通期業績予想を上方修正
シャープ、’13年度3Qは純利益177億円で黒字転換【情報追加】
シャープ(株)は、2013年度第3四半期の連結決算を発表した。4月1日〜12月31日期の累計売上高は前年同期21%増の2兆1,572億8,700万円となり、四半期純利益は177億円となった。
営業利益は前年同期1,662億円の赤字から815億円の黒字へ、経常利益も前年同期1,991億円の赤字から375億円の黒字へ転換した。
同社は今回の結果について、4K対応AQUOSやフルHDパネルで4K相当の表示を実現する「クアトロン プロ」、IGZO液晶搭載スマートフォンなどの独自商品の創出と販売強化に取り組んだこと、加えて人件費を中心とした固定費や経費の削減を行った結果によるものと発表。国内景気が回復基調をたどったことや、米国での景気回復が続いたことも後押ししたと分析している。
デジタル情報家電については、液晶テレビの販売が米国、欧州では低迷したものの、国内では堅調に推移。中国や新興国では伸長し、売り上げは前年同期を上回った。携帯電話は、売り上げが前年同期を下回った。結果、同部門の売上高は前年同期5.3%増の5,515億円となった。
デバイスビジネスについては、液晶ではスマートフォンやタブレット向けの中小型液晶パネルに加え、大型液晶パネルが好調に推移し、売上高は前年同期30.6%増の6,223億円となった。スマートフォン向けカメラモジュールやセンサーなどの電子デバイスについても、売上高は28.5%増の2,290億円となった。
今後の見通しについては、デジタル情報家電においては、4K対応AQUOSや「クアトロン プロ」など大型液晶テレビの拡大を図ると共に、新興国などを重点地域とした販売強化を推進するという。また、携帯電話ではIGZO液晶ディスプレイ搭載のスマートフォンやタブレットのラインナップ拡充など、独自の商品展開を通じて国内シェアの回復を目指していくという。
2013年度通期の業績予想についても、売上高を前回予想値の2兆7,000億円から2兆9,000億円へ、営業利益を同800億円から1,000億円へそれぞれ上方修正した。
■「2013年度、純利益50億円は達成できる」(高橋社長)
シャープは本日業績説明会を開催。同社高橋社長が登壇し、説明を行った。
高橋社長は「2013年度は期初の計画を達成できる見込み。しかし経営を取り巻く環境は依然厳しいことに変わりない。手を緩めることなく、構造改革の取り組みを加速させ、中期経営計画の必達に邁進していく」と語る。
説明会では太陽電池や液晶事業、液晶テレビ事業についての質問が多く飛び交った。主な内容を以下に掲載する。
Q. 高橋社長は就任1年目、最初の年の目標が達成できそうな見込みをうけて、今の気持ちを聞かせてほしい。
A. 数字面ではご覧のとおり結果を出せた。しかし、文化を変えるといった取り組みは、まだまだこれから色々なことをやっていかなければと思っている。
Q. 2013年度の最終黒字化について、達成の自信は?
A. 売上高と営業利益については上方修正したが、純利益については変えていない。純利益50億円は達成できると考えている。
Q. 2015年度までの中期経営計画によると、来年度の売上高は2.8兆円を計画している。今期の見込みが2.9兆円ということになると“減収計画”になってしまうが、中期経営計画の見直し予定は?
A. 中期経営計画についてはもちろん見直しをかけていく。市況も変わっていくし、来年度の計画でさえまだ全部終わっているわけではないので。これについてはまた改めて公表する。
■液晶事業/液晶テレビ事業について
Q. シャープと言えばこれまで液晶テレビメーカーというイメージが強かったが、昨今はデバイス等に振ってきている。今後シャープはどう変わっていくか?
A. 前回の決算発表の際、ケータイやスマートフォン事業をどうするか、という質問をいただいたが、私は「通信技術を捨てるつもりはない」とお話しした。それは、コンシューマーとB2Bを分ける必要はないと考えているからだ。テレビについても、量販店で売っているようなものだけではなく“ディスプレイ”も非常に重要な存在。スッパリときれいに分かれるものではない。我々は技術を中心にした発想をしていく。ディスプレイ、イメージプロセッシング、通信など、B2B、B2C問わず進めていきたいと考えている。
