約1,100社が出展
自動運転やジェスチャー操作など、クルマの未来が一堂に。「オートモーティブ ワールド」レポート
自動車業界における最新技術が集結する「オートモーティブ ワールド」が、本日1月17日から19日までの3日間、東京ビッグサイトにて開催されている。
およそ1,100社が出展する同イベントは、主にBtoB向けの技術紹介の場となる。業界の重要なテーマとなるクルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化などに関する技術を各社がアピールするなか、今回が第一回目となる「自動運転EXPO」は大きな会場で展開され、その注目度の高さが際立っていた。
自動運転にまつわるトピックは何年も前から登場している。コンシューマー・エレクトロニクスの世界的イベントであるCESでもオートモーティブ関連の展示は年々増えている。今回の展示で感じたのは、その実現に向けた動きが業界全体で勢いを増している、というものだった。
自動運転には、通常の乗用車をレベル0、完全自動運転をレベル5としたレベル設定が存在する。運転の支援(レベル1)や部分的な自動運転(レベル2)といった簡易的な自動運転は、次第に一般的になってきた。レベル3からが条件付き(緊急時には自分で運転する)だがシステムが運転するというもので、海外ではアウディなどがレベル3のモデルを発表している。
自動運転に必要となる技術は幅広く、カメラ、センサー、AI、LIDAR(光検出と測距)などを高度に融合させる必要がある。あるメーカーのブースでは、マルチカメラによる周囲360度のセンシングや赤外線カメラ/センサーを用いた人や障害物の把握といった、主にハードをアピールしていた。一方で映像をベースに、悪天候だった場合や朝/昼/夜といった時間の経過による見え方の違いをデジタル処理でシミュレーションし、ディープラーニングでAIの精度を高めるといったソフト技術をアピールする会社もあった。
またレベル4/5までの技術自体、2018年末には完成予定というメーカーもあり、立体駐車場で無人の車が自動で駐車するたデモ映像が披露されるなど、自動運転という大きな骨格を形成するためのパーツがかなり用意されてきていることを実感した。
そして自動運転技術の検証には、VRが活用される場合がある。組み上げた自動運転のシステムを実車で試すまえに、VRによる仮想空間で動作を確認できるわけだ。これによって開発者は、より実践的な環境でテストを繰り返すことが可能となる。
もちろん、実現に向けては様々な問題がある。自動駐車技術をアピールしていたあるメーカーは、実験段階ではうまくいく技術でも、実際の使用時には省電力化や小型といった課題をクリアしていかなければならないと、その難しさを指摘する。だが問題や課題が見えていれば、それを一つ一つクリアすることで実現が近づく。最終的にこれらの技術を大手メーカーがまとめ上げていくわけだが、その未来予想図が現実感を伴ってきた。
クアルコムが展示した、地面に設置されたパッドから自動車に搭載されたパッドへ非接触でワイヤレス給電が行える電動車用システムも、アーバンモビリティの未来を感じられた。半走行中の給電や自動運転車への給電もサポートする、こういった技術が街中に設置され、それが活かされるようになれば、都市部の交通事情は大きく変化するだろう。
ウルトラハプティクス社の、モーションセンサーで手の位置を認識し、超音波によって触感フィードバックを生成する空中ハプティクス技術や、アルプス電気の静電入力でかざした手を動かすジェスチャー入力デバイスなどは、ナビやオーディオを運転中に操作する危険を抑制するだけではない、様々な発展が期待できる。
展示される最先端技術は、こうした未来的な話ばかりではない。従来のカーエレクトロニクスを支える技術の先端も、数多く出展された。そのひとつはウェスタンデジタルブースに用意されたサンディスクブランドのSDカードだ。
デジカメなどの記録用途としてコンシューマー向けに展開される製品のほか、同ブランドでは車載用製品群もラインナップしている。これは自動車の発展に伴い大量のデータが生成・使用されるようになってきたなか、より信頼性と耐久性を高めた車載用機器のエッジストレージ機能が求められていることが大きいという。
実際にサンディスクは、SUPER GTのGT300クラスやGT500クラスにmicroSDカードを提供しており、レース中には60度ほどになるという車内温度や激しい振動といった過酷な環境にあっても、テレビ放送やジャッジ用の画像記録といった確実なデータ保存が必要な状況に対応できるという実績を持つ。表に出てくる製品ではないが、一般ユーザーも知らぬ間にその恩恵を受けることになるだろう。
