ダビング10、7月5日頃に開始決定
本日夜、総務相の諮問機関である情報通信審議会 情報通信政策部会による、第40回「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」が開催され、第5回の答申骨子案について意見が交換された。
これまでの報道の通り、ダビング10は6月2日からの実施が確定していたものの、その後、権利者団体が私的録画/録音補償金やの対象拡大を主張し、これに対してJEITAが反論するなどの混乱が続き、実施が遅れていた。この事態を重く見て、経済産業省と文部科学省がブルーレイ機器と記録メディアを私的録画補償金の対象に追加することで合意し、これによって事態の収拾を図ろうとしたが、権利者団体は「現行法でのブルーレイディスクの指定が『権利者への適正な対価の還元』に当たるかどうかについては、はなはだ疑問で、戸惑いと失望を感じざるを得ない。この合意がダビング10の議論を前進させるものでもない」と反論していた。
本日の検討委員会では、経産省・文科省の合意があっても事態を収拾できなかったということを重く見る声が続出。北京五輪の開催が間近に迫っていることもあり、各委員が早期実施を期待する胸を述べたものの、フォローアップWGの中村委員をはじめ、「近日中に急展開があるとは期待できない」との諦めの声が多かった。
権利者団体を代表して出席している椎名和夫氏も、当初は、経産省と文科相の合意について「ダビング10の実現に向け、両省が意見を調整してきた努力は評価するが、私的録画補償金の問題が解決していない上に、何ら文書がなく、権利者側としてはよく理解できない。私的録画補償金に関する文化庁提案に関する取り扱いが不明確であることも問題だ。両大臣の合意がダビング10の実現に至るものとは考えていない」と述べていた。
続いて、JEITAの田胡委員が「経産省と文科省の合意を高く評価している。暫定的な措置としてBDへの補償金拡大という措置が決められたわけなので、これに沿って早期にダビング10が開始されることを期待している。メーカーとしても準備が調っている」と述べたり、放送局を代表して出席している福田委員が「放送事業者の準備は調っている。売り上げが厳しい中、地方も含め、放送事業者が設備更新の負担を行った」などと述べたが、具体的な実施期日確定のための議論は行われなかった。
動きが起きたのは委員会の終盤。中村委員が、「23日に親委員会へ報告を行うが、委員は皆がダビング10の早期実現を望んではいるものの、期日の確定はできなかったという結論を出さざるを得ない」と述べた。また、これを受けて委員会主査の村井純氏は「タイミング感というのは大事。北京五輪は地上デジタル普及にとって非常に大事なイベント。オリンピックを上手く使って地上デジタルの普及を進めるための一方策としても、ダビング10は非常に重要だ。このままでは期日が確定できなかったという報告を出さざるを得ないが、期日確定のためにどうすればいいか。委員の皆さんの中で意見はありますか」と述べたところ、椎名委員が挙手し、発言を始めた。
椎名委員は、「ダビング10はこの委員会が生み出した最初の成果で、私自身思い入れもある。第四次答申に盛り込まれた、権利者に対する『適正な対価の支払い』という条件は極めて当たり前のこと。メーカーに申し上げたいのは、『ただ乗りや食い逃げはしないでほしい』ということ。長い間、この問題が解決しないでスタックしていたが、こんな膠着状態が続くのは何の意味もなく、悪影響が出るだけ。よって、この際、ダビング10については、補償金問題と切り離して、実施期日を確定してはどうか」と提案した。
実施期日確定の条件として椎名氏は、「私的録画補償金問題についての早期合意が形成されることについての期待感を答申に盛り込むこと」、さらに、「クリエイターへの適正な対価の還元について、情報通信審議会全体の問題として検討することを明確化すること」の2点を挙げた。また実施期日については、「村井純主査、総務省の方々に任せる」とした。
この突然の提案を受け、社団法人 デジタル放送推進協会(Dpa)の関委員は、「正直、急転直下の決定で…」と戸惑いながらも、「先ほど各委員から説明があったとおり、ほぼ準備が整っているが、その確認が必要。またメーカー側にも時間が必要となるだろうし、放送事業者の視聴者に対する広報周知活動も必要だ。明日の朝から早速調整を進めたい。どのくらいかかるかというところでは、2週間程度というイメージを持っている」と発言。
