日本国内への登場にも期待
【CES】評論家・会田肇が出会った! − 今年のCESでデビューした注目のビデオカメラ最新モデル
例年、インターナショナルCESは各社ビデオカメラのニューモデルがデビューする場としてすっかり定着した。1月は商談をスタートするにもキリの良い時期であると同時に、日本市場に対しても最もビデオカメラの需要が高まる春を控えていることもある。つまり、CESはビデオカメラを発表する場としてグローバルな視点でも格好のイベントというわけだ。
そうした中、今年も各社が自慢のニューモデルを一斉に発表し、世界に先がけてその姿を披露した。ただし、ディスプレイが日本と韓国の一騎打ち的な様相を見せていたのに対し、ビデオカメラではサムソンがメモリー型ビデオカメラを投入しているぐらいで他でとくに目立った動きはない。日本のメーカーにしてもソニーやパナソニック、ビクター、キヤノン、三洋の5社。メーカーの数としてはそれほど多くはなく、言い換えれば日本の5社で世界のほとんどのビデオカメラ市場を押さえていると言っても過言ではないのだ。
そんな中で“3D”時代に先駆けるトピックとなったのが、業務用とはいえパナソニックが二眼一体式の3Dビデオカメラの今秋発売予定を明らかにしたことだ。価格は「220万5000円」といかにも業務用らしい値付けだが、最初の商品としては破格な値付けであるのは確か。ソニーもこの秋には投入する考えを表明しており、早くも3Dビデオカメラの前哨戦が始まったような印象を受ける。ただ、これが家庭用に反映されるかとなれば、そう簡単にはいかない。ハード面のコストの問題もあろうが、3D映像を撮影するには何よりもその効果を上手に引き出せることが求められる。これを一般ユーザーに求めるのは酷であり、それよりも先に2D映像を3Dに変換する技術を確立させることが先決だろう。
さて、市販モデルに目を向けると、強いのはやはりソニーである。昨年、ソニーは世界で初めて裏面照射型CMOSセンサーを搭載したモデルを投入し、GPS機能やアクティブモード手ぶれ補正など、魅力的な機能をビデオカメラに数多く備えた。これが起爆剤となり、世界中で大ヒットとなった。今年はそういった昨年のフィーチャーをより幅広い機種に投入。ラインナップの見直しも図り、抜けのないラインナップ作りを進めたという。
今年のソニー機で目を引いたのは広角端での画角を大きく広げたことだ。従来、ビデオカメラは重量とレンズのバランス上、広角端をデジカメのように広げるのは難しいと、まことしやかに囁かれていた。しかし、ソニーは上位機種で従来の43mmから29.8mm相当にまでこれを拡大。ズーム倍率は同じなので望遠端での焦点距離が短くなってしまうが、撮影のしやすさは格段に向上したと言えるだろう。パナソニックも最新モデルで35.7mmを実現するなど、ビデオカメラでも広角端の広がりは進んでいきそうだ。
高画質化への動きにも目は離せない。これまでビクターやキヤノンがいち早く記録ビットレート「24Mbps」を実現していたが、ソニーやパナソニックは、保存上のことも考えて最高でも「17Mbps」としていた。これはDVDレコーダーを使うユーザーの立場を考慮しての対応だった。しかし、BDレコーダーの普及が進んだことで、ソニーはついに24Mbpsの採用に踏み切った。残るパナソニックも新たな方法を打ち出してくると見られる。
高画質化では撮像素子自体の感度アップによって低ノイズ化を目指す動きも急だ。これは言うまでもなくソニーが開発した裏面照射型CMOSセンサーがきかっけだが、今年はいよいよそのデバイスが他社へも広がり始めた。ビクターは、ソニー以外では初となる裏面照射型CMOSセンサー採用メーカーとなった。キヤノンやパナソニックも低照度時でのノイズ抑制をテーマに映像エンジン側で改良を加えており、低ノイズでの競争は一段と激しさを増していきそうだ。
小型化への動きもある。昨年、ビクターはGZ-HD300等でその小ささがユーザーに評価され、シェアを大きく伸ばした。その流れを踏襲してビクターはラインナップを拡大。小型で小さく、しかも裏面照射型CMOSセンサーの採用で画質も良いビデオカメラを実現した。これまでは「小型モデル=画質はイマイチ」というパターンが多かったが、今年はそんな概念を打ち破る年になるかもしれない。
機能面での充実化もいっそう進み始めている。ボケがきれいな虹彩絞りのレンズを搭載するカメラは昨年ソニーが上位機種で実現していたが、今年はキヤノンも同様の機能を備える機種をラインナップ。再生時の楽しさを高める機能の搭載も相次いだ。また、操作系ではキヤノンがタッチパネル機能を新採用。よりiPhone のようなタテヨコの動きで操作できるように工夫するなど、タッチパネル方式のあり方を提案する一つの方法として注目できる。一方、個人的にはもっと進むかと思っていたGPS機能は意外に搭載が進まなかった。カメラ本体に搭載しているのは今年もソニーだけで、他にはビクターがBluetoothを介して外部GPSユニットの連携を実現しているぐらい。デジカメで採用が進み始めているのとは対照的な傾向だ。
