4K HDR中継車の内部を披露
サッカー中継は4K HDRでどう変わる? スカパーが鈴木啓太氏引退試合の制作現場を公開
スカパー!は、7月17日に開催されたサッカーJリーグ元浦和レッズ・鈴木啓太氏の引退試合で4K HDRでの生中継を実施。4K HDR中継車の内部や番組作りの裏側を一部メディアに公開した。
放送には、4K HDR中継車「SR-1」(関連ニュース)を使用。サッカーでの4K HDR中継は4月12日に行われたYBCルヴァンカップ、横浜F・マリノス VS ヴィッセル神戸戦に続き2例目、サッカー以外を含めても4K HDRは3例目という貴重な機会となった。
スカパー!の小松氏は「ルヴァンカップは4月の18時からという、ほぼ完全に日が落ちてからの試合という状態だった。今回は7月の17時開始ということで、日が高い状態で試合が始まり、終了時には日が落ちている。輝度の高い状態から低い状態まで全部ある、我々としてもトライできる環境」と、今回の4K HDR中継の意義を説明する。
技術本部長の早尻氏も、「昼間のサッカー中継では、例えば日陰にボールが来たときに選手とボールの動きをちゃんと見えるようにカメラを調整すると、SDRでは日なたの部分は明るすぎて白飛びしてしまう。また、逆に日なたの部分に合わせると日陰が暗く潰れてしまう。今までのサッカー中継にはそういう制約があった」と解説。HDRによってそういった問題がクリアでき、「より人間の視覚の感性に近い表現ができるようになった」と言葉を続ける。
また「HDRではサッカーボールの光沢感も、よりリアルに表現できる」とコメント。「ユニフォームに照明が当たっている光沢感も違ってくる」とし、「今回の試合では青に白いラインが入っているが、日なたではこの白い部分がベタッとしてしまう」と説明した。
当日は業務用マスターモニター2台で4K HDRと4K SDRとを比較。さらに液晶テレビでフルHD(SDR)での地デジ放送を見比べることができたが、たしかに早尻氏らの言うように、HDRのメリットはサッカーの中継において大きいと記者も実感した。
例えば選手がアップになった際、早尻氏の言葉の通り、ユニフォームの白いラインの表現に差が出る。SDRでは4Kであっても“白いライン”としか認識できないが、HDRではその白いラインにシワが寄っている様子までしっかり確認できる。
なお今回の試合時(特に前半)の日照具合ではピッチ上にそこまで差が激しい日なたと日陰ができる状況ではなく、サッカーの試合そのものだけを観るのであればSDRでもそれほど不満を感じることはなかった。「まぁ、いつものサッカー中継だな」といった感想だ。
しかしピッチの背景として映る観客席の様子にまで気を配ると、SDRでは白飛びしてしまいディティールが確認できない。HDRではこうした部分もしっかり確認でき、画面全体が締まって見える。空に薄っすらと雲がかかっている様子であったり、日差しに照らされた屋根の模様であったりと、ピッチ外も含めてSDRでは画面に現れない細部がHDRで確認できることで、中継の臨場感がグッと増す印象だ。
なお、中継車SR-1はカメラ8台を常設し、最大20台分の機器を中継車内に実装可能。今回はワイヤレスの1台を含むカメラ9台での4K HDR中継を行った。
中継を行う際には車体の両側を拡幅可能で、制作室にあたるスペースを広く確保できるようになっている。また、VE卓のほか、独立したQC卓を設けている点も特徴。4K-HDR S-Log3/BT.2020による映像品質管理のほか、様々な入出力信号フォーマットのモニタリング、統括管理が行えるという。
中継車内には、4K HDRを確認するBVM-X300と、通常のSDR映像を確認するモニタが隣接され、どちらの形式でも問題がない映像となっているかをチェック。「今の放送では4Kと通常のHD放送をサイマルで行うのが一般的。そのために、入力/出力信号が両方で最適かどうかなどをチェックできるようにしている」(早尻氏)という。
