IFA2015 GPCレポート
Gibsonヘッドホンはいつ発売? オンキヨーやPhilipsの新製品は? CEOに聞く
マルタで開催されているIFA2015グローバル・プレスカンファレンスのイベント2日目には、イベントに協賛する大手エレクトロニクスメーカーによるプロダクトセミナーが実施された。昨夏誕生したGibson Innovations社のCEOであるWiebo Vaartjes氏に、フィリップスやギブソンブランドの商品戦略やオンキヨーとの業務提携についてインタビューした。
■フィリップスやFidelioの成功を牽引することがGibson Innovationsの役割
Gibson Innovations社の前身は、オランダ・フィリップスのオーディオ機器事業を担うWOOX Innovations社である。昨年の4月28日に米Gibson Brands社がWOOX Innovations社の買収契約をフィリップスと締結したことを発表し、以後同年6月30日に株式の買収を完了。ギブソン・グループの一員として再出発を切った。また今年の1月末にはオンキヨーとGibson Innovations社による業務提携も発表され、それぞれのグループ内における役割分担や製品展開にも注目が集まっていた。
CEOのVaartjes氏が率いるGibson Innovationsは、社名にギブソンの名前を冠することになったわけだが、グループ内でのポジショニングについて、Vaartjes氏はこう説明する。
「当社はギブソンのCEOであるHenry Juszkiewicz氏の指揮の下に展開するマルチブランド戦略の中で、主に“フィリップス”とそのエリートシリーズである“Fidelio”、CESで発表したウサイン・ボルト氏の監修による新しいパーソナルオーディオブランドの“TRAINER”、若者向けのカジュアルな新ブランドである“GoGear”の4ブランドについて商品開発とマネージメントを担当します。ギブソンのマルチブランド戦略が目指すゴールは、資本・業務提携を交わしているオンキヨーやティアック、エソテリックなどグループとしてつながるブランドのそれぞれの違いを明確にし、それらの特長を最大化して、お客様のニーズに合致する製品をお届けすることです」(Vaartjes氏)
Gibson Brandsとオンキヨーとのパートナーシップについては、Gibson Brandsがオンキヨーの株式の一部を取得、資本参加をしている。これに伴うかたちで、今後Gibson Innovationsとオンキヨーはヘッドホン・イヤホン、およびワイヤレススピーカーについて一部新製品の共同開発を進めていくほか、オンキヨー製品の海外ディストリビューションをGibson Innovationsがサポートし、呼応するかたちでGibson Innovationsが取り扱うブランドの日本国内販売をオンキヨーが行う。
「WOOXの時代に十分な成功を収められなかった地域が北米と日本です。オンキヨーのバックアップを得ることで、今後フィリップスやFidelioの製品をもっと多くの日本のファンにご紹介できるようになると思います」(Vaartjes氏)
一方で、今春からのオンキヨーとパイオニアによるAV事業の統合が、ギブソンの展開するマルチブランド戦略に影響を与えることはないのだろうか。「Gibson Brandsはオンキヨーと資本提携をしていますが、オンキヨーはあくまで独立したユニットです。今回はそのオンキヨーがパイオニアとの事業統合を独自に決めたことです。パイオニアがGibson Brandsのマルチブランド戦略に、直接的に組み込まれることはありません」とVaartjes氏は答えた。
なおフィリップスやFidelioのオーディオ製品には、音質を決定する専門の“ゴールデンイヤー”と呼ばれるスタッフが深く関わっているが、彼らが今後、オンキヨー製品の音質決定に対して直接的に関わっていくことはないだろうとVaartjes氏は説明を付け加えた。
■9月には続々と新ブランドの新製品が起ち上がる
今年1月に開催された2015 International CESでは、Gibsonのオリジナルブランドや、TRAINER by Gibsonブランドからのヘッドホンやスピーカーが発表されたが、その後開発は順調に進んでいるという。TRAINERは今年の第2四半期内に北米での発売が予定されているほか、ヨーロッパでも「IFAが開催される頃までには発売したい」(Vaartjes氏)と目標を示している。
