テレビなどCPD分野の売上高は前年同期比36.5%減
ソニー、09年2Q連結業績を発表 - 損失計上も通期見通しは上方修正
ソニーは、2009年度第2四半期の連結業績を発表。同社代表執行役 副社長 CFOの大根田伸行氏らが業績を説明した。
今期の売上高および営業収入は、前年同期比19.8%マイナスの1兆6,612億円で326億円の営業損失を計上。純利益で263億円の損失となった。しかし、326億円の営業損失から持分法による投資損益123億円を控除し、構造改革費用328億円を戻し入れた営業損益は、黒字を達成し前年同期比増益となったことも発表された。
同社では、減収要因を世界的な景気低迷や円高などの影響によるものと説明。営業損益については、売上の減少にともない、売上原価および販売費・一般管理費の削減に努めたものの、円高による影響約770億円、構造改革費用の増加319億円、およびソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズを主とする持分法適用会社の業績悪化の影響135億円などにより、営業損益が悪化したと説明した。
分野別の営業概況については、同社広報センター長の神戸司郎氏が説明。テレビ、デジタルイメージング、オーディオ・ビデオの各事業などが含まれるコンスーマープロダクツ&デバイス(CPD)分野の売上は、前年同期比36.5%減少の7,999億円で、営業利益は前年同期比86.7%減の89億円だったことなどを明かした。
CPD分野については、価格競争の激化や販売台数の減少、および円高の影響を受けた液晶テレビ“BRAVIA”、コストダウンにより単価が下落したゲーム向けシステムLSI、世界的な景気低迷による販売台数の減少、円高および単価下落の影響を受けたコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」が減収となったという。
なお、同分野ではビデオカメラ“Handycam”も価格下落などで減収となったが、費用改革を進めたことや、裏面照射型CMOS「Exmor-R」などが好感されたことなどで前年同期並みの利益を確保した。
ゲームおよびPC・その他ネットワークビジネスなどの各事業が含まれるネットワークプロダクツ&サービス(NPS)分野の売上高は、前年同期比24.2%減少の3,526億円で、前年同期比182億円悪化となる588億円の営業損失を計上。この点について同社では、単価下落、売上台数の減少、および円高の影響によるPC“VAIO”の減収、そしてゲーム事業の減収によるものだと説明した。
BD、DVD、CDのディスク製造や放送・業務用機器などのB2B事業を含むB2B&ディスク製造分野の売上高は、前年同期比19.6%減少の1,246億円で、24億円の営業損失を計上。この点については、放送・業務用機器の売上が世界的な景気低迷にともなう先進諸国における事業環境の悪化により減少したこと、ディスク製造についても、円高の影響および単価が引き続き下落した影響を受けたことも分野全体の減収要因であるとした。
通期の見通しについては、当四半期の業績が上回ったことなどから上方修正したことを説明。営業損失を1,100億円から600億円に、純損失を1,200億円から950億円に、それぞれ7月時点の見通しよりも上方修正した。持分法による投資損失の控除および構造改革費用の戻し入れを考慮すると、1,100億円の純利益となる見通しだという。
以下、会見で行われた質疑応答の模様をお届けする。
Q.クリスマス商戦について、具体的にはどのように取り組んでいく考えなのか。
A.実質的にクリスマス商戦はもう始まっている。今の時点で何ができるかというと、春モデルをどれだけ前倒しでもってこられるかだ。テレビはサムスンなどのLEDバックライトにやられた。こうした点を反省して、そうしたモデルを前倒しでもってきて改善を図っていきたい。また、一方で固定費削減も行っている。そして長期的には3Dなどの問題も出てくるだろう。なお、地域的には中国や日本などアジアが好調だが、欧米が厳しい。ゲーム分野は好調で、クリスマス商戦に向けて重要な商品なので、今後も販売拡大していきたい。
Q.PS3についてコスト改革の進捗具合を教えて欲しい。
A.今の段階で、売上と原価の逆ザヤ比率が10数パーセントまで縮まっている。年末に向けては一桁台まで縮まるだろう。来期のどこかでPS3は黒字転換していくと見ている。
Q.テレビのサプライチェーンについて、パネルやコンポーネントなど具体的な部分についても教えて欲しい。
A.サプライチェーンの抜本的な見直しは、横串での改革を担当している中川副社長の下で進めている。時間がかかるが、かなり細かい部分までやっており、この1年間で相当縮小することができた。オペレーションの改善も進んでいると思っている。
