映像ディレクター・飯塚克味氏選りすぐり!
家族で楽しみたいブルーレイタイトル
普段はお父さんが独占しているホームシアター。でも冬休みのこの時期だからこそ、子供たちとブルーレイで映画を一緒に楽しみたいと思っている方も多いのではないだろうか。 しかし、自分の趣味である大人向けの映画は詳しくても、子供たちが喜びそうなソフトはてんでお手上げ…なんて方もいるのでは? そんな方々に向け、今回は家族そろって安心して見ることができるソフトを集めてみた。
まず紹介したいのが、チャウ・シンチー監督・主演の『ミラクル7号』。貧しい父と子が、ある日、宇宙人の落し物(?)である謎の生物と知り合い、親交を深めていく物語。現代版『E.T.』と安易に片付けるなかれ。チャウ・シンチーならではの皮肉と、子供に大受け間違いなしの大アクションがふんだんに盛り込まれ、90分弱の上映時間が駈けるように過ぎていく。しかもラストは感涙必至!チャウ・シンチーの吹き替えは子供にはおなじみの山寺宏一。その子供、ディッキー役の声はクレヨンしんちゃんこと、矢島晶子だ。吹替え音声もドルビーTrueHDで収録されている。
夏に大ヒットしたドリームワークスのCGアニメ『カンフー・パンダ』も見る前は、思わずバカにしてしまいそうだが、意外とちゃんとしたカンフー・ドラマになっているのだから、やはり映画は見るまで分からない。ユニークなのが、師匠の設定。パンダを鍛えるシーフー師匠だが、彼もまたその上に導師を持つ存在で、つまり中間管理職的なポジションにある。パンダを鍛えつつ、自身も師匠として成長する、ふたつの成長物語が物語に深みを与えている。タレントとベテラン役者を揃えた吹替えの出来も非常に優れている。
CGアニメといえば、もうひとつ忘れて欲しくないのが、『ホートン/ふしぎな世界のダレダーレ』だ。日本の劇場ではほとんど知らない間に公開されていたが、全米では何と1億5000万ドルの超ヒット!ゾウのホートンがホコリの中にある小さな小さなダレダーレ国を発見し、それを何とか救おうとする話。いかにも複数民族で成り立っているアメリカらしい発想だが、親しみやすいキャラと、タイトルどおりの“ふしぎな”ビジュアルが見る者を虜にしてくれる。CGアニメとHD画質の相性のよさも見逃せない。
旧作アニメでは『ルパン三世 カリオストロの城』がイチオシだ。宮崎駿監督の初期の名作として知られる本作だが、初公開時には信じられないほどの不入りとなっていた。しかし再放送を繰り返される間に評価がウナギ登りになり、現在の地位を獲得するに至った。少年少女時代にこの作品に魅了されたお父さん、お母さんもいらっしゃるだろうが、ハイデフ映像で、親子で楽しめるようになるとは全く考えられなかったことだ。
アニメの王道、ディズニーでは英語、日本語ともにdts-HDの7.1chで収録された『眠れる森の美女』もお勧めだが、公開中の『WALL・E/ウォーリー』を子どもが気に入ったなら、『ピクサー・ショート・フィルム & ピクサー・ストーリー 完全保存版』を見てもらいたい。長編作品の前に上映される短編作品を集めたソフトだが、どれもクオリティが高いうえに、セリフを排除した動き重視の演出に、小さい子どもも絶対関心を示すはずだ。長時間の映画に馴れていない子どもには、是非映像の入門編として、こうした作品を見せてあげたいところ。小学校高学年なら、一緒に収録されているドキュメンタリーを見て、作り手の姿にも関心を持つかもしれない。
実写では日本のアニメ『マッハGoGoGo』をハリウッドが映画化した『スピード・レーサー』がある。劇場ではあまり話題にならなかったが、この色彩と音響は、ホームシアターでが最大限の魅力を発するはずだ。やり過ぎと評されたCGも、繰り返し見直すことで、その凄さがだんだんとわかってきた。
ジャッキー・チャンとジェット・リー共演の『ドラゴン・キングダム』も実は孫悟空を救いだす物語で、子どもと見るにはぴったりの内容になっている。アクション中心の宣伝をしていたため、そんな映画と思っていない人が多いようだが、これは間違いなく男の子向けのファミリー映画だ。ジャッキーの吹替えは、もちろん石丸博也。画質は言うことなしのパーフェクトクオリティ。
以上、駆け足で紹介したタイトル群だが、いずれも親子で楽しむに相応しい作品ばかり。年明けは、親子揃ってホームシアターで交流を深めてみてはいかがだろう?
