超スマート社会“Society5.0”実現へ
電子情報産業の予測生産額は過去最高3兆ドル超。JEITA遠藤会長が会見
■2020年、電子情報産業の世界生産額は過去最高の3兆ドル超え
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、遠藤信博会長が会見を行い、電子情報産業の世界生産見通しとSociety5.0の実現に向けたJEITAの取り組みについて説明を行った。
「今年は情報社会からデータ社会への移行を強く実感する年になった」とこの一年を振り返り総括した遠藤会長。Society5.0の実現を基本方針に掲げ、積極的な活動を展開するが、「Society5.0に向けた動きが社会全体で一気に加速した年と言っても過言ではない。来年に開催が迫った東京オリンピックや2025年に開催される大阪・関西万博など、ビッグイベントが控えることで、未来を考える機会が増え、Society5.0という言葉を耳にする機会も増えているように思う」と超スマート社会到来の足音が確実に大きくなりつつあることを指摘した。
新しい時代の到来を加速する、価値創造を支える3つの要素として挙げるのは、「コンピューティングパワー」「5Gによるネットワーク」「AIなどのソフトウェアとデジタルデータ」。「その劇的な進化と組み合わせにより、価値創造の可能性が一気に広がりつつある。情報社会からデータ社会への移行により、価値創出は大きく変わる。広範囲にデータを集めて解析することで、部分最適ではない、従来はできなかった全体最適の答えが出せるようになる」と説明。「その実現には共創が不可欠」と訴えた。
実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析・知識化し、そこから創出される情報や価値で、産業の活性化や社会問題の解決を図るCPS(Cyber-Physical System)やIoTの世界市場は大きく拡大。世界市場規模は、2018年の241兆円から、2030年には532兆円になると予測する。
大きなポテンシャルを秘めるCPS/IoT市場の中核となるのが電子情報産業。「今後もさらなる成長が期待される」と語る。2019年の電子情報産業の世界生産額は、データ利活用の高度化や自動化が進むことでソリューションサービスが好調となる一方、世界経済の先行き不透明感の拡大に伴う投資抑制などから微増にとどまるが、「2020年は引き続き懸念はあるが、5Gの進展やIT投資の拡大が期待でき、過去最高を更新する」と3兆ドル超えの見通しを示した。
■あらゆるものがネットワークでつなぐ「5G」
「これからのさらなる成長を牽引するキードライバーと考えている」と大きく取り上げたのは「5G」。「Society5.0の価値創造ではネットワークが重要となる。情報社会からデータ社会へ移行しつつある中で、5GはSociety5.0を実現するための重要な基幹インフラに他ならない。日本でも来年は5Gサービスが本格的にスタートし、あらゆるものがネットワークでつながる世界の実現が目前に迫ってきた」と大きな変化を予測する。
民生用途、産業用途を問わず、5Gによって工場や病院、農場、建設現場、スタジアム、街など多様な場面で新たなイノベーションが起こり、新たなサービスが次々に生まれてくる。5G市場の世界需要額は年平均63.7%で成長すると予測。2030年には、2018年の約300倍となる168.3兆円に拡大する見通し。IoT機器では自動運転車やロボット、ネットワークカメラ、ソリューションサービスの利活用では製造、金融、流通、物流が市場を牽引する。
5Gには、パブリックエリアでキャリアの公衆網に接続する「WANG5G」とクローズドな空間でプライベートに利用できる「ローカル5G」があり、ローカル5Gによる新たな市場創出も期待を集める。「新たな通信サービスとして制度化されることで、機密情報を高度なセキュリティで担保でき、通信も高い安定品質を実現できる」と指摘。これにより、通信の安定性や法規制の課題からこれまで無線ネットワーク化が難しかった、前述した工場、病院、農場、建設現場、スタジアムなどのイベント会場などの領域で導入が見込まれる。
日本のローカル5G需要は、2025年には3000億円、2030年までに4.4兆円に拡大。IoT機器ではロボットやドローン、自動運転車、ソリューションサービスでは製造分野向けが需要を牽引すると予測する。「IT企業だけでなく、世界最高レベルのOT企業も参画しているのがJEITAの特性。その強みを活かし、IT企業とOT企業をつなぐことで、ローカル5Gの市場創出に積極的に取り組んでいく」と訴えた。
