評論家・鳥居氏/一条氏が白熱トーク
ASCII.jp×Phile-webのコラボ企画!「ネットワーク」で変わるA&Vライフのこれから
“デジタルのASCII.jp”と“AV&ホームシアターのPhile-web”のコラボレーションが実現! デジタルAVの注目トピックをひとつ取り上げ、それぞれが得意とする切り口からアプローチする。共通のテーマは着眼点の違いで見え方がどう違うのか?デジタルファン/AVファンのこだわりとこだわりがぶつかり合う!
今回のテーマは「ネットワークでA&Vライフはどう変わる?」。テレビをネットにつないで「アクトビラ」を利用したり、DLNAで家の中のAV機器をシームレスにつないだり、DTCP-IP対応機で著作権保護コンテンツも家庭内ネットワークで楽しんだりなど、いまA&Vにとって「ネットワーク」は大きなキーワードだ。そこで気になるのは、「利便性とクオリティ」。評論家の鳥居一豊氏と一条真人氏が、ネットワークを取り巻く現状と今後の展望について大いに語った。(>>ASCII.jpの記事はこちらから:http://ascii.jp/elem/000/000/417/417726/)
■DTCP-IP、DLNA、アクトビラ……オーディオ&ビジュアルは「ネットワーク」でますます面白くなる
− 今やほぼ全ての薄型テレビはLAN端子を搭載していて、「アクトビラ」といったネットワークサービスに対応しています。またBDレコーダーなどでも、DLNAやDTCP-IPに対応する機器がどんどん増えてきています。これからのAV機器にとって「ネットワーク」はとても大きなキーワードになっているのではないでしょうか。
鳥居:そうですね。例えば最近出たI・Oデータ機器の「AV-LS500VX」は「アクトビラ・ビデオ フル」に対応していて、接続すればアクトビラ対応でないテレビでも視聴が可能になります。ウェブブラウジングもスムーズで快適。加えてDTCP-IPとDLNAに対応しています。これは便利ですよ。
一条:DTCP-IPに対応していれば、家中のさまざまな機器で、著作権保護付きのコンテンツも楽しめるというわけですから、確かに便利ですよね。
鳥居:これでPS3が地デジのネットワーク視聴にも対応してくれればなあ、と思います。
一条:それにはPS3がDLNA ver.1.5に対応することが必要ですね。僕が最近使ったなかでは、ソニーとパナソニックのBDレコーダーが面白かった。例えばソニーのBDZ-A950は、録画した番組や「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」で購入したコンテンツをPSPやウォークマンなどに転送して楽しめる“おでかけ転送”がある。パナソニックのDMR-BW950は、録画するとき12セグとワンセグ同時に録画してくれるから、SDカード経由でモバイルに転送して観られます。それに地デジとワンセグそれぞれダビング10対応だから、ひとつの番組を計2倍ムーブができるわけです。
− いまやテレビをオンタイムで観る人は少なくなっています。タイムシフトした沢山のコンテンツをより効率的に観るという点で、例えばポータブルデバイスに持ち出せたりするのはネットワークの恩恵と言える部分ですよね。
鳥居:そうなってくると必要なのは、ポータブルデバイスのクオリティ向上ですね。個人的には、ポータブルデバイスのクオリティはまだまだ、映画の視聴に耐えうるものではないと感じています。それと個人的には、ワンセグの視聴クオリティももっと高くなって欲しい。
一条:今ドコモと(株)モルフォが開発中のものに、ワンセグの解像度を4倍(320×240→640×480)にできるアップスケーリング技術があって、これを搭載したモデルが今年登場する見込み。それにワンセグチューナーも日進月歩で進化しているんです。フレーム補間機能を搭載するなど、確実に性能が向上しています。
■本件のリリースはこちら:http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080924_02.html
それと、I・OデータのUSBワンセグチューナー「GV-SC400」は良かったですよ。PCに挿すだけで利用できて、内蔵の4GBメモリへ番組録画もできる。ドライブディスクが必要ないのでネットブックでも使いやすいですし、すごく冴えた製品だなと思いました。
