新素材APTIV採用ダイヤフラム搭載
SHURE、密閉型ヘッドホン最上位機「SRH1540」を発売
完実電気は、SHUREの密閉型ヘッドホン最上位機となる新モデル「SRH1540」を12月下旬に発売する。価格はオープンだが、5万円前後での実売が予想される。
密閉型でありつつも広がり感のある音場を狙ったというモデル。本体は、同社ヘッドホンの開放型フラグシップ「SRH1840」のプラットフォームを応用しつつ、SRH1840で得られたユーザーフィードバックを反映させながら細部を刷新した。ダイヤフラムに使用された「APTIV(アプティブ)」や、イヤーパッドのアルカンターラなど、多くの新素材を使用し、音質だけでなく装着性や耐久性も高める構造とした。本体質量は286g(ケーブル除く)で、軽量であることも特徴だ。
本日プレス向けに開催された製品説明会に登場した米SHUREのマイケル・ジョーンズ氏は、SRH1540について「高品質な新素材と新しいテクノロジーで、優れたパフォーマンスを実現したモデルだ」と説明した。以下、製品の詳細を紹介していこう。
■新素材APTIVを採用したダイヤフラム振動板
本機が搭載するドライバーは、SRH1840と同じ口径40mmのダイナミック型で、ネオジウム磁石を採用している。
SRH1840ではマイラー製ダイヤフラムを搭載していたが、本機ではダイヤフラムにAPTIVという素材を採用していることが大きな特徴。APTIVは、優れた機械的特性と耐薬品性を有するとされる高密度樹脂「PEEK(Poly Ether Ether Ketone)」から作られた特殊な樹脂フィルムで、折ったり曲げたりすることが可能な強度も備えている。同社ヘッドホンでは初めて使用される素材とのことだ。
SRH1540では、このAPTIVフィルムを採用することによって、トランスデューサーの構造により強度と弾性が加わり、SRH1840に比べ、さらにリニアなダイアフラムの作動とTHDの低減を実現したという。
ジョーンズ氏は、「APTIVは6μ程度の薄さに加工できるので、ダイヤフラムの素材として採用できた。ダイヤフラムはなるべく薄くすることで優れた特性を確保できるが、薄くすると歪みが発生しやすくなるというデメリットもある。しかしAPTIVは、強度が高い素材であるため、薄くしてもそういった歪みが生まれにくい」と、APTIVフィルムを採用するメリットを説明した。
また、汗などに対する耐性があるため耐久性が向上したほか、高温/低温/高湿度などの環境耐性も高く、様々な環境でポテンシャルを発揮できるという。
■耐久性の高いアルカンターラ製イヤーパッドを採用
本機のイヤーパッドは耳をすっぽり覆うサーカムオーラル式で、日本ではウルトラスウェードとも呼ばれる素材であるアルカンターラを採用している。
アルカンターラは元々ランボルギーニやポルシェのような高級車のシートに使われるために開発された素材で、形状復元性が高いことと、装着製や遮音性が高いことなどが今回SRH1540への採用の決め手になったという。
アルカンターラのアコースティック性能を引き出すため、および通気性を良くするために、本機のイヤーパッドは表面に複数の穴を開けた構造としている。またジョーンズ氏によれば「イヤーパッド裏側にもさらに4つの穴を設けることで、よりよいアコースティック性能を引き出した」とのことだ。
なおアルカンターラは耐久性が高いため、イヤーパッドはユーザー自身で水洗いすることも可能。製品にはこのイヤーパッドが2セット付属する。
■ヨークの形状を変更/キャップ部にはカーボンファイバーを使用
本機のヘッドバンドには、SRH1840と同じプロテインレザーを採用した。なお、ヘッドバンド内側の頭部と接触する部分には、イヤーパッドのスポンジと同じアルカンターラ素材を使用し、装着性を高めている。
ヨークはSRH1840と同じエアクラフトグレードのアルミ合金を採用し、SRH1840と比較して明るい色味のシルバーアルマイト加工を施している。スライダーエンドキャップにはPC/ABS樹脂を採用し、新たにスチールバネを組み込むことで、SRH1840よりさらに調整しやすい構造とした。
なお、SRH1840ではヨークのエッジ部分が尖っている形状だったが、ユーザーフィードバックを反映させ、今回のSRH1540ではややソフトで丸みを帯びた形状に変更している。
ハウジングのキャップ部には、カーボンファイバーを採用。これによってデザイン性を高めたと同時に、筐体の不要振動を抑えて音響特性も向上させたという。なお、カーボンファイバーには紫外線などで劣化しないようにUVコーティングを施しており、ジョーンズ氏によれば「この加工が難しくて大変だった」とのことだ。キャップ表面には「SHURE」ロゴのメタルステッカーを配置したデザインとしている。
■各パーツのポテンシャルを引き出す高音質設計
内部には、通気孔を設けたセンター・ポールピースを備えたスチール・ドライバー・フレームを新たに組み込むことで、リニアリティを高め、内部での共鳴を抑えた構造を採用した。
また、アウターキャップアッセンブリーは蜘蛛の巣状の形としているが、これはカーボンファイバーキャップの鳴りを効率的に抑え、しっかりマウントするための形状という。
