目指したのは「パーソナルなコンサートホール」
【ヘッドホン祭】タイムロード、ULTRASONE初のイヤホン「IQ」「Tio」を展示 − CEO&COO独占インタビュー
タイムロードは「秋のヘッドホン祭 2012」で、独ULTRASONEのイヤホン「IQ」「Tio」、ヘッドホン「edition8 Romeo & Julia」「Signature DJ」など新製品記者説明会を開催した。同社CEO&COOへのインタビューもご紹介しよう。
いよいよ本日から国内で販売開始したイヤホン「IQ」「Tio」などの新製品を紹介するため、ULTRASONE本社からCEOのミヒャエル・ウィルバーグ氏とCOOのミヒャエル・ジルケル氏が来日した。
各製品のプレスリリースが既に行われていることもあり、本日の説明会は、ライターとしても活躍するMusic To Go!の佐々木喜洋氏が記者を代表してウィルバーグ氏とジルケル氏に新製品に関して質問するインタビュー形式で執り行われた。
はじめにドイツのハイエンド・ヘッドホン専業ブランドであるULTRASONEが初めて手がけたイヤホンである「IQ」(アイ・キュー)、「Tio」(ティオ)の両製品が話題に取り上げられた(新製品ニュース)。
“ULTRASONEらしい音”を実現した初のイヤホン「IQ」「Tio」
佐々木氏はULTRASONEが今回、初めてイヤホンを商品化した背景から尋ねた。ジルケル氏は「これまで日本をはじめ、世界各国のオーディオショーに足を運ばせてもらい、多くのユーザーやULTRASONEのファンから“次はイヤホンをつくってほしい”という要望をいただいていた。その声がピークに高まってきたこともあり、今がベストタイミングと考えて開発に着手した。IQとTioは、まさにULTRASONEブランドのファンの声で実現したモデル。私たち開発者としては、ULTRASONEらしいサウンドをイヤホンで実現することが絶対的な課題だった」と振り返る。
イヤホンの開発を進めていく上で腐心した点についてはウィルバーグ氏が回答。「新製品を開発する際にはいつでも苦労は付きものだが、特にイヤホンの場合は、私たちのヘッドホンの独自技術である“S-Logic”を使わずに、ULTRASONEらしいサウンドを実現するかということが最大のテーマだった」とし、3年という長い開発期間の間に試行錯誤を重ねてきたとウィルバーグ氏は振り返った。
◆「IQ」フォトレポート
音づくりのプロセスについては、再びジルケル氏が紹介した。「最初につくったプロトタイプでは、思うようなサウンドにならなかった。そこで私たちは、市場に出回っているイヤホンをすべて聴き比べながらそれぞれの特徴を調査し、各製品のどの技術が“キャラクター”として反映されるのかを徹底研究した。そして、私たちのイヤホンも良いところと悪いところを探りながら、最終的に18ヶ月間をかけて狙ったサウンドへ練り上げてきた」。
上位モデルの「IQ」には、バランスドアーマチュアドライバーと8mmダイナミックドライバーの2ウェイハイブリッド技術が搭載されている。こちらの技術が採用された理由については「まさに私たちの入念な検証から生まれた独自技術。バランスドアーマチュアのドライバーはきめ細やかで繊細な音が作り出せる一方、低域のエネルギーが否めなかった。そこでダイナミック型のドライバーをプラスして、豊かな低域の再現力を兼備させたいと考えた。ハイブリッド方式に挑戦してみたところ、より音楽的でエネルギッシュな理想のサウンドにたどり着いた」と語るのはウィルバーグ氏だ。
ハイブリッド型のドライバーを構成する上で工夫した点についてジルケル氏は「ドライバーを横向きに取り付けることで、イヤホン部分をスリムに小さくすることができた。なおかつ、取り付けの方向で音質へ影響を及ぼすことがないこともわかったので、これを採用した」と説明を加えた。
イヤホン2製品のために、ULTRASONEでは無料のAndroidアプリを開発し、提供を始めている。「音楽再生のコントローラー機能がメインだが、ユーザーが使いやすくカスタマイズできる」とジルケル氏は特徴を紹介した。
