HOME > ニュース > NHK、被爆者が描いた“原爆の絵”を追う8K番組。「インタラクティブ8Kビューワー」も公開

試写会に波瑠さんも登場

NHK、被爆者が描いた“原爆の絵”を追う8K番組。「インタラクティブ8Kビューワー」も公開

公開日 2017/07/20 19:07 編集部:小野佳希
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
NHKは、被爆者が自らの実体験を描き残した「原爆の絵」を8Kカメラ撮影し、時系列に沿って被爆直後の3日間を追体験するように辿る8K番組「“原爆の絵”は語る ~ヒロシマ 被爆直後の3日間~」を制作。7月31日からの8K試験放送でのオンエアに先駆けて、番組に出演する波瑠さんも駆けつけ試写会が開催された。また、これにあわせて8Kモニターとモバイルアプリを組み合わせた「インタラクティブ8Kビューワー“原爆の絵”」も公開した。

試写会には番組に出演した波瑠さんも登場

■4,200枚の貴重な資料を8K撮影

原爆の惨禍を生き抜いた被爆者たちが、自らの実体験を描き残した「原爆の絵」。現在およそ4,200枚が広島平和記念資料館に所蔵されているが、劣化が進むなどしていて、展示されているのはごくわずかに過ぎない。

そこでNHKでは今回、上記のように8Kの超高精細カメラで絵を細部まで撮影し、時系列に沿って被爆直後の3日間を追体験するようにたどっていく8K番組を制作。8K試験放送で放送するほか、地デジではHD映像で8月6日(日)13時05分からオンエアする。

被爆当事者たちが描いた貴重な絵をもとに番組が進行

なお番組は8K SDRでの収録。カメラにはソニー「F65」や8K単板カメラを使用したとのこと。「非常に貴重な資料なので、撮影時の明るさには苦労した。8Kの特徴的な画にするなら明るくしたいところだが、照明は絵画にとってはダメージを与えるものなので…」(制作統括を務めたNHK広島局 大久保氏)。

NHK 大久保氏

大久保氏は「以前に被爆70年のタイミングで『被爆遺品』という番組を作ったのだが、そこで絵を8K撮影した際に、絵の筆致まで伝わるような感覚に心を打たれた」と、当時の体験が今回の番組制作につながっていると説明。「今回、絵だけに絞って時系列にすることで被爆後の3日間を線にできればと考えた」と番組作りの狙いを解説した。

番組ではナビゲーター/ナレーターとして東出昌大さんと波瑠さんを起用。試写会には波瑠さんも登場し、「生まれも育ちも東京であり、『被爆について何が分かるんだ』と言われても何も言えない私でいいのか」とオファーに対して悩んだとコメント。

「でも、今は(被爆のことを)よく知らない人のほうが多い。そういう人たちが原爆、被爆のことを知るきっかけに私がなれたらと思った」と語った。

絵に添えられた文章や被爆者たちの想いを東出さんと波瑠さんが読み上げる

大久保氏は「被爆者の方々の平均年齢は80歳を超え、原爆の記憶の継承という問題が叫ばれて久しい。このタイミングが最後のチャンスなのかなとも思った」ともコメント。「東出さんからも、完成後に『観るのがつらい、いい番組になりましたね』と言ってもらった」と述べた。

■インタラクティブ8Kビューアーの一般公開も

そして番組に合わせて、NHKと資料館が共同で、この約4,200枚の「原爆の絵」全てを超構成画像で記録しデータベース化。タブレット操作で検索することで、8Kモニターに広島の3D地図上に日時・場所情報とリンクさせて表示させるシステム「インタラクティブ8Kビューアー“原爆の絵”」を制作した。

PCに保存してある高精細データをアプリで呼び出してシャープの8Kモニターに表示

こちらは8月1日(火)~16日(水)まで、広島平和記念資料館で一般公開。また、あわせて「“原爆の絵”は語る」の10分間版の上映も行う。

「原爆の絵」は、ひとりの男性が自分の体験を描いた絵をNHK広島局に持ち込んだことをきっかけに、同局が昭和49年から広く募集したもの。これに応えた市民が自らの被爆体験を思い起こして描いた約4,200点が、現在、広島平和記念資料館に収蔵されている。

一般展示されていない貴重な絵も見ることができる

NHKではこの約4,200枚を、前述の番組用の8K用撮影とは別に、インタラクティブ8Kビューワー用として静止画でも撮影。1億画素のカメラを使い、1枚の画を2分割して撮影しステッチするという手法で、超高精細データ化した。これにより任意の場所を拡大しても8K相当の画質で閲覧できるようにしている。

データ化に際しては、絵の舞台となっている場所や日時をメタデータとして同時収録。そうしたデータでも作品を検索できるようにした。

日時などのメタデータも付与しているため各種条件で検索可能

なお絵には経年劣化による色あせなどもあるが、データ化に際して補正や復元は行っていない。資料館収蔵前に付けられた画鋲の跡、丸めて保管されていたことによるシワなどといった傷みもそのまま確認できるようになっている。

番組放送日時の詳細、および広島での展示の詳細は下記の通り。

<オンエア情報>

■8Kスーパーハイビジョン
7月31日~8月2日
8月4日~8月9日
8月11日~8月16日
各日とも13時~13時43分

■NHK総合(2K)
8月6日13時05分~13時48分

<広島平和記念資料館 特別展示>

期間:8月1日~8月16日
場所:広島平和記念資料館 東館1階

展示内容:
・8K番組「“原爆の絵”は語る ~ヒロシマ 被爆直後の3日間~」(10分版/日本語・英語字幕)上映
・「インタラクティブ8Kビューワー“原爆の絵”」体験展示

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー196号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.196
オーディオアクセサリー大全2025~2026
特別増刊
オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX

本ページからアフィリエイトプログラムによる収益を得ることがあります

NEWS
AV&ホームシアター
オーディオ
モバイル/PC
デジカメ
ホビー&カルチャー
過去のニュース
RANKING
イヤホン・ヘッドホン
AV機器売れ筋
さらに見る
AWARD
VGP
DGPイメージングアワード
DGPモバイルアワード
オーディオ銘機賞
オーディオアクセサリー銘機賞
アナロググランプリ
REVIEW
レビュー
コラム
注目製品クローズアップ
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
さらに見る
連載
折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト
高橋 敦のオーディオ絶対領域
山本 敦のAV進化論
角田郁雄のオーディオSUPREME
今週の発売新製品
アニソンオーディオポータル
さらに見る
INTERVIEW
インタビュー記事一覧
さらに見る
BRAND
注目ブランド情報
MAGAZINE
オーディオアクセサリー
analog
ホームシアターファイル
プレミアムヘッドホンガイド
プレミアムヘッドホンガイドマガジン
雑誌定期購読
雑誌読み放題サービス
メルマガ登録
SHOPPING
PHILE WEB.SHOP
通販モール