もっと使える!PS3のHDD − 第4回:PS3の動画ライブラリーをモバイルノートで楽しむ
ソニーのBDプレーヤーの「おでかけ転送」動画(以下おでかけ動画)は環境さえ整えばパソコンでも楽しめる。ソニーのメモリースティックUSBリーダー・ライターの「MSAC-US40」があれば、PSPやウォークマンがなくてもおでかけ動画が再生できる。
メモステに記録したおでかけ動画はソニーの再生用ソフト「Memory Stick Video Player」(980円)があれば再生できることは知っていた。ただ筆者は勘違いしており、パソコンに通常のUSBリーダ・ライターを接続して、そこにPSPを使っておでかけ動画を記録したメモステをセットすれば再生できるものだと思っていた。
しかし実際は違った。地デジなどのデジタル放送を記録した場合は、著作権保護機能が働くので、専用のリーダライターでないと動画が再生できないのだ。
もちろんマジックゲート対応のバイオなどであれば対応機が存在し、こちらを選べばそのまま再生ができたのだろうが、筆者が使っているノートパソコンは東芝製の古いモデルなので、対応していない。そこで調べたところ、パソコンでメモステ動画を再生するには、Memory Stick Video Playerの他に、MSAC-US40が必要だということが判明した。
こうなるとまた自腹での購入になる。「あ〜たった一回のテストのためにぃ」と泣きたくなるが仕方がない。MSAC-US40をネットで探すと2千円台半ばで手にはいるが、急いでいるのでビックカメラで購入。なんとネットよりも1,000円も高い3,480円だった。う〜散財だ。
デジカメ用の汎用リーダ・ライターではエラーが出たが、MSAC-US40を接続すれば、問題なく再生…できるはずがまたもやエラー。調べるとMemory Stick Video Playerを利用するには、「ダイレクトX9」に対応したビデオカードがパソコン側に搭載されてないといけないらしい。筆者のPCは対応していないようで、あえなく撃沈。せっかくモバイルノートでおでかけ動画を楽しもうと思ったのだが、その夢は壊れてしまった。
最近のパソコンのスペックに疎いのだが、ダイレクトX9に対応したノートとMemory Stick Video Player、MSAC-US40があれば、筆者が計画していたノートパソコンでおでかけ動画を楽しむことも可能なようだ。またVAIOノートのマジックゲート対応モデルならば外付けのリーダ・ライター無しで利用できるので、よりスマートだろう。
さて、問題はMSAC-US40だ。せっかく買ったのに…、お笑いの「クールポコ」ではないが「やっちまったな〜」といった気分だ。ノートパソコンではダメだったが、一昨年、IntelのCore Duoを搭載したデスクトップを購入しており、それを実験機に使っている。これを使ってテストしたところ見事にMemory Stick Video Playerが動作した。このソフト、何気によくできており、PSPと同じくおでかけ動画にあらかじめ記録されているチャプター情報を読み込み、手動でスキップして楽しめる。見どころを見つけるには便利に使えそうだ。
19型のパソコンモニターだが、フルサイズよりもデフォルトの11型程度の画面で再生する方が、粗が目立たなかった。再生ソフトとMSAC-US40があれば、BDZシリーズで作成したおでかけ動画をパソコンで楽しめるメリットは大きい。
ついでなのでMSAC-US40をBDZ-A70、PS3に接続したところ、そのまま認識した。そう、ここでMSAC-US40があれば、PSPなしでもパソコンを中心としたミニマムシアターが構築できることに気がついた。筆者のようにPSPを持っている人でもMSAC-US40があれば、片方をBDZに接続して、動画を吸いだし、片方でMSAC-US40を使ってPS3へ動画を送り込むという作業が同時に行える。いや、単機能のメモリーリーダ・ライターとしてはむやみに高い気がしたMSAC-US40だが、結局、便利に使えることがわかってちょっとうれしくなった。PSPとMSAC-US40の両方を活用すれば、より効率よく、PS3に動画ライブラリーが作れそうだ。
■あらためてPS3の深遠なる魅力が実感された