Q.コスト削減については、資材調達での削減に関して9割のメドが立っているということだが、これらが第3四半期以降にどれだけ損益に貢献すると見ているのか。
A.ベンダーによってマチマチな部分があるため、四半期ごとに見るのは難しい。年間を通して目標達成を目指している。
Q.第1四半期と第2四半期は予想より上ブレしたとのことだが、計画を上回った具体的に事業などを教えて欲しい。
A.利益面では、DI関係やデバイス関係などが好調だった。CDP分野で150億円くらい良くなっている。ネットワークプロダクツ分野で100億円ほど上回っている。
Q.テレビやカメラ、PCなどの単価下落傾向は続くと見ているのか。また、それについての対策をどう考えているのか。
A.単価下落はほとんどのカテゴリで続くだろう。テレビは今期初めに20%くらいの下落と見ていたが結果的に24〜5%まで下落してしまった。来期も同じ傾向が続くだろう。機種にもよるが、テレビに限らず低価格化の傾向がある。ハイエンドよりもローエンド。PCやカムコーダーもそう。安い価格帯のものが増えている。それが全体の単価下落を加速させている。これらのことから、下落傾向はここしばらく続くと見ている。
Q.サムスンが今期は3,000億円の利益ということだった。ソニーとは差があるが、この差をどう分析しているのか。事業面とインフラ面から教えて欲しい。
A.サムスンの強みのひとつは、パネルを持っているのも大きな理由だろうと思っている。昔から持っているラインはかなり償却が進んでいる。それらを有利に使えている状況を、サムスングループ全体としても有利に使っているのではないか。また、ウォン安が有利に働いているというのもあるだろう。
ただ、今回基本的なところで我々が負けたのは、商品力やマーケティング力だと思う。そこは認めざるを得ない。LEDバックライトを使った液晶テレビは我々のほうが技術的には早かった。ただ、我々はこれをハイエンドモデルに適用したが、サムスンは量販価格帯にまで広げて打ち出してきた。このあたりの戦略的なやり方で差をつけられたというのがある。また、オペレーションそのものなども学ぶべきところが多い。次の春モデルで追いつこうというのが、まずやらなければいけないこと。3Dやその次のデバイスという時点ではその差を縮めていきたい。
Q.eブックリーダーなどもソニーのほうが市場投入が早かったと思う。このように、技術で先行してもビジネス的に成功しなかった製品もあると思うが、そのあたりの原因をどう分析しているか。
A.eリーダーについて、撤退せざるを得なかったのはいくつか理由があると思う。ひとつは、日本は携帯電話で文字を見る文化が強いということ。また、出版業界が日米でかなり違う。新刊もののタイミングや版権の問題などだ。それらについての読み間違いが、日本でアメリカほどeリーダーが発展しなかった理由だと思う。ただし、周囲がeブック化してくれば、日本にも再上陸の可能性はあると思う。投入のタイミングと場所について失敗したということもあったと思う。
eリーダービジネスは、ハードとサービスをどう組み合わせるかが問題。日本ではそこがうまくできなかった。海外では今のところ好調だ。新しいビジネスを作るチャレンジを行っている。
また、テレビに関してもコスト構造改革が進んでいる。この先は、付加価値を取れる商品なりビジネスにしていく。そのために、来年で言えば3Dなどを取り込んだビジネス、その先の強いキーデバイスを進めていく。
コスト改革やオペレーション改革は短期的な結果に反映できている。商品力や付加価値の創造については、若干時間を頂いているのが現状。来年に向けての仕込みもあるので、これらをしっかり花開かせたい。
Q.市場ではパネルの需給バランスが崩れるようなこともあった。ピークアウトの予想もでているが、今後の戦略としては量産モデルの価格面を狙っていくのか、それともハイエンドを狙うのか。
A.基本的には、ハイエンドのものは自分のところで付加価値をつけてやっていきたい。エントリーモデルなどは外部に出していってコストダウンを図るのが基本的な商品戦略だ。また、新興国にはまだまだマーケットがある。そうしたところに力を注いでいくという地域的な課題もあると思う。
Q.工場の売却について聞きたい。短期的な影響についてと、中期的なビジネスモデルの考え方を教えて欲しい。
A.ジェネラルな考え方は難しい。カテゴリで違うと思う。デジカメのように比較的に垂直統合型でやりやすいビジネスモデルもあるだろうし、パーツなどが外から入りやすいものはEMSを使うなどといったことが考えられる。テレビについては、方向性として外部に出す部分が増えていくと思う。デジカメの、特にハイエンドについては外部に出していくとは思っていない。
