カンパニープレゼンテーションレポート
ソニーミュージックグループ全体でアナログ/ハイレゾを推進。さらなる価値の高まりをアピール
ソニー・ミュージックソリューションズ(SMS)は、1月29日-30日の2日間にわたり、カンパニープレゼンテーションを実施。同社の取り組みについての展示やトークセッションなどを行った。
ソニーミュージックグループの4社を再編して、2019年4月に発足したSMS。今回、発足後はじめてとなるカンパニープレゼンテーションが実施された。
SMSはソニーミュージックグループのソリューション事業を統合したことで、事業間の壁を取り払い、各社のノウハウを結集した総合力でアーティストやクリエイター、エンタテインメント業界はじめすべてのクライアントに向けたソリューション提案を行えることを武器に、「新しい時代のエンタテインメント」を創出することを企業理念としている。
プレゼンテーション会場では、SMSの取り組みとしてアナログレコードやハイレゾ対応のウォークマン、ヘッドホンなどを展示。アナログレコードの自社生産については2017年に発表され、2018年より開始されたが、ソニーとして29年ぶりの生産復活となる。その理由については、「ファンの皆様に音楽リスニングの多様な楽しみ方を提供するべき」との考えからプロジェクトをスタートさせたと、インタビューで明かされている。
これだけの空白期間、カッティングやプレスのノウハウに進化もあり、社内でその技術を持つ者もいなくなっていった。しかし、それは競合他社のエンジニアたちの協力もあり、乗り切ることができたという。そこには業界全体でアナログレコード文化を盛り上げようという思いがあり、SMSとしても嬉しい誤算というべき動きだった。
アナログレコードの需要については、SMSとしては売上は右肩上がりであり、日本レコード協会からも6年連続の生産実績伸長が発表されている。この波を一時的なものとすることなく、ここで確かな基盤をつくり、さらなる成長を目指す。若年層からはゲーム音楽のレコードを求める声があり、カラーレコードについても要望が多いそうだ。
また会場ではバーチャルコンシェルジュ「沢村 碧」が来場者に対して挨拶を行っていた。沢村 碧は入力されたテキストを音声合成エンジンで自然な発話に変換して読み上げる “バーチャルアナウンサー” としてBtoB向けに提供されていたが、技術の発展とともに活躍の場が広がっている。
以前の展示では来場者が受付番号をテンキーで直接入力することで、事前情報と照らし合わせ挨拶を行う、というフローだったが、今回の展示ではソニーの顔認証技術を取り入れることで、事前の情報入力は必要とはいえ、カメラの前に立つと自動で挨拶するようになっていた。担当者によれば、沢村 碧は「一方的ではなく相互コミュニケーションが取れるキャラクター」に育てることが目標という。より多彩なフィールドで、その姿を見る機会が増えそうだ。
そして様々なテーマで行われたトークセッションのなかでは、ParadeAll代表取締役の鈴木貴歩氏、ソニー・ミュージックエンタテインメントの黒澤 拓氏、レーベルゲートの蔦壁健二郎氏が登壇し、音楽配信についての未来予想も語られた。
まず結論として、「ストリーミングとダウンロードが共存」「音質の基準が変わる」ことを挙げ、それぞれについての根拠を解説。ソニーミュージックグループでは音楽ダウンロードサービスの「mora」、ハイレゾストリーミングサービス「mora qualitas」の両方を運営しているが、それぞれ「所有」と「アクセス」という異なる特性を持つことから、共存は可能であるとの考えを示した。
音楽配信売上については、2009年にガラケーからの着うたなどのダウンロードにより898億円を記録したが、その後、2013年には405億円とピークの5割を切った。しかし、これはスマートフォンなどにハードが変化していく際に、課金システムの移行がうまくいかなかったことから売上が低下したと鈴木氏は説明。一方で、音楽を聞き始めるリスナーの数は増加傾向にあり、売上通りに音楽が聞かれなくなったわけではないともされた。実際に、2018年の配信売上は624億円と回復基調にある。
また鈴木氏は日本のストリーミング事情について、例えば国土など条件が大きく異なるアメリカと比較するのは間違いであり、母国語や邦楽があり、CDショップも健在のドイツやフランスと比較すべきだと主張。データでは2014年に各国ともにパッケージが優勢だったが、2018年にドイツとフランスは約半数がストリーミングに移行し、日本は13%が利用していることから、日本のストリーミングは増加のチャンスがあると述べた。
音質の面では、楽曲制作の現場が24bitが一般的になってきて、ハイレゾスペックでの音源がスタンダードとなるとしたうえで、ハイレゾはレーベルとしては高価格帯を狙えること、ユーザーは高品質が手に入ること、アーティストは届けたい音を届けることができ、表現の幅が広がるという三者三様のメリットがあると黒澤氏、蔦壁氏により解説が行われた。
またハイレゾのニーズについては、ストリーミング配信で人気のある、あいみょん、Official髭男dism、King Gnuのダウンロード購入の圧縮音源/ハイレゾ音源の割合として、最低35%がハイレゾを選択していることから、一定の需要があると見込む。
