ソニック、DVDダウンロード技術「Qflix」の詳細を発表 − サービスの本格開始は来年7月以降
ソニック・ソルーションズ(株)は、「DVDダウンロード」による映像コンテンツの配信システム「Sonic Qflix(キューフリックス)」に関する記者発表会を本日開催した。
発表会には同社代表取締役社長 件 米国本社事業戦略担当 上席副社長の照井公基氏が出席し、同社の現状とQflixによる事業戦略について説明を行った。
■ オンライン販売の市場動向
照井氏はまず、同社の歴史について簡単に説明した。ソニックは1986年にルーカス・フィルムから独立した企業で、発足当初はオーディオのオーサリングを専門に扱っていたが、1996年にはビデオのオーサリングシステムで映像業界に参入。「ソニックはCD、DVD、BD/HD DVDと光メディアとともに歩んできた。現在、ソフトウェア業界全体が伸び悩んでおり、今後どうしていくかが大きな課題となっている」と現状を説明した。同氏は、光メディア市場の成長には「光メディアを活かしたオンラインによるコンテンツ配布」が必要であるとし、Qflixの訴求に力を注いでいくと語った。
続けて同氏は、北米におけるDVDの販売状況について言及した。DVDの販売/レンタル市場は230億ドルにも上る。しかし在庫切れや絶版のため、購入者は欲しいDVDの約50%しか手に入れることができないのが現状だという。また、VOD市場は5億ドル程度にとどまっており、リリースが遅いことやコンテンツの所有ができないといった状況がその原因であると指摘した。これに対して同氏はオンライン販売のメリットについて説明。「店頭に並ばないが、コンスタントな売り上げを見込める“ロングテール・コンテンツ”を、低コストで販売することができる。アマゾンでは売り上げの約半数がすでに店頭に陳列されていない商品だ」と語った。北米では、約60,000タイトルあるDVDのうち実際に店頭で購入できるタイトルは限られており、「それ以外のタイトルやDVD化されていないコンテンツをネットを通じて販売していくことが求められている」とまとめた。
■ Qflix
オンライン販売のメリットと、DVDとして所有したいという要望を同時に満たす技術として開発されたのがQflixで、DVDフォーラムが策定した「DVD Download」に準拠し、DVDのプロテクション技術CSSによるコンテンツを配信、同コンテンツをDVDメディアに書き込むことができるシステムだ。コンテンツをダウンロードし、DVDに記録するには、Qflix対応の「ソフト」「ディスクドライブ」「DVDメディア」が必要となる。
照井氏は、「AppleのiTune Storeの普及により、コンテンツのダウンロード購入という感覚が認知されてきている。ソニックではそのコンテンツを『メディアに記録する』というところまで進めていきたい」と語った。なお、DVD Download規格は2007年1月に策定されている。しかし現状では制限があり、国内での正式な解禁は2008年7月以降となる。
現在、国内では「生産工場がオンデマンドでDVDをプリントし販売する」「店頭の端末でダウンロード販売する」というかたちが認可されており、サービス事業者がQflixを使用してサービスを実施することが可能となっている。コンシューマーが個人のパソコンにダウンロードしてDVDに記録することが可能となるのは2008年7月以降となる。
発表会では、同社が開発した統合ソフトウェア「Roxio Venue」のデモも行われた。同ソフトではコンテンツの「購入/ダウンロード」「再生」「書き込み」「管理」を行うことができる。ダウンロードした映画コンテンツには、作品の各種情報が表示されるほか、自分でレーティングを設定したり、メモを書き込むといったことなどが可能。作成したDVDには一般的なDVDと同様にメニュー画面が作成される。また同DVDは通常のDVDと同様にDVDプレーヤーで再生することが可能だ。
なお、配信する映像コンテンツの画質やビットレートは、サービスを行う事業者が任意に設定することが可能。通常のDVDクオリティの映像ももちろん配信することが可能だという。
以下に発表会で行われた質疑応答の内容を掲載する。
Q.QflixをDVDレコーダーなどの家電製品に組み込むことは可能か?
A.ソニックは承認プロセスを提供するという立場。ソフトウェアは独自に開発してもらうことが可能だが、現在はPC向けに提供している。製品にはQflixのロゴを入れてもらうことになる。
Q.Qflixに対応するディスクドライブ/PCは現在どれくらいあるか?
A.現在は1台も発売されていない。まずは、現在OEMで提携しているPCメーカーに導入していってほしい。他社の同様の技術についても対応する製品は今のところ発売されていない。
Q.Qflix対応のDVDメディアは1層だが、今後2層メディアに対応していく予定はあるか?