今期の売上高および営業収入は、前年同期比19.8%マイナスの1兆6,612億円で326億円の営業損失を計上。純利益で263億円の損失となった。しかし、326億円の営業損失から持分法による投資損益123億円を控除し、構造改革費用328億円を戻し入れた営業損益は、黒字を達成し前年同期比増益となったことも発表された。
同社では、減収要因を世界的な景気低迷や円高などの影響によるものと説明。営業損益については、売上の減少にともない、売上原価および販売費・一般管理費の削減に努めたものの、円高による影響約770億円、構造改革費用の増加319億円、およびソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズを主とする持分法適用会社の業績悪化の影響135億円などにより、営業損益が悪化したと説明した。
分野別の営業概況については、同社広報センター長の神戸司郎氏が説明。テレビ、デジタルイメージング、オーディオ・ビデオの各事業などが含まれるコンスーマープロダクツ&デバイス(CPD)分野の売上は、前年同期比36.5%減少の7,999億円で、営業利益は前年同期比86.7%減の89億円だったことなどを明かした。
CPD分野については、価格競争の激化や販売台数の減少、および円高の影響を受けた液晶テレビ“BRAVIA”、コストダウンにより単価が下落したゲーム向けシステムLSI、世界的な景気低迷による販売台数の減少、円高および単価下落の影響を受けたコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」が減収となったという。
なお、同分野ではビデオカメラ“Handycam”も価格下落などで減収となったが、費用改革を進めたことや、裏面照射型CMOS「Exmor-R」などが好感されたことなどで前年同期並みの利益を確保した。
ゲームおよびPC・その他ネットワークビジネスなどの各事業が含まれるネットワークプロダクツ&サービス(NPS)分野の売上高は、前年同期比24.2%減少の3,526億円で、前年同期比182億円悪化となる588億円の営業損失を計上。この点について同社では、単価下落、売上台数の減少、および円高の影響によるPC“VAIO”の減収、そしてゲーム事業の減収によるものだと説明した。
BD、DVD、CDのディスク製造や放送・業務用機器などのB2B事業を含むB2B&ディスク製造分野の売上高は、前年同期比19.6%減少の1,246億円で、24億円の営業損失を計上。この点については、放送・業務用機器の売上が世界的な景気低迷にともなう先進諸国における事業環境の悪化により減少したこと、ディスク製造についても、円高の影響および単価が引き続き下落した影響を受けたことも分野全体の減収要因であるとした。
通期の見通しについては、当四半期の業績が上回ったことなどから上方修正したことを説明。営業損失を1,100億円から600億円に、純損失を1,200億円から950億円に、それぞれ7月時点の見通しよりも上方修正した。持分法による投資損失の控除および構造改革費用の戻し入れを考慮すると、1,100億円の純利益となる見通しだという。
以下、会見で行われた質疑応答の模様をお届けする。
Q.クリスマス商戦について、具体的にはどのように取り組んでいく考えなのか。
A.実質的にクリスマス商戦はもう始まっている。今の時点で何ができるかというと、春モデルをどれだけ前倒しでもってこられるかだ。テレビはサムスンなどのLEDバックライトにやられた。こうした点を反省して、そうしたモデルを前倒しでもってきて改善を図っていきたい。また、一方で固定費削減も行っている。そして長期的には3Dなどの問題も出てくるだろう。なお、地域的には中国や日本などアジアが好調だが、欧米が厳しい。ゲーム分野は好調で、クリスマス商戦に向けて重要な商品なので、今後も販売拡大していきたい。
Q.PS3についてコスト改革の進捗具合を教えて欲しい。
A.今の段階で、売上と原価の逆ザヤ比率が10数パーセントまで縮まっている。年末に向けては一桁台まで縮まるだろう。来期のどこかでPS3は黒字転換していくと見ている。
Q.テレビのサプライチェーンについて、パネルやコンポーネントなど具体的な部分についても教えて欲しい。
A.サプライチェーンの抜本的な見直しは、横串での改革を担当している中川副社長の下で進めている。時間がかかるが、かなり細かい部分までやっており、この1年間で相当縮小することができた。オペレーションの改善も進んでいると思っている。