Q. 液晶事業は、4Qは営業利益53億円を計画している。来期にかけて、利益率アップに向けどのような施策を行っていくのか?
A. 生産効率を高めたり、歩留まりの改善、部材調整、ロジスティック改善等のコストダウンを行っていく。しかしこれは液晶事業にかかわらず全てで着実に行っていきたい。液晶事業は、昨年までの大きな赤字からここまで浮かび上がってこれた。今後は(上記のようなことを)着実に進めていきたいと考えている。
また、アプリケーションの大型化、クアトロンプロなど付加価値の高いものに変えていくというのもひとつの方向性と言えるだろう。中小型液晶を推進するのは、パネル1枚あたりの売り上げ金額が大きいので収益性を高める鍵になるから。コモディティ化した製品から、付加価値の高い方向にアプリケーションを移していくことで、収益性を高めていきたい。
Q. 液晶テレビについて。今回、通期販売予想台数は800万台のまま、通期売上予想金額が4,200億円に引き上げられた。売上金額を上方修正した理由は?
A. 4Kテレビが好評なことに加え、クアトロンプロが動き出した。またアメリカや中国、そして4Kテレビで言えば日本でも、大型化が進んできた。これらのことにより単価がアップしたためだ。
Q. 4Kモデル拡大は他メーカーも計画していると思うので、4Kのプレミアム感も昨年夏と比べると下がってきているのでは。付加価値変化についてはどう見ているか?
A. 大型液晶テレビの全てが4Kやクアトロンプロモデルになっているわけではないので、これの比率を上げていくことで、トータルで収益が改善していくと考えている。確かに単価下落はあるかもしれないが、ベースの量が変わってくることは大きい。
Q. 液晶事業の3Qの営業利益260億円のうち、CECパンダなど勅許関連のエンジニアリングフィーはどのくらいか?
A. 約200億円程度だ。
Q. エンジニアリングフィーの割合が非常に高いが、このあとの期も同程度のボリュームが見込めるのか?
A. エンジニアリングフィーは単発だけではない。ただし、今後同じくらいのボリュームが見込めるかはノーコメント。
Q. 液晶事業は1Qでは赤字で、3Qではエンジニアリングフィーもあり黒字になった。事業の利益率はどのくらいだと考えているか?
A. 3Qについては利益率9.4%と高い数字。2Qも6.4%となっている。今後は中小型液晶では10%程度の利益率も狙っていきたい。大型液晶ではもう少し低い数字になるだろう。
Q. 液晶事業は今期は260億円の営業利益で、うち約200億円はエンジニアリングフィー。しかし4Qの営業利益は53億円との見込み。この営業減益はどう理解したらいいか?
A. まず、モデルミックスの影響。中小型IGZO液晶はハイエンドをフォーカスしていたが、それではボリュームがなかなか上がっていかないので、ミドルくらいも狙っていくということで実際の販売を始めている。そういうところで収益性がわずかに落ちてくる。季節性のものもある。しかし、アプリケーションを広げることで将来的な収益性は高められると考えている。