ソニーのBDレコーダー“BDZシリーズ”とPS3、PSPを使って小さなシアターを構築してみようと言う試みで、いくつかの細かなテストを行ってきた。HDDの容量を節約しながら、動画のコレクションが作れる「おでかけ転送」機能は、あらためて便利だと感じた。
PS3はこうやって使うと、ほんとうにユニークなAV機器だと実感できる。海外ではオプションでデジタルチューナーが用意され、テレビの録画もできるというが、これはとても楽しそうだ。ただ、筆者はPS3につけるならワンセグチューナーがベストだと思っている。60GB/80GB程度の容量で、フルセグのテレビ番組を録画してもたかが知れており、実現しても便利には使えないだろう。かといって、「1TB搭載のPS3」というのが発売されても、これもまた売れそうにないだろう。
ならば、HDD容量が節約できるワンセグがベストだ。それも8チューナーを搭載してソニーのXビデオステーションのように「全局8日分の放送全部録り」なんてことができれば楽しいのではないだろうか?ユーザーは必要な番組だけを持ち出して見ればいい。また視聴のタグだけをネットで交換、共有できるコミュニティーを作ってしまえば、著作権保護を気にせずに、いわゆる「ニコニコ動画」的な楽しみ方も可能だ。
画像をアップするから著作権を侵害するワケで、個人が同じ番組をすべて録画していれば、録画データに対してのコメント情報を共有するだけで、ニコニコ動画のような遊び方ができるようになる、ということなのだが…。
何しろ、いまのデジタル放送が始まって、まず著作権保護ありきで、ユーザーの利便性はまったく無視されつつあるように思う。もちろん著作権は保護されるべきものなのだが、せめてアナログ時代と同じ程度の使い勝手にしてもらうのが一番だと思うのだが、いかがだろうか。テレビ放送がデジタル化されて、何だかパソコン、AV機器を問わず、元気がなくなったように思うのは筆者だけではないはずだ。 そんな閉塞感をなにか面白いアイデアで打開する製品は出てこないだろうか?触るごとにむやみに高性能に感じるPS3が風穴を開けてくれないものかと、期待している。
(レポート:鈴木桂水)
筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら
メモステに記録したおでかけ動画はソニーの再生用ソフト「Memory Stick Video Player」(980円)があれば再生できることは知っていた。ただ筆者は勘違いしており、パソコンに通常のUSBリーダ・ライターを接続して、そこにPSPを使っておでかけ動画を記録したメモステをセットすれば再生できるものだと思っていた。
しかし実際は違った。地デジなどのデジタル放送を記録した場合は、著作権保護機能が働くので、専用のリーダライターでないと動画が再生できないのだ。
もちろんマジックゲート対応のバイオなどであれば対応機が存在し、こちらを選べばそのまま再生ができたのだろうが、筆者が使っているノートパソコンは東芝製の古いモデルなので、対応していない。そこで調べたところ、パソコンでメモステ動画を再生するには、Memory Stick Video Playerの他に、MSAC-US40が必要だということが判明した。
こうなるとまた自腹での購入になる。「あ〜たった一回のテストのためにぃ」と泣きたくなるが仕方がない。MSAC-US40をネットで探すと2千円台半ばで手にはいるが、急いでいるのでビックカメラで購入。なんとネットよりも1,000円も高い3,480円だった。う〜散財だ。
デジカメ用の汎用リーダ・ライターではエラーが出たが、MSAC-US40を接続すれば、問題なく再生…できるはずがまたもやエラー。調べるとMemory Stick Video Playerを利用するには、「ダイレクトX9」に対応したビデオカードがパソコン側に搭載されてないといけないらしい。筆者のPCは対応していないようで、あえなく撃沈。せっかくモバイルノートでおでかけ動画を楽しもうと思ったのだが、その夢は壊れてしまった。
最近のパソコンのスペックに疎いのだが、ダイレクトX9に対応したノートとMemory Stick Video Player、MSAC-US40があれば、筆者が計画していたノートパソコンでおでかけ動画を楽しむことも可能なようだ。またVAIOノートのマジックゲート対応モデルならば外付けのリーダ・ライター無しで利用できるので、よりスマートだろう。