■デジタル化進展で存在感高まるJEITA
ここ数年で大きく変革したJEITA。電子情報産業が中核であることに変わりはないが、Society5.0の推進を事業方針に掲げ、業種・業界を超えて社会課題の解決に向き合う、あらゆる産業が集うプラットフォームとしての業界団体に変貌を遂げつつある。IoTに密接に関わる企業に正会員の門戸を広げ、多様な業種が活動に参画、正会員数は右肩上がりで増加している。
新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを発揮するために、日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備やデジタル化対応への税制要望や規制改革要望、さらに、海外の産業界と連携した保護主義の拡大阻止と越境データ流通の自由化を目指す活動に精力的に取り組んでいる。
Society5.0実現に向けた動きを加速させるため、社会全体に向けた発信力も強化。その代表的な取り組みが「CEATEC」だ。かつての “家電見本市” は、「CPSとIoTをテーマとするSociety5.0の展示会」へと大胆にコンセプトを転換し、さまざまな産業・業種が一堂に会する場に生まれ変わった。また、先頃開催された今年のCEATECでは “人材育成” を大きな柱のひとつに据え、学生交流ラウンジや企業トップと学生の対話の場を設けるなどの新たなチャレンジも行っている。
「Society5.0の未来へ向けた取り組みがますます進展していくにあたり、今回、注目分野として取り上げた5Gをキードライバーとして、今後あらゆる分野においてデジタル化が進み、JEITAはますます重要な役割を担う存在になる。もはや、デジタル化に無縁の業界などあるはずもなく、あらゆる産業との連携をさらに強化し、Society5.0の実現に向けた事業環境整備と市場創出により重点的に取り組んでいきたい」と力を込める遠藤会長。「2020年、そしてその先の未来に向けて、JEITAは産業と産業のつなぎ役として新たなビジネス創出を促すことで、社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会“Society5.0”を実現するとともに、日本経済のさらなる活性化やSDGsの達成にも貢献していく」と会見を締めくくった。
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、遠藤信博会長が会見を行い、電子情報産業の世界生産見通しとSociety5.0の実現に向けたJEITAの取り組みについて説明を行った。
「今年は情報社会からデータ社会への移行を強く実感する年になった」とこの一年を振り返り総括した遠藤会長。Society5.0の実現を基本方針に掲げ、積極的な活動を展開するが、「Society5.0に向けた動きが社会全体で一気に加速した年と言っても過言ではない。来年に開催が迫った東京オリンピックや2025年に開催される大阪・関西万博など、ビッグイベントが控えることで、未来を考える機会が増え、Society5.0という言葉を耳にする機会も増えているように思う」と超スマート社会到来の足音が確実に大きくなりつつあることを指摘した。
新しい時代の到来を加速する、価値創造を支える3つの要素として挙げるのは、「コンピューティングパワー」「5Gによるネットワーク」「AIなどのソフトウェアとデジタルデータ」。「その劇的な進化と組み合わせにより、価値創造の可能性が一気に広がりつつある。情報社会からデータ社会への移行により、価値創出は大きく変わる。広範囲にデータを集めて解析することで、部分最適ではない、従来はできなかった全体最適の答えが出せるようになる」と説明。「その実現には共創が不可欠」と訴えた。
実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析・知識化し、そこから創出される情報や価値で、産業の活性化や社会問題の解決を図るCPS(Cyber-Physical System)やIoTの世界市場は大きく拡大。世界市場規模は、2018年の241兆円から、2030年には532兆円になると予測する。
大きなポテンシャルを秘めるCPS/IoT市場の中核となるのが電子情報産業。「今後もさらなる成長が期待される」と語る。2019年の電子情報産業の世界生産額は、データ利活用の高度化や自動化が進むことでソリューションサービスが好調となる一方、世界経済の先行き不透明感の拡大に伴う投資抑制などから微増にとどまるが、「2020年は引き続き懸念はあるが、5Gの進展やIT投資の拡大が期待でき、過去最高を更新する」と3兆ドル超えの見通しを示した。
