新たに迎える“100年”に向けた家電事業のビジョン
パナソニック、Googleアシスタント対応スピーカー・ヘッドホンを‘18年発売。LINE Clova連携も
今年創業100周年を迎えるパナソニック(株)は3月1日に発表会を開催、新たに迎える100年に向け、同社の家電事業が目指すビジョンについてのプレゼンテーションを行った。
登壇したパナソニック(株)専務執行役員 アプライアンス社 社長(兼)コンシューマー事業担当の本間哲朗氏は、「パナソニック100年の歴史の中で常に同社の中心にあった家電事業は、人々の暮らしに寄り添い多様な価値を届けてきた。製品の一つ一つが新しい家電の基準となり、人々の暮らしの定番となってきた」と振り返る。
2015年に掲げた家電の事業理念『ASPIRE TO MORE』に表現されるように、「家電はいつの時代にも、新しい暮らしの憧れを届ける存在でなければならない。これを世界の人々に届けていくことが我々の、未来に向けた変わることのない仕事である」と改めて宣言した。
パナソニックの家電事業は全世界に100の拠点、7万人以上の社員を有する規模となっており、「世界の暮らしに寄り添う家電メーカーとして、地域主体で暮らしの憧れを生み出している。さらに家電を単品でなく、群で展開し暮らしの憧れを広げている。空間全体で機器が連携し新たな価値提案を行うキッチンなども高評価を博している」と、グローバルにおける展開を説明した。
では、同社のこれからの家電ビジョンとはどんなものか。「自分たちらしい豊かな生活が求められており、市場変化の流れは早い」と現在の状況を認識し、「これまでのやり方ではその変化に応えられない。これで良いではなく、これが欲しいとお客様に思っていただく」と付け加える。
ネットに繋がることによって離れた人とも時間を共有し、ネット上のコミュニティで同じ価値観を共有できる昨今、ライフスタイルやワークスタイルが変化し、コミュニティーや共同体が広がりつつある。その上で、「壁と屋根に囲まれた家をホームと考えてきたが、これからはコミュニティー、ソサエティと繋がっていることで暮らしや人生に新しい喜びをもたらす存在に『ホーム』は進化していく」として、新たな『ホーム』を「家の中でなくても、心が安らぎ、大切な人と過ごすことができる場所」と定義する。
そして「ホームの世界に寄り添い、暮らしの憧れを届けること」を次に目指す姿と捉え、「一人一人の暮らしに寄り添い、一人一人の豊かなホームをつくる。一人一人に暮らしの憧れを届ける」と強調した。
その方向性に沿って、「個別の家電に止まらず、家電が連携し生活シーンや空間に合わせた新たな体験を提供し、「家」の空間を超えてコミュニティーやソサエティーとも連携する。総合家電メーカーの強みを活かして、様々な生活シーンやライフステージで一人一人に寄り添った豊かな体験やサービスを届ける。それらの実現のため、幅広いパートナーと手を組みイノベーションを加速させる」と説明した。
進めている取り組みについても紹介。その一つは、食の世界への新しい提案だ。「食生活をトータルに支援できる企業を目指す。キッチン家電をIoTでつなげ、ユーザーのコンディションを把握して最適なレシピを提案。食材の配送、保管、調理までをシームレスにつなぐ。全てはデータとしてクラウド上に蓄積され、ユーザーの状況に合わせて最適化される。ゆとりのない平日の献立を提案、食材は不在時でも受け渡しを可能にし、自動調理で負担を軽くする。ゆとりある休日には、こだわり料理や調理方法を提案。食材やスキルに合わせた調理方法を提案し、食を通じた非日常の体験をサポート。人に寄り添い、成長する食コンシェルジュを目指す。これを幅広いパートナーと提携し作り上げる」。
