上位モデルの技術を継承
クロスゾーン、スピーカーのような自然な音を再現する“頭外定位ヘッドホン”の小型・軽量モデル「CZ-10」。9万円
(株)トライオードは、CROSSZONE(クロスゾーン)のアコースティックな技術のみで頭外定位を実現する密閉型ヘッドホンの第二弾として、小型・軽量化を実現した「CZ-10」を4月1日より発売する。価格は90,000円(税抜)。
クロスゾーンは頭外定位ヘッドホンの第1弾モデル「CZ-1」(250,000円/税抜)を2016年6月に発売(関連ニュース)。CZ-1は、DSPなどデジタル技術を用いることなく、アコースティックな技術のみでヘッドホン再生における頭内定位の問題を解決し、スピーカー再生のような自然な音を再現するというコンセプトの元で開発された。
今回登場するCZ-10は、このCZ-1の頭外定位の技術を継承しつつ大幅に小型・軽量化を実現。ヘッドホン本体の質量はCZ-1が約485gだったのに対して、本機は385gとした。さらには価格も大幅に抑えた。
同社は、従来のヘッドホンについて、耳元にあるドライバーによって生成される音場が頭の中で聞こえる(頭内定位)という問題を抱えていたとする。一般的なステレオ音源はステレオスピーカーでの再生を前提に作られているため、ヘッドホンで聴くとスピーカー再生において当然発生する要素が欠如してしまい、製作者の意図通りの音場や定位が再生できないという。
そして、スピーカー再生を想定したステレオ音源をヘッドホンで再生すると欠けてしまう要素とは、「一方の耳は、対応するチャンネルとは逆チャンネルの音声も聴いていること(クロスフィード)」と「壁・床・天井から反射する音も聴いていること」だ。
クロスゾーンはこの点に着目。アコースティックな手段でこれらの要素を再現して頭内定位の問題を解決し、音楽ソースが持つ音場や空間情報を自然に再現できるヘッドホンとして「CZ-1」を開発した。そのサウンドはユーザーから高い評価を得たが、より扱いやすく小型・軽量で、価格を抑えたモデルへの要望も高く、今回のCZ-10の実現に至ったとのことだ。
CZ-10は、CZ-1と同様に、独自のART(Acoustic Resonance Technology)技術およびADC(Acoustic Delay Chamber)により、自然な頭外定位(前方定位)を実現するとしている。
具体的には、ヘッドホンの片ch側に、主音源再生用(Main)のドライバーユニット 2基(高域用/低域用)と、逆チャンネル信号再生用(CF)のドライバーユニット 1基、さらにはEQと遅延を調整する音響フィルター、電気フィルターを搭載して、L/R信号の直接音だけでなく、スピーカー再生時の壁・床・天井からの反射音に相当する音を再生。自然な定位や広がり感を再現する。
なお、CZ-1では高域用/低域用ドライバーそれぞれの背面の音を、個別にパイプを使って最適な位置に伝えて、これをリスニングルームの反射音に相当する音として、前方/後方の音の広がり感を再現していた。対してCZ-10では、高域用ドライバーの背面の音のみをパイプで伝え、前方の広がりのみを特に再現している。
Mainの2つのドライバーユニットは高域用がΦ23mm、低域用がΦ35mm。CFドライバーユニットはΦ35mmとなる(Main低域用とCFは同じドライバーユニットを使用)。各ユニットは、振動板にベリリウムコーティングを施し、さらにフレームには真鍮のリングを装着することで強度確保と不要振動を排除。低音から高音まで自然で正確な音の再生を実現したとする。
ちなみに上位モデルのCZ-1は、Main高域用Φ23mm/Main低域用Φ40mm/CFΦ40mmというドライバー構成。高域用の口径は同じだが、CZ-10ではよりビビッドな音を可能にする新ドライバーを開発した。また、CZ-1の低域用ドライバーユニットはハウジングそのものが真鍮削り出しという作りになっていたが、CZ-10では樹脂ハウジングを真鍮リングで補強するというかたちをとった。
高域用ドライバーもCZ-1では真鍮リングは使っていなかったが、CZ-10では追加された。また、CFドライバーはCZ-1はベリリウムコーティングされていなかったが、CZ-10ではこちらもベリリウムコーティングが施されている。
