創業者芳川氏が会見
トレジャーデータ、Arm買収後の初会見。「人とデータが集まるところで一番いい仕事ができるのは僕ら」
■3つのポイントから最新機能を拡張
英Armの日本法人であるアームは4月11日、データビジネスの最新動向に関する記者説明会を開催した。昨年8月に英Armがトレジャーデータを買収後、初の会見となり、トレジャーデータの創業者である、同社IoTサービスグループ データビジネス担当 バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー・芳川裕誠氏が説明を行った。
日々大量に生成されるデータを収集、分析するプラットフォームを介し、データのビジネス価値を創造し、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションの推進をサポートするアーム。今回は、カスタマーデータプラットフォーム「Arm Treasure Data eCDP」の 最新の機能拡張として3つのポイントを説明した。
1つ目は、ナビゲーションのシンプル化を通じた、かつてないユーザーエクスペリエンスの実現。マーケティングの現場で指摘される“部門の縦割り”の課題に対し、「これまでは技術者向け、マーケター向けに別々だったユーザーインターフェースを1つに統合し、簡単にデータ解析が行えるようにした」と説明。技術者とマーケターがシームレスに連携できる環境を実現した。
2つ目は、連携機能の強化・拡充。代表例として3社を挙げて説明した。名刺のデータ管理で高い実績を誇る「Sansan」とは機能統合して連携。補完性の高い関係にある「TAPAD」とはIDを統合し、顧客ベースを拡大した。ビックデータの視覚化問題を解消する「Looker」との連携では、解析データのビジュアル化を実現した。
3つ目は、欧州データセンターの開設。北米と日本に軸足を置く同社だが、欧州での顧客ニーズの高まりに応え、セキュリティ基準の特に厳格なドイツにデータセンターを開設。欧州圏向けのセキュアなサービス提供を強化していく。
■トレジャーデータがなぜ選ばれるのか
「なぜトレジャーデータを使われるのか」とよく質問を受けるという芳川氏。「AmazonやGoogle、Facebookは、自らの巨大なデータ基盤に切磋琢磨してマーケットを伸ばしていきます。しかし、ゼロからマーケットを創るわけではない。例えばNetflixであれば、ハリウッドのエコシステムが培ってきたマーケットを、デジタルの力で自分のところに引き寄せているわけです。急激なパラダイムシフトが起きている。そこで鍵となるのは“データ”なのです」と語る。
「一方、すでに大きなマーケットを持つ既存のプレーヤーは、どうしてもデータ基盤の投資が簡単ではありません。ÅmazonやGoogle、Facebookが採用するような超一流のデータエンジニアも採用しにくい。しかし、データという切り口で攻めてくる相手に戦いを挑まなければなりません。“そのときに頼っていただくのがトレジャーデータ”という傾向が非常に多い」と説明する。「こうした企業のお手伝いができるようになったのは非常にうれしいこと。引き続き、ITマーケットの主役であるここでリーディングプレーヤーにい続けるために投資を行っていきます」と力を込めた。
データ活用の事例として2社を紹介。kakaku.comでは、サイロ化されていたサービスDB、アクセス解析ツール、アプリ解析ツールのデータをトレジャーデータ上に集約。集計にかかる時間を導入前の最大30分から最大5分へ、また、これまでできなかった複数データソースを組み合わせた集計も可能にした。そして、「一番大きかったのは、これまで解析する人はエンジニア中心でしたが、データの専門家だけではなく、実際にマーケティングの施策や企画をする方が独自に直接データにアクセスできるようになりました」と訴えた。
デサントでは、大きな力を持つ強大なリテーラーにジャストインタイムで決められた数の納入が求められる中で、欠品や過剰在庫の課題に対し、データを利活用して業務を改革。百貨店売上データ、直営店売上データ、チェーン店売上データをトレジャーデータ上に集約して解析。売上予測・在庫予測により、生産と物流の最適化を実現。同時に、営業活動・マーケティング活動も効率化。「国内でも非常に革新的な試み」と評した。
「我々だけでは何もできない、基本的にはインフラ屋。その立場を変えるつもりはありません。それぞれの会社のビジネスが次の世代に代わっていく。そこで、外圧に対して変わろうとされている大企業に対し、データの立場からお手伝いできればいいと思っています」。
■CDPとIoTの融合
今回の会見は、昨年8月の英Armによるトレジャーデータの買収後、初の会見となったが、そこにはどのようなシナジーが生まれたのか。
「CDP(Customer Data Platform)は基本として人にまつわるデータです。人にまつわるデータは企業が別の形でたくさん持っています。お客様の理解を深めるための基盤として、それが徐々に進化していった形がCDPです。アームはIoTを次世代の成長の柱にしようとしています。ここには人という切り口はなく、中心にあるのはデバイスです。そこへ、トレジャーデータが中に入ったことにより、別々のものだったCDPとIoTの2つがどうもくっつきそうだ、CDP、IoTのどちらの目から見てもユニークな差別化が図れそうだということが最近よくわかってきました」と語る。
「人とモノのデータが集まるところにはアームがありアームトレジャーデータがある、そうしたポジションをどんどん掴んでいきたい。そこで一番いい仕事ができるのは僕らです」とさらなる進化へ意気込みを示した。
