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銀座ソニービルにて

ウォークマンやトリニトロンなどソニーの名デザインを体感、イベント「Sony Design: MAKING MODERN」

公開日 2015/04/28 18:51 編集部:小野佳希
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ソニーは、歴代のソニーデザインを新たに撮りおろした写真などを収録した本『Sony Design: MAKING MODERN』が出版されることを記念し、カセットテープウォークマンやブラウン管テレビ“トリニトロン”など歴代製品を実際に展示するイベント「Sony Design: MAKING MODERN 〜原型づくりへの挑戦〜」を、4月29日(水・祝)〜6月14日(日)の期間で銀座ソニービルにて開催する。

会場となる銀座ソニービル

トリニトロン「KX-20HF1」(1980年発売)

ソニーの精神に共感した、アート・デザイン系出版物を多く手がけるニューヨークの出版社Rizzoli International Publicationsが『Sony Design: MAKING MODERN』を出版。これを記念し、70年大から現在に至るまでの製品約30点を展示する。なお、同書は米国リッツォーリ社が手がけている通り、掲載されているコラムなどもすべて英語の洋書だが、日本のAmazonでも購入できる。

各製品を新たに撮り下ろしている

イベント会場は銀座ソニービル8階のコミュニケーションゾーン「OPUS」。1971年に発売したトランシーバー“LITTLE JOHN”「ICB-650」や、2003年の“AIBO”、そして4K BRAVIAやハイレゾウォークマンに至るまで、各時代でソニーの歴史を彩ってきた製品群が展示されている。

AIBOと小型二足歩行エンターテインメントロボット「SDR-4X II」

“LITTLE JOHN”「ICB-650」


4K対応ブラビア X9200B

ウォークマン NW-ZX2

例えばウォークマンであればヘッドホンの小型化に成功した第2号機「WM-2(1981年)」、スポーツユースを想定した最初のモデルである防水対応の「WM-F5(1983年)」、CDウォークマン第1号機「D-50(1984年)」、スケルトンデザインの「WM-504(1987年)」、円形デザインを採用した「D-E01(1999)」、そしてハイレゾ対応の最新機「NW-ZX2」を展示。

WM-2。片手操作をベースに“遊びの道具”としてデザイン先行で制作したモデルだという

WM-F5。入社1年めのdザイナーが提案し、まだ海外に行ったことがなかったために雑誌の西海岸特集ページを見ながらイメージをふくらませたとのこと


D-50。CDジャケットサイズを実現することを念頭に開発が進められた

WM-504。「カセットテープに直接ヘッドホンを挿して音楽を聴く」というイメージがデザインコンセプト


D-E01。「どこを持って開閉すればいいのか」など円形デザインの実現には様々な課題があったという

また、ケヤキ材を採用した「MDR-R10(1988年)」などヘッドホン/イヤホンの展示も用意。各展示品については本稿の最後でまとめて紹介したい。

MDR-Z7

MDR-R10。ケヤキの筐体そのものが弦楽器のように共鳴しドライバーから出てくる音楽の一部として鼓膜に届くという思想の下にデザインしたという

イベント開幕を控え本日開催されたプレス向け説明会では、同社デザインセンター長の長谷川豊氏、数多くの世界的企業のデザインに関わってきたクリエイティブ・ディレクターのトーマス・リッケ氏、デザインエディターで「TRI+(トライプラス)」取締役の関 康子氏によるトークショーを開催。デザインについてそれぞれが語りあった。

FM/AMマルチバンドレシーバー「スカイセンサー」を“マイ・ベスト・ソニー・プロダクト”に挙げる長谷川氏は、同製品について「プロフェッショナリズムをいかに一般ユーザーに楽しませるか。プロと一般ユーザーのつながりを作っている製品だった」とコメント。「触り心地や使い勝手も非常に作りこまれている。また、取り扱い説明書もコックピットを思わせるデザインで、これも製品の世界観を作っている。今で言うUXを体感させる世界であり、現代のUXの原型を感じることができる」と語る。

