各種コンバーターも
8K3Dシアターや8K120p、HDMI2.1対応機器など披露。アストロデザインがプライベートショー
アストロデザインは、同社の製品を展示する業界関係者向けプライベートショーを開催。8K対応製品をはじめ、HDMI2.1に関連したシステムなど、多くの機器が展示された。
■“8K3Dシアター”を開設して上映を実施
8Kや4K対応機を中心に毎回様々な製品の展示が行われる本イベント。今回も昨年(関連ニュース)と同じく、8Kに重点をおいて展示が展開された。展示される製品の多くは業務用製品で、一般に馴染みの薄い製品がほとんどだが、これから普及していく技術・規格に関係する製品が多い。そのため、昨年開始された新8K4K衛星放送、次世代HDMI規格のHDMI2.1など、今後より普及してくる製品や事柄に関わった製品も多く並んでいた。
まず一般視聴者に近いところとして、8K3Dシアターの展示が挙げられる。プロジェクターにはデルタ電子の8K DLPレーザープロジェクター「INSIGHT Laser 8K」(関連ニュース)が用いられ、150インチのスクリーンに投影。またサウンドは8K放送と同じく22.2chのサラウンド。この映像を偏光タイプのメガネを使用し、3D映像を楽しむことができるようになっていた。
コンテンツはアイドルが踊っている映像と、忍者に扮した役者の演技の2種類。両方合わせて12分の内容となっている。また映像再生は同社の8K SSDレコーダーから出力される。そして撮影時には、同社8Kカメラ「AH-4801-C」を2つ並べたもので撮影が行われたという。
8K関連では、8K120Hzに対応したポータブルカメラ新製品「AB-4815」が展示。発表以来、問い合わせも多いとのことで、説明員に詳細を尋ねる方も多く見られた。会場ではこのカメラを同ビル上層階に設置して光伝送によってブースで表示させたり、8K480pの記録にも対応したビデオサーバー「SR-8428」で記録しながら、同社の8K120p対応55インチLCDモニタ「DM-3815」で表示させるなど、大きさを活かしたマルチな使い方をアピールしていた。
そのほか、昨年も展示された「8K VR」では、同社8Kカメラヘッド「CM-9010-B」に魚眼レンズを装着してデモを実施。目前のカメラで撮影された映像が処理され、JDI製のVRヘッドセット(試作機)からの映像をリアルタイムで見ることができるようになっていた。
先日のNHK技研公開でも展示された、120p対応の8Kシート型有機ELディスプレイも本イベントで展示。残念ながら撮影禁止となっていたが、部屋の中央にアクリルに貼付けされたディスプレイが鎮座しており、その薄さが体感しやすい展示となっていた。こちらはNHK、LG、アストロデザインの共同開発品となっており、LGはパネルと液晶制御部を、アストロデザインは信号処理装置を手がけたとのこと。具体的には、U-SDIで入力された8K120pの信号を処理し、液晶パネルで表示できる形式にコンバートする役割を担っているという。
また8Kを用いた展示としては、CGを用いた「バーチャルミュージアム」がデモ展示。3Dの空間上に美術作品が展示されており、拡大、縮小など自由に鑑賞できるようになっていた。美術品などの記録では8Kを大幅に超えた、億単位の解像度が用いられることが多い。この空間上でもその解像度を活かし、近くに寄ることで細部まで見ることができる。デモでは書道作品が並んでおり、拡大することで筆で描かれたインクの細かなニュアンスまで感じ取れた。
■2K→8K/HDR→SDRなどコンバーターに注目
昨年のイベントで公開されたディープラーニングを用いて2K→8Kに変換する技術展示は、今年はより具体的になり、動画編集ソフト「DaVinci Resolve」などで利用可能なプラグインとして展開。開発中と案内されていたが、説明員によると今年中の発売を考えているとのこと。一般販売を想定しているというが、このようなかたちで同社がコンシューマー向けに販売することがなかったため、価格や販売形式などは検討中と話していた。
このプラグインは、OpenFX Plugin対応ソフトであればDaVinci Resolveでなくとも使用することが可能。なお今のところ、Adobe製品へのプラグイン展開は考えていないとのこと。動作環境は通常のグラフィックカードでも行えるとのことで、HD→4Kのデモで用いられていた「Geforce RTX 2080」では1フレームあたり60ミリ秒で処理が可能という。