「IQ」「Tio」というプロダクトネームの由来については、「Tio」がスペイン語で「あなたの(もの)」という意味であることから、「ユーザーに使って、楽しんでもらえるイヤホンにしたいと考えた」のだという。一方の「IQ」は知能指数という意味も含め「ハイブリッドドライバーをつくって、スリムな筐体に収めたという“インテリジェンス”を象徴したネーミング」であるとウィルバーグ氏は語った。
◆「Tio」フォトレポート
ユニークなコンセプトの「edition8 Romeo&Julia」/ポータブルオーディオでも使える「Signature DJ」
ULTRASONEのフラグシップ・ヘッドホン「edition8」に、新しいバリエーションモデルの「edition8 Romeo & Julia」が11月中旬から加わる(関連ニュース)。
今回の2モデルは従来から発売されている「edition8」と音づくりが違うのか、佐々木氏が尋ねた。ウィルバーグ氏は「音づくりに関しては全く変更していない。だがデザインに独自の要素を盛り込んでいる」とコメント。特に「Julia」は女性の方々にもハイクラスのヘッドホンで、良質の音楽を楽しんでもらうために開発したモデルであるという。インレイの所に貝殻のオーナメントをあしらって、ハウジングの表面にはレーザーによるパターン加工も施されている。一方で「Romeo」はイヤーカップに、パラディウムによる「PVDコーティング」を施した。これにより高い質感と表面強度を持たせ、ハウジングに傷が付きにくくしている。
従来の「edition8」はケーブルが本体固定方式だったのに対して、「edition8 Romeo & Julia」の2モデルは着脱可能になった。この理由についてジルケル氏は「これもまたユーザーから多く寄せられていた要望に応えて盛り込んだ仕様。リケーブルも楽しんでもらいたい」と説明する。今後、専用のケーブルがULTRASONEブランドから発売される予定については「私たちはヘッドホン/イヤホンのメーカーなので、ケーブルを商品化することは基本的にはないと思う。ただ、コネクターはスタンダードな仕様のものを使っているので、今後様々なケーブルメーカーの皆様からカスタマイズ用のケーブルが出てくることを期待したい」とした。
◆「edition8 Romeo&Julia」フォトレポート
DJ/プロフェッショナル向けのハイエンドヘッドホン「Signature DJ」も10月27日から販売がスタートした(関連ニュース)。
本機の開発経緯についてウィルバーグ氏は「世界中にULTRASONEのプロフェッショナルモデルを選んで、使っているユーザーがいるが、多くのユーザーから“より高品位なDJモデルが欲しい”という要望をいただいていた。パワフルな低域が再現でき、さらに高解像なサウンドを再現できるDJヘッドホンを求める方のために本機を開発したが、もちろん一般の音楽ファンの皆様にも楽しんでもらえるヘッドホンに仕上がった」と、本機の出来映えに自信をみせた。
製品には通常のカールコードのケーブルのほかに、1.2mのマイク付ケーブルも付属しており、本体に付け替えながら用途に応じて利用できる。「DJ用ヘッドホンをiPhoneなどモバイルプレーヤーでも使っていただけるよう、ユーザビリティも追求して2本のケーブルを同梱した」のだとジルケル氏は述べた。
◆「Signature DJ」フォトレポート
新・イヤホンのコンセプトは「パーソナルなコンサートホール」
新製品説明会の終了後、編集部で独自にウィルバーグ氏、ジルケル氏の二人にインタビューした。
ー 「IQ」「Tio」はやはりULTRASONEの自社工場で、一台ずつハンドメイドで造られているのでしょうか。
ジルケル氏:はい、そうです。アーマチュアタイプのドライバーをはじめ、今回の新製品はすべてウルトラゾーンが自社で開発したパーツを、ドイツの自社工場で組み立てています。
