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車内環境の向上を目指す

自動運転「実現後」に向けたエンタメ関連展示が増加。「オートモーティブ ワールド 2019」レポート

公開日 2019/01/16 16:01 編集部:押野 由宇
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自動運転やクルマの電子化・電動化、コネクティッド・カーなど、クルマにまつわる最新技術が集結する「オートモーティブ ワールド」が、本日1月16日から18日までの3日間にわたり、東京ビッグサイトにて開催されている。


今年で第11回を迎える本イベントには、1,120社が出展。昨年もおよそ1,100社が出展していたので、変わらず盛り上がりを見せるなか、その展示内容は昨年との違いが感じられた。

本イベントは「カーエレクトロニクス技術展」「EV・HEV駆動システム技術展」「クルマの軽量化技術展」「コネクティッド・カーEXPO」「自動車部品&加工EXPO」「自動運転EXPO」にて構成されており、よりエンドユーザーに関わりの深い自動運転やコネクテッド・カーに向けた展示を中心に見て回ったが、展示がより具体性を持ったものとなっていた印象を受けた。

つまり、これまでの「未来ではこんなことが実現できるようになる」といったコンセプト展示から、「それを実現するためにはこの技術が必要」という提案にシフトし、まだまだ先と思っていた環境へ、確実に一歩ずつ近づいていることが見て取れた。

それは自動運転に必要となるカメラ、センサー、AI、LIDARなどの展示のほか、実際に自動運転が実現した場合に重要となってくる、車内エンタテインメントに関連した技術展示が増えたことからもわかる。

パナソニックは今後ますます表示する情報量が増えることが予想される車載ディスプレイなど、各種表示部の視認性を上げる、映り込み低減フィルムや偏光サングラス仕様時に発生するブラックアウト、樹脂カバー併用時の虹ムラ発生を低減するフィルムなどを展示。

映り込み低減フィルムのあり(左)、なし(右)を実機展示した様子

旭化成は投映型アクリルスクリーン「デラグラス」をデモ。これはアクリルそのものがスクリーンとして機能するため、直接映像を投影することが可能というもので、球型など様々な形状に対応できることが特徴。例としてシートのアームレストに温度などの情報を表示でき、いずれはタッチ操作などへの対応も考えているという。これらの技術の活用は、直近でも光で見づらくなったりするカーナビに、自動運転においては車内での映像鑑賞などに役立つだろう。

球体形状をしたデラグラスに、背面からプロジェクターで映像を投写

デラグラスを車内空間に用いたデモ

アルプス電気とアルパインが経営統合、新会社となったアルプスアルパインのブースでは、タッチ/ジェスチャーにより手元で操作が可能な液晶ディスプレイに多くの来場者が集まった。フォースフィードバックとセンシング技術を利用したもので、手袋をつけていたり、爪が長い指でも問題なく操作できるというもので、エアコンの温度調整などばかりではなく、音楽再生などエンタテインメント機能も一元管理でき、「両社の強みを活かした提案により、さらに快適な車内空間を目指したい」と担当者はコメントした。

写真下のディスプレイで操作を行い、写真上のディスプレイは情報を表示するためのものとなる

またウエスタンデジタルでは、自動運転時代の到来により、これまで以上に車載用フラッシュストレージの信頼性が重要になってくるとし、同社がラインナップするSDカードやフラッシュドライブをアピールした。コンシューマーユースにおいては、信頼性もさることながら大容量化が重視されるポイントだが、オートモーティブ用では「書き換え回数が少ないため8 - 16GBが一般的で、多くとも64GBで足りるのが現状。将来的には必然的により容量が大きくなるだろうが、求められるのは大容量化よりも信頼性」と、オートモーティブには何より信頼性が必要であるという。

ウエスタンデジタルがラインナップするフラッシュストレージ

実際、書き込み回数を保証できるほどクオリティに留意して開発されているとのことで、開発ロットのなかでも品質の高いものからオートモーティブ用、インダストリアル用、一般市場用に割り振られているとのこと。組み込み式のフラッシュドライブなどはBtoB向け製品となるが、オートモーティブ用のものを採用してもらえるようメーカーに説明を行っているそうだ。

さて、そうなるとコンシューマー向けのドライブレコーダーで使用する一般流通品は大丈夫なのか、ということが心配されるが、そのなかでもより良いものを選ぶコツとしては、メーカー純正品であること、そして書き換え回数を抑えるために容量は余裕を持って選択したほうが良いとのことだった。いずれは、例えばカー用品店とタッグを組んで、高品質SDカードを店頭に並べるなどの取り組みも行っていけたらとのコメントもあった。

もちろん、自動運転ばかりではなく現状でクルマの環境を向上させる技術も多く展示される。ロームは高音質オーディオに向けた展示として、CDオーディオ製品の開発をサポートする車載オーディオ用SoCを出展。

ロームはCDオーディオ開発向けSoCも展示

振動や傷といった音飛びの原因に対して、傷耐性と振動耐性を両立するアルゴリズムによりCDのプレイアビリティを向上。内蔵SDRAMで衝撃保証バッファを確保し、音飛びを防止するため、ストレスのない音楽再生が実現できる。

またNTTドコモのブースでは、カロッツェリア(パイオニア)と共同開発したカーナビアプリ「ドコモ ドライブネット」を紹介。スマートフォンやタブレットで利用可能で、カロッツェリアで使用されている「スーパールート探索」エンジンによる6つのルート提案、年12回の地図データ更新などのカーナビとしての充実した機能が、300円/月で使用できる。

カーナビアプリ「ドコモ ドライブネット」

法人向けサービスとなるが、LTE通信機能を搭載したドライブレコーダーも提供。クラウドサービス「docoですcar NEXT」「docoですcar Safety」を利用することで、LTE通信により車両の運行位置や業務状態を管理者が確認できるほか、ドライバーの安全運転レベルを可視化するといったことが行える。

会場ではHOYAの音声合成ソリューション「Voice Text」の展示も行われていた。『モヤモヤさまぁ〜ず』のナレーションにも使用されるなど幅広いシーンで活用されているものだが、本会場ではカーナビやカーナビアプリの音声活用を主目的として出展。人が肉声で都度録音する場合もあるが、こうした技術の活用で更新の手間を抑えられる。

あくまでBtoB向けの技術展示会となるため、これらが実装されるには時間がかかるが、それでも気が遠くなるような先の話ではない。はやく自身のクルマで体験できるようになることを期待したい。

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