この処理速度は、昨年発売されたNVIDIAの新GPU(RTX20シリーズ)で搭載されたAIコア「Tensor Core」の搭載が大きく貢献しているとのことで、従来のグラフィックカードでは約倍の時間がかかるという。とはいえ、必要GPUメモリは4Kでは8GB以上、8Kでは16GB以上となっており、一般的なゲーミング用GPUでは8K処理を快適に行うためのハードルは高そうだ。
コンバーターでは、業務用製品となるが、4K対応のボード「SB-4027」が展示。4KとHDの双方向のコンバート、BT.2020とBT.709の双方向の色域変換、HDRとSDRの双方向のダイナミックレンジ変換を行うことができる。遅延は1フレームのため、ほぼリアルタイムとなっている。
大きな特徴としては、HDRからSDRに変換する際に、日本テレビが開発した「K Function」を用いている。従来はHDRをSDRに変換する場合は、肌色や芝生の色など、シーンごとに調整を行う必要があったという。しかし4K放送などHDRが普及していく今後では、HDRを中心に番組を制作する必要がある。HDRとSDRのカメラを並べて同時収録する方法もあるが手間も大きく、とはいえ手動で調整を行っては、生放送などの速度を求められるシーンでは困難。そのため、HDRからSDRの自然な変換への需要が大きいとのこと。しかし変換するだけで自然な映像に仕上げるには、同社含めて各社が苦労しているという。
変換というと、SDRからHDRに変換する場合のほうが注目度が高いかもしれないが、放送を行う上では色域やダイナミックレンジの数値など、マッピングを行うだけで規格としては変換できるので、これは計算としては単純だという。しかし広いダイナミックレンジから狭いダイナミックレンジに変換する場合では、入らない分をどのように押し込むかということが必要で、これが苦労した点とのことだ。
同じく放送業界向けのコンバーターとしては、テレビの画面の上に重ねて表示される情報「スーパー」に用いる機器「HD-1679」がデモを実施。4K放送などが始まったものの、未だにSDRを扱う機器が多いという。スーパーをコントロールする機器までHDR対応させるのはコストとして難しい場合が多く、このようなコンバーターの需要は高いという。
スーパーでは文字の白や提供スポンサーのロゴなども扱うわけだが、SDRで制作されたものをHDRにそのまま表示させると問題が生じてしまう。白ではHDRでは眩しいくらいの輝度で表示され、またHDRでは色域が広いため、色ではSDRよりも大幅に派手な色彩となってしまう。それをこのコンバーターを用いることで、HDR映像と組み合わせても正常に表示が可能となる。またHDから4Kへのアップコンバートにも対応する。
■これから普及するHDMIの新規格 HDMI2.1に関連する機器が登場
従来は8Kの伝送に4本のHDMI接続が必要だったが、それを1本で伝送可能になる新規格、HDMI2.1に関わる製品も展示された。アストロデザインは、同規格を策定するHDMI Forumに参画しているため、HDMI2.1製品のテスト方法など、規格が完全に定まっていない現在でも開発が行えたという。
同社が今回展示したのは、主にテレビやケーブルが認証基準に満たしているかなど、テストできるもの。まずHDMI2.1対応のユニット「VM-1876-MD」は、従来より発売されていたデジタルビデオ発生機「VG-879」をHDMI2.1に対応させるもの。非圧縮8K60p(4:2:0)、4K120p(4:4:4)の出力に対応している。カラーバーやディスプレイの表示解像度をチェックするためのテスト映像/画像も出力できる。
信号発生器で生成した情報を数値的に計測するのは、プロトコルアナライザ「VA-1847」。HDMI2.1だけでなく、HDCP2.3にも対応する。「コンプライアンステスト」モードを搭載しており、プリテストとなるが、HDMI2.1 CTSの認証基準を満たしているのか、確認することもできる。
入力だけでなく出力も搭載しているので、例えばHDMI2.1対応のケーブルを設計する際、この機器を使用することで、BT.2020など正しく色域が再現できているか、解像度は8Kが伝送できているかなど解析し、性能を確認することができる。またテレビのプログラムを入れることで、テレビの同社のシミュレーションも可能。レコーダーなどと繋ぐことで、テレビとレコーダーの動作を連携できる〇〇リンクなども正しく動作するか、挙動が正しいか判断できるという。
また現状ではHDMI2.1に対応した機器がないため、4本のHDMI2.0による8K信号を、1本のHDMI2.1に変換するコンバーターボックス「SD-7075」も用意された。なおこれらの機器はこれまで策定メンバーには明かされていたももの、一般メーカーを含めて、今回初めて披露されたかたち。今後は各メーカーがこれらの製品を導入することで、HDMI2.1対応製品が開発されていくのではと説明員は話していた。
