NHK、劣化しにくい有機EL「iOLED」開発 － シート型ディスプレイへの活用目指す

NHKは、（株）日本触媒と共同で、フィルム基板上でも長時間安定して発光する有機ELの開発に成功したことを発表した。NHKが研究開発を進めるシート型ディスプレイの実現に向け、今後の展開が期待される。

従来の有機ELは、基板上に陽極・有機層・電子注入層・陰極の順で積層して成膜する。基板材料としてフィルムを用いた場合は、大気中の酸素や水分が時間の経過とともに基板側および陰極側の両方向から侵入し、電子注入層と陰極を劣化させるため、寿命が短くなってしまうという。

今回発表されたものは、酸素や水分の影響を受けにくい電子注入層の材料を開発。さらに、劣化しにくい陰極用材料を使用した。加えて構造も工夫。陽極と陰極を入れ替え、基板上に陰極を成膜する逆構造とした。これにより長期間安定して発光する逆構造有機EL「iOLED」を実現したという。

通常の有機ELは100日間大気中に晒しておくと発光面積が約半分になってしまうのに対し、今回発表されたものは“同期間劣化しないことを確認した”とのこと。

この研究成果は、5月30日から6月2日の期間で開催される「技研公開2013」などに出展される。