USBヘッドホン・イヤホン向け「WHS9420」も
<開発者インタビュー>クアルコム、初のHi-Fiオーディオ向けDACチップ「AQT1000」を発表
クアルコムは、ハワイ・マウイ島で開催したSnapdragonのメディア向けイベントで、同社初のHi-Fiオーディオ用DACチップ「AQT1000」を発表。クアルコムのオーディオ担当者に最新製品の詳細を訊ねることができた。
今回インタビューに応えていただいたのは、クアルコム・テクノロジーズ社のSenior Director, Product Managementであるラビ・サティアナラヤナン氏だ。サティアナラヤナン氏には、当イベントの期間中に発表されたオーディオ関連の注目すべきトピックスである、完全ワイヤレスイヤホンに関連する新しい技術についてもお話をうかがっている。
■Hi-Fiオーディオ向けを含む2つの新しいオーディオコーデックチップを発表
今回クアルコムが開催したイベント「Qualcomm Snapdragon Technology Summit」では、モバイル向けチップセットの最新フラグシップSoCとして発表された「Snapdragon 845」シリーズが脚光を浴びていたが、同社のオーディオに関連する製品や技術についても注目すべき発表が目白押しだった。
その中から特に注目したい2つのテーマについて、サティアナラヤナン氏へのインタビューを交えながら紹介したい。まずは2種類の新しいオーディオコーデックのICチップだ。
今回クアルコムが発表したオーディオコーデックのICチップは、どちらもオーディオ向けソリューションの「Aqstic Audio Technology」シリーズに含まれるハイレゾ対応の上位モデルだ。
新しいチップを紹介する前に、クアルコムではSnapdragonシリーズのSoCに外付けできるオーディオコーデックとして、いわゆる“ハイレゾスマホ”向けに開発されたICチップ「WCD9340/41」を先行する形で提供している。
DACの性能はリニアPCMとDXDは最大384kHz/32bitまで、DSDも5.6MHz/2.8MHzのネイティブ再生に対応する。ダイナミックレンジは130dB、THD+Nの特性は-109dB。この他にもUSBインターフェースやアンプ、アクティブNC信号処理回路、マイク入力のアナログ信号を変換するADCなどが一つのチップに統合されており、また高精度なHexagon DSPチップと連携する音声UIも統合されている。
こちらのスマホ向けICチップの他に、Aqstic Audioのコーデックファミリーとして、新たにHi-Fiオーディオ機器向けのDAC専用ICチップ「AQT1000」と、USBヘッドホン・イヤホン向けの「WHS9420」が発表された格好だ。出荷開始は2018年初頃を見込んでいる。
「AQT1000」は、クアルコムとして初めてピュアオーディオ機器向けに開発したDAC専用ICチップだが、サティアナラヤナン氏はその用途を「スマートフォンにとっては外付となるオーディオ機器だけでなく、より音にこだわるハイレゾスマホそのものに組み込むこともあり」だと説いている。
省電力駆動を実現しながら、リニアPCMとDXDは最大384kHz/32bitまで、DSDも5.6MHz/2.8MHzのネイティブ再生に対応。ダイナミックレンジは123dB、THD+Nの特性は-105dBと高いスペックを実現した。
「WHS9420」は、USB接続のヘッドホンやイヤホンに搭載されることを想定しながら開発したオーディオコーデックのICチップだ。スマホ向けの「WCD9340/41」との差分は音声UI対応のDSPを積んでいないところになるが、リニアPCMとDXDが最大384kHz/32bitまで、DSDも5.6MHz/2.8MHzのネイティブ再生に対応する点はAQT1000と同じ。ダイナミックレンジは120dB、THD+Nの特性は-100dBとした。
通常の通話用マイク集音だけにとどまらず、バイノーラル録音やハイレゾ録音にも対応する24bit対応のADコンバーター機能を統合したほか、アクティブNC信号処理回路も搭載する。全体をシステムとして最適化しながら省電力駆動性能も高めている。
サティアナラヤナン氏は今回のイベントで発表した新しいオーディオコーデックICチップについて、今後積極的にオーディオメーカーに採用を呼びかけていきたいと意気込みを語っていた。特にHi-Fiオーディオ向けとしている「AQT1000」が、既存のオーディオ向けICチップとどのように競い合っていくことになるのか注目だ。
■完全ワイヤレスは「高音質」「安定接続」「低消費電力」がレベルアップする
既報の通り(関連ニュース)、今回のイベントでクアルコムはBluetooth対応の完全ワイヤレスイヤホンに関連する新しいオーディオ技術の一端を発表している。こちらは本年初にクアルコムがInternational CESで“完全ワイヤレスイヤホンの開発リファレンス”として発表した「TrueWireless Stereo Technology」(関連ニュース)の技術フレームがベースになっており、今回のイベントでその具体的な内容がいよいよ煮詰まってきたことが伝えられた格好だ。
イベントの壇上では技術の概略が発表され、担当者のスピーチと図版による説明からは、クアルコムのTrueWirelessテクノロジーをベースにして、「aptX HD対応の“ハイレゾ相当”のワイヤレス再生」が可能で、「プレーヤー機器と左右のイヤホンを個別につなぐことでワイヤレス接続が安定」することと、さらに「駆動時の消費電力が一気に50%下がる」ことが明らかになっている。