A.Qflixの技術自体は2層にも対応するが、現在DVDフォーラムで認証されているのは1層のみとなっている。
(Phile-web編集部)
発表会には同社代表取締役社長 件 米国本社事業戦略担当 上席副社長の照井公基氏が出席し、同社の現状とQflixによる事業戦略について説明を行った。
■ オンライン販売の市場動向
照井氏はまず、同社の歴史について簡単に説明した。ソニックは1986年にルーカス・フィルムから独立した企業で、発足当初はオーディオのオーサリングを専門に扱っていたが、1996年にはビデオのオーサリングシステムで映像業界に参入。「ソニックはCD、DVD、BD/HD DVDと光メディアとともに歩んできた。現在、ソフトウェア業界全体が伸び悩んでおり、今後どうしていくかが大きな課題となっている」と現状を説明した。同氏は、光メディア市場の成長には「光メディアを活かしたオンラインによるコンテンツ配布」が必要であるとし、Qflixの訴求に力を注いでいくと語った。
続けて同氏は、北米におけるDVDの販売状況について言及した。DVDの販売/レンタル市場は230億ドルにも上る。しかし在庫切れや絶版のため、購入者は欲しいDVDの約50%しか手に入れることができないのが現状だという。また、VOD市場は5億ドル程度にとどまっており、リリースが遅いことやコンテンツの所有ができないといった状況がその原因であると指摘した。これに対して同氏はオンライン販売のメリットについて説明。「店頭に並ばないが、コンスタントな売り上げを見込める“ロングテール・コンテンツ”を、低コストで販売することができる。アマゾンでは売り上げの約半数がすでに店頭に陳列されていない商品だ」と語った。北米では、約60,000タイトルあるDVDのうち実際に店頭で購入できるタイトルは限られており、「それ以外のタイトルやDVD化されていないコンテンツをネットを通じて販売していくことが求められている」とまとめた。
■ Qflix
オンライン販売のメリットと、DVDとして所有したいという要望を同時に満たす技術として開発されたのがQflixで、DVDフォーラムが策定した「DVD Download」に準拠し、DVDのプロテクション技術CSSによるコンテンツを配信、同コンテンツをDVDメディアに書き込むことができるシステムだ。コンテンツをダウンロードし、DVDに記録するには、Qflix対応の「ソフト」「ディスクドライブ」「DVDメディア」が必要となる。
照井氏は、「AppleのiTune Storeの普及により、コンテンツのダウンロード購入という感覚が認知されてきている。ソニックではそのコンテンツを『メディアに記録する』というところまで進めていきたい」と語った。なお、DVD Download規格は2007年1月に策定されている。しかし現状では制限があり、国内での正式な解禁は2008年7月以降となる。
現在、国内では「生産工場がオンデマンドでDVDをプリントし販売する」「店頭の端末でダウンロード販売する」というかたちが認可されており、サービス事業者がQflixを使用してサービスを実施することが可能となっている。コンシューマーが個人のパソコンにダウンロードしてDVDに記録することが可能となるのは2008年7月以降となる。
発表会では、同社が開発した統合ソフトウェア「Roxio Venue」のデモも行われた。同ソフトではコンテンツの「購入/ダウンロード」「再生」「書き込み」「管理」を行うことができる。ダウンロードした映画コンテンツには、作品の各種情報が表示されるほか、自分でレーティングを設定したり、メモを書き込むといったことなどが可能。作成したDVDには一般的なDVDと同様にメニュー画面が作成される。また同DVDは通常のDVDと同様にDVDプレーヤーで再生することが可能だ。
なお、配信する映像コンテンツの画質やビットレートは、サービスを行う事業者が任意に設定することが可能。通常のDVDクオリティの映像ももちろん配信することが可能だという。
以下に発表会で行われた質疑応答の内容を掲載する。
Q.QflixをDVDレコーダーなどの家電製品に組み込むことは可能か?
A.ソニックは承認プロセスを提供するという立場。ソフトウェアは独自に開発してもらうことが可能だが、現在はPC向けに提供している。製品にはQflixのロゴを入れてもらうことになる。
Q.Qflixに対応するディスクドライブ/PCは現在どれくらいあるか?
A.現在は1台も発売されていない。まずは、現在OEMで提携しているPCメーカーに導入していってほしい。他社の同様の技術についても対応する製品は今のところ発売されていない。
Q.Qflix対応のDVDメディアは1層だが、今後2層メディアに対応していく予定はあるか?
A.Qflixの技術自体は2層にも対応するが、現在DVDフォーラムで認証されているのは1層のみとなっている。
(Phile-web編集部)