「テレビ事業の収益性は想定以上に改善」
【更新】ソニー、11年度は4,567億円の赤字 − 今年度は黒字転換と予想
■2012年度は黒字転換を予想 − 『3つの黒字化』が経営課題
2012年度の連結業績予想については、震災やタイ洪水からの影響が回復することが見込まれること、また、ソニーモバイルの数値が年間を通して連結されることから、通期売上高が前期比14%増の7兆4,000億円と予想。営業損益は液晶テレビでの損失の大幅に縮する見込みであることも含めて1,800億円の利益を見込み、純利益では300億円と大幅増を見込む。テレビ事業の赤字幅圧縮については「特に手応えがある」という。
CPS分野について見ると、液晶テレビは数量を追わず、収益構造の改善に向け改革を行うことから減収を見込む。だがデジタルイメージング製品やPCがタイの洪水や東日本大震災の影響から回復することから、CPS分野全体では前期比で大幅な増収を見込む。営業損益も大幅な損失縮小を見込んでいる。
説明会に出席した同社執行役 EVP CFOの加藤優氏は「CPS分野をいかに立て直すかがソニーの喫緊の課題だ」とコメント。「2012年度はエレクトロニクス再生にとって大変重要な年だと認識している」と言葉を続けた。
そして、テレビ事業について「収益改善プランでは2011年度1,750億円の損失を見込み、2012年に半減させ、2013年に黒字化としていた。2011年は前述のように、この収益改善プランより270億円少ない1480億円だった」と説明し、「2012年度の損失額はその半分以下の800億円前後となる見込み」だと説明。「改善プランは当初の予定通り順調に進んでいる」と述べた。
パネルの調達についても、「S-LCD合弁解消によって、入手するパネルの価格も市場に合わせたものになり、その効果はすでに出てきている」と説明。「そのほか固定費削減も一段と進める」とし、これらによる具体的な進捗が見えてきているため、損失圧縮に対して手応えを感じていると述べた。
なお、テレビ事業での今年度の見通しについては「数を追わず収益重視という方針に基づき、台数を低めに見ている。それに伴い売上高は1,000億円くらい前年度より低くなるのではないかと見ている」と説明。
また、地域別では日本は地デジ移行が済み、欧米もテレビは市況が活発でないことから先進国の比率が低くなると予測。「我々がやっていかねばならないのが新興国での売上拡大だ」とし、「台数を追わないと言っても全地域でそうだということではなく、市場が伸びているところではそれに沿って着実にやっていく」とコメント。「比率ではやはり新興国が伸びる。台数では7割くらいになるのではないか」とした。
そして「常に安定的に収益を上げている映画、音楽、金融事業を一層強化するとともに、エレクトロニクス事業を収益改善することにより、グループ全体の収益力を強化していく」とコメント。「エレキの黒字化、最終損益の黒字化、キャッシュフローの黒字化という『3つの黒字化』を経営課題として取り組んでいく」と語った。
今年度のテレビ販売台数見込みは1,750万台。この点については「マーケットが沈静化している先進国と、まだかなりの成長が見込まれる新興国との市場バランスが結構とれている」とし、「現時点では妥当な線だと見ている」とした。
また、「若干誤解があるかもしれないが、台数を追わないというのは、仮に台数や売上が伸びなかったとしても最終的にブレークイーブンが達成できる収益構造にするということだ。パネルの調達コストを抑えるなどの施策をひとつずつやってきて、これまでにも一定の効果が出ている。」ともコメント。
「もちろん商品力の強化も並行してしっかりやっていく」と言葉を続け、「商品力強化をやらないということでは全くないが、そこを中心に収益を上げるという前提でなく、そこの売上が伸びればさらに収益も伸びるというプランになっている」との説明も添えた。