制作サイドからのコメントも
<ヘッドホン祭>佐咲紗花さんは「MQAクイーン」? MQAの魅力を語るトークイベントをレポート
4月29・30日に中野サンプラザで開催された「春のヘッドホン祭2017」。30日の6Fチャペルでは「佐咲紗花×野村ケンジ、スペシャルトーク・セッション」が実施された。
今回のトーク・セッションは、英国MQA Ltd.主催、e-onkyo music、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ協力のもと、オーディオビジュアルライターの野村ケンジ氏と、第3回全日本アニソングランプリで優勝した経歴を持つアニソンシンガー・佐咲紗花さんが招かれ、近年話題となっているMQA音源やハイレゾ音源全般について語り合った。
トークセッションは、野村氏によるMQAを利用する2つの大きなメリットについての解説からスタートした。
野村氏は「MQAとは平たく言ってしまえば、ハイレゾの良い音のまま、うまいこと圧縮して小さなファイルサイズにしたデータ方式。ハイレゾの欠点を強いてあげるならデータの大きさで、例えばDSD 11.2MHzなどという形式だと、1曲1GBとCD2枚分のデータ量になってしまう。MQAは比較的扱いやすいファイルサイズまで抑えながら、良い音は保てる」と1つめの利点を説明した。
また、特殊な圧縮技術のお陰で楽曲のノイズ成分が除去されて、メリハリがハッキリした聴きやすい音質であることを2つめの利点として説明。「イヤホン・ヘッドホンなどで電車の中で音楽を聴くときも、ボリュームを小さめにしてもよく聴こえたりする」とのことだ。
そもそもMQAは2012年に誕生し、5年目を迎えようとしている形式であるが、その浸透度について野村氏は「圧縮しているのに音が良い、という矛盾しているようなMQAの概念がようやく理解を得られてきた」としながら、対応製品がどれだけ出てくるかが今後の課題と指摘した。
近年、オンキヨー&パイオニアのDAP「DP-X1A」「XDP-300R」やスマートフォン「GRANBEAT」がMQAに対応。「GRANBEAT」は128GBもの内蔵メモリを搭載しているが、それでもハイレゾ音源を入れるとなると容量はすぐに使い尽くしてしまう。そのような時、MQAのデータサイズの小ささはまさに適しているとしていた。
e-onkyo musicでは4月26日から、佐咲さんの最新シングル「ID-0」の配信がスタートしており、FLAC 96kHz/24bit、WAV 96kHz/24bit、96kHz/32bit、そしてMQAの4形式がラインナップされている。
当初「ID-0」をMQAで展開するとは、実は野村氏も佐咲さんも聞かされていなかったという。それぞれ音質・容量が異なるので、聴く場所・機材によって選べるようになっている。
佐咲さんはMQAをはじめとしたハイレゾの魅力について「MP3やCD音源が平面的とするなら、ハイレゾは球体になった空間の中心で聴いているように体感できる。楽器の音色や位置がはっきり『これがここで鳴っている!』と分かる状態で自分の歌詞を聴いてもらえると、よりその世界へ入り込めると思う」とコメント。
従来の音源に合わせたミックスだと隠れていた音、作曲家がこだわって入れた音色が、ハイレゾでは発見できると実感があるという。野村氏も「制作側が思い通りの制作をできるようになった」という点を評価していた。
制作サイドにおけるハイレゾの影響について野村氏は「例えば佐咲さんの所属するランティスでは、プロデューサーがハイレゾを意識した制作をしているなど、ハイレゾが制作サイドに及ぼす影響がここ2〜3年で顕著になっている」とし、佐咲さんも自身のレコーディングについて、かなり早い時期からハイレゾを意識したものになっていたと紹介。
また佐咲さんは、現行のハイレゾフォーマットでは最上位とも言えるDSD 11.2MHzのレコーディングも経験済。「(ハイレゾ配信を意識したレコーディングになることに)プレッシャーもありまして、音のアラも分かりやすくなっちゃうということなので。ミュージシャンやシンガーとしては緊張感のある、ごまかしが効かないという思いがありつつも、表現の幅が広がるのではと考え方が変わってきています」。
