米担当者が語る審査の厳しさ
Netflix“公式推奨テレビ”がソニー/パナソニックに決定。審査基準は「起動は3秒以内」など
Netflixは、2019年度の「Netflix推奨テレビ」を発表。ソニー、パナソニックから計6モデルが認証された。
「Netflix推奨テレビ」とは、『Netflixが定めた審査基準をクリアし、Netflix視聴を快適に行える』ことを同社が正式に認定したモデルであり、推奨テレビにはそれを証明するロゴを使用することができる。
今回、このNetflix推奨テレビの詳細を、Netflix パートナー・プロダクト部門 ディレクターのブレイディ・ガンダーソン氏に聞くことができた。
Netflix推奨テレビの取り組みは2015年からスタートした。Netflixは多くのデバイスで体験できるように改善が行われてきているが、「一般の方にはまだまだ視聴するのが大変という意見が多かった」という。そこで「Netflixの視聴体験をより良いものにするために、デバイスパートナーとコラボレーションしてさらなる努力をするべきと考えた」ことが切っ掛けとなっている。
映像配信サービスをテレビで利用する場合は、テレビ単体でサービスにアクセスできる、いわゆるスマートテレビが有力な選択肢となる。しかし、当初の対応スマートテレビにおいては、「テレビの電源を入れて実際にNetflixの視聴を開始するまでの立ち上げスピードは、スマートフォンのように瞬時に視聴するには程遠いということが現実だった」とガンダーソン氏。それが「パートナーと協力することで、視聴開始までの時間を、以前は1分程度だったところ数秒にまで短縮できた」と語られた。
こうした快適な視聴体験を実現できるかどうかは、店頭でテレビを購入する際には分かりにくい。「カスタマーはテレビを購入する際、ブランドや画質、画面サイズ、価格などを重視する。一方で、使いやすさや、次世代機能が備わっているかまでは、店頭では分からない。そこでNetflix推奨テレビのロゴがあれば、それがひと目で分かる」とガンダーソン氏は取り組みの目的を説明する。家に持ち帰るまで分からない性能に光を当てようという考えだ。
Netflix推奨テレビの認証を受けるには、同社が定めた厳しい審査基準をクリアする必要がある。審査項目はユーザーから集められたデータをもとに決定し、パートナー企業には1年前にその項目と基準が開示される。そして店頭に並ぶ前に、同社のテスト環境で平等な審査が行われる。
審査項目が開示されている以上、企業側でも社内測定が行われるだろうが、それでNetflix推奨テレビとは認証されない。あくまでNetflixが、自社で用意した一般家庭の環境を模したフィールドでテストを行い、それをクリアすることが必要となる。この徹底ぶりが、Netflix推奨テレビのロゴの信憑性を高める。推奨テレビとそうでないテレビでの動作の違いは下の画像イメージを参照してほしい。
2018年度の審査項目は、『より速い起動』『より簡単な操作』『より快適な視聴』の3つの評価軸をもとに、7つの項目が設けられていた。
具体的には、テレビが3秒以下で起動する「インスタント起動」、他アプリからの「迅速なアプリ起動」(より速い起動)、リモコンからすぐに利用できる「Netflixボタン」、テレビのメニュー画面から簡単に起動可能な「Netflixアイコン」(より簡単な操作)。そして、スリープ状態からの復帰時に状態を引き継ぐ「テレビレジューム機能」、鮮明なブラウジングを実現するためのテキストなどの「高画質なNetflixインターフェース」、常に「最新バージョンのアプリ」がインストールされている状態を保つこと(より快適な視聴)、という7項目だ。
この審査基準に関しては、以前の基準で重要と思われたものは継続しつつもパフォーマンスのしきい値を引き上げる、新しい審査項目を導入するなど、毎年ブラッシュアップされている。例えば2019年の審査項目では、テレビレジューム機能が「Always Fresh」へと変更された。
Always Freshはスリープ前の状態を引き継ぐだけでなく、スリープ中もバッググラウンドでNetflixのUIを読み込み、スリープ中に追加された新しいコンテンツや更新されたUIなどが反映されるというもの。本機能を加えるにあたっては、重要性を確かめるABテストが行われており、機能あり/なしの半々で実施されたうち、「機能ありのケースがNetflixのコンテンツを多く視聴する、という統計学的に有為な結果が得られた」とのことだ。
そして今年は、ソニー “BRAVIA“ 「A9G」「X9500G」「X8550G」「X8500G」の4モデルと、パナソニック “VIERA” 「GX750」「GX850」の2モデル、計6モデルが2019年のNetflix推奨テレビと認証された。
2018年の推奨テレビはソニーのAndroidテレビ(2018年モデル)と、LGの有機ELテレビおよび4K UHDテレビ(webOS搭載/2018年モデル)だった。ちなみに2017年もソニーとLGが推奨テレビとなっている。今回はLGが抜け、パナソニックが入ったかたちだ。
「LGは素晴らしいパートナーである」としつつも、結果として認証されていない点からは、その審査のシビアさがうかがえる。とはいえ、このラインナップについてはあくまで現時点のものであり、新たに指定されたモデルやブランドも随時追加していくというので、新しい製品ラインナップの発表とともに推奨テレビに加わることも決してない話ではないだろう。
ガンダーソン氏は、「推奨テレビには2つ目的がある。1つはパートナーに追加的な機能、性能基準を提供することで、視聴体験を改善する努力目標となること。そしてもう1つ、推奨テレビロゴをつ付与することで、ユーザーが高い視聴体験が得られるテレビと分かることだ」と繰り返す。