Gibsonのヘッドホンには、Gibson Innovationsのゴールデンイヤーが深く関わっている。発売時期や価格などの詳細はIFA2015の会期頃、正式に発表される予定となっているが、Vaartjes氏は販売方法について「数あるグループのブランドの中で、Gibsonはハイエンドクラスに位置づけていく。CESで発表したヘッドホンも、最終的な販売価格は1,000米ドル以上を想定している。販売チャンネルは、ハイエンドオーディオのショップやギブソンの楽器を扱うセレクトストアだけに限定して展開する」という計画だ。
今年のIFA GPCの壇上では、新ブランドの「GoGear」が新しく立ち上がることも発表された。フィリップスを良くご存知の方であれば聞き覚えのある名前かもしれないが、元々はフィリップスのポータブルAVプレーヤーのペットネームとして使われていたものだ。それが今回、ヘッドホンやイヤホン、ワイヤレススピーカーなどスモール・ポータブルデバイスを中心に、若者をターゲットに狙いを定めたカジュアルシリーズとして生まれ変わる。
これほど多彩なブランドを同時に展開すれば、ポジションや機能が重複する製品が出てこないのだろうか。この質問に対してVaartjes氏は次のように答えた。
「確かにオーバーラップしてくる製品も出てくるものと思いますが、大事なことは、私たちはお客様にブランド側の価値を押しつけるのではなく、音質や使い勝手であったり、お客様が求めているところまでケアの行き届いた商品群を揃えることであると考えています。お客様のニーズに応えて慎重に検討しながら、ラインナップの取捨選択も必要であれば行います」。
今後のフィリップスやFidelioブランドの展開についても訊ねた。
「Fidelioはハイエンドラインとして、今後もヘッドホンからホームシアター、ワイヤレスオーディオまで幅広く、それぞれに上質なクオリティを追求して行きます。ヘッドホンについては、現在力を入れているLightning直結タイプのDAC内蔵モデルも用意していますが、近くノイズキャンセリング機能搭載のFidelio NC1をベースにLightning対応とした“NC1L”も発売を予定しています」(Vaartjes氏)
フィリップスの通常ラインナップには、Bluetoothスピーカーの「BT6000」も加わる。円筒形の本体には2基のフルレンジスピーカーとパッシブラジエーターを搭載。コンパクトながら迫力のある低域を再現してくれる。99ユーロ前後のカジュアルなスピーカーとして、NFC対応の利便性も含めて、スマホを中心に音楽を聴く若い音楽ファンのニーズ獲得も狙う。本体色はブラック/ホワイト/ブルー/レッドの4色が揃う見込みだ。
■フィリップスやFidelioの成功を牽引することがGibson Innovationsの役割
Gibson Innovations社の前身は、オランダ・フィリップスのオーディオ機器事業を担うWOOX Innovations社である。昨年の4月28日に米Gibson Brands社がWOOX Innovations社の買収契約をフィリップスと締結したことを発表し、以後同年6月30日に株式の買収を完了。ギブソン・グループの一員として再出発を切った。また今年の1月末にはオンキヨーとGibson Innovations社による業務提携も発表され、それぞれのグループ内における役割分担や製品展開にも注目が集まっていた。
CEOのVaartjes氏が率いるGibson Innovationsは、社名にギブソンの名前を冠することになったわけだが、グループ内でのポジショニングについて、Vaartjes氏はこう説明する。
「当社はギブソンのCEOであるHenry Juszkiewicz氏の指揮の下に展開するマルチブランド戦略の中で、主に“フィリップス”とそのエリートシリーズである“Fidelio”、CESで発表したウサイン・ボルト氏の監修による新しいパーソナルオーディオブランドの“TRAINER”、若者向けのカジュアルな新ブランドである“GoGear”の4ブランドについて商品開発とマネージメントを担当します。ギブソンのマルチブランド戦略が目指すゴールは、資本・業務提携を交わしているオンキヨーやティアック、エソテリックなどグループとしてつながるブランドのそれぞれの違いを明確にし、それらの特長を最大化して、お客様のニーズに合致する製品をお届けすることです」(Vaartjes氏)
