ドルビープロデュースの映画館「ドルビーシネマ」も
【CES】ドルビー、HDR技術「ドルビービジョン」などデモ。アトモスのモバイル展開もアピール
ドルビーラボラトリーズは、2015 International CESの会期に合わせ、プライベートショーを実施。「ドルビーアトモス」のホーム/モバイルそれぞれにおける最新状況、および独自のHDR技術「ドルビービジョン」のデモなどを行った。
まずドルビービジョンについては、東芝、Hisense、Philipsの各ブランドがドルビービジョンに対応した試作機を展示していた。
■ドルビービジョンとは?
ドルビービジョンは、2014年1月のCESで発表されたHDR(High Dynamic Range)技術。カメラでの撮影・キャプチャーからポストプロダクション、圧縮信号の伝送、ディスプレイへの表示まで、エンド・トゥー・エンドで一貫したフローを提供し、輝度・コントラスト・色再現性を向上させることができるとしている。
具体的には、これまでREC.709カラープロファイルでは最高100NITに制限されていた輝度情報を大幅に拡大。明部1万NITから暗部0.005NITまでの輝度情報を「ドルビービジョンレンジ」として定義し、これを映画館のプロジェクターや家庭用テレビで再現することをねらう。ただし、1万NITを再現できるモニターを製造・販売することは難しいため、家庭用テレビなどでは数百〜1,000NIT程度がターゲットになると想像される。
ドルビービジョンでは、通常8ビットの映像信号と互換性を持った「ベースレイヤー」に加え、ドルビービジョンの付帯情報を収録した差分部分の「エンハンスメントレイヤー」の2つを送信。ドルビービジョンに対応するディスプレイ機器では、2つのレイヤーをデュアルデコードした後に、2つの信号を合成して12bitのドルビービジョン映像を生成する。
またドルビービジョンではフレームごとのメタデータも送られ、フレームごとのピーク輝度情報などを格納・伝送する。輝度などの性能はテレビによって異なるため、信号を受け取ったテレビなどディスプレイ側で、デコード時にディスプレイ性能に最適化しながらマッピングして表示する仕組みだ。
今回のCESではHDR技術を各社が展示し、次世代BD規格「ULTRA HD BLU-RAY」にもHDRが盛り込まれることが決まった。ただしULTRA HD BLU-RAYのHDRは、EOTF(Electro Optical Transfer Function)として、SMPTE(米国映画テレビ技術者協会の ST2084、そしてHDR情報を表すスタティックなメタデータとしてSMPTE ST2086を利用する。オープンな規格でHDRを実現しており、ドルビービジョンとの互換性はない。
ULTRA HD BLU-RAYとドルビービジョンは、同じくHDRを実現するものだが、双方に互換性がないため、両方に対応するためには、テレビセット側がそれぞれのデコーダーなどを内蔵する必要が出てくる。
なおドルビーラボラトリーズでは、CESの開催にあわせて、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテインメントとの協業を発表。ドルビービジョンでマスタリングしたワーナーの4Kタイトルを、2015年初旬にコンテンツ配給事業者へ提供することをアナウンスした。
4K作品を含むドルビービジョン採用コンテンツの提供がはじめてアナウンスされたことになり、現時点でラインナップされているタイトルは、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『イントゥ・ザ・ストーム』『LEGO ムービー』など。
今回のショーでは、「華麗なるギャツビー」などのデモコンテンツを再生。ギャツビーの邸宅で行われるパーティーで花火が盛大に打ち上がるシーンでは、花火の明るさと、その影になる部分の対比が鮮やかで、HDRの高い可能性を感じられた。
米国最大のビデオ配信事業者であるNetflixも、HDR対応コンテンツを今年配信することを表明。昨年1月に同社はドルビービジョンを採用すると発表しており、今回の取材でもNetflixが、少なくとも一部のコンテンツでドルビービジョンを採用することが確認できた。
また国内のVOD配信事業者についても、「いくつかの事業者と交渉している」段階とのこと。今後の動向が気になるところだ。
■ドルビーアトモスもデモ
そのほかプライベートショーでは、すでに対応機器が日本でも発売されているオブジェクトオーディオ技術「ドルビーアトモス」についても紹介。家庭用のドルビーアトモスについては、いわゆる「7.1.4」システムでデモを行い、おなじみのデモコンテンツや「トランスフォーマー /ロストエイジ」など、ドルビーアトモスで収録しているBDの再生などを行った。
このデモパートでは、天井埋め込みスピーカーとイネーブルドスピーカーを交互に再生。「多くの方にとって、天井にスピーカーを設置するのは現実的ではない。イネーブルドスピーカーでも近い体験を得ることが可能だ」と現地の説明員はアピールしていた。
またドルビーアトモスモバイルのデモ展示も行われていた。ドルビーアトモスのモバイル向けソリューションは、当サイトのこちらの記事に詳しいが、現状ではアマゾンのタブレットFire HDX 8.9」が対応している。ただし今のところ、本タブレットで楽しめるVODサービス「Amazon Instant Video」では、ドルビーアトモスでエンコードされたコンテンツの配信は行われていない。説明員によると、AmazonやVuduなどが、2015年中をめどに配信を開始する予定という。
■ドルビーが総合プロデュースする映画館「ドルビーシネマ」
ドルビーが映画館の設計や機材選定、館内の演出などすべてを総合プロデュースする「ドルビーシネマ」についても紹介された。たとえばサイネージなどの細部まで徹底的にこだわり、最良の映画体験を実現しようとするものだ。
このドルビーシネマでは、プロジェクターにドルビービジョン対応のものを採用。レーザー光源を採用し高輝度を実現できるもので、メーカーとドルビーが共同開発したものを採用している。
すでに昨年12月、オランダのアムステルダムにドルビーシネマがオープンしている。今後世界中で展開する予定で、日本でも採用映画館がオープンする可能性があるという。
まずドルビービジョンについては、東芝、Hisense、Philipsの各ブランドがドルビービジョンに対応した試作機を展示していた。
■ドルビービジョンとは?