こうした状況から、新譜、旧譜を問わずハイレゾ音源化が急務であり、また今がハイレゾに取り組むべき良いタイミングであると締めくくられた。
ソニーミュージックグループの4社を再編して、2019年4月に発足したSMS。今回、発足後はじめてとなるカンパニープレゼンテーションが実施された。
SMSはソニーミュージックグループのソリューション事業を統合したことで、事業間の壁を取り払い、各社のノウハウを結集した総合力でアーティストやクリエイター、エンタテインメント業界はじめすべてのクライアントに向けたソリューション提案を行えることを武器に、「新しい時代のエンタテインメント」を創出することを企業理念としている。
プレゼンテーション会場では、SMSの取り組みとしてアナログレコードやハイレゾ対応のウォークマン、ヘッドホンなどを展示。アナログレコードの自社生産については2017年に発表され、2018年より開始されたが、ソニーとして29年ぶりの生産復活となる。その理由については、「ファンの皆様に音楽リスニングの多様な楽しみ方を提供するべき」との考えからプロジェクトをスタートさせたと、インタビューで明かされている。
これだけの空白期間、カッティングやプレスのノウハウに進化もあり、社内でその技術を持つ者もいなくなっていった。しかし、それは競合他社のエンジニアたちの協力もあり、乗り切ることができたという。そこには業界全体でアナログレコード文化を盛り上げようという思いがあり、SMSとしても嬉しい誤算というべき動きだった。
アナログレコードの需要については、SMSとしては売上は右肩上がりであり、日本レコード協会からも6年連続の生産実績伸長が発表されている。この波を一時的なものとすることなく、ここで確かな基盤をつくり、さらなる成長を目指す。若年層からはゲーム音楽のレコードを求める声があり、カラーレコードについても要望が多いそうだ。
また会場ではバーチャルコンシェルジュ「沢村 碧」が来場者に対して挨拶を行っていた。沢村 碧は入力されたテキストを音声合成エンジンで自然な発話に変換して読み上げる “バーチャルアナウンサー” としてBtoB向けに提供されていたが、技術の発展とともに活躍の場が広がっている。
以前の展示では来場者が受付番号をテンキーで直接入力することで、事前情報と照らし合わせ挨拶を行う、というフローだったが、今回の展示ではソニーの顔認証技術を取り入れることで、事前の情報入力は必要とはいえ、カメラの前に立つと自動で挨拶するようになっていた。担当者によれば、沢村 碧は「一方的ではなく相互コミュニケーションが取れるキャラクター」に育てることが目標という。より多彩なフィールドで、その姿を見る機会が増えそうだ。
そして様々なテーマで行われたトークセッションのなかでは、ParadeAll代表取締役の鈴木貴歩氏、ソニー・ミュージックエンタテインメントの黒澤 拓氏、レーベルゲートの蔦壁健二郎氏が登壇し、音楽配信についての未来予想も語られた。
まず結論として、「ストリーミングとダウンロードが共存」「音質の基準が変わる」ことを挙げ、それぞれについての根拠を解説。ソニーミュージックグループでは音楽ダウンロードサービスの「mora」、ハイレゾストリーミングサービス「mora qualitas」の両方を運営しているが、それぞれ「所有」と「アクセス」という異なる特性を持つことから、共存は可能であるとの考えを示した。
音楽配信売上については、2009年にガラケーからの着うたなどのダウンロードにより898億円を記録したが、その後、2013年には405億円とピークの5割を切った。しかし、これはスマートフォンなどにハードが変化していく際に、課金システムの移行がうまくいかなかったことから売上が低下したと鈴木氏は説明。一方で、音楽を聞き始めるリスナーの数は増加傾向にあり、売上通りに音楽が聞かれなくなったわけではないともされた。実際に、2018年の配信売上は624億円と回復基調にある。
また鈴木氏は日本のストリーミング事情について、例えば国土など条件が大きく異なるアメリカと比較するのは間違いであり、母国語や邦楽があり、CDショップも健在のドイツやフランスと比較すべきだと主張。データでは2014年に各国ともにパッケージが優勢だったが、2018年にドイツとフランスは約半数がストリーミングに移行し、日本は13%が利用していることから、日本のストリーミングは増加のチャンスがあると述べた。
音質の面では、楽曲制作の現場が24bitが一般的になってきて、ハイレゾスペックでの音源がスタンダードとなるとしたうえで、ハイレゾはレーベルとしては高価格帯を狙えること、ユーザーは高品質が手に入ること、アーティストは届けたい音を届けることができ、表現の幅が広がるという三者三様のメリットがあると黒澤氏、蔦壁氏により解説が行われた。
またハイレゾのニーズについては、ストリーミング配信で人気のある、あいみょん、Official髭男dism、King Gnuのダウンロード購入の圧縮音源/ハイレゾ音源の割合として、最低35%がハイレゾを選択していることから、一定の需要があると見込む。
こうした状況から、新譜、旧譜を問わずハイレゾ音源化が急務であり、また今がハイレゾに取り組むべき良いタイミングであると締めくくられた。