非住宅空間にも広げる健康・快適の価値
パナソニック、「2021年度までに構造的赤字事業を撲滅」。津賀社長がIRデーで中期戦略を語る
パナソニックは、全社および各カンパニーの事業方針を説明する「Panasonic IR Day 2019」を開催。これに先立ち同社代表取締役社長 社長執行役員 CEOの津賀一宏氏が、中期戦略の考え方と取り組みの進捗について説明した。津賀氏は当初10月31日に開催された第二四半期決算会見にてこれを語る予定だったのだが、本日に持ち越したかたちとなっていた。
今年5月に発表されたパナソニックの中期戦略について津賀氏は、「舌足らずだった。ここでそれを埋められれば」として、「端的にいって当社がこの中期に実現すべきことは、低収益体質からの脱却」と説明する。基幹事業での利益成長の実現、外部パートナーとの共創による新たな価値創造、構造改革の断行、の3つをあらためて方針として掲げた。
「競争力のある基幹事業でビジネスモデル変革を進め、強固な利益の柱に育てたい。外部パートナーとの共創で、自社の力だけでは難しい価値創造に挑戦し収益性を高めたい。構造的な赤字事業の撲滅はこの中期に最低限必要なこと。これらの取り組みにより収益体質を徹底強化し競争力向上に取り組む」と説明。さらに長期的な視点で2030年に目指す姿を「くらし」で役に立つ会社、と表現。「『くらしアップデート』を通じ、人々のくらしにフォーカスしたお役立ちを創出し続ける会社を目指す」。
これにもとづき5月に示された事業区分は「基幹事業」「共創事業」「再挑戦事業」の3つ。この中期では、空間ソリューション、現場プロセス、インダストリアルソリューションといった基幹事業を中心にEBITDAを高めるべくリソースを集中、企業価値の向上を目指す。共創事業と位置づけられた家電や住宅事業は、地域や他社との協業で競争力を強化する。戦略をスムーズに進めるため、従来のやり方を抜本的に見直し、自社のリソースだけを前提としない柔軟な資本政策や、より自由度の高いブランド政策の導入を進める。車載機器、車載電池事業は再挑戦事業と位置づけ、強みを活かせる領域に絞り込み徹底して収益性の改善に取り組む。
基幹事業は「これまで我々が培ってきた技術力、ものづくり力などの強みが活かせ、現在も高収益な領域。将来の市場の成長性やビジネスモデル変革の可能性としてもすぐれ、くらしアップデートの実現にも暮らしのインフラ的な存在として不可欠なもの」とし、単品売り切りからソリューション型ビジネスモデルへのシフトを図る。
具体的には、「海外での電材やデバイスなど成長が見込まれ強みある領域でしっかり稼ぎ、既存の製造設備にソフトやデータ活用を掛け合わせたファインプロセスや、ソリューション提供型ビジネスで収益性と成長性を高める。その上で空間価値の創造やサプライチェーンのプロセス革新など、複雑で中長期的に大きな変革が見込まれる領域へ投資を進める」。
さらに空間ソリューションの取り組みを具体的に説明。「当社が家電や電材を中心に人に寄り添う事業で培ってきた、健康や快適など利用者の感性に訴える価値を提供する。住宅だけでなく、オフィスや商業施設、公共施設など非住宅空間にも広げる。カンパニーを超えて技術と商材を連携させ、AIやIoT、センシングで空間全体を制御し快適な空間価値の創出に挑む。住宅でも非住宅でも、その価値はある種共通である」と語った。
経営体質強化の取り組みについては、「2021年度に1000億円の利益貢献を“真水で生み出す”べく、固定費削減を推進する」とし、3つの内訳を掲げる。人件費削減は、定年などの退職者数と採用者数の差により300億円。内向きの仕事や重複業務の見直しなど間接業務の削減や、各地に点在する拠点の集約などによる効率化で300億円。構造的赤字事業への対策で400億円とする。
ポートフォリオマネジメントについては、「これまでカンパニー主体だった判断をトップダウンで実行。21年度までに構造的赤字事業を撲滅し、低収益事業も方向性を決定する。競争力維持が困難な事業も、対策がみえない場合は社外の力を借りることも含め大胆な資本政策を検討する」と説明した。
今後については、「当社は家電を中心に人に寄り添いものづくりでお役立ちを果たしてきたが、時代の進化に合わせて磨き上げ、暮らしの領域でお役立ちを広げることが存在価値になる。街全体でのアップデータブルな暮らしの実現を目指し、家電など住空間での提供価値や強みを公共的な空間にも広げる。また住空間で求められるものも多様化、家電ビジネスのあり方を変革し新たなお役立ちに挑戦する」。AIロボティクス分野に専門性をもつ松岡陽子氏を今年10月に迎えたことを挙げ、「新たな価値やビジネスモデルの創出を加速する」とした。
さらに、「製造業と暮らしとの関係は変わる。ものづくりの会社としての強みを活かし、物の流れの効率化を進め、安全安心の価値を加え暮らしと製造業を最適につなぎ、よりよい暮らしの実現に貢献する」と強調。最後に「人とモノの視点でお客様とつながり、ひとりひとりの暮らしに最適なソリューションを提供する会社と自らを再定義し、世の中に求められる価値ある企業となることを目指す」と語る。
