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シャープ、年頭記者会見を開催 − “2cm液晶テレビ”を本年度中に製品化へ

公開日 2008/01/08 19:55
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65V型の薄型液晶テレビと片山氏
シャープ(株)は本日、毎年恒例の年頭記者会見を都内で開催。2007年4月に取締役社長に就任した片山幹雄氏が初めての年頭会見を行った。

同社は2012年に創業100周年を迎える。片山氏は、「2012年に向け一年一年を着実にやっていく」と語り、『世界No.1の液晶ディスプレイで真のユビキタス社会を実現する』『省エネ・創エネ機器を核とした環境・健康事業で世界に貢献する』という2つのビジョンを掲げた。

『世界No.1の液晶〜』について同氏は、「シャープの液晶は世界最高水準であると自負している」と語るとともに、多岐にわたるデバイス群を揃えていることをアピールした。また、『省エネ・創エネ機器〜』については、今後需要の高まりが予想される太陽電池に、より一層力を入れていくと説明した。

2008年度 液晶への取り組み


シャープ 片山社長
次年度の取り組みについては、まず液晶テレビについての説明を行った。2007年度、液晶テレビの世界需要は7,400万台。これに対し2008年度は、約30%増の9,600万台の需要が見込まれており、テレビ全体(2億2,200万台)の約45%が液晶テレビとなる。片山氏は「拡大する需要に確実に対応していく」と自信を見せた。

また、昨年話題を呼んだ新技術による“超薄型液晶”については、本年度中に製品化を行う予定であることを明らかにした。会見の会場には、新たに試作された65V型の“超薄型液晶”も展示。同機は、52V型と同等の技術を投入しており、厚さ20mm、コントラスト比10,000対1を実現している。消費電力を大幅に抑えることにも成功しており、年間消費電力は200kWh/年を実現しているという。


昨年CEATECなどに展示された52V型(左)と新たに公開された65V型

65V型も厚さ2cmを実現

65V/52Vの主な仕様
現在、全世界で使われているブラウン管テレビ(約12億2,000万台)を、省エネを実現したこの新技術の液晶テレビに置き換えると、1,000億kWh/年の消費電力量を削減できるという例も紹介。1,000億kWh/年という電力量は、火力発電所14カ所分の年間発電量に相当し、CO2量で約3,400万トンに相当するのだという。

片山氏は、「シャープは液晶テレビ市場の確立に大きな貢献をしてきた。さらに進化をすすめ、ハイエンドブランドとして数量に関わらずやっていくつもりだ」と語った。また亀山第2工場については、2008年末に予定していた第3期展開を7月に前倒しするとともに、パネル生産枚数を1.5倍に拡大し、90,000枚/月の生産体制に移行することを明らかにした。


2008年度 太陽電池事業への取り組み

シャープは、もう一つの柱となる太陽電池事業にも積極的に取り組む。現行の「結晶系太陽電池」に加え、高いコストダウンが見込める「薄膜太陽電池」に生産能力を拡充していく予定だ。

片山氏は、太陽電池についてもその環境性能の高さをアピール。日本の一戸建て住宅約2,650万戸の全ての屋根に太陽電池を設置することで約3,600万トンのCO2を削減できるという。また、ゴビ砂漠の100分の1の面積に太陽電池を設置するだけで、世界の無電化地域すべてに電力を提供できるようになるという例も紹介した。


薄膜太陽電池にも力を入れる

堺コンビナートには14社が進出
また、堺市に建設中の大規模コンビナートについては進捗状況を報告した。現在、14の企業が進出することを決定しており、工事も順調に進んでいるという。

片山氏は、「7月に開催される洞爺湖サミットでは、メインの議題が『環境問題』となっている。全世界の人々に液晶テレビ、太陽電池を普及させていくことが、環境問題に対するシャープの使命だと思っている」と締めくくった。


以下に、会見で行われた質疑応答の内容を掲載する。

Q.例年、液晶テレビの販売目標を発表しているが、今年は?
A.2012年に向けて「いたずらに規模を追わない」という経営方針をとっている。台数を求めることが企業価値の向上になるものではない。社内的には目標はあるが、公表するものではない。個人的には1,000万台はやりたいと思っている。

Q.太陽電池事業の売り上げ目標は?
A.2007年度が1,500億円で、次年度はそれを超えたい。またその次年度は20%増を目指したい。当初の2010年度に5,000億円という目標も可能だと思っている。

Q.新技術を採用したテレビは、今年のいつごろに発売する予定か?
A.明確な時期は言えないが、2008年度中には必ず発売する。厚さ2cmというのも大きな特徴だが、消費電力の少なさや、高いコントラスト比、広い視野角といった、次世代の表示能力に注目して欲しい。

Q.ワーナーのBD独占が話題となっているが、次世代ディスクの規格争いについてどう考えているか?
A.BD機器をつくっている立場として歓迎できる状況だ。フォローの風が吹いたと思っている。

Q.国内では32V型が中心に売れているが、北米でのメインのサイズは?
A.大型も売れている。大画面を中心とした商品展開は続けていく予定だが、32V型ももちろんやっていく。金額ベースでは45/52V型あたりが高いシェアとなっている。

Q.堺の工場は50、60型台のサイズが最も効率がよいのか?
A.42V型が市場の中心になっていくと予想している。堺の工場では42V型を15枚とることができる。

Q.携帯電話の海外展開についてどう考えているか?
A.現在すでに展開を行っているが、今後は日本に趣向の近いアジア地域に力を入れていきたいと思っている。

Q.白もの家電の海外での取り組みは?
A.力を入れている。プラズマクラスターユニットをつけた製品の引き合いが、中国や東南アジアなどで非常に強い。プラズマクラスターユニットは性能向上を図り、様々な展開を行っていく予定だ。また、ヘルシオは欧米での展開を考えており、加えて中国でも受け入れられるのではと考えている。

Q.液晶テレビの2007年度900万台という目標は達成できるか?
A.今年度の残り3ヶ月で数字を積んでいきたい。2008年度は北京オリンピックを控えた中国を重点的に展開していく予定。2007年12月度、中国での売り上げが欧州を上回った。CMをやってきたことの効果も出始めていると思う。

Q.液晶テレビ事業における課題点は?
A.サプライチェーンを作り上げること。世界5局体制をつくったが、材料調達がまだ完全とは言えない状態だ。また在庫をためないために、注文に対して素早く対応できる体制を整えることが必要だ。

(Phile-web編集部)

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