本機の再生周波数帯域は5Hz〜25kHzで、感度は99dB/mW、最大許容入力は1,000mW。インピーダンスは46Ωとなる。
本機の付属ケーブルはOFC製で、両出しタイプの着脱式。長さは1.83mとなる。ヘッドホンとの接続部には、SHURE独自のMMCXコネクターを採用している。なお、音楽デバイスとの接続コネクターは3.5mmステレオミニ。製品にはこのケーブルを2本付属するほか、6.3mm標準プラグアダプターも同梱する。
さらに、上述の付属品が全て収納できる新デザインのハードケースも揃えている。
■“オーディオファイルやプロに使ってほしいモデル”
本機のターゲット層について、ジョーンズ氏は「第一にオーディオ愛好家」と説明する。「愛好家は音楽をただ聴くだけでなく、音楽の質を評価する。SRH1540は、そんなユーザーの聴き方に応えられるものだ。もちろん、単純に音楽を楽しむためにも使ってほしい」という。また「コンシューマーだけでなくプロのエンジニアにもお勧めしたい。モニタースピーカーに近いリファレンスを得ることが可能なうえ、軽量で快適なつけ心地も確保したので、長時間のモニタリングに耐えられる」とした。
また、本機の名称が“1540”であることの理由を訊ねられたジョーンズ氏は、「これまで密閉型モデルをいくつか出しているが、240〜940まで来て、3桁の数字がもうなくなってしまった」とし、「そこで密閉型としては初めて4桁数字の型番をつけることになったが、既に発売している開放型のSRH1840/1440と比べたときに、価格帯が1840よりは低く、1440よりは高いということで、市場における本機のポジショニングが型番でわかりやすいよう『1540』を採用した」と説明した。
なお、SRH1540の兄弟モデルが今後登場するかどうかについては「引き続き注目してほしい」と語るにとどめた。
■SRH1840もマイナーチェンジを予定
今回のSRH1540でSRH1840のフィードバックを反映させた設計については、今後SRH1840自体にも同様の変更を加える予定であるという。具体的には、ヨークのエッジおよびエンドキャップとケーブル部分を、今回SRH1540に採用したものに変更する予定とのことだ。
正式な決定ではないが、その場合は型番も変更するかもしれないとのことで、「例えば“SRH1840-A”など型番のマイナーチェンジを行う可能性はある」という。
密閉型でありつつも広がり感のある音場を狙ったというモデル。本体は、同社ヘッドホンの開放型フラグシップ「SRH1840」のプラットフォームを応用しつつ、SRH1840で得られたユーザーフィードバックを反映させながら細部を刷新した。ダイヤフラムに使用された「APTIV(アプティブ)」や、イヤーパッドのアルカンターラなど、多くの新素材を使用し、音質だけでなく装着性や耐久性も高める構造とした。本体質量は286g(ケーブル除く)で、軽量であることも特徴だ。
本日プレス向けに開催された製品説明会に登場した米SHUREのマイケル・ジョーンズ氏は、SRH1540について「高品質な新素材と新しいテクノロジーで、優れたパフォーマンスを実現したモデルだ」と説明した。以下、製品の詳細を紹介していこう。
■新素材APTIVを採用したダイヤフラム振動板
本機が搭載するドライバーは、SRH1840と同じ口径40mmのダイナミック型で、ネオジウム磁石を採用している。
SRH1840ではマイラー製ダイヤフラムを搭載していたが、本機ではダイヤフラムにAPTIVという素材を採用していることが大きな特徴。APTIVは、優れた機械的特性と耐薬品性を有するとされる高密度樹脂「PEEK(Poly Ether Ether Ketone)」から作られた特殊な樹脂フィルムで、折ったり曲げたりすることが可能な強度も備えている。同社ヘッドホンでは初めて使用される素材とのことだ。
SRH1540では、このAPTIVフィルムを採用することによって、トランスデューサーの構造により強度と弾性が加わり、SRH1840に比べ、さらにリニアなダイアフラムの作動とTHDの低減を実現したという。
ジョーンズ氏は、「APTIVは6μ程度の薄さに加工できるので、ダイヤフラムの素材として採用できた。ダイヤフラムはなるべく薄くすることで優れた特性を確保できるが、薄くすると歪みが発生しやすくなるというデメリットもある。しかしAPTIVは、強度が高い素材であるため、薄くしてもそういった歪みが生まれにくい」と、APTIVフィルムを採用するメリットを説明した。
また、汗などに対する耐性があるため耐久性が向上したほか、高温/低温/高湿度などの環境耐性も高く、様々な環境でポテンシャルを発揮できるという。
■耐久性の高いアルカンターラ製イヤーパッドを採用
本機のイヤーパッドは耳をすっぽり覆うサーカムオーラル式で、日本ではウルトラスウェードとも呼ばれる素材であるアルカンターラを採用している。
アルカンターラは元々ランボルギーニやポルシェのような高級車のシートに使われるために開発された素材で、形状復元性が高いことと、装着製や遮音性が高いことなどが今回SRH1540への採用の決め手になったという。