プライベートで音楽を聴かれるときは「家でゆっくり聴くというのは少なく、移動の時間だったり、待機の時間だったりが多い」という佐咲さん。既にハイレゾプレーヤーやオンキヨーのカスタムIEMを所持しているという。「私はヘッドホンよりイヤホン派。女子は重さの問題が色々あったり、片耳だけ空けて安全を確保することもできるので。ヘッドホンもオシャレで見た目が可愛かったり着けたいんですけど。ヘッドホン女子、良いですよね」と語った。
ヘッドホン選びについては、「色々ヘッドホンを聴かせていただいて思ったのは、値段が全てじゃないということ。同じブランドの一番手頃なモデルから最高のモデルまで全部聴いたとき、一番好きだったのが手頃なモデルだったこともある。皆さんも今回のヘッドホン祭のような機会で色々試していただければと思う。佐咲紗花の曲に一番合うのはどれかなー、なんて(笑)」。
佐咲さん所属のランティスからリリースされている「ラブライブ!」関連アルバムがアニソンジャンルにおけるハイレゾ普及に貢献したことを引き合いに出した野村氏から、「じゃあMQAは佐咲紗花(さん)で広げていく感じで」と話を振ると、佐咲さんも「じゃあMQAクイーン、MQA大使みたいな感じで。頑張ります」と応じていた。
最後に野村氏は「聴いてシンプルに感じてもらうのがすべて。自分の中でMQAはこんな音源、じゃあこういう風に聴こう、とうまく利用していただければと思う」とコメント。さらに佐咲さんの「音楽を聴いて、楽しんでいただける環境に選択肢があることは、歌っている側としてもすごく幸せなこと。色々なプレーヤーやヘッドホンで音楽を試していただきたいのと、ぜひ音源をたくさん聴き込んだ上で、今度はライブとも比べてみて欲しい」という言葉でセッションは終了した。
トーク・セッション中では、MQAをそのまま聴くことができる野村氏おすすめ機材として、MQAにハードウェアで対応しているオンキヨー&パイオニア製DAP「DP-X1A」「XDP-300R」、スマートフォン「GRANBEAT」が挙げられていた。音楽を良い環境で聴く機材を手軽に揃えたい方は、一度試されてはいかがだろうか。
また、佐咲紗花さんの最新ライブ「佐咲紗花 Live tour 2017 “Fated Crown”」が6月から開催を予定している。佐咲さん自身がおすすめしていたように、MQA音源を聴き込んだ上で、ライブでのアプローチと比べてみるのも楽しいかもしれない。
今回のトーク・セッションは、英国MQA Ltd.主催、e-onkyo music、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ協力のもと、オーディオビジュアルライターの野村ケンジ氏と、第3回全日本アニソングランプリで優勝した経歴を持つアニソンシンガー・佐咲紗花さんが招かれ、近年話題となっているMQA音源やハイレゾ音源全般について語り合った。
トークセッションは、野村氏によるMQAを利用する2つの大きなメリットについての解説からスタートした。
野村氏は「MQAとは平たく言ってしまえば、ハイレゾの良い音のまま、うまいこと圧縮して小さなファイルサイズにしたデータ方式。ハイレゾの欠点を強いてあげるならデータの大きさで、例えばDSD 11.2MHzなどという形式だと、1曲1GBとCD2枚分のデータ量になってしまう。MQAは比較的扱いやすいファイルサイズまで抑えながら、良い音は保てる」と1つめの利点を説明した。
また、特殊な圧縮技術のお陰で楽曲のノイズ成分が除去されて、メリハリがハッキリした聴きやすい音質であることを2つめの利点として説明。「イヤホン・ヘッドホンなどで電車の中で音楽を聴くときも、ボリュームを小さめにしてもよく聴こえたりする」とのことだ。
そもそもMQAは2012年に誕生し、5年目を迎えようとしている形式であるが、その浸透度について野村氏は「圧縮しているのに音が良い、という矛盾しているようなMQAの概念がようやく理解を得られてきた」としながら、対応製品がどれだけ出てくるかが今後の課題と指摘した。
近年、オンキヨー&パイオニアのDAP「DP-X1A」「XDP-300R」やスマートフォン「GRANBEAT」がMQAに対応。「GRANBEAT」は128GBもの内蔵メモリを搭載しているが、それでもハイレゾ音源を入れるとなると容量はすぐに使い尽くしてしまう。そのような時、MQAのデータサイズの小ささはまさに適しているとしていた。