ウィルバーグ氏:デザインや音づくりについても、私たちを含めたULTRASONEのコアメンバーが集まって試行錯誤を重ねてきました。結果、新製品の完成までに3年を費やしてきました。デザインのポイントはバランスドアーマチュアとダイナミックという異なる方式のドライバーを組み合わせた「2ウェイハイブリッド技術」により、イヤホン部をスリムにできたことです。またケーブルの柔軟性にもこだわりました。これらの取り組みによって、ループ掛けで装着したときに耳の中にぴたりとフィットして、絶妙な装着感を得ることができます。私たちはイヤホンを装着したまま、頭を横にして寝転がってもイヤホンが邪魔に感じないほどのフィット感を目指してきました。
ハウジングは外装にシルバーのダイキャストメタルを使い、ゴールドのフレームをあしらった贅沢なデザインに仕上げています。
ジルケル氏:イヤホンを耳に付けていることも忘れてしまうようなフィット感と軽さを実現できたことで、音づくりの方向性も次第に決まっていきました。私たちはこのイヤホンで音楽を聴いているときは、いつでもコンサートホールにいるような、自然なリスニング体験を味わってもらいたいと考えました。上質な音楽をストレスフリーで軽快に楽しんでもらえるイヤホン、まさに「パーソナルなコンサートホール」を耳元でかなえるイヤホンを実現することができたと自負しています。
ー どちらのモデルにもコンプライのイヤーチップ「TX-100」が同梱されますね。
ジルケル氏:はい。色々なイヤーチップを試してみて、耳元のフィット感と上質な音楽体験が得られるイヤーチップとして「TX-100」にたどり着きました。もちろん他に同梱されるイヤーチップでも素晴らしいリスニング感が得られるよう設計をしています。
ー イヤホン製品のため、今回用意されたAndroidスマートフォンアプリの「ULTRASONE IQ」について、今後iOSバージョンが開発される予定はありますか。
ジルケル氏:今のところはまだありませんが、検討はしていきたいと考えています。でも、今回同梱されるコントローラーでも、iPhoneなどiOS製品と組み合わせて基本的な楽曲操作が行えますのでご安心下さい。
ー 「edition8 Julia」は、今回女性のヘッドホンユーザーを開拓していくためのモデルとして、外装の仕上げにも力が入っていますね。
ウィルバーグ氏:「edition8」のイヤーパッド、ヘッドバンドに従来から採用してきたエチオピアンシープスキンレザーを、今回「Julia」ではフクシアという赤紫の花の色に染めあげました。色合いに関しては幾つものサンプルをつくってみましたが、ベストの色に仕上がったと満足しています。ハウジングに貝殻を使ったパールのインレイを置いたり、レーザーカッターのデザインモチーフをレイアウトしたり、とにかくスタイリッシュなヘッドホンを実現するためにこだわり抜きました。
「Romeo」のハウジングに採用したブラックパラディウムコーティングも、従来のULTRASONEのヘッドホンにはない新しい試みです。私たちは工業用ドリル製品に使われることの多いこの技術をヘッドホンに使ってみてはどうかと考えました。パラディウム金属の粒子を吹き付けて加工することで、鋼鉄よりもさらに優れた表面硬度を得ることができます。これにより傷にとても強く、いつも綺麗な仕上げが楽しめるハウジングを実現しました。また表面に触れてみていただくとわかるのですが、非常に滑らかな肌触りと艶のある色合いが楽しめることも、このコーティングの特長です。もちろんこの加工技術が従来の「edition8」の上質なサウンドに影響を及ぼすことはありません。
ー 「edition8」のラインナップとして初めて着脱式のケーブルが採用されていますが、今後例えばバランス仕様のケーブルをULTRASONEとして提案する予定などはないのでしょうか。
ジルケル氏:先ほど皆さんにお集まりいただいた記者発表会でもお話ししましたが、ULTRASONEはヘッドホンとイヤホンの専業ブランドです。ですので、ケーブルを独自に開発して商品化する計画はありません。ただ、バランス仕様のケーブルも含めて、今後ぜひケーブルのスペシャリストであるメーカーの皆様に、新しい「edition8 Romeo & Julia」に対応する様々な交換用ケーブルを商品化していただきたいと、私たちも期待しています。