また、美と健康の分野にもチャレンジする。着目したのは“睡眠”で、「良い睡眠を得るために必要な多くの要素、身体に合った寝具や1日の過ごし方、寝室の環境づくりなど、理想の睡眠環境を届けるプロジェクトをスタートする。家電で得た部屋の温度/風量/風向き/利用時間帯などのデータと睡眠データを掛け合わせ、眠りがどんな時にどう変化するかを知り、データを蓄積して快眠へのアルゴリズムを開発、睡眠に最適な寝室環境を作り上げる」という。この新しい眠りの体験を届けるプロジェクトの実現へ向けて、同社は眠りの知見を有する西川産業(株)と手を組んでいく。
西川産業(株)代表取締役社長・西川八一行氏は以下のようにコメントした。
「当社は研究機関『日本睡眠化学研究所』を持ち、国立大学や大学病院とも連携して30年以上睡眠を研究している。人生100年時代のうち、30年間を睡眠や寝具に時間を割いている。これを無駄な時間ではなく、輝かしい時間に切り替えるための充電時間。効率的な睡眠をとることが課題だ。1人1人の睡眠データや環境、出来事なども関連してくる。同社は羽生結弦や大谷翔平、三浦知良らのアスリートにもノウハウを提供しており、さらに多くの人々にも提供していたい。眠る前や寝具の状況は分かるが、日中の状況や家の中の環境などは、パナソニックと共同で研究し成果を発揮していきたい」
もう一つの取り組みは『家電と人とをネットワークに繋ぐこと』。「もっと繋がる新しいネットワークを作る。家電を通じた新たな体験を届ける。もっと楽しく簡単に、家電と人をつなげる」と説明した。
また、「パナソニックの家電と、Google社のユーザーエクスペリエンスを掛け合わせ、これまでと異なる家電体験をお届けする。GoogleアシスタントによりIoT家電の制御を実現、パナソニックのクラウドとも連携して、家電の機能拡張と進化を図る」という。具体的にはGoogleアシスタント対応のスマートスピーカーやヘッドホンを投入する。「これらは2018年度を目処に日本市場に順次導入する」というyいうy。
家電を簡単にネットワークにつなぐ新しい構想としては、省電力広域無線通信技術(LPWA)を活用する。「家電の進化として求められるのは、IoTであらゆる家庭をネットワークにつなぎ、新しいサービスを提供すること。しかし家電をどうネットワークにつなげるかがネックとなっている。そこで、電源を入れるだけでネットワークに接続できるLPWA技術を活用する」と説明した。これについてはNTTドコモとともに、2018年秋を目処に実証実験を開始する。
(株)NTTドコモ 取締役常務執行役員 古川浩司氏は、「ドコモはLPWAの通信技術提供とともに、家電コントロールなどの有効性の検証を行っていく。あらゆるものがネットに繋がるIoTに最適なお客様のニーズに合わせて、昨年から様々なサービスの提供を開始した。家の中の暮らしの安心・安全の提供も実施したい」と語った。
さらに、オープンイノベーションを支える取り組みとして、パナソニックが出資するスクラムベンチャーズとともに、事業化支援会社として(株)BeeEdgeを設立。パナソニックの新規事業創出プロジェクトなどから有望なビジネスアイデアを切り出し、スピーディーな事業化を実現する。
(株)BeeEdge 代表取締役社長に就任する春田真氏は、銀行出身で、その後DeNAで経営陣としてベンチャーの第一線を経験。大企業とベンチャーを知る経験から日米を比較して、人の問題を指摘する。
「日本は大企業に優秀な人が集まる。もっとベンチャーに出てきてくれれば、活性化し、もっと新しい事業が成立、画期的なものができると感じる。そこにたまたまこの機会を得て、日の目を見ない新しいアイデアを出していく取り組みに共感した。来年度4月から新しい事業を作り出していく」(春田真氏)