英Armの日本法人であるアームは4月11日、データビジネスの最新動向に関する記者説明会を開催した。昨年8月に英Armがトレジャーデータを買収後、初の会見となり、トレジャーデータの創業者である、同社IoTサービスグループ データビジネス担当 バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー・芳川裕誠氏が説明を行った。
日々大量に生成されるデータを収集、分析するプラットフォームを介し、データのビジネス価値を創造し、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションの推進をサポートするアーム。今回は、カスタマーデータプラットフォーム「Arm Treasure Data eCDP」の 最新の機能拡張として3つのポイントを説明した。
1つ目は、ナビゲーションのシンプル化を通じた、かつてないユーザーエクスペリエンスの実現。マーケティングの現場で指摘される“部門の縦割り”の課題に対し、「これまでは技術者向け、マーケター向けに別々だったユーザーインターフェースを1つに統合し、簡単にデータ解析が行えるようにした」と説明。技術者とマーケターがシームレスに連携できる環境を実現した。
2つ目は、連携機能の強化・拡充。代表例として3社を挙げて説明した。名刺のデータ管理で高い実績を誇る「Sansan」とは機能統合して連携。補完性の高い関係にある「TAPAD」とはIDを統合し、顧客ベースを拡大した。ビックデータの視覚化問題を解消する「Looker」との連携では、解析データのビジュアル化を実現した。
3つ目は、欧州データセンターの開設。北米と日本に軸足を置く同社だが、欧州での顧客ニーズの高まりに応え、セキュリティ基準の特に厳格なドイツにデータセンターを開設。欧州圏向けのセキュアなサービス提供を強化していく。
■トレジャーデータがなぜ選ばれるのか
「なぜトレジャーデータを使われるのか」とよく質問を受けるという芳川氏。「AmazonやGoogle、Facebookは、自らの巨大なデータ基盤に切磋琢磨してマーケットを伸ばしていきます。しかし、ゼロからマーケットを創るわけではない。例えばNetflixであれば、ハリウッドのエコシステムが培ってきたマーケットを、デジタルの力で自分のところに引き寄せているわけです。急激なパラダイムシフトが起きている。そこで鍵となるのは“データ”なのです」と語る。
「一方、すでに大きなマーケットを持つ既存のプレーヤーは、どうしてもデータ基盤の投資が簡単ではありません。ÅmazonやGoogle、Facebookが採用するような超一流のデータエンジニアも採用しにくい。しかし、データという切り口で攻めてくる相手に戦いを挑まなければなりません。“そのときに頼っていただくのがトレジャーデータ”という傾向が非常に多い」と説明する。「こうした企業のお手伝いができるようになったのは非常にうれしいこと。引き続き、ITマーケットの主役であるここでリーディングプレーヤーにい続けるために投資を行っていきます」と力を込めた。
データ活用の事例として2社を紹介。kakaku.comでは、サイロ化されていたサービスDB、アクセス解析ツール、アプリ解析ツールのデータをトレジャーデータ上に集約。集計にかかる時間を導入前の最大30分から最大5分へ、また、これまでできなかった複数データソースを組み合わせた集計も可能にした。そして、「一番大きかったのは、これまで解析する人はエンジニア中心でしたが、データの専門家だけではなく、実際にマーケティングの施策や企画をする方が独自に直接データにアクセスできるようになりました」と訴えた。
デサントでは、大きな力を持つ強大なリテーラーにジャストインタイムで決められた数の納入が求められる中で、欠品や過剰在庫の課題に対し、データを利活用して業務を改革。百貨店売上データ、直営店売上データ、チェーン店売上データをトレジャーデータ上に集約して解析。売上予測・在庫予測により、生産と物流の最適化を実現。同時に、営業活動・マーケティング活動も効率化。「国内でも非常に革新的な試み」と評した。
「我々だけでは何もできない、基本的にはインフラ屋。その立場を変えるつもりはありません。それぞれの会社のビジネスが次の世代に代わっていく。そこで、外圧に対して変わろうとされている大企業に対し、データの立場からお手伝いできればいいと思っています」。
■CDPとIoTの融合
今回の会見は、昨年8月の英Armによるトレジャーデータの買収後、初の会見となったが、そこにはどのようなシナジーが生まれたのか。
「CDP(Customer Data Platform)は基本として人にまつわるデータです。人にまつわるデータは企業が別の形でたくさん持っています。お客様の理解を深めるための基盤として、それが徐々に進化していった形がCDPです。アームはIoTを次世代の成長の柱にしようとしています。ここには人という切り口はなく、中心にあるのはデバイスです。そこへ、トレジャーデータが中に入ったことにより、別々のものだったCDPとIoTの2つがどうもくっつきそうだ、CDP、IoTのどちらの目から見てもユニークな差別化が図れそうだということが最近よくわかってきました」と語る。
「人とモノのデータが集まるところにはアームがありアームトレジャーデータがある、そうしたポジションをどんどん掴んでいきたい。そこで一番いい仕事ができるのは僕らです」とさらなる進化へ意気込みを示した。