ー ありがとうございました。
いよいよ本日から国内で販売開始したイヤホン「IQ」「Tio」などの新製品を紹介するため、ULTRASONE本社からCEOのミヒャエル・ウィルバーグ氏とCOOのミヒャエル・ジルケル氏が来日した。
各製品のプレスリリースが既に行われていることもあり、本日の説明会は、ライターとしても活躍するMusic To Go!の佐々木喜洋氏が記者を代表してウィルバーグ氏とジルケル氏に新製品に関して質問するインタビュー形式で執り行われた。
はじめにドイツのハイエンド・ヘッドホン専業ブランドであるULTRASONEが初めて手がけたイヤホンである「IQ」(アイ・キュー)、「Tio」(ティオ)の両製品が話題に取り上げられた(新製品ニュース)。
“ULTRASONEらしい音”を実現した初のイヤホン「IQ」「Tio」
佐々木氏はULTRASONEが今回、初めてイヤホンを商品化した背景から尋ねた。ジルケル氏は「これまで日本をはじめ、世界各国のオーディオショーに足を運ばせてもらい、多くのユーザーやULTRASONEのファンから“次はイヤホンをつくってほしい”という要望をいただいていた。その声がピークに高まってきたこともあり、今がベストタイミングと考えて開発に着手した。IQとTioは、まさにULTRASONEブランドのファンの声で実現したモデル。私たち開発者としては、ULTRASONEらしいサウンドをイヤホンで実現することが絶対的な課題だった」と振り返る。
イヤホンの開発を進めていく上で腐心した点についてはウィルバーグ氏が回答。「新製品を開発する際にはいつでも苦労は付きものだが、特にイヤホンの場合は、私たちのヘッドホンの独自技術である“S-Logic”を使わずに、ULTRASONEらしいサウンドを実現するかということが最大のテーマだった」とし、3年という長い開発期間の間に試行錯誤を重ねてきたとウィルバーグ氏は振り返った。
◆「IQ」フォトレポート
音づくりのプロセスについては、再びジルケル氏が紹介した。「最初につくったプロトタイプでは、思うようなサウンドにならなかった。そこで私たちは、市場に出回っているイヤホンをすべて聴き比べながらそれぞれの特徴を調査し、各製品のどの技術が“キャラクター”として反映されるのかを徹底研究した。そして、私たちのイヤホンも良いところと悪いところを探りながら、最終的に18ヶ月間をかけて狙ったサウンドへ練り上げてきた」。
上位モデルの「IQ」には、バランスドアーマチュアドライバーと8mmダイナミックドライバーの2ウェイハイブリッド技術が搭載されている。こちらの技術が採用された理由については「まさに私たちの入念な検証から生まれた独自技術。バランスドアーマチュアのドライバーはきめ細やかで繊細な音が作り出せる一方、低域のエネルギーが否めなかった。そこでダイナミック型のドライバーをプラスして、豊かな低域の再現力を兼備させたいと考えた。ハイブリッド方式に挑戦してみたところ、より音楽的でエネルギッシュな理想のサウンドにたどり着いた」と語るのはウィルバーグ氏だ。
ハイブリッド型のドライバーを構成する上で工夫した点についてジルケル氏は「ドライバーを横向きに取り付けることで、イヤホン部分をスリムに小さくすることができた。なおかつ、取り付けの方向で音質へ影響を及ぼすことがないこともわかったので、これを採用した」と説明を加えた。
イヤホン2製品のために、ULTRASONEでは無料のAndroidアプリを開発し、提供を始めている。「音楽再生のコントローラー機能がメインだが、ユーザーが使いやすくカスタマイズできる」とジルケル氏は特徴を紹介した。