鳥居:ワンセグは放送フォーマットとして決まっているから、放送波自体のクオリティを高めることは難しいと思いますが、フレーム補間で、15fps→30fpsに変換なんてこともできますし、アップスケーリング技術と合わせて使えば随分クオリティは変わるでしょうね。
− 多くの人がテレビをオンタイムで見ないということは、「録画機能」も重要なポイントになりますよね。
一条:僕は、これからのレコーダーはHDDの交換や増設ができるといいなと思います。パイオニアが一時期やっていたけど、残念ながらなくなってしまいました。
鳥居:NASでレコーダーのHDDを増強したりできたら便利ですよね。それと、普及すればiVDRも面白い。
一条:リムーバブルなHDDをパパ用、ママ用など使い分けることができるのは便利でしょうね。
鳥居:あと、半導体メモリーも魅力的です。そのうち半導体レコーダーが主流になる時代が来るかも知れません。
一条:半導体の前に、レコーダーに搭載されたHDDが2.5型タイプになる方が先かも知れないですね。2.5型HDDは音も静かだし薄型化もできます。NASの2.5型モデルを使ってみたのですが、静音性のメリットを実感しますね。あと問題は容量と価格でしょう。
鳥居:レコーダーのほかには、薄型テレビにもHDD内蔵を標準化して録画ができるようにしてほしいですね。東芝のレグザがやっていることが僕の理想に近い。レコーダーをヘビーに使っている人はアーカイブ中心のマニア層で、一般の人はタイムシフト中心なのではないでしょうか。ライトユーザーのためには、テレビを中心に録画ができるなると便利なのではと思います。
レコーダーはレコーダーで、現状とても使いづらい。アーカイブをきちんとしたいから使うのに、編集機能が難しすぎると思うんですよね。ここは是非各社に頑張って欲しいところです。
− しかしNASが普及したり、テレビとレコーダー機能の統合化が進むと、単体レコーダーは無くなってしまうのでは?
一条:それはないと思いますよ。一番の理由は、テレビとレコーダーでは「速度」が違うから。例えばテレビは一度買ったら10年くらいは買い換えないユーザーが多いですが、レコーダーは数年単位で買い換える人もいる。だから、一般向けとマニア向けに二極化していくのではないかと思いますね。一般向けは複合機、マニア向けは単体機、という具合に。
今回のテーマは「ネットワークでA&Vライフはどう変わる?」。テレビをネットにつないで「アクトビラ」を利用したり、DLNAで家の中のAV機器をシームレスにつないだり、DTCP-IP対応機で著作権保護コンテンツも家庭内ネットワークで楽しんだりなど、いまA&Vにとって「ネットワーク」は大きなキーワードだ。そこで気になるのは、「利便性とクオリティ」。評論家の鳥居一豊氏と一条真人氏が、ネットワークを取り巻く現状と今後の展望について大いに語った。(>>ASCII.jpの記事はこちらから:http://ascii.jp/elem/000/000/417/417726/)
■DTCP-IP、DLNA、アクトビラ……オーディオ&ビジュアルは「ネットワーク」でますます面白くなる
− 今やほぼ全ての薄型テレビはLAN端子を搭載していて、「アクトビラ」といったネットワークサービスに対応しています。またBDレコーダーなどでも、DLNAやDTCP-IPに対応する機器がどんどん増えてきています。これからのAV機器にとって「ネットワーク」はとても大きなキーワードになっているのではないでしょうか。
鳥居:そうですね。例えば最近出たI・Oデータ機器の「AV-LS500VX」は「アクトビラ・ビデオ フル」に対応していて、接続すればアクトビラ対応でないテレビでも視聴が可能になります。ウェブブラウジングもスムーズで快適。加えてDTCP-IPとDLNAに対応しています。これは便利ですよ。
一条:DTCP-IPに対応していれば、家中のさまざまな機器で、著作権保護付きのコンテンツも楽しめるというわけですから、確かに便利ですよね。
鳥居:これでPS3が地デジのネットワーク視聴にも対応してくれればなあ、と思います。