では、それを具体的にどうやって実現しているのだろうか?サティアナラヤナン氏に気になる革新のところを訊ねてみたのだが、それぞれの踏み込んだ内容については、改めて詳細を取りまとめて発表する機会を設けたいという回答だった。クアルコムからの正式発表のタイミングは近くまで迫っているのだろうか。続報は取材ができ次第また報告したい。
今回インタビューに応えていただいたのは、クアルコム・テクノロジーズ社のSenior Director, Product Managementであるラビ・サティアナラヤナン氏だ。サティアナラヤナン氏には、当イベントの期間中に発表されたオーディオ関連の注目すべきトピックスである、完全ワイヤレスイヤホンに関連する新しい技術についてもお話をうかがっている。
■Hi-Fiオーディオ向けを含む2つの新しいオーディオコーデックチップを発表
今回クアルコムが開催したイベント「Qualcomm Snapdragon Technology Summit」では、モバイル向けチップセットの最新フラグシップSoCとして発表された「Snapdragon 845」シリーズが脚光を浴びていたが、同社のオーディオに関連する製品や技術についても注目すべき発表が目白押しだった。
その中から特に注目したい2つのテーマについて、サティアナラヤナン氏へのインタビューを交えながら紹介したい。まずは2種類の新しいオーディオコーデックのICチップだ。
今回クアルコムが発表したオーディオコーデックのICチップは、どちらもオーディオ向けソリューションの「Aqstic Audio Technology」シリーズに含まれるハイレゾ対応の上位モデルだ。
新しいチップを紹介する前に、クアルコムではSnapdragonシリーズのSoCに外付けできるオーディオコーデックとして、いわゆる“ハイレゾスマホ”向けに開発されたICチップ「WCD9340/41」を先行する形で提供している。
DACの性能はリニアPCMとDXDは最大384kHz/32bitまで、DSDも5.6MHz/2.8MHzのネイティブ再生に対応する。ダイナミックレンジは130dB、THD+Nの特性は-109dB。この他にもUSBインターフェースやアンプ、アクティブNC信号処理回路、マイク入力のアナログ信号を変換するADCなどが一つのチップに統合されており、また高精度なHexagon DSPチップと連携する音声UIも統合されている。
こちらのスマホ向けICチップの他に、Aqstic Audioのコーデックファミリーとして、新たにHi-Fiオーディオ機器向けのDAC専用ICチップ「AQT1000」と、USBヘッドホン・イヤホン向けの「WHS9420」が発表された格好だ。出荷開始は2018年初頃を見込んでいる。
「AQT1000」は、クアルコムとして初めてピュアオーディオ機器向けに開発したDAC専用ICチップだが、サティアナラヤナン氏はその用途を「スマートフォンにとっては外付となるオーディオ機器だけでなく、より音にこだわるハイレゾスマホそのものに組み込むこともあり」だと説いている。
省電力駆動を実現しながら、リニアPCMとDXDは最大384kHz/32bitまで、DSDも5.6MHz/2.8MHzのネイティブ再生に対応。ダイナミックレンジは123dB、THD+Nの特性は-105dBと高いスペックを実現した。
「WHS9420」は、USB接続のヘッドホンやイヤホンに搭載されることを想定しながら開発したオーディオコーデックのICチップだ。スマホ向けの「WCD9340/41」との差分は音声UI対応のDSPを積んでいないところになるが、リニアPCMとDXDが最大384kHz/32bitまで、DSDも5.6MHz/2.8MHzのネイティブ再生に対応する点はAQT1000と同じ。ダイナミックレンジは120dB、THD+Nの特性は-100dBとした。
通常の通話用マイク集音だけにとどまらず、バイノーラル録音やハイレゾ録音にも対応する24bit対応のADコンバーター機能を統合したほか、アクティブNC信号処理回路も搭載する。全体をシステムとして最適化しながら省電力駆動性能も高めている。
サティアナラヤナン氏は今回のイベントで発表した新しいオーディオコーデックICチップについて、今後積極的にオーディオメーカーに採用を呼びかけていきたいと意気込みを語っていた。特にHi-Fiオーディオ向けとしている「AQT1000」が、既存のオーディオ向けICチップとどのように競い合っていくことになるのか注目だ。
■完全ワイヤレスは「高音質」「安定接続」「低消費電力」がレベルアップする
既報の通り(関連ニュース)、今回のイベントでクアルコムはBluetooth対応の完全ワイヤレスイヤホンに関連する新しいオーディオ技術の一端を発表している。こちらは本年初にクアルコムがInternational CESで“完全ワイヤレスイヤホンの開発リファレンス”として発表した「TrueWireless Stereo Technology」(関連ニュース)の技術フレームがベースになっており、今回のイベントでその具体的な内容がいよいよ煮詰まってきたことが伝えられた格好だ。
イベントの壇上では技術の概略が発表され、担当者のスピーチと図版による説明からは、クアルコムのTrueWirelessテクノロジーをベースにして、「aptX HD対応の“ハイレゾ相当”のワイヤレス再生」が可能で、「プレーヤー機器と左右のイヤホンを個別につなぐことでワイヤレス接続が安定」することと、さらに「駆動時の消費電力が一気に50%下がる」ことが明らかになっている。
では、それを具体的にどうやって実現しているのだろうか?サティアナラヤナン氏に気になる革新のところを訊ねてみたのだが、それぞれの踏み込んだ内容については、改めて詳細を取りまとめて発表する機会を設けたいという回答だった。クアルコムからの正式発表のタイミングは近くまで迫っているのだろうか。続報は取材ができ次第また報告したい。