「これまでは収益性の悪い事業を止血し既存事業が安定的に推移する前提のもと成長を図ろうとしたが、社会の変化が既存事業を既存のまま残させてはくれず、この考え方では次の2030年への絵が描けない。昨年当社は100周年を迎え、社会の変化に応じて全体の考え方を変えなければならないとの思いを新たにした」との強い思いを示した。
今年5月に発表されたパナソニックの中期戦略について津賀氏は、「舌足らずだった。ここでそれを埋められれば」として、「端的にいって当社がこの中期に実現すべきことは、低収益体質からの脱却」と説明する。基幹事業での利益成長の実現、外部パートナーとの共創による新たな価値創造、構造改革の断行、の3つをあらためて方針として掲げた。
「競争力のある基幹事業でビジネスモデル変革を進め、強固な利益の柱に育てたい。外部パートナーとの共創で、自社の力だけでは難しい価値創造に挑戦し収益性を高めたい。構造的な赤字事業の撲滅はこの中期に最低限必要なこと。これらの取り組みにより収益体質を徹底強化し競争力向上に取り組む」と説明。さらに長期的な視点で2030年に目指す姿を「くらし」で役に立つ会社、と表現。「『くらしアップデート』を通じ、人々のくらしにフォーカスしたお役立ちを創出し続ける会社を目指す」。
これにもとづき5月に示された事業区分は「基幹事業」「共創事業」「再挑戦事業」の3つ。この中期では、空間ソリューション、現場プロセス、インダストリアルソリューションといった基幹事業を中心にEBITDAを高めるべくリソースを集中、企業価値の向上を目指す。共創事業と位置づけられた家電や住宅事業は、地域や他社との協業で競争力を強化する。戦略をスムーズに進めるため、従来のやり方を抜本的に見直し、自社のリソースだけを前提としない柔軟な資本政策や、より自由度の高いブランド政策の導入を進める。車載機器、車載電池事業は再挑戦事業と位置づけ、強みを活かせる領域に絞り込み徹底して収益性の改善に取り組む。
基幹事業は「これまで我々が培ってきた技術力、ものづくり力などの強みが活かせ、現在も高収益な領域。将来の市場の成長性やビジネスモデル変革の可能性としてもすぐれ、くらしアップデートの実現にも暮らしのインフラ的な存在として不可欠なもの」とし、単品売り切りからソリューション型ビジネスモデルへのシフトを図る。
具体的には、「海外での電材やデバイスなど成長が見込まれ強みある領域でしっかり稼ぎ、既存の製造設備にソフトやデータ活用を掛け合わせたファインプロセスや、ソリューション提供型ビジネスで収益性と成長性を高める。その上で空間価値の創造やサプライチェーンのプロセス革新など、複雑で中長期的に大きな変革が見込まれる領域へ投資を進める」。
さらに空間ソリューションの取り組みを具体的に説明。「当社が家電や電材を中心に人に寄り添う事業で培ってきた、健康や快適など利用者の感性に訴える価値を提供する。住宅だけでなく、オフィスや商業施設、公共施設など非住宅空間にも広げる。カンパニーを超えて技術と商材を連携させ、AIやIoT、センシングで空間全体を制御し快適な空間価値の創出に挑む。住宅でも非住宅でも、その価値はある種共通である」と語った。
経営体質強化の取り組みについては、「2021年度に1000億円の利益貢献を“真水で生み出す”べく、固定費削減を推進する」とし、3つの内訳を掲げる。人件費削減は、定年などの退職者数と採用者数の差により300億円。内向きの仕事や重複業務の見直しなど間接業務の削減や、各地に点在する拠点の集約などによる効率化で300億円。構造的赤字事業への対策で400億円とする。
ポートフォリオマネジメントについては、「これまでカンパニー主体だった判断をトップダウンで実行。21年度までに構造的赤字事業を撲滅し、低収益事業も方向性を決定する。競争力維持が困難な事業も、対策がみえない場合は社外の力を借りることも含め大胆な資本政策を検討する」と説明した。
今後については、「当社は家電を中心に人に寄り添いものづくりでお役立ちを果たしてきたが、時代の進化に合わせて磨き上げ、暮らしの領域でお役立ちを広げることが存在価値になる。街全体でのアップデータブルな暮らしの実現を目指し、家電など住空間での提供価値や強みを公共的な空間にも広げる。また住空間で求められるものも多様化、家電ビジネスのあり方を変革し新たなお役立ちに挑戦する」。AIロボティクス分野に専門性をもつ松岡陽子氏を今年10月に迎えたことを挙げ、「新たな価値やビジネスモデルの創出を加速する」とした。
さらに、「製造業と暮らしとの関係は変わる。ものづくりの会社としての強みを活かし、物の流れの効率化を進め、安全安心の価値を加え暮らしと製造業を最適につなぎ、よりよい暮らしの実現に貢献する」と強調。最後に「人とモノの視点でお客様とつながり、ひとりひとりの暮らしに最適なソリューションを提供する会社と自らを再定義し、世の中に求められる価値ある企業となることを目指す」と語る。
「これまでは収益性の悪い事業を止血し既存事業が安定的に推移する前提のもと成長を図ろうとしたが、社会の変化が既存事業を既存のまま残させてはくれず、この考え方では次の2030年への絵が描けない。昨年当社は100周年を迎え、社会の変化に応じて全体の考え方を変えなければならないとの思いを新たにした」との強い思いを示した。