民生用も視野の新フォーマット「XAVC」も
【Inter BEE 映像編】ソニーなど4K展示を本格化、次世代コーデック「HEVC」関連展示も
国内外の放送機器、映像機器、音響機器、照明機器、周辺アプリケーションやソリューションが一堂に会する国際展示会「Inter BEE 2012」が、本日より幕張メッセで開幕した。本項では、コンシューマーにも関連の深い4K関連の映像技術や、新時代の映像コーデック「HEVC」関連展示を紹介していく。
■ソニーは4Kカメラ/モニター/フォーマットなど環境整備に注力
ソニーは例年通り、数あるメーカーの中でも最大規模のブースを構え、さらにメッセージとして大々的に「4K」を打ち出していた。
ブースの目立つ場所に「Sony 4K Evolution」というスローガンを大きく掲げ、本日発表されたばかりのCineAlta 4Kカメラ「PMW-F55」「PWM-F5」や、すでにおなじみの8K CMOSセンサー搭載CineAlta 4Kカメラ「F65」などを展示。さらに、これも本日発表されたばかりの30型4K液晶モニター「PVM-X300」も展示し、4K映像を投映していた。また、その脇には同社初の民生用4Kテレビ「KD-84X9000」のデモも行われていた。
PMW-F55は、4Kスーパー35mm CMOSイメージセンサーを搭載した4Kカメラ。発売は2013年2月1日、価格は2,887,500円、映像記録は「16bit リニアRAW」のほか「MPEG-4 SStP」「MPEG HD422」に対応。さらに今回同社が新たに開発した、4:2:2カラーサンプリングや10bit諧調、イントラフレーム圧縮を採用し、4K/60p記録が可能なフォーマット「XAVC」にも対応した。
記録媒体はSxSメモリーカードに対応、4K XAVCやハイフレームレート撮影など大容量データの高速書き込みに対応した新開発の「SxS PRO+」も利用できる。なお、16bit リニアRAWの場合のみ、新開発のAXSメモリーカードを使用し、RAWレコーダー「AXS-R5」に記録する。
30型4K液晶モニター「PVM-X300」は2013年2月発売予定で、価格は2,520,000円(税込)。
画素数は4,096×2,160ピクセルで、各色10bit駆動。バックライトはLED。パネル表示フレームレートは48/50/60Hz。
3G/HD-SDI ×4入力、HDMI×4入力、ディスプレイポート×2入力を装備。多彩な入力ソースに対応する。またHDMIでは、4Kカメラ「PMW-F55」との組み合わせにより、HDMIケーブル1本で4K/60pの伝送が可能となる。これはHDMI 1.4をベースに独自拡張した伝送方式を利用したもので、色信号を4:2:0(8ビット)とすることで60p伝送を実現したという。
そのほか業務用モニターでは、先日エミー賞受賞がアナウンスされた25型有機ELモニター「BVM-E250」も出展。ファームウェアアップデート Ver 1.21により、CRTとのカラーマッチングをサポートしたほか、色温度自動調整ソフトの追加、起動時間の短縮などが行われたことをアピールしていた。
■アストロデザインも4Kソリューションを積極提案
4K関連の展示がブースの大半を占めていたのがアストロデザインだ。
まずモニターでは、同社がラインナップしている28/32/56/60インチの4K液晶モニターを紹介していた。パネル解像度はいずれも3,840×2,160ピクセルで、パネル方式は28インチのみIPS、ほかの3サイズはVA。4.096×2,160ピクセルの映像を入力した場合は、センター、右寄せ、左寄せ、スケーリングの4通りの表示方法が選べる。
そのほか、4K映像をJPEG 2000を使って約6分の1程度に圧縮する「4K圧縮レコーダー」、4K映像にリアルタイムでテロップを挿入できる「4Kテロップシステム」など、様々な4K映像関連システムを出展。
また会場内のキヤノンブースで、“CINEMA EOS SYSTEM”「EOS C500」でRAW撮影した4K映像を、アストロデザインのブース内へライブ中継するデモも実施。この中継システムには、アストロデザインのEOS C500対応現像処理プロセッサー「HB-7513」が使われ、現像処理と映像調整が行われていた。
さらにアストロデザインブースでは、4Kの次の映像フォーマットとして期待される8K、SHVの対応機器群も紹介されていた。
SHV対応SSDレコーダー「SR-8422」は、ストレージにSSDを採用し、秒間6GBの転送レートを実現。SHVの録画を行いながらハイライト編集や任意速度のスロー再生が実行できる。
またSHV対応のカラーグレーディング装置も出展。SHVのカラーグレーディング処理に加えて、自由度の高い輪郭補正、イメージセンサーのキズ補正、幾何学歪み補正、色収差補正などをすべてリアルタイムで実行できる。
ブース内には85インチのSHV対応液晶ディスプレイを使ったシアターも設けられ、超高解像度な映像の魅力をアピールしていた。
■キヤノンは30インチの4Kモニターを参考出展
キヤノンは、30インチの4K液晶モニターを参考出展した。2013年発売を目指し、価格は「一般的なマスモニ価格程度を見込んでいる」(同社)とのこと。
