画質エンジンも進化
<CES>カスタムパネルで画質が別次元に進化。パナソニック新有機EL「GZ2000」が予想以上にすごい
パナソニックは、CES 2019が行われるラスベガス市内のホテルにて、同社最新の有機ELテレビ「TX-65GZ2000」「TX-55GZ2000」のメディア向け説明会を開催した。会場で披露されたこれらGZ2000シリーズの画質をチェックしつつ、その技術について関係者に聞くことができた。
パナソニック 2019年 新有機ELテレビの画質面でのポイントは3点挙げられる。第一に、パナソニックが独自の開発しているHCXプロセッサーが新たに「HCX PRO Intelligent プロセッサー」へと発展、画質エンジンとしてのパフォーマンス向上が図られたことだ。2018年モデルで採用していた「HCX2」プロセッサーでも過去最高と表現をしていたが、それを更新することができたと同社はアピールする。
具体的には、このプロセッサーのパフォーマンス向上によって映像検出の精度が向上し、これがさらなる高画質化を実現しているという。映像検出の詳細は現時点で伏せられているが、映像内の各ブロックにおけるディテールや動いている箇所を判別しての解析、フレーム相関のノイズ解析、映像エンジンのキャパシティー向上などが信号処理の精度向上に寄与している。
また、本機の画質チューニングについては、説明会にも登壇したcompany 3社のカラーリストであるStefan Sonnenfeld氏が手がけた。同氏は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『ジュラシックワールド』などを手がけたことでも知られる、ハリウッドのプロフェッショナルだ。
そして、GZ2000シリーズの高画質化の決定的なポイントと言えるのが有機ELパネルだ。従来のモデルでは、有機ELパネルはすでに組み上げられたモジュール単位で調達することしかできなかった。しかし本機では、パネル自体や各パーツなどをそれぞれ個別に調達できるようになった。これにより、パネルを駆動するドライバー部をカスタマイズして開発し、搭載することが実現した。パネルデバイスにまで踏みこんだ、根本的な画質カスタマイズが可能になったのだ。
自社製の駆動ドライバーにより、有機ELパネルにおける画質の弱点とされていたAPL(平均輝度)の引き上げが実現できた。従来の有機ELパネルでは電力消費を避けるため、平均輝度を必要最小限に抑える特性があったが、自社開発ドライバーではこの特性を改善。平均輝度を引き上げコントラストを改善した。
さらにGZ2000シリーズでは、パナソニックの有機ELテレビとして初めて「ドルビービジョン」に対応。従来から対応していたHDR10+/HDR10、HLGと合わせて、主要なHDR方式の全てに対応するモデルとなった。
各社がそれぞれのHDR方式を推進するなか、HDR10+推進の旗手でもあるパナソニックがドルビービジョンに対応したことを意外と思うかもしれない。関係者が口々に語るところによると、「市場にはすでにドルビービジョン対応のタイトルがあり、対応してほしいという要望があった」「現時点ではドルビービジョンの方がタイトルが多い以上、HDR10+のサポートのみでは不十分。スタジオごとにどちらの方式を採用するか分かれている以上、再生装置として両方をサポートすることがユーザーにとってメリットとなる」という判断がなされたようだ。
実際にGZ2000シリーズの映像を確認した。国内外の有機ELテレビをひととおり視聴してきた筆者が、ひと目観てわかるほど高い画質だ。有機ELパネルの平均輝度の引き上げにより、画面全域にわたる映像の力感、抜けの良さを獲得している。また、画面内のコントラスト感が向上したことで細部の立体感も際立っている。この圧倒的な輝度性能は、有機EL特有の漆黒や立ち上がりの速さも、さらに際立たせる。単に映像を映しているだけでなく、「表現」の次元へ引き上げたと言っても過言では無く、2018年に発売された有機ELテレビを体験した方々はその画質向上に驚くことになるだろう。
そのほか、映像関連のユニークな機能が、HDR写真を表示する「HLGフォト」への対応。会場でデモンストレーションも行われた。これはパナソニックが3月に発売予定のフルサイズミラーレス「LUMIX S」が対応する「HLGフォトモード」で撮影した写真をHDRで表示するもので、通常モードの写真と比較した際の画質向上は一目瞭然だ。HDRらしく高輝度の表現が鮮明になる上に、写真の常識を覆すようなコントラスト感の向上は、圧倒的な解像力を備えている。従来の写真とは“別もの”と言いたくなる表現力なのだ。
また、GZ2000シリーズの内蔵スピーカーがドルビーアトモス対応となった。本機では高さ方向を表現するアップファイアリング・スピーカーをテレビ本体の上部に、上向きに内蔵。天井からの反射音を利用して高さ方向を表現する。フロントには3本のスピーカーを配置し、本体下部にはウーファーユニットを搭載する。なお、オーディオ全般は引き続きTuned by Technics仕様となっており、アンプ部にはテクニクス独自の「JENOエンジン」を採用している。
会場内で実機の出展はなかったが、GZ2000シリーズ用のオプションとしてヘッドホン端子に接続する外付けサブウーファーも準備中。ヘッドホン端子から低音成分のみを出力することで、他の帯域に影響を与えることなく連動できるという。