これら片側3基のドライバーだが、高域用ドライバーユニットは耳の角度に相対するように前方斜めに配置。低域用ドライバーは耳に正対するように配置されているが、その大部分がハウジング内側に覆われていて、そこに開けられた音響孔から音を耳に伝える。CFドライバーも耳に正対して配置されているが、前面は完全にハウジングで覆われていて、音響管を通じ意図的に遅延を与えて耳に伝えられる(ハウジングの外側のバーは、逆チャンネルの音に遅延を与える技術であるADCの音響管の一部となる)。
ちなみにこのドライバーユニット配置は、CZ-1のそれとは異なっている。まずCZ-1はCFドライバーのみ外向きに配置されていて、またハウジングもCZ-10が2層なのに対してCZ-1は3層となっている。このあたりは、CZ-10では音響効果を維持しつつ構造をよりシンプルなものにした結果といえる。
3つのドライバーユニットを効率よく立体配置し、さらに高域ドライバーユニットを前方斜めに設置するため、本機もやはり独特なハウジング形状となっている。
CZ-1ではヘッドホンの装着感の改善にも取り組み、その技術をCZ-10も継承する。従来のヘッドホンは構造上、頭の大小による側圧の変化が大きく適正な側圧を得ることが困難だったと同社。CZ-10は、CZ-1と同様に、側圧はひんじ部に内蔵された「トーションばね」によってヘッドバンドは変形しない構造とすることで、誰でも一定で最適な側圧が得られる。これにより長時間の音楽鑑賞でも疲れない自然な装着感が実現したとする。
ハンガー部はCZ-1ではマグネシウム製だったが、CZ-10ではアルミとプラスチックを組み合わせている。一方で、立体構造とすることで剛性を確保したという。また、ヘッドバンド部を頭の左右の2点で支持する構造としたことも、快適な装着性に寄与している。
本機もCZ-1と同様に、各側のハウジングにL/R両方の信号を伝送するため、専用のヘッドホンケーブルを用いている。本機は1.5m(Φ3.5mmミニプラグ)と3.5m(Φ6.3mm標準プラグ)の2種類が同梱される。
CZ-10では高伝達特性を持ちノイズに強いツイスト構造のOFCリッツ線を採用。アンプ側のプラグから8芯(4芯×2)に分離することで、左右チャンネルのセパレーションを確保する。また、CZ-1のケーブルから導体の撚り方を変更して、カップリングと振動対策のさらなる向上を行ったという。
周波数帯域は20Hz〜40kHz、感度は99dB、インピーダンスは75Ω、重量は約385g(本体のみ)。
クロスゾーンは頭外定位ヘッドホンの第1弾モデル「CZ-1」(250,000円/税抜)を2016年6月に発売(関連ニュース)。CZ-1は、DSPなどデジタル技術を用いることなく、アコースティックな技術のみでヘッドホン再生における頭内定位の問題を解決し、スピーカー再生のような自然な音を再現するというコンセプトの元で開発された。
今回登場するCZ-10は、このCZ-1の頭外定位の技術を継承しつつ大幅に小型・軽量化を実現。ヘッドホン本体の質量はCZ-1が約485gだったのに対して、本機は385gとした。さらには価格も大幅に抑えた。
同社は、従来のヘッドホンについて、耳元にあるドライバーによって生成される音場が頭の中で聞こえる(頭内定位)という問題を抱えていたとする。一般的なステレオ音源はステレオスピーカーでの再生を前提に作られているため、ヘッドホンで聴くとスピーカー再生において当然発生する要素が欠如してしまい、製作者の意図通りの音場や定位が再生できないという。
そして、スピーカー再生を想定したステレオ音源をヘッドホンで再生すると欠けてしまう要素とは、「一方の耳は、対応するチャンネルとは逆チャンネルの音声も聴いていること(クロスフィード)」と「壁・床・天井から反射する音も聴いていること」だ。
クロスゾーンはこの点に着目。アコースティックな手段でこれらの要素を再現して頭内定位の問題を解決し、音楽ソースが持つ音場や空間情報を自然に再現できるヘッドホンとして「CZ-1」を開発した。そのサウンドはユーザーから高い評価を得たが、より扱いやすく小型・軽量で、価格を抑えたモデルへの要望も高く、今回のCZ-10の実現に至ったとのことだ。
CZ-10は、CZ-1と同様に、独自のART(Acoustic Resonance Technology)技術およびADC(Acoustic Delay Chamber)により、自然な頭外定位(前方定位)を実現するとしている。