■あらゆるものがネットワークでつなぐ「5G」
「これからのさらなる成長を牽引するキードライバーと考えている」と大きく取り上げたのは「5G」。「Society5.0の価値創造ではネットワークが重要となる。情報社会からデータ社会へ移行しつつある中で、5GはSociety5.0を実現するための重要な基幹インフラに他ならない。日本でも来年は5Gサービスが本格的にスタートし、あらゆるものがネットワークでつながる世界の実現が目前に迫ってきた」と大きな変化を予測する。
民生用途、産業用途を問わず、5Gによって工場や病院、農場、建設現場、スタジアム、街など多様な場面で新たなイノベーションが起こり、新たなサービスが次々に生まれてくる。5G市場の世界需要額は年平均63.7%で成長すると予測。2030年には、2018年の約300倍となる168.3兆円に拡大する見通し。IoT機器では自動運転車やロボット、ネットワークカメラ、ソリューションサービスの利活用では製造、金融、流通、物流が市場を牽引する。
5Gには、パブリックエリアでキャリアの公衆網に接続する「WANG5G」とクローズドな空間でプライベートに利用できる「ローカル5G」があり、ローカル5Gによる新たな市場創出も期待を集める。「新たな通信サービスとして制度化されることで、機密情報を高度なセキュリティで担保でき、通信も高い安定品質を実現できる」と指摘。これにより、通信の安定性や法規制の課題からこれまで無線ネットワーク化が難しかった、前述した工場、病院、農場、建設現場、スタジアムなどのイベント会場などの領域で導入が見込まれる。
日本のローカル5G需要は、2025年には3000億円、2030年までに4.4兆円に拡大。IoT機器ではロボットやドローン、自動運転車、ソリューションサービスでは製造分野向けが需要を牽引すると予測する。「IT企業だけでなく、世界最高レベルのOT企業も参画しているのがJEITAの特性。その強みを活かし、IT企業とOT企業をつなぐことで、ローカル5Gの市場創出に積極的に取り組んでいく」と訴えた。
■デジタル化進展で存在感高まるJEITA
ここ数年で大きく変革したJEITA。電子情報産業が中核であることに変わりはないが、Society5.0の推進を事業方針に掲げ、業種・業界を超えて社会課題の解決に向き合う、あらゆる産業が集うプラットフォームとしての業界団体に変貌を遂げつつある。IoTに密接に関わる企業に正会員の門戸を広げ、多様な業種が活動に参画、正会員数は右肩上がりで増加している。
新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを発揮するために、日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備やデジタル化対応への税制要望や規制改革要望、さらに、海外の産業界と連携した保護主義の拡大阻止と越境データ流通の自由化を目指す活動に精力的に取り組んでいる。
Society5.0実現に向けた動きを加速させるため、社会全体に向けた発信力も強化。その代表的な取り組みが「CEATEC」だ。かつての “家電見本市” は、「CPSとIoTをテーマとするSociety5.0の展示会」へと大胆にコンセプトを転換し、さまざまな産業・業種が一堂に会する場に生まれ変わった。また、先頃開催された今年のCEATECでは “人材育成” を大きな柱のひとつに据え、学生交流ラウンジや企業トップと学生の対話の場を設けるなどの新たなチャレンジも行っている。
「Society5.0の未来へ向けた取り組みがますます進展していくにあたり、今回、注目分野として取り上げた5Gをキードライバーとして、今後あらゆる分野においてデジタル化が進み、JEITAはますます重要な役割を担う存在になる。もはや、デジタル化に無縁の業界などあるはずもなく、あらゆる産業との連携をさらに強化し、Society5.0の実現に向けた事業環境整備と市場創出により重点的に取り組んでいきたい」と力を込める遠藤会長。「2020年、そしてその先の未来に向けて、JEITAは産業と産業のつなぎ役として新たなビジネス創出を促すことで、社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会“Society5.0”を実現するとともに、日本経済のさらなる活性化やSDGsの達成にも貢献していく」と会見を締めくくった。