「IQ」「Tio」というプロダクトネームの由来については、「Tio」がスペイン語で「あなたの(もの)」という意味であることから、「ユーザーに使って、楽しんでもらえるイヤホンにしたいと考えた」のだという。一方の「IQ」は知能指数という意味も含め「ハイブリッドドライバーをつくって、スリムな筐体に収めたという“インテリジェンス”を象徴したネーミング」であるとウィルバーグ氏は語った。
◆「Tio」フォトレポート
ユニークなコンセプトの「edition8 Romeo&Julia」/ポータブルオーディオでも使える「Signature DJ」
ULTRASONEのフラグシップ・ヘッドホン「edition8」に、新しいバリエーションモデルの「edition8 Romeo & Julia」が11月中旬から加わる(関連ニュース)。
今回の2モデルは従来から発売されている「edition8」と音づくりが違うのか、佐々木氏が尋ねた。ウィルバーグ氏は「音づくりに関しては全く変更していない。だがデザインに独自の要素を盛り込んでいる」とコメント。特に「Julia」は女性の方々にもハイクラスのヘッドホンで、良質の音楽を楽しんでもらうために開発したモデルであるという。インレイの所に貝殻のオーナメントをあしらって、ハウジングの表面にはレーザーによるパターン加工も施されている。一方で「Romeo」はイヤーカップに、パラディウムによる「PVDコーティング」を施した。これにより高い質感と表面強度を持たせ、ハウジングに傷が付きにくくしている。
従来の「edition8」はケーブルが本体固定方式だったのに対して、「edition8 Romeo & Julia」の2モデルは着脱可能になった。この理由についてジルケル氏は「これもまたユーザーから多く寄せられていた要望に応えて盛り込んだ仕様。リケーブルも楽しんでもらいたい」と説明する。今後、専用のケーブルがULTRASONEブランドから発売される予定については「私たちはヘッドホン/イヤホンのメーカーなので、ケーブルを商品化することは基本的にはないと思う。ただ、コネクターはスタンダードな仕様のものを使っているので、今後様々なケーブルメーカーの皆様からカスタマイズ用のケーブルが出てくることを期待したい」とした。
◆「edition8 Romeo&Julia」フォトレポート
DJ/プロフェッショナル向けのハイエンドヘッドホン「Signature DJ」も10月27日から販売がスタートした(関連ニュース)。
本機の開発経緯についてウィルバーグ氏は「世界中にULTRASONEのプロフェッショナルモデルを選んで、使っているユーザーがいるが、多くのユーザーから“より高品位なDJモデルが欲しい”という要望をいただいていた。パワフルな低域が再現でき、さらに高解像なサウンドを再現できるDJヘッドホンを求める方のために本機を開発したが、もちろん一般の音楽ファンの皆様にも楽しんでもらえるヘッドホンに仕上がった」と、本機の出来映えに自信をみせた。
製品には通常のカールコードのケーブルのほかに、1.2mのマイク付ケーブルも付属しており、本体に付け替えながら用途に応じて利用できる。「DJ用ヘッドホンをiPhoneなどモバイルプレーヤーでも使っていただけるよう、ユーザビリティも追求して2本のケーブルを同梱した」のだとジルケル氏は述べた。
◆「Signature DJ」フォトレポート
新・イヤホンのコンセプトは「パーソナルなコンサートホール」
新製品説明会の終了後、編集部で独自にウィルバーグ氏、ジルケル氏の二人にインタビューした。
ー 「IQ」「Tio」はやはりULTRASONEの自社工場で、一台ずつハンドメイドで造られているのでしょうか。
ジルケル氏:はい、そうです。アーマチュアタイプのドライバーをはじめ、今回の新製品はすべてウルトラゾーンが自社で開発したパーツを、ドイツの自社工場で組み立てています。