一条:それにはPS3がDLNA ver.1.5に対応することが必要ですね。僕が最近使ったなかでは、ソニーとパナソニックのBDレコーダーが面白かった。例えばソニーのBDZ-A950は、録画した番組や「アクトビラ ビデオ・ダウンロード」で購入したコンテンツをPSPやウォークマンなどに転送して楽しめる“おでかけ転送”がある。パナソニックのDMR-BW950は、録画するとき12セグとワンセグ同時に録画してくれるから、SDカード経由でモバイルに転送して観られます。それに地デジとワンセグそれぞれダビング10対応だから、ひとつの番組を計2倍ムーブができるわけです。
− いまやテレビをオンタイムで観る人は少なくなっています。タイムシフトした沢山のコンテンツをより効率的に観るという点で、例えばポータブルデバイスに持ち出せたりするのはネットワークの恩恵と言える部分ですよね。
鳥居:そうなってくると必要なのは、ポータブルデバイスのクオリティ向上ですね。個人的には、ポータブルデバイスのクオリティはまだまだ、映画の視聴に耐えうるものではないと感じています。それと個人的には、ワンセグの視聴クオリティももっと高くなって欲しい。
一条:今ドコモと(株)モルフォが開発中のものに、ワンセグの解像度を4倍(320×240→640×480)にできるアップスケーリング技術があって、これを搭載したモデルが今年登場する見込み。それにワンセグチューナーも日進月歩で進化しているんです。フレーム補間機能を搭載するなど、確実に性能が向上しています。
■本件のリリースはこちら:http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080924_02.html
それと、I・OデータのUSBワンセグチューナー「GV-SC400」は良かったですよ。PCに挿すだけで利用できて、内蔵の4GBメモリへ番組録画もできる。ドライブディスクが必要ないのでネットブックでも使いやすいですし、すごく冴えた製品だなと思いました。
鳥居:ワンセグは放送フォーマットとして決まっているから、放送波自体のクオリティを高めることは難しいと思いますが、フレーム補間で、15fps→30fpsに変換なんてこともできますし、アップスケーリング技術と合わせて使えば随分クオリティは変わるでしょうね。
− 多くの人がテレビをオンタイムで見ないということは、「録画機能」も重要なポイントになりますよね。
一条:僕は、これからのレコーダーはHDDの交換や増設ができるといいなと思います。パイオニアが一時期やっていたけど、残念ながらなくなってしまいました。
鳥居:NASでレコーダーのHDDを増強したりできたら便利ですよね。それと、普及すればiVDRも面白い。
一条:リムーバブルなHDDをパパ用、ママ用など使い分けることができるのは便利でしょうね。
鳥居:あと、半導体メモリーも魅力的です。そのうち半導体レコーダーが主流になる時代が来るかも知れません。
一条:半導体の前に、レコーダーに搭載されたHDDが2.5型タイプになる方が先かも知れないですね。2.5型HDDは音も静かだし薄型化もできます。NASの2.5型モデルを使ってみたのですが、静音性のメリットを実感しますね。あと問題は容量と価格でしょう。
鳥居:レコーダーのほかには、薄型テレビにもHDD内蔵を標準化して録画ができるようにしてほしいですね。東芝のレグザがやっていることが僕の理想に近い。レコーダーをヘビーに使っている人はアーカイブ中心のマニア層で、一般の人はタイムシフト中心なのではないでしょうか。ライトユーザーのためには、テレビを中心に録画ができるなると便利なのではと思います。
レコーダーはレコーダーで、現状とても使いづらい。アーカイブをきちんとしたいから使うのに、編集機能が難しすぎると思うんですよね。ここは是非各社に頑張って欲しいところです。
− しかしNASが普及したり、テレビとレコーダー機能の統合化が進むと、単体レコーダーは無くなってしまうのでは?
一条:それはないと思いますよ。一番の理由は、テレビとレコーダーでは「速度」が違うから。例えばテレビは一度買ったら10年くらいは買い換えないユーザーが多いですが、レコーダーは数年単位で買い換える人もいる。だから、一般向けとマニア向けに二極化していくのではないかと思いますね。一般向けは複合機、マニア向けは単体機、という具合に。
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