広色域、高精度なユニフォーミティ、正確な階調表現を目指して開発しているとのことで、CINEMA EOS「EOS C500」とペアで使用するディスプレイを想定しているという。4K/24pと4K/30pの入力が行えることは確実だが、4K/60pの入力に対応するかは検討中とのこと。
そのほかキヤノンブースでは、4Kが撮影できるカメラ「EOS C500」や、「EOS 1Ds」など、豊富なカメララインナップを展示。実際に撮影し、表示するデモンストレーションも行われていた。
また富士通は、リアルタイム4Kエンコーダー/デコーダー「IP-9610」を出展。10月に行われたスカパー! の4K映像ライブ伝送実験でも、このエンコーダー/デコーダーが使われたという。
■次世代コーデック「HEVC」関連展示も多数
MPEG-4 AVC/H,264の次の世代の映像コーデックとして期待されている「HEVC」(H.265)関連の展示も多く見られた。来年1月には正式規格として規定されるものと予想されている。
HEVCは、MPEG-4 AVCと比べて約2倍の圧縮効率を持つ映像コーデック。同等の画質であれば半分のビットレートで記録できる。また、同じビットレートであればより高解像度の映像にも対応できることから、4K映像を効率的に記録し、伝送するためのコーデックとして期待されている。
Roviは、2013年第2四半期に発表するMainConcept コーデック SDKによって、HEVCに対応する予定。SD映像の場合、48fpsという高速エンコードが可能という。またMainConcept SDKは、ソニーの新フォーマット「XAVC」にも対応する。
NECは1080/60iの映像を、MPEG-4/AVCとHEVCでそれぞれ3.5Mbpsに圧縮した映像をデモし、HEVCでは同程度のビットレートでも圧縮によるノイズが少ない映像を実現できることをアピール。また同様に、7MbpsのMPEG-4/AVCと3.5MbpsのHEVCの映像比較も行い、画質差が少ないことも強調していた。
なお1080/60i映像のHEVCのエンコードは、実時間の1,600倍かかったとのこと。これは高速化などを全く考慮していないためで、アルゴリズムを最適化するなどすれば、さらに速いエンコードが可能になるという。
またNECは、HEVCのリアルタイムソフトウェアデコーダーも展示。Core i7を使ったUltrabookを使って、720/30pのHD映像をデコードしていた。なお720/60pまではリアルタイムデコードできることを確認しているという。
富士通は、1080/30p、1MbpsのHEVC映像を、同じビットレートのMPEG-4 AVCと比較するデモも出展。デコードのデモは行っていなかったが、「お金をかければすぐにできる」(同社説明員)と説明していた。
InterBEE会場内の、そのほかの注目展示を写真で紹介していく。
■ソニーは4Kカメラ/モニター/フォーマットなど環境整備に注力
ソニーは例年通り、数あるメーカーの中でも最大規模のブースを構え、さらにメッセージとして大々的に「4K」を打ち出していた。
ブースの目立つ場所に「Sony 4K Evolution」というスローガンを大きく掲げ、本日発表されたばかりのCineAlta 4Kカメラ「PMW-F55」「PWM-F5」や、すでにおなじみの8K CMOSセンサー搭載CineAlta 4Kカメラ「F65」などを展示。さらに、これも本日発表されたばかりの30型4K液晶モニター「PVM-X300」も展示し、4K映像を投映していた。また、その脇には同社初の民生用4Kテレビ「KD-84X9000」のデモも行われていた。
PMW-F55は、4Kスーパー35mm CMOSイメージセンサーを搭載した4Kカメラ。発売は2013年2月1日、価格は2,887,500円、映像記録は「16bit リニアRAW」のほか「MPEG-4 SStP」「MPEG HD422」に対応。さらに今回同社が新たに開発した、4:2:2カラーサンプリングや10bit諧調、イントラフレーム圧縮を採用し、4K/60p記録が可能なフォーマット「XAVC」にも対応した。
記録媒体はSxSメモリーカードに対応、4K XAVCやハイフレームレート撮影など大容量データの高速書き込みに対応した新開発の「SxS PRO+」も利用できる。なお、16bit リニアRAWの場合のみ、新開発のAXSメモリーカードを使用し、RAWレコーダー「AXS-R5」に記録する。
30型4K液晶モニター「PVM-X300」は2013年2月発売予定で、価格は2,520,000円(税込)。
画素数は4,096×2,160ピクセルで、各色10bit駆動。バックライトはLED。パネル表示フレームレートは48/50/60Hz。
3G/HD-SDI ×4入力、HDMI×4入力、ディスプレイポート×2入力を装備。多彩な入力ソースに対応する。またHDMIでは、4Kカメラ「PMW-F55」との組み合わせにより、HDMIケーブル1本で4K/60pの伝送が可能となる。これはHDMI 1.4をベースに独自拡張した伝送方式を利用したもので、色信号を4:2:0(8ビット)とすることで60p伝送を実現したという。