4K有機ELテレビが登場した時点で高画質化は一段落したと考えていた方もいるかもしれない。だがGZ2000シリーズは、HCX PRO Intelligent プロセッサーによる信号処理、自社で駆動ドライバーを開発した有機ELパネル、待望のドルビービジョン対応と、予想以上の高画質化を実現してきた。日本での発売はまだアナウンスされていないが、期待したくなるモデルの登場だ。
パナソニック 2019年 新有機ELテレビの画質面でのポイントは3点挙げられる。第一に、パナソニックが独自の開発しているHCXプロセッサーが新たに「HCX PRO Intelligent プロセッサー」へと発展、画質エンジンとしてのパフォーマンス向上が図られたことだ。2018年モデルで採用していた「HCX2」プロセッサーでも過去最高と表現をしていたが、それを更新することができたと同社はアピールする。
具体的には、このプロセッサーのパフォーマンス向上によって映像検出の精度が向上し、これがさらなる高画質化を実現しているという。映像検出の詳細は現時点で伏せられているが、映像内の各ブロックにおけるディテールや動いている箇所を判別しての解析、フレーム相関のノイズ解析、映像エンジンのキャパシティー向上などが信号処理の精度向上に寄与している。
また、本機の画質チューニングについては、説明会にも登壇したcompany 3社のカラーリストであるStefan Sonnenfeld氏が手がけた。同氏は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『ジュラシックワールド』などを手がけたことでも知られる、ハリウッドのプロフェッショナルだ。
そして、GZ2000シリーズの高画質化の決定的なポイントと言えるのが有機ELパネルだ。従来のモデルでは、有機ELパネルはすでに組み上げられたモジュール単位で調達することしかできなかった。しかし本機では、パネル自体や各パーツなどをそれぞれ個別に調達できるようになった。これにより、パネルを駆動するドライバー部をカスタマイズして開発し、搭載することが実現した。パネルデバイスにまで踏みこんだ、根本的な画質カスタマイズが可能になったのだ。
自社製の駆動ドライバーにより、有機ELパネルにおける画質の弱点とされていたAPL(平均輝度)の引き上げが実現できた。従来の有機ELパネルでは電力消費を避けるため、平均輝度を必要最小限に抑える特性があったが、自社開発ドライバーではこの特性を改善。平均輝度を引き上げコントラストを改善した。
さらにGZ2000シリーズでは、パナソニックの有機ELテレビとして初めて「ドルビービジョン」に対応。従来から対応していたHDR10+/HDR10、HLGと合わせて、主要なHDR方式の全てに対応するモデルとなった。
各社がそれぞれのHDR方式を推進するなか、HDR10+推進の旗手でもあるパナソニックがドルビービジョンに対応したことを意外と思うかもしれない。関係者が口々に語るところによると、「市場にはすでにドルビービジョン対応のタイトルがあり、対応してほしいという要望があった」「現時点ではドルビービジョンの方がタイトルが多い以上、HDR10+のサポートのみでは不十分。スタジオごとにどちらの方式を採用するか分かれている以上、再生装置として両方をサポートすることがユーザーにとってメリットとなる」という判断がなされたようだ。
実際にGZ2000シリーズの映像を確認した。国内外の有機ELテレビをひととおり視聴してきた筆者が、ひと目観てわかるほど高い画質だ。有機ELパネルの平均輝度の引き上げにより、画面全域にわたる映像の力感、抜けの良さを獲得している。また、画面内のコントラスト感が向上したことで細部の立体感も際立っている。この圧倒的な輝度性能は、有機EL特有の漆黒や立ち上がりの速さも、さらに際立たせる。単に映像を映しているだけでなく、「表現」の次元へ引き上げたと言っても過言では無く、2018年に発売された有機ELテレビを体験した方々はその画質向上に驚くことになるだろう。
そのほか、映像関連のユニークな機能が、HDR写真を表示する「HLGフォト」への対応。会場でデモンストレーションも行われた。これはパナソニックが3月に発売予定のフルサイズミラーレス「LUMIX S」が対応する「HLGフォトモード」で撮影した写真をHDRで表示するもので、通常モードの写真と比較した際の画質向上は一目瞭然だ。HDRらしく高輝度の表現が鮮明になる上に、写真の常識を覆すようなコントラスト感の向上は、圧倒的な解像力を備えている。従来の写真とは“別もの”と言いたくなる表現力なのだ。
また、GZ2000シリーズの内蔵スピーカーがドルビーアトモス対応となった。本機では高さ方向を表現するアップファイアリング・スピーカーをテレビ本体の上部に、上向きに内蔵。天井からの反射音を利用して高さ方向を表現する。フロントには3本のスピーカーを配置し、本体下部にはウーファーユニットを搭載する。なお、オーディオ全般は引き続きTuned by Technics仕様となっており、アンプ部にはテクニクス独自の「JENOエンジン」を採用している。
会場内で実機の出展はなかったが、GZ2000シリーズ用のオプションとしてヘッドホン端子に接続する外付けサブウーファーも準備中。ヘッドホン端子から低音成分のみを出力することで、他の帯域に影響を与えることなく連動できるという。
4K有機ELテレビが登場した時点で高画質化は一段落したと考えていた方もいるかもしれない。だがGZ2000シリーズは、HCX PRO Intelligent プロセッサーによる信号処理、自社で駆動ドライバーを開発した有機ELパネル、待望のドルビービジョン対応と、予想以上の高画質化を実現してきた。日本での発売はまだアナウンスされていないが、期待したくなるモデルの登場だ。