■“8K3Dシアター”を開設して上映を実施
8Kや4K対応機を中心に毎回様々な製品の展示が行われる本イベント。今回も昨年(関連ニュース)と同じく、8Kに重点をおいて展示が展開された。展示される製品の多くは業務用製品で、一般に馴染みの薄い製品がほとんどだが、これから普及していく技術・規格に関係する製品が多い。そのため、昨年開始された新8K4K衛星放送、次世代HDMI規格のHDMI2.1など、今後より普及してくる製品や事柄に関わった製品も多く並んでいた。
まず一般視聴者に近いところとして、8K3Dシアターの展示が挙げられる。プロジェクターにはデルタ電子の8K DLPレーザープロジェクター「INSIGHT Laser 8K」(関連ニュース)が用いられ、150インチのスクリーンに投影。またサウンドは8K放送と同じく22.2chのサラウンド。この映像を偏光タイプのメガネを使用し、3D映像を楽しむことができるようになっていた。
コンテンツはアイドルが踊っている映像と、忍者に扮した役者の演技の2種類。両方合わせて12分の内容となっている。また映像再生は同社の8K SSDレコーダーから出力される。そして撮影時には、同社8Kカメラ「AH-4801-C」を2つ並べたもので撮影が行われたという。
8K関連では、8K120Hzに対応したポータブルカメラ新製品「AB-4815」が展示。発表以来、問い合わせも多いとのことで、説明員に詳細を尋ねる方も多く見られた。会場ではこのカメラを同ビル上層階に設置して光伝送によってブースで表示させたり、8K480pの記録にも対応したビデオサーバー「SR-8428」で記録しながら、同社の8K120p対応55インチLCDモニタ「DM-3815」で表示させるなど、大きさを活かしたマルチな使い方をアピールしていた。
そのほか、昨年も展示された「8K VR」では、同社8Kカメラヘッド「CM-9010-B」に魚眼レンズを装着してデモを実施。目前のカメラで撮影された映像が処理され、JDI製のVRヘッドセット(試作機)からの映像をリアルタイムで見ることができるようになっていた。
先日のNHK技研公開でも展示された、120p対応の8Kシート型有機ELディスプレイも本イベントで展示。残念ながら撮影禁止となっていたが、部屋の中央にアクリルに貼付けされたディスプレイが鎮座しており、その薄さが体感しやすい展示となっていた。こちらはNHK、LG、アストロデザインの共同開発品となっており、LGはパネルと液晶制御部を、アストロデザインは信号処理装置を手がけたとのこと。具体的には、U-SDIで入力された8K120pの信号を処理し、液晶パネルで表示できる形式にコンバートする役割を担っているという。
また8Kを用いた展示としては、CGを用いた「バーチャルミュージアム」がデモ展示。3Dの空間上に美術作品が展示されており、拡大、縮小など自由に鑑賞できるようになっていた。美術品などの記録では8Kを大幅に超えた、億単位の解像度が用いられることが多い。この空間上でもその解像度を活かし、近くに寄ることで細部まで見ることができる。デモでは書道作品が並んでおり、拡大することで筆で描かれたインクの細かなニュアンスまで感じ取れた。
■2K→8K/HDR→SDRなどコンバーターに注目
昨年のイベントで公開されたディープラーニングを用いて2K→8Kに変換する技術展示は、今年はより具体的になり、動画編集ソフト「DaVinci Resolve」などで利用可能なプラグインとして展開。開発中と案内されていたが、説明員によると今年中の発売を考えているとのこと。一般販売を想定しているというが、このようなかたちで同社がコンシューマー向けに販売することがなかったため、価格や販売形式などは検討中と話していた。
このプラグインは、OpenFX Plugin対応ソフトであればDaVinci Resolveでなくとも使用することが可能。なお今のところ、Adobe製品へのプラグイン展開は考えていないとのこと。動作環境は通常のグラフィックカードでも行えるとのことで、HD→4Kのデモで用いられていた「Geforce RTX 2080」では1フレームあたり60ミリ秒で処理が可能という。
この処理速度は、昨年発売されたNVIDIAの新GPU(RTX20シリーズ)で搭載されたAIコア「Tensor Core」の搭載が大きく貢献しているとのことで、従来のグラフィックカードでは約倍の時間がかかるという。とはいえ、必要GPUメモリは4Kでは8GB以上、8Kでは16GB以上となっており、一般的なゲーミング用GPUでは8K処理を快適に行うためのハードルは高そうだ。