Q. 大型液晶パネル事業の損益はどう見ているか?2Qの時は中小型:大型=8:2と言っていたが、4Qはどう見ているのか。
A. 大型液晶パネルのほうがほぼ利益ゼロ、若干マイナスになるのではと見ている。
Q. 亀山第2工場の稼働率について。1〜3月の中小型液晶の比率はどうなるのか?また、来年度上期は稼働率40%を維持できるのか。
A. 1〜3月はほぼ40%程度の見込みで動いている。来期以降は全て計画できているわけではないので概略だが、スマートフォンだけでなくタブレットなど他のものも加えて50%に近づけていきたいと考えている。
Q. 2016年度にCECパンダとの合弁会社の工場が稼働し始めると、中国でもIGZOを作れるようになる。その場合、亀山工場との住み分けはどうなるのか?
A. 中国工場でIGZOを作るかどうかはまだ決めていない。そちらは第8.5世代対応工場なので、基本的にはテレビ向けパネルの製造を行う予定だ。もちろんIGZOも作れるが、それについてはあちらとまだ話をしている段階ではない。
営業利益は前年同期1,662億円の赤字から815億円の黒字へ、経常利益も前年同期1,991億円の赤字から375億円の黒字へ転換した。
同社は今回の結果について、4K対応AQUOSやフルHDパネルで4K相当の表示を実現する「クアトロン プロ」、IGZO液晶搭載スマートフォンなどの独自商品の創出と販売強化に取り組んだこと、加えて人件費を中心とした固定費や経費の削減を行った結果によるものと発表。国内景気が回復基調をたどったことや、米国での景気回復が続いたことも後押ししたと分析している。
デジタル情報家電については、液晶テレビの販売が米国、欧州では低迷したものの、国内では堅調に推移。中国や新興国では伸長し、売り上げは前年同期を上回った。携帯電話は、売り上げが前年同期を下回った。結果、同部門の売上高は前年同期5.3%増の5,515億円となった。
デバイスビジネスについては、液晶ではスマートフォンやタブレット向けの中小型液晶パネルに加え、大型液晶パネルが好調に推移し、売上高は前年同期30.6%増の6,223億円となった。スマートフォン向けカメラモジュールやセンサーなどの電子デバイスについても、売上高は28.5%増の2,290億円となった。
今後の見通しについては、デジタル情報家電においては、4K対応AQUOSや「クアトロン プロ」など大型液晶テレビの拡大を図ると共に、新興国などを重点地域とした販売強化を推進するという。また、携帯電話ではIGZO液晶ディスプレイ搭載のスマートフォンやタブレットのラインナップ拡充など、独自の商品展開を通じて国内シェアの回復を目指していくという。
2013年度通期の業績予想についても、売上高を前回予想値の2兆7,000億円から2兆9,000億円へ、営業利益を同800億円から1,000億円へそれぞれ上方修正した。
■「2013年度、純利益50億円は達成できる」(高橋社長)
シャープは本日業績説明会を開催。同社高橋社長が登壇し、説明を行った。
高橋社長は「2013年度は期初の計画を達成できる見込み。しかし経営を取り巻く環境は依然厳しいことに変わりない。手を緩めることなく、構造改革の取り組みを加速させ、中期経営計画の必達に邁進していく」と語る。
説明会では太陽電池や液晶事業、液晶テレビ事業についての質問が多く飛び交った。主な内容を以下に掲載する。
Q. 高橋社長は就任1年目、最初の年の目標が達成できそうな見込みをうけて、今の気持ちを聞かせてほしい。
A. 数字面ではご覧のとおり結果を出せた。しかし、文化を変えるといった取り組みは、まだまだこれから色々なことをやっていかなければと思っている。
Q. 2013年度の最終黒字化について、達成の自信は?
A. 売上高と営業利益については上方修正したが、純利益については変えていない。純利益50億円は達成できると考えている。
Q. 2015年度までの中期経営計画によると、来年度の売上高は2.8兆円を計画している。今期の見込みが2.9兆円ということになると“減収計画”になってしまうが、中期経営計画の見直し予定は?
A. 中期経営計画についてはもちろん見直しをかけていく。市況も変わっていくし、来年度の計画でさえまだ全部終わっているわけではないので。これについてはまた改めて公表する。
■液晶事業/液晶テレビ事業について
Q. シャープと言えばこれまで液晶テレビメーカーというイメージが強かったが、昨今はデバイス等に振ってきている。今後シャープはどう変わっていくか?
A. 前回の決算発表の際、ケータイやスマートフォン事業をどうするか、という質問をいただいたが、私は「通信技術を捨てるつもりはない」とお話しした。それは、コンシューマーとB2Bを分ける必要はないと考えているからだ。テレビについても、量販店で売っているようなものだけではなく“ディスプレイ”も非常に重要な存在。スッパリときれいに分かれるものではない。我々は技術を中心にした発想をしていく。ディスプレイ、イメージプロセッシング、通信など、B2B、B2C問わず進めていきたいと考えている。