今後は「8月12日に開催されるプロ野球の広島カープ対巨人の試合で中継車SR-1を使う予定」とのこと。「HDRになるかどうかは検討中だが、4Kをスカパーで、HDをJ SPORTSで放送する」とのことだった。
放送には、4K HDR中継車「SR-1」(関連ニュース)を使用。サッカーでの4K HDR中継は4月12日に行われたYBCルヴァンカップ、横浜F・マリノス VS ヴィッセル神戸戦に続き2例目、サッカー以外を含めても4K HDRは3例目という貴重な機会となった。
スカパー!の小松氏は「ルヴァンカップは4月の18時からという、ほぼ完全に日が落ちてからの試合という状態だった。今回は7月の17時開始ということで、日が高い状態で試合が始まり、終了時には日が落ちている。輝度の高い状態から低い状態まで全部ある、我々としてもトライできる環境」と、今回の4K HDR中継の意義を説明する。
技術本部長の早尻氏も、「昼間のサッカー中継では、例えば日陰にボールが来たときに選手とボールの動きをちゃんと見えるようにカメラを調整すると、SDRでは日なたの部分は明るすぎて白飛びしてしまう。また、逆に日なたの部分に合わせると日陰が暗く潰れてしまう。今までのサッカー中継にはそういう制約があった」と解説。HDRによってそういった問題がクリアでき、「より人間の視覚の感性に近い表現ができるようになった」と言葉を続ける。
また「HDRではサッカーボールの光沢感も、よりリアルに表現できる」とコメント。「ユニフォームに照明が当たっている光沢感も違ってくる」とし、「今回の試合では青に白いラインが入っているが、日なたではこの白い部分がベタッとしてしまう」と説明した。
当日は業務用マスターモニター2台で4K HDRと4K SDRとを比較。さらに液晶テレビでフルHD(SDR)での地デジ放送を見比べることができたが、たしかに早尻氏らの言うように、HDRのメリットはサッカーの中継において大きいと記者も実感した。
例えば選手がアップになった際、早尻氏の言葉の通り、ユニフォームの白いラインの表現に差が出る。SDRでは4Kであっても“白いライン”としか認識できないが、HDRではその白いラインにシワが寄っている様子までしっかり確認できる。
なお今回の試合時(特に前半)の日照具合ではピッチ上にそこまで差が激しい日なたと日陰ができる状況ではなく、サッカーの試合そのものだけを観るのであればSDRでもそれほど不満を感じることはなかった。「まぁ、いつものサッカー中継だな」といった感想だ。
しかしピッチの背景として映る観客席の様子にまで気を配ると、SDRでは白飛びしてしまいディティールが確認できない。HDRではこうした部分もしっかり確認でき、画面全体が締まって見える。空に薄っすらと雲がかかっている様子であったり、日差しに照らされた屋根の模様であったりと、ピッチ外も含めてSDRでは画面に現れない細部がHDRで確認できることで、中継の臨場感がグッと増す印象だ。
なお、中継車SR-1はカメラ8台を常設し、最大20台分の機器を中継車内に実装可能。今回はワイヤレスの1台を含むカメラ9台での4K HDR中継を行った。
中継を行う際には車体の両側を拡幅可能で、制作室にあたるスペースを広く確保できるようになっている。また、VE卓のほか、独立したQC卓を設けている点も特徴。4K-HDR S-Log3/BT.2020による映像品質管理のほか、様々な入出力信号フォーマットのモニタリング、統括管理が行えるという。
中継車内には、4K HDRを確認するBVM-X300と、通常のSDR映像を確認するモニタが隣接され、どちらの形式でも問題がない映像となっているかをチェック。「今の放送では4Kと通常のHD放送をサイマルで行うのが一般的。そのために、入力/出力信号が両方で最適かどうかなどをチェックできるようにしている」(早尻氏)という。
今後は「8月12日に開催されるプロ野球の広島カープ対巨人の試合で中継車SR-1を使う予定」とのこと。「HDRになるかどうかは検討中だが、4Kをスカパーで、HDをJ SPORTSで放送する」とのことだった。