Q.コスト削減については、資材調達での削減に関して9割のメドが立っているということだが、これらが第3四半期以降にどれだけ損益に貢献すると見ているのか。
A.ベンダーによってマチマチな部分があるため、四半期ごとに見るのは難しい。年間を通して目標達成を目指している。
Q.第1四半期と第2四半期は予想より上ブレしたとのことだが、計画を上回った具体的に事業などを教えて欲しい。
A.利益面では、DI関係やデバイス関係などが好調だった。CDP分野で150億円くらい良くなっている。ネットワークプロダクツ分野で100億円ほど上回っている。
Q.テレビやカメラ、PCなどの単価下落傾向は続くと見ているのか。また、それについての対策をどう考えているのか。
A.単価下落はほとんどのカテゴリで続くだろう。テレビは今期初めに20%くらいの下落と見ていたが結果的に24〜5%まで下落してしまった。来期も同じ傾向が続くだろう。機種にもよるが、テレビに限らず低価格化の傾向がある。ハイエンドよりもローエンド。PCやカムコーダーもそう。安い価格帯のものが増えている。それが全体の単価下落を加速させている。これらのことから、下落傾向はここしばらく続くと見ている。
Q.サムスンが今期は3,000億円の利益ということだった。ソニーとは差があるが、この差をどう分析しているのか。事業面とインフラ面から教えて欲しい。
A.サムスンの強みのひとつは、パネルを持っているのも大きな理由だろうと思っている。昔から持っているラインはかなり償却が進んでいる。それらを有利に使えている状況を、サムスングループ全体としても有利に使っているのではないか。また、ウォン安が有利に働いているというのもあるだろう。
ただ、今回基本的なところで我々が負けたのは、商品力やマーケティング力だと思う。そこは認めざるを得ない。LEDバックライトを使った液晶テレビは我々のほうが技術的には早かった。ただ、我々はこれをハイエンドモデルに適用したが、サムスンは量販価格帯にまで広げて打ち出してきた。このあたりの戦略的なやり方で差をつけられたというのがある。また、オペレーションそのものなども学ぶべきところが多い。次の春モデルで追いつこうというのが、まずやらなければいけないこと。3Dやその次のデバイスという時点ではその差を縮めていきたい。
Q.eブックリーダーなどもソニーのほうが市場投入が早かったと思う。このように、技術で先行してもビジネス的に成功しなかった製品もあると思うが、そのあたりの原因をどう分析しているか。
A.eリーダーについて、撤退せざるを得なかったのはいくつか理由があると思う。ひとつは、日本は携帯電話で文字を見る文化が強いということ。また、出版業界が日米でかなり違う。新刊もののタイミングや版権の問題などだ。それらについての読み間違いが、日本でアメリカほどeリーダーが発展しなかった理由だと思う。ただし、周囲がeブック化してくれば、日本にも再上陸の可能性はあると思う。投入のタイミングと場所について失敗したということもあったと思う。
eリーダービジネスは、ハードとサービスをどう組み合わせるかが問題。日本ではそこがうまくできなかった。海外では今のところ好調だ。新しいビジネスを作るチャレンジを行っている。
また、テレビに関してもコスト構造改革が進んでいる。この先は、付加価値を取れる商品なりビジネスにしていく。そのために、来年で言えば3Dなどを取り込んだビジネス、その先の強いキーデバイスを進めていく。
コスト改革やオペレーション改革は短期的な結果に反映できている。商品力や付加価値の創造については、若干時間を頂いているのが現状。来年に向けての仕込みもあるので、これらをしっかり花開かせたい。
Q.市場ではパネルの需給バランスが崩れるようなこともあった。ピークアウトの予想もでているが、今後の戦略としては量産モデルの価格面を狙っていくのか、それともハイエンドを狙うのか。
A.基本的には、ハイエンドのものは自分のところで付加価値をつけてやっていきたい。エントリーモデルなどは外部に出していってコストダウンを図るのが基本的な商品戦略だ。また、新興国にはまだまだマーケットがある。そうしたところに力を注いでいくという地域的な課題もあると思う。
Q.工場の売却について聞きたい。短期的な影響についてと、中期的なビジネスモデルの考え方を教えて欲しい。
A.ジェネラルな考え方は難しい。カテゴリで違うと思う。デジカメのように比較的に垂直統合型でやりやすいビジネスモデルもあるだろうし、パーツなどが外から入りやすいものはEMSを使うなどといったことが考えられる。テレビについては、方向性として外部に出す部分が増えていくと思う。デジカメの、特にハイエンドについては外部に出していくとは思っていない。