委員会の村井純主査は、この意見を受け、ダビング10の実施開始日を、7月4日、もしくは5日をターゲットに進めることを決定。今後はDpaが各方面と調整し、正確な実施開始日時を確定する。
(Phile-web編集部)
これまでの報道の通り、ダビング10は6月2日からの実施が確定していたものの、その後、権利者団体が私的録画/録音補償金やの対象拡大を主張し、これに対してJEITAが反論するなどの混乱が続き、実施が遅れていた。この事態を重く見て、経済産業省と文部科学省がブルーレイ機器と記録メディアを私的録画補償金の対象に追加することで合意し、これによって事態の収拾を図ろうとしたが、権利者団体は「現行法でのブルーレイディスクの指定が『権利者への適正な対価の還元』に当たるかどうかについては、はなはだ疑問で、戸惑いと失望を感じざるを得ない。この合意がダビング10の議論を前進させるものでもない」と反論していた。
本日の検討委員会では、経産省・文科省の合意があっても事態を収拾できなかったということを重く見る声が続出。北京五輪の開催が間近に迫っていることもあり、各委員が早期実施を期待する胸を述べたものの、フォローアップWGの中村委員をはじめ、「近日中に急展開があるとは期待できない」との諦めの声が多かった。
権利者団体を代表して出席している椎名和夫氏も、当初は、経産省と文科相の合意について「ダビング10の実現に向け、両省が意見を調整してきた努力は評価するが、私的録画補償金の問題が解決していない上に、何ら文書がなく、権利者側としてはよく理解できない。私的録画補償金に関する文化庁提案に関する取り扱いが不明確であることも問題だ。両大臣の合意がダビング10の実現に至るものとは考えていない」と述べていた。
続いて、JEITAの田胡委員が「経産省と文科省の合意を高く評価している。暫定的な措置としてBDへの補償金拡大という措置が決められたわけなので、これに沿って早期にダビング10が開始されることを期待している。メーカーとしても準備が調っている」と述べたり、放送局を代表して出席している福田委員が「放送事業者の準備は調っている。売り上げが厳しい中、地方も含め、放送事業者が設備更新の負担を行った」などと述べたが、具体的な実施期日確定のための議論は行われなかった。
動きが起きたのは委員会の終盤。中村委員が、「23日に親委員会へ報告を行うが、委員は皆がダビング10の早期実現を望んではいるものの、期日の確定はできなかったという結論を出さざるを得ない」と述べた。また、これを受けて委員会主査の村井純氏は「タイミング感というのは大事。北京五輪は地上デジタル普及にとって非常に大事なイベント。オリンピックを上手く使って地上デジタルの普及を進めるための一方策としても、ダビング10は非常に重要だ。このままでは期日が確定できなかったという報告を出さざるを得ないが、期日確定のためにどうすればいいか。委員の皆さんの中で意見はありますか」と述べたところ、椎名委員が挙手し、発言を始めた。
椎名委員は、「ダビング10はこの委員会が生み出した最初の成果で、私自身思い入れもある。第四次答申に盛り込まれた、権利者に対する『適正な対価の支払い』という条件は極めて当たり前のこと。メーカーに申し上げたいのは、『ただ乗りや食い逃げはしないでほしい』ということ。長い間、この問題が解決しないでスタックしていたが、こんな膠着状態が続くのは何の意味もなく、悪影響が出るだけ。よって、この際、ダビング10については、補償金問題と切り離して、実施期日を確定してはどうか」と提案した。
実施期日確定の条件として椎名氏は、「私的録画補償金問題についての早期合意が形成されることについての期待感を答申に盛り込むこと」、さらに、「クリエイターへの適正な対価の還元について、情報通信審議会全体の問題として検討することを明確化すること」の2点を挙げた。また実施期日については、「村井純主査、総務省の方々に任せる」とした。
この突然の提案を受け、社団法人 デジタル放送推進協会(Dpa)の関委員は、「正直、急転直下の決定で…」と戸惑いながらも、「先ほど各委員から説明があったとおり、ほぼ準備が整っているが、その確認が必要。またメーカー側にも時間が必要となるだろうし、放送事業者の視聴者に対する広報周知活動も必要だ。明日の朝から早速調整を進めたい。どのくらいかかるかというところでは、2週間程度というイメージを持っている」と発言。
委員会の村井純主査は、この意見を受け、ダビング10の実施開始日を、7月4日、もしくは5日をターゲットに進めることを決定。今後はDpaが各方面と調整し、正確な実施開始日時を確定する。
(Phile-web編集部)