ドルビービジョンは、2014年1月のCESで発表されたHDR(High Dynamic Range)技術。カメラでの撮影・キャプチャーからポストプロダクション、圧縮信号の伝送、ディスプレイへの表示まで、エンド・トゥー・エンドで一貫したフローを提供し、輝度・コントラスト・色再現性を向上させることができるとしている。
具体的には、これまでREC.709カラープロファイルでは最高100NITに制限されていた輝度情報を大幅に拡大。明部1万NITから暗部0.005NITまでの輝度情報を「ドルビービジョンレンジ」として定義し、これを映画館のプロジェクターや家庭用テレビで再現することをねらう。ただし、1万NITを再現できるモニターを製造・販売することは難しいため、家庭用テレビなどでは数百〜1,000NIT程度がターゲットになると想像される。
ドルビービジョンでは、通常8ビットの映像信号と互換性を持った「ベースレイヤー」に加え、ドルビービジョンの付帯情報を収録した差分部分の「エンハンスメントレイヤー」の2つを送信。ドルビービジョンに対応するディスプレイ機器では、2つのレイヤーをデュアルデコードした後に、2つの信号を合成して12bitのドルビービジョン映像を生成する。
またドルビービジョンではフレームごとのメタデータも送られ、フレームごとのピーク輝度情報などを格納・伝送する。輝度などの性能はテレビによって異なるため、信号を受け取ったテレビなどディスプレイ側で、デコード時にディスプレイ性能に最適化しながらマッピングして表示する仕組みだ。
今回のCESではHDR技術を各社が展示し、次世代BD規格「ULTRA HD BLU-RAY」にもHDRが盛り込まれることが決まった。ただしULTRA HD BLU-RAYのHDRは、EOTF(Electro Optical Transfer Function)として、SMPTE(米国映画テレビ技術者協会の ST2084、そしてHDR情報を表すスタティックなメタデータとしてSMPTE ST2086を利用する。オープンな規格でHDRを実現しており、ドルビービジョンとの互換性はない。
ULTRA HD BLU-RAYとドルビービジョンは、同じくHDRを実現するものだが、双方に互換性がないため、両方に対応するためには、テレビセット側がそれぞれのデコーダーなどを内蔵する必要が出てくる。
なおドルビーラボラトリーズでは、CESの開催にあわせて、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテインメントとの協業を発表。ドルビービジョンでマスタリングしたワーナーの4Kタイトルを、2015年初旬にコンテンツ配給事業者へ提供することをアナウンスした。
4K作品を含むドルビービジョン採用コンテンツの提供がはじめてアナウンスされたことになり、現時点でラインナップされているタイトルは、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『イントゥ・ザ・ストーム』『LEGO ムービー』など。
今回のショーでは、「華麗なるギャツビー」などのデモコンテンツを再生。ギャツビーの邸宅で行われるパーティーで花火が盛大に打ち上がるシーンでは、花火の明るさと、その影になる部分の対比が鮮やかで、HDRの高い可能性を感じられた。
米国最大のビデオ配信事業者であるNetflixも、HDR対応コンテンツを今年配信することを表明。昨年1月に同社はドルビービジョンを採用すると発表しており、今回の取材でもNetflixが、少なくとも一部のコンテンツでドルビービジョンを採用することが確認できた。
また国内のVOD配信事業者についても、「いくつかの事業者と交渉している」段階とのこと。今後の動向が気になるところだ。
■ドルビーアトモスもデモ
そのほかプライベートショーでは、すでに対応機器が日本でも発売されているオブジェクトオーディオ技術「ドルビーアトモス」についても紹介。家庭用のドルビーアトモスについては、いわゆる「7.1.4」システムでデモを行い、おなじみのデモコンテンツや「トランスフォーマー /ロストエイジ」など、ドルビーアトモスで収録しているBDの再生などを行った。
このデモパートでは、天井埋め込みスピーカーとイネーブルドスピーカーを交互に再生。「多くの方にとって、天井にスピーカーを設置するのは現実的ではない。イネーブルドスピーカーでも近い体験を得ることが可能だ」と現地の説明員はアピールしていた。
またドルビーアトモスモバイルのデモ展示も行われていた。ドルビーアトモスのモバイル向けソリューションは、当サイトのこちらの記事に詳しいが、現状ではアマゾンのタブレットFire HDX 8.9」が対応している。ただし今のところ、本タブレットで楽しめるVODサービス「Amazon Instant Video」では、ドルビーアトモスでエンコードされたコンテンツの配信は行われていない。説明員によると、AmazonやVuduなどが、2015年中をめどに配信を開始する予定という。
■ドルビーが総合プロデュースする映画館「ドルビーシネマ」
ドルビーが映画館の設計や機材選定、館内の演出などすべてを総合プロデュースする「ドルビーシネマ」についても紹介された。たとえばサイネージなどの細部まで徹底的にこだわり、最良の映画体験を実現しようとするものだ。
このドルビーシネマでは、プロジェクターにドルビービジョン対応のものを採用。レーザー光源を採用し高輝度を実現できるもので、メーカーとドルビーが共同開発したものを採用している。
すでに昨年12月、オランダのアムステルダムにドルビーシネマがオープンしている。今後世界中で展開する予定で、日本でも採用映画館がオープンする可能性があるという。