大小様々な技術が積み重なって発展を続けるオートモーティブの世界は、これからそう長くない期間で著しい進化を遂げるはずだ。今後も注目を続けるとともに、その技術の集大成が我々に届くことを期待したい。
およそ1,100社が出展する同イベントは、主にBtoB向けの技術紹介の場となる。業界の重要なテーマとなるクルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化などに関する技術を各社がアピールするなか、今回が第一回目となる「自動運転EXPO」は大きな会場で展開され、その注目度の高さが際立っていた。
自動運転にまつわるトピックは何年も前から登場している。コンシューマー・エレクトロニクスの世界的イベントであるCESでもオートモーティブ関連の展示は年々増えている。今回の展示で感じたのは、その実現に向けた動きが業界全体で勢いを増している、というものだった。
自動運転には、通常の乗用車をレベル0、完全自動運転をレベル5としたレベル設定が存在する。運転の支援(レベル1)や部分的な自動運転(レベル2)といった簡易的な自動運転は、次第に一般的になってきた。レベル3からが条件付き(緊急時には自分で運転する)だがシステムが運転するというもので、海外ではアウディなどがレベル3のモデルを発表している。
自動運転に必要となる技術は幅広く、カメラ、センサー、AI、LIDAR(光検出と測距)などを高度に融合させる必要がある。あるメーカーのブースでは、マルチカメラによる周囲360度のセンシングや赤外線カメラ/センサーを用いた人や障害物の把握といった、主にハードをアピールしていた。一方で映像をベースに、悪天候だった場合や朝/昼/夜といった時間の経過による見え方の違いをデジタル処理でシミュレーションし、ディープラーニングでAIの精度を高めるといったソフト技術をアピールする会社もあった。
またレベル4/5までの技術自体、2018年末には完成予定というメーカーもあり、立体駐車場で無人の車が自動で駐車するたデモ映像が披露されるなど、自動運転という大きな骨格を形成するためのパーツがかなり用意されてきていることを実感した。
そして自動運転技術の検証には、VRが活用される場合がある。組み上げた自動運転のシステムを実車で試すまえに、VRによる仮想空間で動作を確認できるわけだ。これによって開発者は、より実践的な環境でテストを繰り返すことが可能となる。
もちろん、実現に向けては様々な問題がある。自動駐車技術をアピールしていたあるメーカーは、実験段階ではうまくいく技術でも、実際の使用時には省電力化や小型といった課題をクリアしていかなければならないと、その難しさを指摘する。だが問題や課題が見えていれば、それを一つ一つクリアすることで実現が近づく。最終的にこれらの技術を大手メーカーがまとめ上げていくわけだが、その未来予想図が現実感を伴ってきた。
クアルコムが展示した、地面に設置されたパッドから自動車に搭載されたパッドへ非接触でワイヤレス給電が行える電動車用システムも、アーバンモビリティの未来を感じられた。半走行中の給電や自動運転車への給電もサポートする、こういった技術が街中に設置され、それが活かされるようになれば、都市部の交通事情は大きく変化するだろう。
ウルトラハプティクス社の、モーションセンサーで手の位置を認識し、超音波によって触感フィードバックを生成する空中ハプティクス技術や、アルプス電気の静電入力でかざした手を動かすジェスチャー入力デバイスなどは、ナビやオーディオを運転中に操作する危険を抑制するだけではない、様々な発展が期待できる。
展示される最先端技術は、こうした未来的な話ばかりではない。従来のカーエレクトロニクスを支える技術の先端も、数多く出展された。そのひとつはウェスタンデジタルブースに用意されたサンディスクブランドのSDカードだ。
デジカメなどの記録用途としてコンシューマー向けに展開される製品のほか、同ブランドでは車載用製品群もラインナップしている。これは自動車の発展に伴い大量のデータが生成・使用されるようになってきたなか、より信頼性と耐久性を高めた車載用機器のエッジストレージ機能が求められていることが大きいという。
実際にサンディスクは、SUPER GTのGT300クラスやGT500クラスにmicroSDカードを提供しており、レース中には60度ほどになるという車内温度や激しい振動といった過酷な環境にあっても、テレビ放送やジャッジ用の画像記録といった確実なデータ保存が必要な状況に対応できるという実績を持つ。表に出てくる製品ではないが、一般ユーザーも知らぬ間にその恩恵を受けることになるだろう。
大小様々な技術が積み重なって発展を続けるオートモーティブの世界は、これからそう長くない期間で著しい進化を遂げるはずだ。今後も注目を続けるとともに、その技術の集大成が我々に届くことを期待したい。