「Qualcomm Snapdragon Technology Summit」で発表
クアルコム、次世代旗艦SoC「Snapdragon 845」 − ASUSとHPは“Always Connected PC”を発表
■常時モバイルネットワークに接続できる“スマホのようなPC”
ASUSからはCEOのJerry Shen氏が登壇し、同社初の“Always Connected PC”となる「ASUS NovaGo」を発表した。Shen氏は「ASUSは世界で初めてネットブックPCや2in1スタイルのPC、ウルトラブックなど革新的なPCを世に送り出してきたメーカー。今回もAlways Connected PCという新しいカテゴリーにいち早く名乗りを挙げることができた」と壇上でアピールした。
本機は13インチのフルHD液晶ディスプレイを搭載するノートPC。CPUなどのプラットフォームにクアルコムのSnapdragon 835シリーズを搭載し、ギガビットクラスの4G LTE通信はクアルコムのX16 LTEモデムチップにより実現する。LTEの4つの周波数帯を束ねて高速通信を実現する4CA(キャリアアグリゲーション)の技術に対応するマルチアンテナを搭載。埋め込み型のeSIMのほかにも、Nano SIM対応のスロットを用意する。
連続約22時間の動画再生に対応するスタミナ設計とし、スタンバイ状態では30日以上の待機時間を実現した。発売は2018年第1四半期から、台湾を皮切りに北米、欧州の先進国と中国へ展開を広げていく。価格は4GBのメインメモリー、64GBのストレージを搭載するモデルが599USドル(約6.7万円)から。日本の発売時期については「通信環境とのすりあわせが必要になるため未定」であると同社のスタッフが答えている。
HPは、12.3インチ/WUXGA(1920×1200ドット)の液晶ディスプレイを搭載する「HP ENVY x2」を発表した。同社のVice President and General Manager of Consumer Personal SystemsのKevin Frost氏は「当社が掲げるコアバリューは、テクノロジーによってユーザー体験の向上を実現すること。今回発表する初のAlways Connected PCはユーザーの勘所を全て押さえた製品だ」と、薄さ約6.9mmのスリムデザインを実現した新製品を壇上で掲げた。
「HP ENVY x2」はスレートデザインの本体に、別筐体のキーボード搭載ケースを装着する2in1スタイルのPC。切削アルミの筐体として耐久性を高め、内蔵するステレオスピーカーのチューニングはバング&オルフセンと共同開発している。
本機もASUSの新製品と同様にクアルコムのSnapdragon 835シリーズをプラットフォームとして採用し、X16 LTEモデムチップによるギガビットクラスの通信機能を実現した。内蔵バッテリーの連続駆動は約20時間、スタンバイ時で最大700時間としている。本日の時点でまだ価格は明らかにされなかったが、発売時期は2018年の春を見込んでいる。
両社のほかにも、マイクロソフトが掲げる“Always Connected PC”のパートナーにはレノボが名乗りを挙げているが、同社のSnapdragon 835シリーズとWindows 10を搭載するPCの発表は、来月にラスベガスで開催されるInternational CESが初めてお披露目される機会となりそうだ。
このほかにも本日の記者発表会では、米AMDがマイクロプロセッサーの「RYZEN(ライゼン)」シリーズにSnapdragonシリーズのX16 LTEモデムを組み合わせたリファレンスデザインを開発したことも伝えられた。今後“Always Connected PC”の商品を企画開発するメーカーに向けて提供される予定だ。
■次世代フラグシップSoCは「Snapdragon 845」
続いて、クアルコム テクノロジーズのMobile SVP and General ManagerのAlex Katouzian氏が壇上に登り、Snapdragon 835シリーズの後継モデルとなる次世代フラグシップSoC「Snapdragon 845」シリーズを発表した。
本日の段階ではまだその詳細が明らかにされなかったが、現在サムスン電子と中国のシャオミが最新のSoCを搭載するモバイル端末の商品化に向けて開発に取り組んでいることが両社の代表から伝えられた。Snapdragon 845シリーズについては、またあらためて本イベントで取材後に詳細をレポートしたい。