ウィルバーグ氏:デザインや音づくりについても、私たちを含めたULTRASONEのコアメンバーが集まって試行錯誤を重ねてきました。結果、新製品の完成までに3年を費やしてきました。デザインのポイントはバランスドアーマチュアとダイナミックという異なる方式のドライバーを組み合わせた「2ウェイハイブリッド技術」により、イヤホン部をスリムにできたことです。またケーブルの柔軟性にもこだわりました。これらの取り組みによって、ループ掛けで装着したときに耳の中にぴたりとフィットして、絶妙な装着感を得ることができます。私たちはイヤホンを装着したまま、頭を横にして寝転がってもイヤホンが邪魔に感じないほどのフィット感を目指してきました。
ハウジングは外装にシルバーのダイキャストメタルを使い、ゴールドのフレームをあしらった贅沢なデザインに仕上げています。
ジルケル氏:イヤホンを耳に付けていることも忘れてしまうようなフィット感と軽さを実現できたことで、音づくりの方向性も次第に決まっていきました。私たちはこのイヤホンで音楽を聴いているときは、いつでもコンサートホールにいるような、自然なリスニング体験を味わってもらいたいと考えました。上質な音楽をストレスフリーで軽快に楽しんでもらえるイヤホン、まさに「パーソナルなコンサートホール」を耳元でかなえるイヤホンを実現することができたと自負しています。
ー どちらのモデルにもコンプライのイヤーチップ「TX-100」が同梱されますね。
ジルケル氏:はい。色々なイヤーチップを試してみて、耳元のフィット感と上質な音楽体験が得られるイヤーチップとして「TX-100」にたどり着きました。もちろん他に同梱されるイヤーチップでも素晴らしいリスニング感が得られるよう設計をしています。
ー イヤホン製品のため、今回用意されたAndroidスマートフォンアプリの「ULTRASONE IQ」について、今後iOSバージョンが開発される予定はありますか。
ジルケル氏:今のところはまだありませんが、検討はしていきたいと考えています。でも、今回同梱されるコントローラーでも、iPhoneなどiOS製品と組み合わせて基本的な楽曲操作が行えますのでご安心下さい。
ー 「edition8 Julia」は、今回女性のヘッドホンユーザーを開拓していくためのモデルとして、外装の仕上げにも力が入っていますね。
ウィルバーグ氏:「edition8」のイヤーパッド、ヘッドバンドに従来から採用してきたエチオピアンシープスキンレザーを、今回「Julia」ではフクシアという赤紫の花の色に染めあげました。色合いに関しては幾つものサンプルをつくってみましたが、ベストの色に仕上がったと満足しています。ハウジングに貝殻を使ったパールのインレイを置いたり、レーザーカッターのデザインモチーフをレイアウトしたり、とにかくスタイリッシュなヘッドホンを実現するためにこだわり抜きました。
「Romeo」のハウジングに採用したブラックパラディウムコーティングも、従来のULTRASONEのヘッドホンにはない新しい試みです。私たちは工業用ドリル製品に使われることの多いこの技術をヘッドホンに使ってみてはどうかと考えました。パラディウム金属の粒子を吹き付けて加工することで、鋼鉄よりもさらに優れた表面硬度を得ることができます。これにより傷にとても強く、いつも綺麗な仕上げが楽しめるハウジングを実現しました。また表面に触れてみていただくとわかるのですが、非常に滑らかな肌触りと艶のある色合いが楽しめることも、このコーティングの特長です。もちろんこの加工技術が従来の「edition8」の上質なサウンドに影響を及ぼすことはありません。
ー 「edition8」のラインナップとして初めて着脱式のケーブルが採用されていますが、今後例えばバランス仕様のケーブルをULTRASONEとして提案する予定などはないのでしょうか。
ジルケル氏:先ほど皆さんにお集まりいただいた記者発表会でもお話ししましたが、ULTRASONEはヘッドホンとイヤホンの専業ブランドです。ですので、ケーブルを独自に開発して商品化する計画はありません。ただ、バランス仕様のケーブルも含めて、今後ぜひケーブルのスペシャリストであるメーカーの皆様に、新しい「edition8 Romeo & Julia」に対応する様々な交換用ケーブルを商品化していただきたいと、私たちも期待しています。
ー ありがとうございました。