さて、問題はMSAC-US40だ。せっかく買ったのに…、お笑いの「クールポコ」ではないが「やっちまったな〜」といった気分だ。ノートパソコンではダメだったが、一昨年、IntelのCore Duoを搭載したデスクトップを購入しており、それを実験機に使っている。これを使ってテストしたところ見事にMemory Stick Video Playerが動作した。このソフト、何気によくできており、PSPと同じくおでかけ動画にあらかじめ記録されているチャプター情報を読み込み、手動でスキップして楽しめる。見どころを見つけるには便利に使えそうだ。
19型のパソコンモニターだが、フルサイズよりもデフォルトの11型程度の画面で再生する方が、粗が目立たなかった。再生ソフトとMSAC-US40があれば、BDZシリーズで作成したおでかけ動画をパソコンで楽しめるメリットは大きい。
ついでなのでMSAC-US40をBDZ-A70、PS3に接続したところ、そのまま認識した。そう、ここでMSAC-US40があれば、PSPなしでもパソコンを中心としたミニマムシアターが構築できることに気がついた。筆者のようにPSPを持っている人でもMSAC-US40があれば、片方をBDZに接続して、動画を吸いだし、片方でMSAC-US40を使ってPS3へ動画を送り込むという作業が同時に行える。いや、単機能のメモリーリーダ・ライターとしてはむやみに高い気がしたMSAC-US40だが、結局、便利に使えることがわかってちょっとうれしくなった。PSPとMSAC-US40の両方を活用すれば、より効率よく、PS3に動画ライブラリーが作れそうだ。
■あらためてPS3の深遠なる魅力が実感された
ソニーのBDレコーダー“BDZシリーズ”とPS3、PSPを使って小さなシアターを構築してみようと言う試みで、いくつかの細かなテストを行ってきた。HDDの容量を節約しながら、動画のコレクションが作れる「おでかけ転送」機能は、あらためて便利だと感じた。
PS3はこうやって使うと、ほんとうにユニークなAV機器だと実感できる。海外ではオプションでデジタルチューナーが用意され、テレビの録画もできるというが、これはとても楽しそうだ。ただ、筆者はPS3につけるならワンセグチューナーがベストだと思っている。60GB/80GB程度の容量で、フルセグのテレビ番組を録画してもたかが知れており、実現しても便利には使えないだろう。かといって、「1TB搭載のPS3」というのが発売されても、これもまた売れそうにないだろう。
ならば、HDD容量が節約できるワンセグがベストだ。それも8チューナーを搭載してソニーのXビデオステーションのように「全局8日分の放送全部録り」なんてことができれば楽しいのではないだろうか?ユーザーは必要な番組だけを持ち出して見ればいい。また視聴のタグだけをネットで交換、共有できるコミュニティーを作ってしまえば、著作権保護を気にせずに、いわゆる「ニコニコ動画」的な楽しみ方も可能だ。
画像をアップするから著作権を侵害するワケで、個人が同じ番組をすべて録画していれば、録画データに対してのコメント情報を共有するだけで、ニコニコ動画のような遊び方ができるようになる、ということなのだが…。
何しろ、いまのデジタル放送が始まって、まず著作権保護ありきで、ユーザーの利便性はまったく無視されつつあるように思う。もちろん著作権は保護されるべきものなのだが、せめてアナログ時代と同じ程度の使い勝手にしてもらうのが一番だと思うのだが、いかがだろうか。テレビ放送がデジタル化されて、何だかパソコン、AV機器を問わず、元気がなくなったように思うのは筆者だけではないはずだ。 そんな閉塞感をなにか面白いアイデアで打開する製品は出てこないだろうか?触るごとにむやみに高性能に感じるPS3が風穴を開けてくれないものかと、期待している。
(レポート:鈴木桂水)
筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
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