iPhone 5にはノーコメント
KDDI 田中社長、これからのauは「未来は選べる」がキーワード − 動画版「LISMO unlimited」も示唆
■「LISMO unlimited」での動画配信も示唆 − iPhone 5についてはノーコメント
続いて田中氏は、「もっと写真を楽しんで欲しい=フォトコミュニケーション」という観点で「写真を通した楽しみ方」を充実させる新サービス「au one Photo Air powered by Eye-Fi」を紹介した(関連ニュース)。スマホで撮った写真・動画を自動でPCにバックアップできるもので、これにあわせて大容量クラウドストレージを来春にリリース予定であることも明かした。
さらに、6月にサービスを開始したクラウド型音楽配信サービス「LISMO unlimited」について、着うたフルの購入未経験者が全ユーザー中の46%以上を占めているというユーザー調査の結果を発表。1ユーザーにつき、1日で平均26曲を聴いているという。「定額で聴き放題にしたことで、音楽が好きだけれど課金コンテンツに躊躇のあったユーザーのバリアを外したと思う。ちょうどauが携帯のパケット定額を導入したときのような感覚だ。auとしてはこの路線をしっかりキープしたい」と述べ、本サービスで音楽に続き映像コンテンツを扱うことも示唆した。
また、スマホ初心者に向けた「ついっぷるトレンド」「Sockets LIVE」「NAVERまとめ」など、ネット上の情報をまとめて表示してアクセスできるサービスや、セキュリティ対策とユーザーサポートをパックにした「安心セキュリティパック」の提供なども発表。「フィーチャフォンからスマホに買い替えるユーザーに、もっと安心や使いやすさを提供したい。そのために、こういったきめ細かな提案もしたい」とした。なお、「安心セキュリティパック」は、今回発表のARROWS Z/AQUOS Phone IS13SH/DINGO ISW11K/MEDIAS BR IS11Nの4機種が対象でアプリがプリインストールされており、既存機種を含めたそれ以外のモデルではトレンドマイクロの「ウイルスバスター モバイル for au」のみ利用可能となる。
また、10月13日よりauのアプリマーケット「au one Market」の機能も拡張。10月中旬にはPC版を提供開始し、PCからのアプリ購入を可能とするほか、SNSサービスを介してアプリ情報を共有することができるようになる。また、フィーチャーフォンでは「EZボタン」を押すと表示される「EZコンテンツ」のメニューにスマホからアクセスできる、「au oneサービスメニュー」をau oneポータルサイト内に新設。フィーチャーフォンからスマホに乗り換えたユーザーの使い勝手を高める狙いだ。フィーチャーフォン用アプリのスマホ版の拡充も予定している。引き続き全機種で緊急地震速報にも対応する。
さらに新料金プランとして、au同士で午前1時〜午後9時の間は通話料が無料になる「プランZシンプル」の提供開始を発表。これまでSNSなどネット上のコミュニケーションツールとの連携に力を入れてきたが、今回は「ともだちコミュニケーション、略して“ともコミ”」をコンセプトに、通話料を安くすることで友達同士の「音声」コミュニケーションサポートにも力を入れていく考えだという。
最後に田中氏は、「auのこれからはどうなるのか?」と自ら語り、「“これからこうなったら良いね”という思い、つまり“欲しい未来”はユーザー個人個人で違うと私は思う。もはや製品提供側の論理を押しつけるのではなく、ユーザーが自ら製品を選ぶ時代に来ている。そのとき私たち提供側はちゃんとユーザーの希望に応えられるのか? それが一番重要なことだ。私たちはそれにしっかり応え、auユーザーが選べる未来を届けたい」と結んだ。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q:WiMAXのオフロード効果は?
A:EVOユーザーの中で8割がWiMAXを使用している。まだネットワークには余裕があるが、将来的なことを考えれば2013〜4年には3G以外へと色々なオフロード施策を進めていかなくてはいけない
Q:台風の日に大規模なシステム障害が起きたが、原因は何だったのか?再発防止策は?
A:原因は、ユーザーのアクセスが通常時の9割に膨れたところでバグがおき、システムダウンを引き起こした。現在バグの対処をしている。当件については、改めてユーザーの皆さまにお詫び申し上げたい。
Q:スマホのラインナップが増えたが、販売店などのサポート体制はどうなっているのか。
A:この点はサービス品質の重要なパラメーターだと考えている。我々がこれまでに培ったものを販売店にフィードバックし、ちゃんと店頭でユーザーが「選べる」環境を作り上げていきたい。
Q:新製品のフィーチャーフォンが3機種しかないが、これで「選べる」と言えるのか。
A:ユーザー調査を行うと、多数のユーザーがスマホにシフトしており、スマホにバラエティを求めている状態だと認識している。数年経つと、フィーチャーフォンの割合は2割程度になるのではと考える。フィーチャーフォンも引き続き展開していくが、スマホでいかにきめ細やかな部分まで対応できるかがまず課題と考えている。
Q:「プランZシンプル」を採用することで、減収への影響はあるのか。
A:auでは既に家族割引や指名通話定額などの割引サービスを提供してきている。既存の割引サービスの浸透具合が進んでおり、業績面のインパクトがそれほど大きくないだろうということでこのタイミングに「プランZシンプル」を提供開始することとなった。音声側の設備の余裕もまだ充分にある。
Q:auが純増数で他キャリアを逆転するための戦略は何か。
A:指標として現れるのはMNPの差だが、この1年の展開によって流出が減少している。ネットワーク面では、ドコモは「Xi」を打ち出しているが、我々はWiMAXのエリアカバレッジの広さで競っていけると思う。
なお、先日一部で同社がアップルのスマートフォン「iPhone 5」を販売すると報じられた件についてコメントを求められた田中氏は、「困ってしまう」と笑いながら、「先週から色々な記事が出ていますが発言は差し控えます」とノーコメントを貫いた。