最後に、「LINEのClova搭載スマートスピーカーとパナソニックのIoT家電との連携を、今後検討していく」と、LINEとの協業についても触れられた。「ホームの概念を広げ、新しい暮らしの憧れ、想像を超える体験を届ける。新しいパートナーと次の100年に向け動き出す」と本間氏は締めくくった。
登壇したパナソニック(株)専務執行役員 アプライアンス社 社長(兼)コンシューマー事業担当の本間哲朗氏は、「パナソニック100年の歴史の中で常に同社の中心にあった家電事業は、人々の暮らしに寄り添い多様な価値を届けてきた。製品の一つ一つが新しい家電の基準となり、人々の暮らしの定番となってきた」と振り返る。
2015年に掲げた家電の事業理念『ASPIRE TO MORE』に表現されるように、「家電はいつの時代にも、新しい暮らしの憧れを届ける存在でなければならない。これを世界の人々に届けていくことが我々の、未来に向けた変わることのない仕事である」と改めて宣言した。
パナソニックの家電事業は全世界に100の拠点、7万人以上の社員を有する規模となっており、「世界の暮らしに寄り添う家電メーカーとして、地域主体で暮らしの憧れを生み出している。さらに家電を単品でなく、群で展開し暮らしの憧れを広げている。空間全体で機器が連携し新たな価値提案を行うキッチンなども高評価を博している」と、グローバルにおける展開を説明した。
では、同社のこれからの家電ビジョンとはどんなものか。「自分たちらしい豊かな生活が求められており、市場変化の流れは早い」と現在の状況を認識し、「これまでのやり方ではその変化に応えられない。これで良いではなく、これが欲しいとお客様に思っていただく」と付け加える。
ネットに繋がることによって離れた人とも時間を共有し、ネット上のコミュニティで同じ価値観を共有できる昨今、ライフスタイルやワークスタイルが変化し、コミュニティーや共同体が広がりつつある。その上で、「壁と屋根に囲まれた家をホームと考えてきたが、これからはコミュニティー、ソサエティと繋がっていることで暮らしや人生に新しい喜びをもたらす存在に『ホーム』は進化していく」として、新たな『ホーム』を「家の中でなくても、心が安らぎ、大切な人と過ごすことができる場所」と定義する。
そして「ホームの世界に寄り添い、暮らしの憧れを届けること」を次に目指す姿と捉え、「一人一人の暮らしに寄り添い、一人一人の豊かなホームをつくる。一人一人に暮らしの憧れを届ける」と強調した。
その方向性に沿って、「個別の家電に止まらず、家電が連携し生活シーンや空間に合わせた新たな体験を提供し、「家」の空間を超えてコミュニティーやソサエティーとも連携する。総合家電メーカーの強みを活かして、様々な生活シーンやライフステージで一人一人に寄り添った豊かな体験やサービスを届ける。それらの実現のため、幅広いパートナーと手を組みイノベーションを加速させる」と説明した。
進めている取り組みについても紹介。その一つは、食の世界への新しい提案だ。「食生活をトータルに支援できる企業を目指す。キッチン家電をIoTでつなげ、ユーザーのコンディションを把握して最適なレシピを提案。食材の配送、保管、調理までをシームレスにつなぐ。全てはデータとしてクラウド上に蓄積され、ユーザーの状況に合わせて最適化される。ゆとりのない平日の献立を提案、食材は不在時でも受け渡しを可能にし、自動調理で負担を軽くする。ゆとりある休日には、こだわり料理や調理方法を提案。食材やスキルに合わせた調理方法を提案し、食を通じた非日常の体験をサポート。人に寄り添い、成長する食コンシェルジュを目指す。これを幅広いパートナーと提携し作り上げる」。