具体的には、ヘッドホンの片ch側に、主音源再生用(Main)のドライバーユニット 2基(高域用/低域用)と、逆チャンネル信号再生用(CF)のドライバーユニット 1基、さらにはEQと遅延を調整する音響フィルター、電気フィルターを搭載して、L/R信号の直接音だけでなく、スピーカー再生時の壁・床・天井からの反射音に相当する音を再生。自然な定位や広がり感を再現する。
なお、CZ-1では高域用/低域用ドライバーそれぞれの背面の音を、個別にパイプを使って最適な位置に伝えて、これをリスニングルームの反射音に相当する音として、前方/後方の音の広がり感を再現していた。対してCZ-10では、高域用ドライバーの背面の音のみをパイプで伝え、前方の広がりのみを特に再現している。
Mainの2つのドライバーユニットは高域用がΦ23mm、低域用がΦ35mm。CFドライバーユニットはΦ35mmとなる(Main低域用とCFは同じドライバーユニットを使用)。各ユニットは、振動板にベリリウムコーティングを施し、さらにフレームには真鍮のリングを装着することで強度確保と不要振動を排除。低音から高音まで自然で正確な音の再生を実現したとする。
ちなみに上位モデルのCZ-1は、Main高域用Φ23mm/Main低域用Φ40mm/CFΦ40mmというドライバー構成。高域用の口径は同じだが、CZ-10ではよりビビッドな音を可能にする新ドライバーを開発した。また、CZ-1の低域用ドライバーユニットはハウジングそのものが真鍮削り出しという作りになっていたが、CZ-10では樹脂ハウジングを真鍮リングで補強するというかたちをとった。
高域用ドライバーもCZ-1では真鍮リングは使っていなかったが、CZ-10では追加された。また、CFドライバーはCZ-1はベリリウムコーティングされていなかったが、CZ-10ではこちらもベリリウムコーティングが施されている。
これら片側3基のドライバーだが、高域用ドライバーユニットは耳の角度に相対するように前方斜めに配置。低域用ドライバーは耳に正対するように配置されているが、その大部分がハウジング内側に覆われていて、そこに開けられた音響孔から音を耳に伝える。CFドライバーも耳に正対して配置されているが、前面は完全にハウジングで覆われていて、音響管を通じ意図的に遅延を与えて耳に伝えられる(ハウジングの外側のバーは、逆チャンネルの音に遅延を与える技術であるADCの音響管の一部となる)。
ちなみにこのドライバーユニット配置は、CZ-1のそれとは異なっている。まずCZ-1はCFドライバーのみ外向きに配置されていて、またハウジングもCZ-10が2層なのに対してCZ-1は3層となっている。このあたりは、CZ-10では音響効果を維持しつつ構造をよりシンプルなものにした結果といえる。
3つのドライバーユニットを効率よく立体配置し、さらに高域ドライバーユニットを前方斜めに設置するため、本機もやはり独特なハウジング形状となっている。
CZ-1ではヘッドホンの装着感の改善にも取り組み、その技術をCZ-10も継承する。従来のヘッドホンは構造上、頭の大小による側圧の変化が大きく適正な側圧を得ることが困難だったと同社。CZ-10は、CZ-1と同様に、側圧はひんじ部に内蔵された「トーションばね」によってヘッドバンドは変形しない構造とすることで、誰でも一定で最適な側圧が得られる。これにより長時間の音楽鑑賞でも疲れない自然な装着感が実現したとする。
ハンガー部はCZ-1ではマグネシウム製だったが、CZ-10ではアルミとプラスチックを組み合わせている。一方で、立体構造とすることで剛性を確保したという。また、ヘッドバンド部を頭の左右の2点で支持する構造としたことも、快適な装着性に寄与している。
本機もCZ-1と同様に、各側のハウジングにL/R両方の信号を伝送するため、専用のヘッドホンケーブルを用いている。本機は1.5m(Φ3.5mmミニプラグ)と3.5m(Φ6.3mm標準プラグ)の2種類が同梱される。
CZ-10では高伝達特性を持ちノイズに強いツイスト構造のOFCリッツ線を採用。アンプ側のプラグから8芯(4芯×2)に分離することで、左右チャンネルのセパレーションを確保する。また、CZ-1のケーブルから導体の撚り方を変更して、カップリングと振動対策のさらなる向上を行ったという。
周波数帯域は20Hz〜40kHz、感度は99dB、インピーダンスは75Ω、重量は約385g(本体のみ)。