ソニー 長谷川氏

FM/AMマルチバンドレシーバー「スカイセンサー」

リッケ氏は「一番を選ぶのは本当に難しいが、12歳のときに買ったスポーツウォークマンが記憶に残っている」とコメント。「どんな場所でも、どんなときでも音楽を聴けることが、表現の自由を体現している」と評価。こうした会話に、ナビゲーターを務めた関氏も「製品を観ると、当時の自分がどんな状況だったのかなどの思い出が蘇ってきて、プロダクト以上に感動してしまう」と言葉を添えた。

トーマス・リッケ氏

そしてリッケ氏は、ソニーのプロダクトデザインについて「ソニーならではのキャラクターがしっかりある印象を持っており、人間のような魂を感じる。エモーションがプロダクトにある」とコメント。「プロダクトとテクノロジーを、ユーザーに響く形で作っているのがソニーだと思う」と続け、長谷川氏はこれに「我々はよく『一筆書き』と言っているのだが、一筆書きで他人に魅力が伝えられるようにという意識が、そうした部分に出ているのかもしれない」とした。

また、関氏はiMacに先んじてウォークマンでスケルトンデザインを採用していたこと、子供向けAV機器という概念がなかった時代に「マイ・ファースト・ソニー」と題した子供向け製品を展開していたことなどに言及。「AIBOもそうだが、実験的な試み、やんちゃ性もソニーの魅力かと思う。ソニーファンとして冒険を期待したい」と語る。

関 康子氏

マイ・ファースト・ソニー シリーズ

そのほかリッケ氏は、「今は数々のオリジナル製品を投入するサムスンも、ウォークマン最盛期の頃は、基本的にはコピー品を安く作っていた。また、アップルはスティーブ・ジョブズ自身がソニーのファンだった。ソニーは常にテクノロジーの震源地だった」と、他社の名前も出しながらソニーに言及。「今、テクノロジーは岐路に立っている。技術の進歩によってテクノロジーだけでの差別化が難しくなっていて、これからは『人とどれだけ一緒になれるか』ということが差別化ポイントになるだろう」とし、「未来に向かっていくプロダクトを、何か一緒にソニーと手がけられたらうれしい」と述べた。

そして長谷川氏は、『Sony Design: MAKING MODERN』の出版を受け、「これまで、現在、これからということで、我々のなかでもソニーというものを再定義している」とコメント。「これからどういうことを産んでいけばお客さんが新しい体験をできるか。そういうことを発信していく。いろんなチャレンジをこれからもやっていきたい」と語った。

ソニー デザインセンターの市川氏は「当時の写真をそのまま使うのではなく新たに撮り直したことによって、歴史も新しいデザインも一貫して見てみらえるものになっているのではないか」と書籍についてコメント

以下、展示品について写真レポートをお届けする。なお、ファイル・ウェブでは同社製品の歴史的製品を展示するソニー歴史資料館の取材も過去に敢行しているので(関連記事)、ぜひあわせてご覧いただければ幸いだ。

エグゼクティブのテレビとして開発された4インチテレビ、マイクロトリニトロン「KV-4P1」

トリニトロン「KX-20HF1」の裏側


ネックバンドスタイルの「MDR-G61」。「一切長さ調整をしないで万人が使えるヘッドホン」をコンセプトに1987年に構想し、10年の試行錯誤を経て1997年に製品化

ダクト部分を初めて中心部からズラし、より外耳道に深く差し込める左右非対称デザインを採用した「MDR-E484」


デジカメ「サイバーショット」第1号機「DSC-F1」(1996年発売)

チューナー部とスピーカー部が分離するラジオ「ICF-7500」(1976年)


MSX規格パソコンがブレイクするさきがけとなった「Hit Bit」(1984年)

初代VAIOノート 「PCG-505」(1997年)


デジタルビデオカメラ第1号機「DCR-VX1000」(1995年)

4K撮影対応モデル「PMW-F55」


往年の「デンスケ」を最新のデジタル技術で蘇らせたというリニアPCMレコーダー「PCM-D1」(2005年)


PS4やXperia Z3も展示

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