また、美と健康の分野にもチャレンジする。着目したのは“睡眠”で、「良い睡眠を得るために必要な多くの要素、身体に合った寝具や1日の過ごし方、寝室の環境づくりなど、理想の睡眠環境を届けるプロジェクトをスタートする。家電で得た部屋の温度/風量/風向き/利用時間帯などのデータと睡眠データを掛け合わせ、眠りがどんな時にどう変化するかを知り、データを蓄積して快眠へのアルゴリズムを開発、睡眠に最適な寝室環境を作り上げる」という。この新しい眠りの体験を届けるプロジェクトの実現へ向けて、同社は眠りの知見を有する西川産業(株)と手を組んでいく。
西川産業(株)代表取締役社長・西川八一行氏は以下のようにコメントした。
「当社は研究機関『日本睡眠化学研究所』を持ち、国立大学や大学病院とも連携して30年以上睡眠を研究している。人生100年時代のうち、30年間を睡眠や寝具に時間を割いている。これを無駄な時間ではなく、輝かしい時間に切り替えるための充電時間。効率的な睡眠をとることが課題だ。1人1人の睡眠データや環境、出来事なども関連してくる。同社は羽生結弦や大谷翔平、三浦知良らのアスリートにもノウハウを提供しており、さらに多くの人々にも提供していたい。眠る前や寝具の状況は分かるが、日中の状況や家の中の環境などは、パナソニックと共同で研究し成果を発揮していきたい」
もう一つの取り組みは『家電と人とをネットワークに繋ぐこと』。「もっと繋がる新しいネットワークを作る。家電を通じた新たな体験を届ける。もっと楽しく簡単に、家電と人をつなげる」と説明した。
また、「パナソニックの家電と、Google社のユーザーエクスペリエンスを掛け合わせ、これまでと異なる家電体験をお届けする。GoogleアシスタントによりIoT家電の制御を実現、パナソニックのクラウドとも連携して、家電の機能拡張と進化を図る」という。具体的にはGoogleアシスタント対応のスマートスピーカーやヘッドホンを投入する。「これらは2018年度を目処に日本市場に順次導入する」というyいうy。
家電を簡単にネットワークにつなぐ新しい構想としては、省電力広域無線通信技術(LPWA)を活用する。「家電の進化として求められるのは、IoTであらゆる家庭をネットワークにつなぎ、新しいサービスを提供すること。しかし家電をどうネットワークにつなげるかがネックとなっている。そこで、電源を入れるだけでネットワークに接続できるLPWA技術を活用する」と説明した。これについてはNTTドコモとともに、2018年秋を目処に実証実験を開始する。
(株)NTTドコモ 取締役常務執行役員 古川浩司氏は、「ドコモはLPWAの通信技術提供とともに、家電コントロールなどの有効性の検証を行っていく。あらゆるものがネットに繋がるIoTに最適なお客様のニーズに合わせて、昨年から様々なサービスの提供を開始した。家の中の暮らしの安心・安全の提供も実施したい」と語った。
さらに、オープンイノベーションを支える取り組みとして、パナソニックが出資するスクラムベンチャーズとともに、事業化支援会社として(株)BeeEdgeを設立。パナソニックの新規事業創出プロジェクトなどから有望なビジネスアイデアを切り出し、スピーディーな事業化を実現する。
(株)BeeEdge 代表取締役社長に就任する春田真氏は、銀行出身で、その後DeNAで経営陣としてベンチャーの第一線を経験。大企業とベンチャーを知る経験から日米を比較して、人の問題を指摘する。
「日本は大企業に優秀な人が集まる。もっとベンチャーに出てきてくれれば、活性化し、もっと新しい事業が成立、画期的なものができると感じる。そこにたまたまこの機会を得て、日の目を見ない新しいアイデアを出していく取り組みに共感した。来年度4月から新しい事業を作り出していく」(春田真氏)
最後に、「LINEのClova搭載スマートスピーカーとパナソニックのIoT家電との連携を、今後検討していく」と、LINEとの協業についても触れられた。「ホームの概念を広げ、新しい暮らしの憧れ、想像を超える体験を届ける。新しいパートナーと次の100年に向け動き出す」と本間氏は締めくくった。