飯塚克味:映像ディレクター。『ハリウッド・エクスプレス』(WOWOW)演出、『シネマ・コンシェルジュ』(スター・チャンネル)構成、『週間 SPA!』連載執筆など、映画への愛を胸に大活躍中!
まず紹介したいのが、チャウ・シンチー監督・主演の『ミラクル7号』。貧しい父と子が、ある日、宇宙人の落し物(?)である謎の生物と知り合い、親交を深めていく物語。現代版『E.T.』と安易に片付けるなかれ。チャウ・シンチーならではの皮肉と、子供に大受け間違いなしの大アクションがふんだんに盛り込まれ、90分弱の上映時間が駈けるように過ぎていく。しかもラストは感涙必至!チャウ・シンチーの吹き替えは子供にはおなじみの山寺宏一。その子供、ディッキー役の声はクレヨンしんちゃんこと、矢島晶子だ。吹替え音声もドルビーTrueHDで収録されている。
夏に大ヒットしたドリームワークスのCGアニメ『カンフー・パンダ』も見る前は、思わずバカにしてしまいそうだが、意外とちゃんとしたカンフー・ドラマになっているのだから、やはり映画は見るまで分からない。ユニークなのが、師匠の設定。パンダを鍛えるシーフー師匠だが、彼もまたその上に導師を持つ存在で、つまり中間管理職的なポジションにある。パンダを鍛えつつ、自身も師匠として成長する、ふたつの成長物語が物語に深みを与えている。タレントとベテラン役者を揃えた吹替えの出来も非常に優れている。
CGアニメといえば、もうひとつ忘れて欲しくないのが、『ホートン/ふしぎな世界のダレダーレ』だ。日本の劇場ではほとんど知らない間に公開されていたが、全米では何と1億5000万ドルの超ヒット!ゾウのホートンがホコリの中にある小さな小さなダレダーレ国を発見し、それを何とか救おうとする話。いかにも複数民族で成り立っているアメリカらしい発想だが、親しみやすいキャラと、タイトルどおりの“ふしぎな”ビジュアルが見る者を虜にしてくれる。CGアニメとHD画質の相性のよさも見逃せない。
旧作アニメでは『ルパン三世 カリオストロの城』がイチオシだ。宮崎駿監督の初期の名作として知られる本作だが、初公開時には信じられないほどの不入りとなっていた。しかし再放送を繰り返される間に評価がウナギ登りになり、現在の地位を獲得するに至った。少年少女時代にこの作品に魅了されたお父さん、お母さんもいらっしゃるだろうが、ハイデフ映像で、親子で楽しめるようになるとは全く考えられなかったことだ。
アニメの王道、ディズニーでは英語、日本語ともにdts-HDの7.1chで収録された『眠れる森の美女』もお勧めだが、公開中の『WALL・E/ウォーリー』を子どもが気に入ったなら、『ピクサー・ショート・フィルム & ピクサー・ストーリー 完全保存版』を見てもらいたい。長編作品の前に上映される短編作品を集めたソフトだが、どれもクオリティが高いうえに、セリフを排除した動き重視の演出に、小さい子どもも絶対関心を示すはずだ。長時間の映画に馴れていない子どもには、是非映像の入門編として、こうした作品を見せてあげたいところ。小学校高学年なら、一緒に収録されているドキュメンタリーを見て、作り手の姿にも関心を持つかもしれない。
実写では日本のアニメ『マッハGoGoGo』をハリウッドが映画化した『スピード・レーサー』がある。劇場ではあまり話題にならなかったが、この色彩と音響は、ホームシアターでが最大限の魅力を発するはずだ。やり過ぎと評されたCGも、繰り返し見直すことで、その凄さがだんだんとわかってきた。
ジャッキー・チャンとジェット・リー共演の『ドラゴン・キングダム』も実は孫悟空を救いだす物語で、子どもと見るにはぴったりの内容になっている。アクション中心の宣伝をしていたため、そんな映画と思っていない人が多いようだが、これは間違いなく男の子向けのファミリー映画だ。ジャッキーの吹替えは、もちろん石丸博也。画質は言うことなしのパーフェクトクオリティ。
以上、駆け足で紹介したタイトル群だが、いずれも親子で楽しむに相応しい作品ばかり。年明けは、親子揃ってホームシアターで交流を深めてみてはいかがだろう?
飯塚克味:映像ディレクター。『ハリウッド・エクスプレス』(WOWOW)演出、『シネマ・コンシェルジュ』(スター・チャンネル)構成、『週間 SPA!』連載執筆など、映画への愛を胸に大活躍中!