Q. 液晶事業は、4Qは営業利益53億円を計画している。来期にかけて、利益率アップに向けどのような施策を行っていくのか?
A. 生産効率を高めたり、歩留まりの改善、部材調整、ロジスティック改善等のコストダウンを行っていく。しかしこれは液晶事業にかかわらず全てで着実に行っていきたい。液晶事業は、昨年までの大きな赤字からここまで浮かび上がってこれた。今後は(上記のようなことを)着実に進めていきたいと考えている。
また、アプリケーションの大型化、クアトロンプロなど付加価値の高いものに変えていくというのもひとつの方向性と言えるだろう。中小型液晶を推進するのは、パネル1枚あたりの売り上げ金額が大きいので収益性を高める鍵になるから。コモディティ化した製品から、付加価値の高い方向にアプリケーションを移していくことで、収益性を高めていきたい。
Q. 液晶テレビについて。今回、通期販売予想台数は800万台のまま、通期売上予想金額が4,200億円に引き上げられた。売上金額を上方修正した理由は?
A. 4Kテレビが好評なことに加え、クアトロンプロが動き出した。またアメリカや中国、そして4Kテレビで言えば日本でも、大型化が進んできた。これらのことにより単価がアップしたためだ。
Q. 4Kモデル拡大は他メーカーも計画していると思うので、4Kのプレミアム感も昨年夏と比べると下がってきているのでは。付加価値変化についてはどう見ているか?
A. 大型液晶テレビの全てが4Kやクアトロンプロモデルになっているわけではないので、これの比率を上げていくことで、トータルで収益が改善していくと考えている。確かに単価下落はあるかもしれないが、ベースの量が変わってくることは大きい。
Q. 液晶事業の3Qの営業利益260億円のうち、CECパンダなど勅許関連のエンジニアリングフィーはどのくらいか?
A. 約200億円程度だ。
Q. エンジニアリングフィーの割合が非常に高いが、このあとの期も同程度のボリュームが見込めるのか?
A. エンジニアリングフィーは単発だけではない。ただし、今後同じくらいのボリュームが見込めるかはノーコメント。
Q. 液晶事業は1Qでは赤字で、3Qではエンジニアリングフィーもあり黒字になった。事業の利益率はどのくらいだと考えているか?
A. 3Qについては利益率9.4%と高い数字。2Qも6.4%となっている。今後は中小型液晶では10%程度の利益率も狙っていきたい。大型液晶ではもう少し低い数字になるだろう。
Q. 液晶事業は今期は260億円の営業利益で、うち約200億円はエンジニアリングフィー。しかし4Qの営業利益は53億円との見込み。この営業減益はどう理解したらいいか?
A. まず、モデルミックスの影響。中小型IGZO液晶はハイエンドをフォーカスしていたが、それではボリュームがなかなか上がっていかないので、ミドルくらいも狙っていくということで実際の販売を始めている。そういうところで収益性がわずかに落ちてくる。季節性のものもある。しかし、アプリケーションを広げることで将来的な収益性は高められると考えている。
Q. 大型液晶パネル事業の損益はどう見ているか?2Qの時は中小型:大型=8:2と言っていたが、4Qはどう見ているのか。
A. 大型液晶パネルのほうがほぼ利益ゼロ、若干マイナスになるのではと見ている。
Q. 亀山第2工場の稼働率について。1〜3月の中小型液晶の比率はどうなるのか?また、来年度上期は稼働率40%を維持できるのか。
A. 1〜3月はほぼ40%程度の見込みで動いている。来期以降は全て計画できているわけではないので概略だが、スマートフォンだけでなくタブレットなど他のものも加えて50%に近づけていきたいと考えている。
Q. 2016年度にCECパンダとの合弁会社の工場が稼働し始めると、中国でもIGZOを作れるようになる。その場合、亀山工場との住み分けはどうなるのか?
A. 中国工場でIGZOを作るかどうかはまだ決めていない。そちらは第8.5世代対応工場なので、基本的にはテレビ向けパネルの製造を行う予定だ。もちろんIGZOも作れるが、それについてはあちらとまだ話をしている段階ではない。