「2010年を家庭用3D元年に」
パナソニック、2010年の家庭用3D機器発売に向け映画「AVATAR」をFOXと共同プロモ
これまで様々なニュースでお伝えしてきたとおり、パナソニックでは昨年のCEATEC以降、フルHD 3Dに対応したテレビやBDプレーヤーを各所でデモし、その技術力をアピールしている。
パナソニックが推進している「フルHD×2ch フレームシーケンシャル方式」は、右目用、左目用の1,920×1,080(最大60p)のフルHD映像を2ストリーム収録し、HDMIから同時出力。テレビ側ではこれを交互に表示する。ユーザーはテレビの映像切替タイミングと同期するアクティブシャッター方式のメガネをかけて映像を視聴するという方式だ。
パナソニックは同社がボードメンバーとなっているBlu-ray Disc Association(BDA)での規格化準備を進めており、年内には規格化を完了し、2010年には商品を発売する計画であることもすでにご紹介しているとおりだ。なお、本日の説明会でこのスケジュールが予定通り進んでいることも確認できた。9月4日からドイツで開催される「IFA2009」のBDAのプレスカンファレンスで、3D規格について何らかの発表があるという。
パナソニックの方式では、テレビとBDプレーヤーがともに3D表示に対応している必要があり、さらにHDMIコネクターやケーブルもVer1.4以上に対応することが必要となる。ただしHDMI Ver1.4の規格化はすでに完了しており、パナソニックから3D伝送に対応したHDMIケーブルも8月27日に発売される(関連ニュース)。またプラズマテレビでは60p×2の映像を表示することが比較的容易であり、プレーヤーを対応させる技術的なハードルもそれほど高くないという。
このような状況を受け、西口氏は「パナソニックはフルHD 3D技術の普及拡大を加速させている。映画における3D元年は2009年だが、2010年を家庭における3Dテレビの元年にしたい。来年にはAVATARなどの3D映画を家庭で楽しんでいただけるような環境を提案したい」と、来年の商品化に向けて計画が順調に進んでいることを強調した。
具体的に2010年のいつ頃に対応機器が発売されるかについては、蓄積デバイス事業戦略室室長の小塚雅之氏が「ハリウッドからは来年の秋には商売したい、それに間に合わせるように規格を作れと言われている」と説明。西口本部長も「具体的な発売時期はまだ公表できないが、いま言えるのは2010年のできるだけ早く提供したいということ」とコメント。これらの発言から、2010年の早い段階でフルHD 3D対応テレビやBDプレーヤーが発売される可能性はかなり高そうだ。
また小塚氏は、パナソニックが3Dに深く関わることになった経緯も紹介した。「20世紀フォックスに誘われて、2年ほど前にジェームズ・キャメロン監督の3D技術を見に行った。それまでは『こういう方向もあるのかな』という程度の認識だったが、撮影している内容、その構想に驚いた」という。その後本格的なパートナーシップを組み、前述のようにパナソニックのAV機器を制作現場に提供。代わりにキャメロン監督からは3D撮影のノウハウなどを吸収したという。
3D普及のための方策についても小塚氏は言及。「キャメロン監督の持論でもあるが、我々も3Dを本格的に普及させるためにはキラーコンテンツが必要と考えている。子供向けというイメージが強いアニメだけではなく、実写でこういう映画を作るのだったら3Dは『来るな』と確信した。手前味噌だが、我々の家庭用3D技術は一番進んでいると思う。自宅で実写映画の超大作を3Dで見られる時代がもうすぐやってくるということをアピールし、3Dの凄さを共有したい」と述べた。
なお本日の説明会には、20世紀フォックス 日本代表のJesse Lee氏も出席。Lee氏は「テクノロジーと映画は切り離すことのできない関係。特にジェームズ・キャメロン監督などにとっては、自分のビジョンを実現するために最新テクノロジーが必要となる。そういう意味で、パナソニックとAVATARはパーフェクトな関係だ。AVATARでは3D技術などテクノロジーの集合も重要な要素だが、それだけではなく、映画のあらゆる要素が盛り込まれている。一番重要なのは、人間の感情を揺さぶる感動が盛り込まれているということだ」と映画の内容に自信を示した。