つまり、審査項目に合わせて改善を行うことは、そのほかの映像配信サービスの立ち上げも早くなるなど、テレビそのものの性能がアップすることにつながる。これも1つのポイントとして、テレビ購入の参考にされてみてはいかがだろうか。
「Netflix推奨テレビ」とは、『Netflixが定めた審査基準をクリアし、Netflix視聴を快適に行える』ことを同社が正式に認定したモデルであり、推奨テレビにはそれを証明するロゴを使用することができる。
今回、このNetflix推奨テレビの詳細を、Netflix パートナー・プロダクト部門 ディレクターのブレイディ・ガンダーソン氏に聞くことができた。
Netflix推奨テレビの取り組みは2015年からスタートした。Netflixは多くのデバイスで体験できるように改善が行われてきているが、「一般の方にはまだまだ視聴するのが大変という意見が多かった」という。そこで「Netflixの視聴体験をより良いものにするために、デバイスパートナーとコラボレーションしてさらなる努力をするべきと考えた」ことが切っ掛けとなっている。
映像配信サービスをテレビで利用する場合は、テレビ単体でサービスにアクセスできる、いわゆるスマートテレビが有力な選択肢となる。しかし、当初の対応スマートテレビにおいては、「テレビの電源を入れて実際にNetflixの視聴を開始するまでの立ち上げスピードは、スマートフォンのように瞬時に視聴するには程遠いということが現実だった」とガンダーソン氏。それが「パートナーと協力することで、視聴開始までの時間を、以前は1分程度だったところ数秒にまで短縮できた」と語られた。
こうした快適な視聴体験を実現できるかどうかは、店頭でテレビを購入する際には分かりにくい。「カスタマーはテレビを購入する際、ブランドや画質、画面サイズ、価格などを重視する。一方で、使いやすさや、次世代機能が備わっているかまでは、店頭では分からない。そこでNetflix推奨テレビのロゴがあれば、それがひと目で分かる」とガンダーソン氏は取り組みの目的を説明する。家に持ち帰るまで分からない性能に光を当てようという考えだ。
Netflix推奨テレビの認証を受けるには、同社が定めた厳しい審査基準をクリアする必要がある。審査項目はユーザーから集められたデータをもとに決定し、パートナー企業には1年前にその項目と基準が開示される。そして店頭に並ぶ前に、同社のテスト環境で平等な審査が行われる。
審査項目が開示されている以上、企業側でも社内測定が行われるだろうが、それでNetflix推奨テレビとは認証されない。あくまでNetflixが、自社で用意した一般家庭の環境を模したフィールドでテストを行い、それをクリアすることが必要となる。この徹底ぶりが、Netflix推奨テレビのロゴの信憑性を高める。推奨テレビとそうでないテレビでの動作の違いは下の画像イメージを参照してほしい。
2018年度の審査項目は、『より速い起動』『より簡単な操作』『より快適な視聴』の3つの評価軸をもとに、7つの項目が設けられていた。
具体的には、テレビが3秒以下で起動する「インスタント起動」、他アプリからの「迅速なアプリ起動」(より速い起動)、リモコンからすぐに利用できる「Netflixボタン」、テレビのメニュー画面から簡単に起動可能な「Netflixアイコン」(より簡単な操作)。そして、スリープ状態からの復帰時に状態を引き継ぐ「テレビレジューム機能」、鮮明なブラウジングを実現するためのテキストなどの「高画質なNetflixインターフェース」、常に「最新バージョンのアプリ」がインストールされている状態を保つこと(より快適な視聴)、という7項目だ。
この審査基準に関しては、以前の基準で重要と思われたものは継続しつつもパフォーマンスのしきい値を引き上げる、新しい審査項目を導入するなど、毎年ブラッシュアップされている。例えば2019年の審査項目では、テレビレジューム機能が「Always Fresh」へと変更された。
Always Freshはスリープ前の状態を引き継ぐだけでなく、スリープ中もバッググラウンドでNetflixのUIを読み込み、スリープ中に追加された新しいコンテンツや更新されたUIなどが反映されるというもの。本機能を加えるにあたっては、重要性を確かめるABテストが行われており、機能あり/なしの半々で実施されたうち、「機能ありのケースがNetflixのコンテンツを多く視聴する、という統計学的に有為な結果が得られた」とのことだ。
そして今年は、ソニー “BRAVIA“ 「A9G」「X9500G」「X8550G」「X8500G」の4モデルと、パナソニック “VIERA” 「GX750」「GX850」の2モデル、計6モデルが2019年のNetflix推奨テレビと認証された。
2018年の推奨テレビはソニーのAndroidテレビ(2018年モデル)と、LGの有機ELテレビおよび4K UHDテレビ(webOS搭載/2018年モデル)だった。ちなみに2017年もソニーとLGが推奨テレビとなっている。今回はLGが抜け、パナソニックが入ったかたちだ。
「LGは素晴らしいパートナーである」としつつも、結果として認証されていない点からは、その審査のシビアさがうかがえる。とはいえ、このラインナップについてはあくまで現時点のものであり、新たに指定されたモデルやブランドも随時追加していくというので、新しい製品ラインナップの発表とともに推奨テレビに加わることも決してない話ではないだろう。
ガンダーソン氏は、「推奨テレビには2つ目的がある。1つはパートナーに追加的な機能、性能基準を提供することで、視聴体験を改善する努力目標となること。そしてもう1つ、推奨テレビロゴをつ付与することで、ユーザーが高い視聴体験が得られるテレビと分かることだ」と繰り返す。
つまり、審査項目に合わせて改善を行うことは、そのほかの映像配信サービスの立ち上げも早くなるなど、テレビそのものの性能がアップすることにつながる。これも1つのポイントとして、テレビ購入の参考にされてみてはいかがだろうか。