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開発キット「DLP LightCrafter」も発表

TI、DLP技術のマルチデバイス化を加速 − 家庭用4Kチップの展開にも言及

公開日 2012/02/10 18:02 ファイル・ウェブ編集部
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テキサス・インスツルメンツは、同社のDLPテクノロジーにおける開発の現状と今後の展開について、記者発表会を行った。

テキサス・インスツルメンツ・インコーポレイテッド DLP事業部 シニア・バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャー ケント・ノバック氏は、ホームシアターやビジネス、教育などの“フロントプロジェクター”分野における同社DLP技術の積極的な展開と、デジタルシネマ事業が堅調に伸長していることをアピールした。

ケント・ノバック氏

■3D映画の登場で、デジシネが大きく伸長 − 家庭用4Kの技術的アイデアも

同社は本日付で、全世界のシネマスクリーンの50%以上が、フィルムから「DLP cinemaテクノロジー」採用デジタルシネマに移行したことを発表。「デジタルシネマへの移行には、映画『アバター』に代表される“3D映画”のリリースが大きく影響したといえる。デジタル形式でのみ配給される映画がどんどん多くなっていくであろうことから、デジタルシネマ事業は今後も堅調に伸びると思う」とノバック氏はコメントした。

全世界のシネマスクリーンの50%以上が、「DLP cinemaテクノロジー」採用のデジシネに移行したと発表

また、近年で一番大きく成長したという教育分野についても、同社で多くのリソースを投入してきたことを述べ「今後のさらなる伸長に期待できる分野だ」とした。

さらに、フロントプロジェクションやデジタルシネマ事業で培った技術を、携帯電話などコンシューマー向けの小型デバイスに展開する「DLP Picoテクノロジー」を使った「DLP Picoプロジェクション」事業についても紹介。ノバック氏は「スマートフォンやメディアプレーヤーなど様々なデバイスの登場や、ストリーミング配信映像を楽しむスタイルの拡大によって、DLP Picoプロジェクションの市場規模はさらに拡大すると思う」と述べた。

会場には、世界中で展開されているDLP Pikoテクノロジー採用製品が並んだ。写真は中国で発売されている3.5mmステレオミニ入力を備える小型プロジェクターPraytech「i9」

iPhoneのジャケットタイプ

また、同社は4K技術にも取り組んでおり、デジタルシネマ向け4Kチップを去年から出荷開始している。なお、ホームシアター向けの4K技術については「技術的なアイデアは既に出ている」としながら、「ホームシアター向けの4Kソースが出るまでにはあと数年かかるのではないかと思う。私たちとしては、技術的なサポート体制は用意しておいて、家庭で4Kコンテンツを楽しめる環境が整ったら、具体的に製品向けに落とし込んでいく姿勢だ」とコメントした。

■DLP Picoテクノロジーのさらなる拡充へ − マルチデバイス・非ディスプレイ分野へも

続いて発表会には、日本テキサス・インスツルメンツ(株)営業・技術本部DLP部 部長 大原一浩氏が登壇。本日発表の空間光変調アプリケーション開発用の開発キット「DLP LightCrafter」の紹介とともに、DLP LightCrafterに使用された DLP Picoテクノロジーの今後の展開について説明した。

大原一浩氏

DLP LightCrafterは、超小型プロジェクション技術であるDLP Picoテクノロジーの処理性能と応答速度をより引き上げ、三次元計測や分光など幅広い産業機器に応用可能としたもの。

DLP LightCrafterのデモのようす

「DLP Picoテクノロジーのさらなる拡充に向け、私たちは“明るさ”と“消費電力”を一番の開発テーマに取り組んでいる。実際に携帯電話向けの技術は、開発当初は5ルーメンだったのに対し、2011年段階で10ルーメンの明るさを確保するまで性能を進化させた。2012〜2013年には20ルーメン以上を目指したい」と開発姿勢を説明した。

また、DLP Picoテクノロジー搭載機器の大きな成功例として、デジカメやムービーカメラといった、本体に画像や動画コンテンツを有する製品を挙げ、さらに今後はiPhoneやAndroidスマートフォンなど既存のモバイル端末にDLPプロジェクターを融合させていく思想を表した。

会場ではニコン“COOLPIX”「S1200pj」での投射デモも実施

そのほか、産業機器や医療機器、セキュリティ機器、車載端末など様々な“非ディスプレイ”分野へも、DLP事業を積極的に展開していく姿勢を明らかにした。単にコンシューマー向け製品を産業用にするだけではなく、コスト面にも配慮しながら開発者側のメリットに配慮して改良を行っていくという。大原氏は、「非ディスプレイ用の技術も、従来のDLP技術を採用されているメーカー様にとって新たな付加価値となるものにしていきたい。“光あるところにDLPあり”といえるくらい、非常に幅広い分野にDLPが応用されていく。今後も積極的に開発を推進したい」と結んだ。

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