DVDとBlu-rayのフォーマット戦争について週刊誌の報道について触れ「誰も儲からないと書かれていました。その通りだと思います」とコメント。ドリームワークスアニメーションとパラマウントがHD DVDへの独占供給を表明したことについて「BDをお買い求めいただいた方には申し訳ない」と述べた。

HD DVDの販売シェアについては、1月からの2007年のゲーム機/ゲーム周辺機器を除いてHD DVDが55%があると説明。最新のHD DVDプレーヤーを挙げて9月末300タイトル、年末500タイトルという目標を示した。欧州についてはプレーヤー70%、コンテンツホルダの75%がHD DVDタイトルを発売、30社のレプリケーターの支持を紹介した。

また、アタッチレートについてはBlu-rayの8倍という数字を上げて、「正直私はPS3が大好きで、半導体時代から一緒に仕事をしてきたのですが、やはりゲームファンと映画ファンは違う。PS3を買った人はBD-ROMはBDを買わないし、かといって別に次世代DVDプレーヤーを買うかというと、PS3があるからと言って買わない」とPS3の影響力への疑問を述べた。

引き続きPC戦略について、東芝の場合はCEとパソコンの融合戦略のなかにHD DVDが位置づけられていることを説明。「インターネットとの接続による映像と情報との融合を、インターネットとHD DVDによってお客様のところが届けるアドバンス機能が最も大きな特徴」と述べ、PC戦略の重要性について説明した。

HD DVDのPC搭載をアピール

60%以上のPCメーカーがHD DVDを支持

PCの市場については、Qosmioについてはまだまだ少ないが「来年には500万台がHD DVDを搭載する。この段階では再生にHD DVD-ROMを使用して、記録は普通の赤が主流」と説明。2009年には約1500〜2000万台が、2010年には4000〜5000万台への搭載を見込む。「PCというのはファッション(流行)ですから、ドライブの値段が同じになればドライブメーカーはHD DVDを使います」。

PCでの映画視聴については、「ディスプレイがキレイになってきたことと、若者を中心としてプライベートユースが増えてきているので、PCで映画を楽しむ人が日本でもアメリカでも増えている、HD DVDはソフト屋さんにとっても作りやすい」とし、PCを主なプレーヤーの一つに位置づけるHD DVD戦略の勝算を説明した。

また、BDにあってHD DVDにない弱点として、ムービーカメラの存在を説明。東芝はHDDカメラからHD DVDレコーダーに取り込み、HD DVDに書き込む選択肢があると説明した上で「ぜひBDの方も日立さんに並んで、いろいろなBDのカメラを出したらどうかな、僕らはHDD一本で行かせていただきたいと思っています」とした。

また、BDとHD DVDには「記録メディアに対する考えの違い」があるとして、光ディスクはストレージメディアの選択肢の一つであり、利便性に応じてHDD、光ディスク、メモリーを使い分けるべきと主張。BDはレコーダー中心であるのに対し、「東芝のポリシーとしてはハイビジョンテレビのコンテンツ録画ではHDDレコーダーが最適だ」と述べ、「必要であればDVDに残せばいい、数百GBを越えるHDDが最適だ」とHDD重視の姿勢を明確にした。

BDとの違いを説明

BDとはストレージに対する違いがあると主張

さらに、パナソニックが発売したレコーダーを引き合いに出しつつ、映像圧縮技術の進歩についても説明。圧縮技術の進歩により、そう大きなコスト的な負荷をかけることなく、大容量のハイデフを収録できる、またMPEG2からH.264のトランスコーディングによって、DVD-RもHD映像の記録媒体となりうることを紹介した。

●「BDには説明責任がある、HD DVDに恥じるところは一切無い」

また、BDが登場した経緯について、「日本のマスコミは、なぜBDが生まれてきたのか、きちんと書いてくれているところはない」と前置きをしながら「私にとってみると、これは違反ではないけれども、(BD誕生までの経緯は)どう考えてもおかしい。1997年にDVDフォーラムが出て、次世代規格についてみんなで知恵を出し合って規格化しよう進めてきたのに、突然もういいやと、DVDフォーラムは大きいから新しいことやってみたいと、一切消費者の利便性を論議することなく、技術論だけで新しいBDが規格化され、今日のような二重規格を招いた。私はこれはBDの責任だと思います。HD DVDに恥じるところは一切ない。なぜBDが生まれたのか、説明責任というものを果たされるよう切に希望を致します」と規格争いの原因はBDにあると主張した。