コンバーターでは、業務用製品となるが、4K対応のボード「SB-4027」が展示。4KとHDの双方向のコンバート、BT.2020とBT.709の双方向の色域変換、HDRとSDRの双方向のダイナミックレンジ変換を行うことができる。遅延は1フレームのため、ほぼリアルタイムとなっている。
大きな特徴としては、HDRからSDRに変換する際に、日本テレビが開発した「K Function」を用いている。従来はHDRをSDRに変換する場合は、肌色や芝生の色など、シーンごとに調整を行う必要があったという。しかし4K放送などHDRが普及していく今後では、HDRを中心に番組を制作する必要がある。HDRとSDRのカメラを並べて同時収録する方法もあるが手間も大きく、とはいえ手動で調整を行っては、生放送などの速度を求められるシーンでは困難。そのため、HDRからSDRの自然な変換への需要が大きいとのこと。しかし変換するだけで自然な映像に仕上げるには、同社含めて各社が苦労しているという。
変換というと、SDRからHDRに変換する場合のほうが注目度が高いかもしれないが、放送を行う上では色域やダイナミックレンジの数値など、マッピングを行うだけで規格としては変換できるので、これは計算としては単純だという。しかし広いダイナミックレンジから狭いダイナミックレンジに変換する場合では、入らない分をどのように押し込むかということが必要で、これが苦労した点とのことだ。
同じく放送業界向けのコンバーターとしては、テレビの画面の上に重ねて表示される情報「スーパー」に用いる機器「HD-1679」がデモを実施。4K放送などが始まったものの、未だにSDRを扱う機器が多いという。スーパーをコントロールする機器までHDR対応させるのはコストとして難しい場合が多く、このようなコンバーターの需要は高いという。
スーパーでは文字の白や提供スポンサーのロゴなども扱うわけだが、SDRで制作されたものをHDRにそのまま表示させると問題が生じてしまう。白ではHDRでは眩しいくらいの輝度で表示され、またHDRでは色域が広いため、色ではSDRよりも大幅に派手な色彩となってしまう。それをこのコンバーターを用いることで、HDR映像と組み合わせても正常に表示が可能となる。またHDから4Kへのアップコンバートにも対応する。
■これから普及するHDMIの新規格 HDMI2.1に関連する機器が登場
従来は8Kの伝送に4本のHDMI接続が必要だったが、それを1本で伝送可能になる新規格、HDMI2.1に関わる製品も展示された。アストロデザインは、同規格を策定するHDMI Forumに参画しているため、HDMI2.1製品のテスト方法など、規格が完全に定まっていない現在でも開発が行えたという。
同社が今回展示したのは、主にテレビやケーブルが認証基準に満たしているかなど、テストできるもの。まずHDMI2.1対応のユニット「VM-1876-MD」は、従来より発売されていたデジタルビデオ発生機「VG-879」をHDMI2.1に対応させるもの。非圧縮8K60p(4:2:0)、4K120p(4:4:4)の出力に対応している。カラーバーやディスプレイの表示解像度をチェックするためのテスト映像/画像も出力できる。
信号発生器で生成した情報を数値的に計測するのは、プロトコルアナライザ「VA-1847」。HDMI2.1だけでなく、HDCP2.3にも対応する。「コンプライアンステスト」モードを搭載しており、プリテストとなるが、HDMI2.1 CTSの認証基準を満たしているのか、確認することもできる。
入力だけでなく出力も搭載しているので、例えばHDMI2.1対応のケーブルを設計する際、この機器を使用することで、BT.2020など正しく色域が再現できているか、解像度は8Kが伝送できているかなど解析し、性能を確認することができる。またテレビのプログラムを入れることで、テレビの同社のシミュレーションも可能。レコーダーなどと繋ぐことで、テレビとレコーダーの動作を連携できる〇〇リンクなども正しく動作するか、挙動が正しいか判断できるという。
また現状ではHDMI2.1に対応した機器がないため、4本のHDMI2.0による8K信号を、1本のHDMI2.1に変換するコンバーターボックス「SD-7075」も用意された。なおこれらの機器はこれまで策定メンバーには明かされていたももの、一般メーカーを含めて、今回初めて披露されたかたち。今後は各メーカーがこれらの製品を導入することで、HDMI2.1対応製品が開発されていくのではと説明員は話していた。