価格面で昨年のように驚くほどの“デフレ”状態が再燃するかどうかは経済状況次第で未知数だが、商品的には今までになく魅力的なモデルが出揃った感があるのは確か。ビデオカメラ全体の需要が伸び悩む中、購入を検討している方々にとってはこれまで以上に魅力ある年になると思う。
そうした中、今年も各社が自慢のニューモデルを一斉に発表し、世界に先がけてその姿を披露した。ただし、ディスプレイが日本と韓国の一騎打ち的な様相を見せていたのに対し、ビデオカメラではサムソンがメモリー型ビデオカメラを投入しているぐらいで他でとくに目立った動きはない。日本のメーカーにしてもソニーやパナソニック、ビクター、キヤノン、三洋の5社。メーカーの数としてはそれほど多くはなく、言い換えれば日本の5社で世界のほとんどのビデオカメラ市場を押さえていると言っても過言ではないのだ。
そんな中で“3D”時代に先駆けるトピックとなったのが、業務用とはいえパナソニックが二眼一体式の3Dビデオカメラの今秋発売予定を明らかにしたことだ。価格は「220万5000円」といかにも業務用らしい値付けだが、最初の商品としては破格な値付けであるのは確か。ソニーもこの秋には投入する考えを表明しており、早くも3Dビデオカメラの前哨戦が始まったような印象を受ける。ただ、これが家庭用に反映されるかとなれば、そう簡単にはいかない。ハード面のコストの問題もあろうが、3D映像を撮影するには何よりもその効果を上手に引き出せることが求められる。これを一般ユーザーに求めるのは酷であり、それよりも先に2D映像を3Dに変換する技術を確立させることが先決だろう。
さて、市販モデルに目を向けると、強いのはやはりソニーである。昨年、ソニーは世界で初めて裏面照射型CMOSセンサーを搭載したモデルを投入し、GPS機能やアクティブモード手ぶれ補正など、魅力的な機能をビデオカメラに数多く備えた。これが起爆剤となり、世界中で大ヒットとなった。今年はそういった昨年のフィーチャーをより幅広い機種に投入。ラインナップの見直しも図り、抜けのないラインナップ作りを進めたという。
今年のソニー機で目を引いたのは広角端での画角を大きく広げたことだ。従来、ビデオカメラは重量とレンズのバランス上、広角端をデジカメのように広げるのは難しいと、まことしやかに囁かれていた。しかし、ソニーは上位機種で従来の43mmから29.8mm相当にまでこれを拡大。ズーム倍率は同じなので望遠端での焦点距離が短くなってしまうが、撮影のしやすさは格段に向上したと言えるだろう。パナソニックも最新モデルで35.7mmを実現するなど、ビデオカメラでも広角端の広がりは進んでいきそうだ。
高画質化への動きにも目は離せない。これまでビクターやキヤノンがいち早く記録ビットレート「24Mbps」を実現していたが、ソニーやパナソニックは、保存上のことも考えて最高でも「17Mbps」としていた。これはDVDレコーダーを使うユーザーの立場を考慮しての対応だった。しかし、BDレコーダーの普及が進んだことで、ソニーはついに24Mbpsの採用に踏み切った。残るパナソニックも新たな方法を打ち出してくると見られる。
高画質化では撮像素子自体の感度アップによって低ノイズ化を目指す動きも急だ。これは言うまでもなくソニーが開発した裏面照射型CMOSセンサーがきかっけだが、今年はいよいよそのデバイスが他社へも広がり始めた。ビクターは、ソニー以外では初となる裏面照射型CMOSセンサー採用メーカーとなった。キヤノンやパナソニックも低照度時でのノイズ抑制をテーマに映像エンジン側で改良を加えており、低ノイズでの競争は一段と激しさを増していきそうだ。
小型化への動きもある。昨年、ビクターはGZ-HD300等でその小ささがユーザーに評価され、シェアを大きく伸ばした。その流れを踏襲してビクターはラインナップを拡大。小型で小さく、しかも裏面照射型CMOSセンサーの採用で画質も良いビデオカメラを実現した。これまでは「小型モデル=画質はイマイチ」というパターンが多かったが、今年はそんな概念を打ち破る年になるかもしれない。
機能面での充実化もいっそう進み始めている。ボケがきれいな虹彩絞りのレンズを搭載するカメラは昨年ソニーが上位機種で実現していたが、今年はキヤノンも同様の機能を備える機種をラインナップ。再生時の楽しさを高める機能の搭載も相次いだ。また、操作系ではキヤノンがタッチパネル機能を新採用。よりiPhone のようなタテヨコの動きで操作できるように工夫するなど、タッチパネル方式のあり方を提案する一つの方法として注目できる。一方、個人的にはもっと進むかと思っていたGPS機能は意外に搭載が進まなかった。カメラ本体に搭載しているのは今年もソニーだけで、他にはビクターがBluetoothを介して外部GPSユニットの連携を実現しているぐらい。デジカメで採用が進み始めているのとは対照的な傾向だ。
価格面で昨年のように驚くほどの“デフレ”状態が再燃するかどうかは経済状況次第で未知数だが、商品的には今までになく魅力的なモデルが出揃った感があるのは確か。ビデオカメラ全体の需要が伸び悩む中、購入を検討している方々にとってはこれまで以上に魅力ある年になると思う。