そのほか業務用モニターでは、先日エミー賞受賞がアナウンスされた25型有機ELモニター「BVM-E250」も出展。ファームウェアアップデート Ver 1.21により、CRTとのカラーマッチングをサポートしたほか、色温度自動調整ソフトの追加、起動時間の短縮などが行われたことをアピールしていた。
■アストロデザインも4Kソリューションを積極提案
4K関連の展示がブースの大半を占めていたのがアストロデザインだ。
まずモニターでは、同社がラインナップしている28/32/56/60インチの4K液晶モニターを紹介していた。パネル解像度はいずれも3,840×2,160ピクセルで、パネル方式は28インチのみIPS、ほかの3サイズはVA。4.096×2,160ピクセルの映像を入力した場合は、センター、右寄せ、左寄せ、スケーリングの4通りの表示方法が選べる。
そのほか、4K映像をJPEG 2000を使って約6分の1程度に圧縮する「4K圧縮レコーダー」、4K映像にリアルタイムでテロップを挿入できる「4Kテロップシステム」など、様々な4K映像関連システムを出展。
また会場内のキヤノンブースで、“CINEMA EOS SYSTEM”「EOS C500」でRAW撮影した4K映像を、アストロデザインのブース内へライブ中継するデモも実施。この中継システムには、アストロデザインのEOS C500対応現像処理プロセッサー「HB-7513」が使われ、現像処理と映像調整が行われていた。
さらにアストロデザインブースでは、4Kの次の映像フォーマットとして期待される8K、SHVの対応機器群も紹介されていた。
SHV対応SSDレコーダー「SR-8422」は、ストレージにSSDを採用し、秒間6GBの転送レートを実現。SHVの録画を行いながらハイライト編集や任意速度のスロー再生が実行できる。
またSHV対応のカラーグレーディング装置も出展。SHVのカラーグレーディング処理に加えて、自由度の高い輪郭補正、イメージセンサーのキズ補正、幾何学歪み補正、色収差補正などをすべてリアルタイムで実行できる。
ブース内には85インチのSHV対応液晶ディスプレイを使ったシアターも設けられ、超高解像度な映像の魅力をアピールしていた。
■キヤノンは30インチの4Kモニターを参考出展
キヤノンは、30インチの4K液晶モニターを参考出展した。2013年発売を目指し、価格は「一般的なマスモニ価格程度を見込んでいる」(同社)とのこと。
広色域、高精度なユニフォーミティ、正確な階調表現を目指して開発しているとのことで、CINEMA EOS「EOS C500」とペアで使用するディスプレイを想定しているという。4K/24pと4K/30pの入力が行えることは確実だが、4K/60pの入力に対応するかは検討中とのこと。
そのほかキヤノンブースでは、4Kが撮影できるカメラ「EOS C500」や、「EOS 1Ds」など、豊富なカメララインナップを展示。実際に撮影し、表示するデモンストレーションも行われていた。
また富士通は、リアルタイム4Kエンコーダー/デコーダー「IP-9610」を出展。10月に行われたスカパー! の4K映像ライブ伝送実験でも、このエンコーダー/デコーダーが使われたという。
■次世代コーデック「HEVC」関連展示も多数
MPEG-4 AVC/H,264の次の世代の映像コーデックとして期待されている「HEVC」(H.265)関連の展示も多く見られた。来年1月には正式規格として規定されるものと予想されている。
HEVCは、MPEG-4 AVCと比べて約2倍の圧縮効率を持つ映像コーデック。同等の画質であれば半分のビットレートで記録できる。また、同じビットレートであればより高解像度の映像にも対応できることから、4K映像を効率的に記録し、伝送するためのコーデックとして期待されている。
Roviは、2013年第2四半期に発表するMainConcept コーデック SDKによって、HEVCに対応する予定。SD映像の場合、48fpsという高速エンコードが可能という。またMainConcept SDKは、ソニーの新フォーマット「XAVC」にも対応する。
NECは1080/60iの映像を、MPEG-4/AVCとHEVCでそれぞれ3.5Mbpsに圧縮した映像をデモし、HEVCでは同程度のビットレートでも圧縮によるノイズが少ない映像を実現できることをアピール。また同様に、7MbpsのMPEG-4/AVCと3.5MbpsのHEVCの映像比較も行い、画質差が少ないことも強調していた。
なお1080/60i映像のHEVCのエンコードは、実時間の1,600倍かかったとのこと。これは高速化などを全く考慮していないためで、アルゴリズムを最適化するなどすれば、さらに速いエンコードが可能になるという。
またNECは、HEVCのリアルタイムソフトウェアデコーダーも展示。Core i7を使ったUltrabookを使って、720/30pのHD映像をデコードしていた。なお720/60pまではリアルタイムデコードできることを確認しているという。
富士通は、1080/30p、1MbpsのHEVC映像を、同じビットレートのMPEG-4 AVCと比較するデモも出展。デコードのデモは行っていなかったが、「お金をかければすぐにできる」(同社説明員)と説明していた。
InterBEE会場内の、そのほかの注目展示を写真で紹介していく。