<山本敦のAV進化論 第161回>
CarPlay/Android両対応カーナビ、スマート枕… 個性派ズラリのNY家電イベント「CE Week」レポート
北米では199ドルで発売済み。展示会場で試してみたところ、枕としての寝心地はとても良かった。内蔵スピーカーも枕にぴたりと耳を寄せた状態で心地よく聞こえるように出力を調整している。
ZEEQにはスピーカーだけでなく小型マイクも内蔵されている。これは何のためかと言うと、いびきの音を拾って本体のバイブレーターを起動する用途に使うものだという。同社スタッフの説明によると、バイブレーターはいびきを検知してユーザーを “たたき起こす” ために搭載しているわけではなく、優しい振動で知らせることでユーザーの寝返りを促していびきに気をつけてもらうことを想定しているのだという。
とはいえ、深く眠っていびきをかいている人に生やさしいバイブは効かないだろう。実は本機も振動の強度を段階的に変える機能を持っている。これを応用して目覚ましアラーム代わりにもできるというから、元々この機能を搭載した目的は後者にあるのかもしれない。
さらにZEEQに内蔵する3Dモーションセンサーでユーザーの睡眠サイクルを計測して、ペアリングしたスマホアプリでデータを管理することも可能だ。同社スタッフは「寝ているときにはリストバンド型のトラッカーを身に着けたくないという人には、ZEEQの方がおすすめ」だとしている。なおZEEQには諸々のスマート機能を利用するために2週間の連続駆動に対応するバッテリーが内蔵されている。
ほかにもRem-fitのブースには、CE Weekで発表したというベッドフレーム「ZERO G」というもう一つの目玉商品もあった。ベッドの頭側/脚側それぞれの角度を最大60度まで変えられる構造としているのだが、その操作がスマホアプリやスマートスピーカーを介した音声操作でできてしまうのが特徴。フレームの上にはクイーンサイズまで任意のマットレスを敷いて使える。アメリカでは寝具メーカーも積極的にIoT化による新規ビジネスの開拓に乗り出してきたようだ。
■個性派の低価格スピーカーを連発するiHome
iHomeはアメリカのポータブルオーディオメーカー。スタンダード価格帯のワイヤレススピーカーやイヤホンを得意ゾーンとしている。CE WeekにはGoogleアシスタントを内蔵するスマートスピーカー「iGV1」を展示していた。今秋に139.99ドルで発売を予定している新製品だ。
本機が一風変わっているのは、正面にLED表示のデジタルクロックを設けて、背面にはスマホなど外部機器をつないで充電できるUSBポートも乗せたところ。同じようなコンセプトで正面側に日時と天気を表示できるLEDディスプレイを搭載したAlexa内蔵スマートスピーカー「iAVS10」は149.99ドルで発売中だ。
サブブランドのZenergyから発売している「iZABT50」は7月に99.99ドルで発売予定の新しいBluetoothワイヤレススピーカー。音楽再生のほか、同社が “リラグゼーション効果がある” としている7色前後に切り替わるLEDライトと、複数のヒーリングサウンドを内蔵。アロマディフューザー機能も合体させた、何でもアリな感じの製品だ。
同じく7月には本体の上半分が魔法びん、下がBluetoothスピーカーになっているという「iBTB2」も発売される予定。こちらも69.99ドルというリーズナブルな価格。いろいろな意味でインパクトが強いブランドだった。
■スマホ内蔵カメラのライバルになれるか? ポラロイドのインスタントカメラ「mint」
ポラロイドは新しいインスタントカメラ「Polaroid mint」を秋の発売に向けて準備中だ。価格は99ドルを予定している。本機はカメラと、ZINK(Zero Ink)テクノロジーによる “インクを使わない印刷方式” を採用する、特殊な用紙へのプリンターを合体させたデバイス。
縦横サイズはパスポート程度で、固定焦点のレンズを搭載。ファインダーを覗いてシャッターを押すとZINKペーパーに写真がプリントされるほか、本体に装着したmicroSDカードにもデータが同時に記録される。
スナップ写真の撮影自体はスマホの方が何倍も手軽なのは明らかだが、その場で紙焼き風写真を友だちに手渡せるコミュニケーションツールとして面白い使い方ができそうだ。なおZINKペーパーは20枚入りのパッケージが10ドル(1,100円前後)で販売されているというから、それなりにしっかりと構図を決めたあt、気合いを入れてシャッターを切りたいところだ。
アメリカで開催されるコンシューマーエレクトロニクスショーといえばCESのイメージが強く、実際筆者もCES以外のイベントを訪ねた機会は数えるほどしかないが、CE Weekにはこれまでに見たことのないブランドの個性的な製品が多く出揃っていたことが印象的だった。
その多くはいわゆるベンチャー企業の製品なのだが、世界各地で勢いよく伸びるスタートアップの潮目にも乗って、これからCE Weekが大きく成長する可能性も肌で感じることができた。CT LabのStott氏は「今はこのコンベンションセンターの一角を使ってCE Weekを実施しているが、徐々に規模を大きくして、いつかコンベンションセンターの全室をCE Weekで埋め尽くしたい」と語っていた。Stott氏の野望が近い未来に実現することを期待したい。
(山本 敦)