「4K/HDRの普及につなげたい」
スカパーが4K/HDR中継車を導入。初4K/HDR中継は4月12日のJリーグ「横浜FM VS 神戸」
スカパーJSATホールディングスの子会社であるスカパー・ブロードキャスティングは、4K HDR中継車「SR-1」を導入。本日3月17日、その完成披露会が開催された。
SR-1が開発された経緯としては、2016年9月にスカパー・ブロードキャスティングがソニービジネスソリューションへと4K/HDR対応中継車の製作を依頼。ソニーでは4K/HDRライブ制作システムにおいて、撮影から送出・配信までといったワークフローの中で4K/HDRによる映像表現ができ、かつ従来の4K/SDRやHD制作も同時に行えるという制作ワークフロー「SR Live for HDR」を確立。この仕組みを4K HDR中継車に導入したのがSR-1だ。
披露会では、スカパーJSATホールディングス 代表取締役社長 高田真治氏が登壇。「2012年頃から放送業界で4Kが話題になりはじめた。衛星が一番早く4Kに対応できるのではと考え実験を行い、2012年11月にJリーグの生中継を行い、4Kの伝送と制作ができる手応えを感じた。2014年に日本で4K試験放送が始まったが、私どもの取り組みがそのトリガーになったのではないかと自負している」と、これまでの活動について触れた。
そして今回の4K HDR中継車の導入について「昨年10月から、スカパー4K体験というチャンネルでHDRの試験的な取り組みとして番組を流してきた。今年の3月からは4K総合のなかでレギュラー放送を開始している。ケーブルテレビやIP放送などでも、これからますます4K制作、番組の需要が増えると考えている。中継車を導入し、我々もその普及促進に一汗かきたいと考えている」と述べた。
一方で受信環境が整っていないことについて、「4K/8K放送は現在のアンテナでは受信できないので、4月から東経110度左旋/右旋、東経124度、128度といった、これからの衛星放送を全て受信できるマルチアンテナを発売する」(関連ニュース)とコメント。
「中継車はスカパーグループの製作のためだけでなく、他の事業者にも広くご利用いただき、それぞれ特色のある4K制作・放送に使っていただきたい。そうして露出機会を増やすことが、これから始まる110度での本格的な4K/8K放送の普及につながると考えている」。
今後の展開については、「4月12日、JリーグのYBCルヴァンカップ、横浜F・マリノス VS ヴィッセル神戸戦に4K/HDR中継車『SR-1』を出動させ、放送も4K/HDRで行う」と語った。
スカパー・ブロードキャスティング 取締役 技術本部長 早尻隆文氏からは、技術要綱の説明が行われた。
早尻氏によれば、SR-1は「カメラ8台を常設し、最大20台分の機器を中継車内に実装できる。また全幅は2,495mmだが、4,195mmまで両側を拡幅可能で、制作室にあたるスペースを広く確保できる」と作業の効率化が図られているという。「スイッチャー卓は前後にスライドでき、スイッチャーパネルは左右に移動可能。モニターウォールはマルチビューワーを採用するため、番組に合わせて自由なデザインでピクチャーモニターを表示できる」。
制作ワークフローは、4K/HDRに対応した「HDC-4300」など、システムカメラでS-Log3撮影したものだけでなく、4K/SDR信号やHD SDR信号などでの映像プロセスのフォーマットも4K-HDR S-Log3/BT.2020に統一。そして4K/HDRや4K/SDR、HD/SDRなど放送形式に合わせ、最終段で変換を行う。信号監視については、VEによる画質調整はHDマスターモニターを使用してHDR/SDRサイマル制作を行うと共に、4K信号の監視環境として「BVM-X300」を併設する。
機器室ではVE卓のほか、独立したQC卓を設置。4K-HDR S-Log3/BT.2020による映像品質管理のほか、様々な入出力信号フォーマットのモニタリング、統括管理が行えるという。4K HDRを確認するBVM-X300と、通常のSDR映像を確認するモニタが隣接され、どちらの形式でも問題がない映像となっているかをチェックできる。
早尻氏はHDR/SDRのサイマル制作で考慮すべきこととして、「高い最大輝度を持つHDRの表現力を十分に活かすこと、白飛びや黒潰れを起こしやすいSDRの制約のなかで被写体の表現を考慮すること、この2点を両立することが求められる」という。
それを解決するために「HDRC-4000を用いて、4K/HDR信号とSDR信号でゲイン差を設定する手法を採る」という。「収録する環境の明るさによって設定値を見出していくため、ゲイン差は-4dB〜-10dB程度と幅を持たせている」。
中継車に対しての支援車となる「SA-1」は、80kVAの発電発動機を搭載しており、SR-1への電源供給(50kAV)をはじめ、音声機材や収録機器などの外部機器にも供給可能。中継機材の運搬後に、機材をおろしたスペースを音声制作や収録環境として活用できる、室内長4,580mm、室内幅2,290mmの多目的利用荷室を備える。