Gibson Brandsとオンキヨーとのパートナーシップについては、Gibson Brandsがオンキヨーの株式の一部を取得、資本参加をしている。これに伴うかたちで、今後Gibson Innovationsとオンキヨーはヘッドホン・イヤホン、およびワイヤレススピーカーについて一部新製品の共同開発を進めていくほか、オンキヨー製品の海外ディストリビューションをGibson Innovationsがサポートし、呼応するかたちでGibson Innovationsが取り扱うブランドの日本国内販売をオンキヨーが行う。
「WOOXの時代に十分な成功を収められなかった地域が北米と日本です。オンキヨーのバックアップを得ることで、今後フィリップスやFidelioの製品をもっと多くの日本のファンにご紹介できるようになると思います」(Vaartjes氏)
一方で、今春からのオンキヨーとパイオニアによるAV事業の統合が、ギブソンの展開するマルチブランド戦略に影響を与えることはないのだろうか。「Gibson Brandsはオンキヨーと資本提携をしていますが、オンキヨーはあくまで独立したユニットです。今回はそのオンキヨーがパイオニアとの事業統合を独自に決めたことです。パイオニアがGibson Brandsのマルチブランド戦略に、直接的に組み込まれることはありません」とVaartjes氏は答えた。
なおフィリップスやFidelioのオーディオ製品には、音質を決定する専門の“ゴールデンイヤー”と呼ばれるスタッフが深く関わっているが、彼らが今後、オンキヨー製品の音質決定に対して直接的に関わっていくことはないだろうとVaartjes氏は説明を付け加えた。
■9月には続々と新ブランドの新製品が起ち上がる
今年1月に開催された2015 International CESでは、Gibsonのオリジナルブランドや、TRAINER by Gibsonブランドからのヘッドホンやスピーカーが発表されたが、その後開発は順調に進んでいるという。TRAINERは今年の第2四半期内に北米での発売が予定されているほか、ヨーロッパでも「IFAが開催される頃までには発売したい」(Vaartjes氏)と目標を示している。
Gibsonのヘッドホンには、Gibson Innovationsのゴールデンイヤーが深く関わっている。発売時期や価格などの詳細はIFA2015の会期頃、正式に発表される予定となっているが、Vaartjes氏は販売方法について「数あるグループのブランドの中で、Gibsonはハイエンドクラスに位置づけていく。CESで発表したヘッドホンも、最終的な販売価格は1,000米ドル以上を想定している。販売チャンネルは、ハイエンドオーディオのショップやギブソンの楽器を扱うセレクトストアだけに限定して展開する」という計画だ。
今年のIFA GPCの壇上では、新ブランドの「GoGear」が新しく立ち上がることも発表された。フィリップスを良くご存知の方であれば聞き覚えのある名前かもしれないが、元々はフィリップスのポータブルAVプレーヤーのペットネームとして使われていたものだ。それが今回、ヘッドホンやイヤホン、ワイヤレススピーカーなどスモール・ポータブルデバイスを中心に、若者をターゲットに狙いを定めたカジュアルシリーズとして生まれ変わる。
これほど多彩なブランドを同時に展開すれば、ポジションや機能が重複する製品が出てこないのだろうか。この質問に対してVaartjes氏は次のように答えた。
「確かにオーバーラップしてくる製品も出てくるものと思いますが、大事なことは、私たちはお客様にブランド側の価値を押しつけるのではなく、音質や使い勝手であったり、お客様が求めているところまでケアの行き届いた商品群を揃えることであると考えています。お客様のニーズに応えて慎重に検討しながら、ラインナップの取捨選択も必要であれば行います」。
今後のフィリップスやFidelioブランドの展開についても訊ねた。
「Fidelioはハイエンドラインとして、今後もヘッドホンからホームシアター、ワイヤレスオーディオまで幅広く、それぞれに上質なクオリティを追求して行きます。ヘッドホンについては、現在力を入れているLightning直結タイプのDAC内蔵モデルも用意していますが、近くノイズキャンセリング機能搭載のFidelio NC1をベースにLightning対応とした“NC1L”も発売を予定しています」(Vaartjes氏)
フィリップスの通常ラインナップには、Bluetoothスピーカーの「BT6000」も加わる。円筒形の本体には2基のフルレンジスピーカーとパッシブラジエーターを搭載。コンパクトながら迫力のある低域を再現してくれる。99ユーロ前後のカジュアルなスピーカーとして、NFC対応の利便性も含めて、スマホを中心に音楽を聴く若い音楽ファンのニーズ獲得も狙う。本体色はブラック/ホワイト/ブルー/レッドの4色が揃う見込みだ。