e-onkyo musicでは4月26日から、佐咲さんの最新シングル「ID-0」の配信がスタートしており、FLAC 96kHz/24bit、WAV 96kHz/24bit、96kHz/32bit、そしてMQAの4形式がラインナップされている。
当初「ID-0」をMQAで展開するとは、実は野村氏も佐咲さんも聞かされていなかったという。それぞれ音質・容量が異なるので、聴く場所・機材によって選べるようになっている。
佐咲さんはMQAをはじめとしたハイレゾの魅力について「MP3やCD音源が平面的とするなら、ハイレゾは球体になった空間の中心で聴いているように体感できる。楽器の音色や位置がはっきり『これがここで鳴っている!』と分かる状態で自分の歌詞を聴いてもらえると、よりその世界へ入り込めると思う」とコメント。
従来の音源に合わせたミックスだと隠れていた音、作曲家がこだわって入れた音色が、ハイレゾでは発見できると実感があるという。野村氏も「制作側が思い通りの制作をできるようになった」という点を評価していた。
制作サイドにおけるハイレゾの影響について野村氏は「例えば佐咲さんの所属するランティスでは、プロデューサーがハイレゾを意識した制作をしているなど、ハイレゾが制作サイドに及ぼす影響がここ2〜3年で顕著になっている」とし、佐咲さんも自身のレコーディングについて、かなり早い時期からハイレゾを意識したものになっていたと紹介。
また佐咲さんは、現行のハイレゾフォーマットでは最上位とも言えるDSD 11.2MHzのレコーディングも経験済。「(ハイレゾ配信を意識したレコーディングになることに)プレッシャーもありまして、音のアラも分かりやすくなっちゃうということなので。ミュージシャンやシンガーとしては緊張感のある、ごまかしが効かないという思いがありつつも、表現の幅が広がるのではと考え方が変わってきています」。
プライベートで音楽を聴かれるときは「家でゆっくり聴くというのは少なく、移動の時間だったり、待機の時間だったりが多い」という佐咲さん。既にハイレゾプレーヤーやオンキヨーのカスタムIEMを所持しているという。「私はヘッドホンよりイヤホン派。女子は重さの問題が色々あったり、片耳だけ空けて安全を確保することもできるので。ヘッドホンもオシャレで見た目が可愛かったり着けたいんですけど。ヘッドホン女子、良いですよね」と語った。
ヘッドホン選びについては、「色々ヘッドホンを聴かせていただいて思ったのは、値段が全てじゃないということ。同じブランドの一番手頃なモデルから最高のモデルまで全部聴いたとき、一番好きだったのが手頃なモデルだったこともある。皆さんも今回のヘッドホン祭のような機会で色々試していただければと思う。佐咲紗花の曲に一番合うのはどれかなー、なんて(笑)」。
佐咲さん所属のランティスからリリースされている「ラブライブ!」関連アルバムがアニソンジャンルにおけるハイレゾ普及に貢献したことを引き合いに出した野村氏から、「じゃあMQAは佐咲紗花(さん)で広げていく感じで」と話を振ると、佐咲さんも「じゃあMQAクイーン、MQA大使みたいな感じで。頑張ります」と応じていた。
最後に野村氏は「聴いてシンプルに感じてもらうのがすべて。自分の中でMQAはこんな音源、じゃあこういう風に聴こう、とうまく利用していただければと思う」とコメント。さらに佐咲さんの「音楽を聴いて、楽しんでいただける環境に選択肢があることは、歌っている側としてもすごく幸せなこと。色々なプレーヤーやヘッドホンで音楽を試していただきたいのと、ぜひ音源をたくさん聴き込んだ上で、今度はライブとも比べてみて欲しい」という言葉でセッションは終了した。
トーク・セッション中では、MQAをそのまま聴くことができる野村氏おすすめ機材として、MQAにハードウェアで対応しているオンキヨー&パイオニア製DAP「DP-X1A」「XDP-300R」、スマートフォン「GRANBEAT」が挙げられていた。音楽を良い環境で聴く機材を手軽に揃えたい方は、一度試されてはいかがだろうか。
また、佐咲紗花さんの最新ライブ「佐咲紗花 Live tour 2017 “Fated Crown”」が6月から開催を予定している。佐咲さん自身がおすすめしていたように、MQA音源を聴き込んだ上で、ライブでのアプローチと比べてみるのも楽しいかもしれない。