アルカンターラのアコースティック性能を引き出すため、および通気性を良くするために、本機のイヤーパッドは表面に複数の穴を開けた構造としている。またジョーンズ氏によれば「イヤーパッド裏側にもさらに4つの穴を設けることで、よりよいアコースティック性能を引き出した」とのことだ。
なおアルカンターラは耐久性が高いため、イヤーパッドはユーザー自身で水洗いすることも可能。製品にはこのイヤーパッドが2セット付属する。
■ヨークの形状を変更/キャップ部にはカーボンファイバーを使用
本機のヘッドバンドには、SRH1840と同じプロテインレザーを採用した。なお、ヘッドバンド内側の頭部と接触する部分には、イヤーパッドのスポンジと同じアルカンターラ素材を使用し、装着性を高めている。
ヨークはSRH1840と同じエアクラフトグレードのアルミ合金を採用し、SRH1840と比較して明るい色味のシルバーアルマイト加工を施している。スライダーエンドキャップにはPC/ABS樹脂を採用し、新たにスチールバネを組み込むことで、SRH1840よりさらに調整しやすい構造とした。
なお、SRH1840ではヨークのエッジ部分が尖っている形状だったが、ユーザーフィードバックを反映させ、今回のSRH1540ではややソフトで丸みを帯びた形状に変更している。
ハウジングのキャップ部には、カーボンファイバーを採用。これによってデザイン性を高めたと同時に、筐体の不要振動を抑えて音響特性も向上させたという。なお、カーボンファイバーには紫外線などで劣化しないようにUVコーティングを施しており、ジョーンズ氏によれば「この加工が難しくて大変だった」とのことだ。キャップ表面には「SHURE」ロゴのメタルステッカーを配置したデザインとしている。
■各パーツのポテンシャルを引き出す高音質設計
内部には、通気孔を設けたセンター・ポールピースを備えたスチール・ドライバー・フレームを新たに組み込むことで、リニアリティを高め、内部での共鳴を抑えた構造を採用した。
また、アウターキャップアッセンブリーは蜘蛛の巣状の形としているが、これはカーボンファイバーキャップの鳴りを効率的に抑え、しっかりマウントするための形状という。
本機の再生周波数帯域は5Hz〜25kHzで、感度は99dB/mW、最大許容入力は1,000mW。インピーダンスは46Ωとなる。
本機の付属ケーブルはOFC製で、両出しタイプの着脱式。長さは1.83mとなる。ヘッドホンとの接続部には、SHURE独自のMMCXコネクターを採用している。なお、音楽デバイスとの接続コネクターは3.5mmステレオミニ。製品にはこのケーブルを2本付属するほか、6.3mm標準プラグアダプターも同梱する。
さらに、上述の付属品が全て収納できる新デザインのハードケースも揃えている。
■“オーディオファイルやプロに使ってほしいモデル”
本機のターゲット層について、ジョーンズ氏は「第一にオーディオ愛好家」と説明する。「愛好家は音楽をただ聴くだけでなく、音楽の質を評価する。SRH1540は、そんなユーザーの聴き方に応えられるものだ。もちろん、単純に音楽を楽しむためにも使ってほしい」という。また「コンシューマーだけでなくプロのエンジニアにもお勧めしたい。モニタースピーカーに近いリファレンスを得ることが可能なうえ、軽量で快適なつけ心地も確保したので、長時間のモニタリングに耐えられる」とした。
また、本機の名称が“1540”であることの理由を訊ねられたジョーンズ氏は、「これまで密閉型モデルをいくつか出しているが、240〜940まで来て、3桁の数字がもうなくなってしまった」とし、「そこで密閉型としては初めて4桁数字の型番をつけることになったが、既に発売している開放型のSRH1840/1440と比べたときに、価格帯が1840よりは低く、1440よりは高いということで、市場における本機のポジショニングが型番でわかりやすいよう『1540』を採用した」と説明した。
なお、SRH1540の兄弟モデルが今後登場するかどうかについては「引き続き注目してほしい」と語るにとどめた。
■SRH1840もマイナーチェンジを予定
今回のSRH1540でSRH1840のフィードバックを反映させた設計については、今後SRH1840自体にも同様の変更を加える予定であるという。具体的には、ヨークのエッジおよびエンドキャップとケーブル部分を、今回SRH1540に採用したものに変更する予定とのことだ。
正式な決定ではないが、その場合は型番も変更するかもしれないとのことで、「例えば“SRH1840-A”など型番のマイナーチェンジを行う可能性はある」という。
関連リンク
- ジャンルヘッドホン(単体)
- ブランドSHURE
- 型番SRH1540
- 発売日2013年12月下旬
- 価格¥OPEN(予想実売価格50,000円前後)
【SPEC】●形式:ダイナミック型、ネオジム磁石 ●ドライバー口径:40 mm ●感度:99dB SPL/mW ●インピーダンス:46Ω ●最大入力:1000 mW ●再生周波数帯域:5Hz〜25kHz ●ケーブル長:1.83m ●質量:286 g(ケーブルを除く)