さらに藤井氏は、ライトペック、ライトコストであることのバランスがHD DVDの強みであると述べ、プレーヤーについては安価であることを紹介。BD-JAVAについては「やはりBD-JAVAは高級言語であることは否定しません。ただ、これをコンテンツ屋が使う、プレーヤーに実装するということを考えたときに、これが本当に正しい選択なのか、コストに対する検証をしたのか。我々は十分にしました。HDiは非常に良いネット接続性がある。HDi対BD-JAVAが今後最も大きな争点になると確信しております」と述べた。また、HD DVDのネット親和性に強みがあることについても説明した。

車載対応についても「残された最後のアプリケーションになりましたが、早く車載対応を出していただきたい」とリクエスト。最後にHD DVDがインタラクティブ機能に強みがあることを説明し、話の締めくくりとした。

●マイクロソフトはアドバンス・インタラクティビティ・コンソーシアムの設立を発表

続いて登壇したマイクロソフト株式会社デジタルエンターテインメントパートナー統轄本部執行役常務の堺和夫氏は、「次世代DVDに見る2つの融合」と題した講演を行った。

絵や音がキレイなのは当たり前。次なる魅力としてインタラクティブ機能を訴える

東芝、マイクロソフト、ドリームワークス、パラマウント、ユニバーサル、ワーナーでアドバンスト・インタラクティビティ・コンソーシアムを設立

講演で堺氏はHD DVDについて、音と映像の良さだけでなく、インタラクティブ機能の魅力について紹介。「FREEDOM」の作品に搭載されたPinPや最新のトレーラーをダウンロードできる機能、北米の「300」での、メールアドレスなどを入力してコミュニティに登録して使える機能などを紹介。またケータイの着メロなどを購入できたり、アンケートに付けられたクーポン機能が利用できたりなどのサービス像を紹介し、アドバンス機能をアピール。

「FREEDOM」のダウンロード機能を解説

北米版「300」のケータイ連動機能

ネットワーク機能との親和性の高さから、「映像のインタラクティビティ」「ネットワークを使ったボーナスコンテンツを楽しむ」「P in Pや3Dコンテンツを楽しむ」といったCEとITの融合の相性の良さを解説した。

●アドバンス機能の充実に力を入れたパラマウント・ユニバーサル

続いて登壇したパラマウントジャパン株式会社 代表取締役 ホームエンターテイメント部門 日本代表の鈴木順一郎氏は、8月20日にパラマウント本社が世界的に次世代DVDをHD DVDにすると発表したことで、日本でも8月20日をもって発売停止、9月20日の「シューター」以降はHD DVDのみとしたことを説明。今後はHD DVDのみで展開することを説明した。

BD版撤退への流れを説明

HD DVDへの優位を訴える

鈴木氏はパラマウントが考えるHD DVDの優位性として「長期的な複製コストが優位」「安いハードウェアの開発、発売が可能である」ことや、ツインフォーマットやコンボフォーマットなど「試しやすいフォーマット」であること、「インタラティビティ性が高い」ことなど、4つの魅力を説明した。

また、HD DVDを普及する起爆剤として、1つ目に「魅力的で安価なハードウェア」、2つ目に「魅力的なコンテンツ」と紹介。パラマウントの取り組みとして「スター・トレック 宇宙大作戦」の映像デモを交えて、スタートレックの影響力の大きさをアピールした。

今年発売の「トップガン」などラインナップを解説

「スター・トレック」は長時間の映像を流しながら解説を行った

「トランスフォーマー」など新作を紹介

続いてユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン取締役オペレーションズ本部長の湊谷一樹氏が登壇。同社の販売戦略については、DVDの普及を例に挙げて、50歳以上がターゲットになるという主旨の講演を行った。

HD DVDの市場性について、「団塊世代、団塊次世代の余暇の過ごし方について、大画面の高画質高音質、高品位のコンテンツを楽しむ人が増えてくる」と、DVDの販売層の変化を例に挙げて説明。ソフトメーカーとして期待に応えられる製品を提供していくと述べた。

ユニバーサル・ピクチャーズの作品については「キング・コング」など各作品を紹介し、今年合計21タイトルを発売する状況を解説。ユニバーサルの得意としたCGを多様した映画は、HD DVDを使うことで更に高品位に楽しめるものとし、「ET」「バック・トゥー・ザ・フューチャー」「ジュラシック・パーク」「ベイブ」「ジョーズ」といった作品をHD DVDで提供していきたいと述べた。また、HD DVDで発売した「ワイルドスピードX3 TOKYOドリフト」のアドバンス機能を紹介して作品の魅力をアピールした。

発売予定作品に「ET」「バックトゥーザフューチャー」「ジュラシックパーク」「ベイブ」「ジョーズ」を紹介

「ワイルドスピードX3 TOKYOドリフト」の機能をデモを交えながら解説

500以上のライブラリ数からコンテンツの多さをアピール

(折原一也)

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