SR-1が開発された経緯としては、2016年9月にスカパー・ブロードキャスティングがソニービジネスソリューションへと4K/HDR対応中継車の製作を依頼。ソニーでは4K/HDRライブ制作システムにおいて、撮影から送出・配信までといったワークフローの中で4K/HDRによる映像表現ができ、かつ従来の4K/SDRやHD制作も同時に行えるという制作ワークフロー「SR Live for HDR」を確立。この仕組みを4K HDR中継車に導入したのがSR-1だ。
披露会では、スカパーJSATホールディングス 代表取締役社長 高田真治氏が登壇。「2012年頃から放送業界で4Kが話題になりはじめた。衛星が一番早く4Kに対応できるのではと考え実験を行い、2012年11月にJリーグの生中継を行い、4Kの伝送と制作ができる手応えを感じた。2014年に日本で4K試験放送が始まったが、私どもの取り組みがそのトリガーになったのではないかと自負している」と、これまでの活動について触れた。
そして今回の4K HDR中継車の導入について「昨年10月から、スカパー4K体験というチャンネルでHDRの試験的な取り組みとして番組を流してきた。今年の3月からは4K総合のなかでレギュラー放送を開始している。ケーブルテレビやIP放送などでも、これからますます4K制作、番組の需要が増えると考えている。中継車を導入し、我々もその普及促進に一汗かきたいと考えている」と述べた。
一方で受信環境が整っていないことについて、「4K/8K放送は現在のアンテナでは受信できないので、4月から東経110度左旋/右旋、東経124度、128度といった、これからの衛星放送を全て受信できるマルチアンテナを発売する」(関連ニュース)とコメント。
「中継車はスカパーグループの製作のためだけでなく、他の事業者にも広くご利用いただき、それぞれ特色のある4K制作・放送に使っていただきたい。そうして露出機会を増やすことが、これから始まる110度での本格的な4K/8K放送の普及につながると考えている」。
今後の展開については、「4月12日、JリーグのYBCルヴァンカップ、横浜F・マリノス VS ヴィッセル神戸戦に4K/HDR中継車『SR-1』を出動させ、放送も4K/HDRで行う」と語った。
スカパー・ブロードキャスティング 取締役 技術本部長 早尻隆文氏からは、技術要綱の説明が行われた。
早尻氏によれば、SR-1は「カメラ8台を常設し、最大20台分の機器を中継車内に実装できる。また全幅は2,495mmだが、4,195mmまで両側を拡幅可能で、制作室にあたるスペースを広く確保できる」と作業の効率化が図られているという。「スイッチャー卓は前後にスライドでき、スイッチャーパネルは左右に移動可能。モニターウォールはマルチビューワーを採用するため、番組に合わせて自由なデザインでピクチャーモニターを表示できる」。
制作ワークフローは、4K/HDRに対応した「HDC-4300」など、システムカメラでS-Log3撮影したものだけでなく、4K/SDR信号やHD SDR信号などでの映像プロセスのフォーマットも4K-HDR S-Log3/BT.2020に統一。そして4K/HDRや4K/SDR、HD/SDRなど放送形式に合わせ、最終段で変換を行う。信号監視については、VEによる画質調整はHDマスターモニターを使用してHDR/SDRサイマル制作を行うと共に、4K信号の監視環境として「BVM-X300」を併設する。
機器室ではVE卓のほか、独立したQC卓を設置。4K-HDR S-Log3/BT.2020による映像品質管理のほか、様々な入出力信号フォーマットのモニタリング、統括管理が行えるという。4K HDRを確認するBVM-X300と、通常のSDR映像を確認するモニタが隣接され、どちらの形式でも問題がない映像となっているかをチェックできる。
早尻氏はHDR/SDRのサイマル制作で考慮すべきこととして、「高い最大輝度を持つHDRの表現力を十分に活かすこと、白飛びや黒潰れを起こしやすいSDRの制約のなかで被写体の表現を考慮すること、この2点を両立することが求められる」という。
それを解決するために「HDRC-4000を用いて、4K/HDR信号とSDR信号でゲイン差を設定する手法を採る」という。「収録する環境の明るさによって設定値を見出していくため、ゲイン差は-4dB〜-10dB程度と幅を持たせている」。
中継車に対しての支援車となる「SA-1」は、80kVAの発電発動機を搭載しており、SR-1への電源供給(50kAV)をはじめ、音声機材や収録機器などの外部機器にも供給可能。中継機材の運搬後に、機材をおろしたスペースを音声制作や収録環境として活用できる、室内長4,580mm、室内幅2,290mmの多目的利用荷室を備える。